とある人外共の生き様   作:葵・Rain

110 / 116
 今年最後の投稿です。
 皆さん、よいお年を!


IS学園祭/本祭Ⅵ

 謎の集団による襲撃事件によりIS学園は1週間休学することになった。今回重症を負った紺野兄妹は国際防衛軍所属の病院に入院していた。

 大きな怪我や目立つ傷などは最新の医療のお陰で大方なくなっていた。しかし、無理な戦闘や怪我の修復により疲労が大きく出てしまい、1週間は入院することになった。

 二人は二度目の戦闘後から会話はない。いや、会話をするのに戸惑っているのがタツミだけなため。

 

「(どうやって話を切り出すか。)」

 

 タツミは自分の前世が前世(元殺し屋)な為に大いに話せない。そこを濁して話した方がいいのかありのまま話してもいいのかわからないでいた。

 一方ユウキはアスナとの会話を思い出していた。というより、あのアスナが本物であるというのが気にかかっていた。

 

 二人して悶々としているうち扉をノックしている音が聞こえた。それに気づいたユウキは返事をして招き入れた。

 入ってきたのは二人の父である進太郎だった。だが、その姿は見るに耐えなかった。

 髪はボサボサになり、目には隈ができていた。猫背の姿に相当疲労が貯まることしているのがわかる。

 

「二人とも今回はお疲れ様。怪我はどうだい?」

「平気だよ!ほら、この通り!」

 

 ユウキは起き上がり、体を回転して元気アピールをしていた。

 その姿を見てにっこり笑った進太郎はタツミに声をかけた。

 

「元気そうだね。タツミは?」

「俺もほら」

 

 巻いている包帯を取り、怪我をしていた腕を見せた。

 二人の元気な姿に嬉しくなった。

 

「うん。元気で良かった。二人ともケーキ買ってきたから食べて。あと、二人のISだけど修理は終ったけど、その後にデータ収集するから退院後の3日はこっちのほうで過ごすから」

「わかった」

 

 退院後のことを話し終えた進太郎は袋からジュースを二本を取り出し二人に渡した。進太郎自身はコーヒーを取り出して一口飲んだ。

 一息ついたとき口を開いた。

 

「父さん、もし、もしなんだけど、俺が人殺しをしていたとしてどう思う?」

「お前が人殺し?何言っている?」

「もしもの話だ」

「お前が人を殺したってなら親として止める」

 

 進太郎は考えもせず言った。

 世間一般の親が言うことを言った。家族ならそうだろうが、タツミ自身は記憶を思い出してから本当の家族だと思っていいのか不安になっていた。

 実際、前世では家族がいなかったためそんな考えになってもしかたない。

 

「だが、何をしようとして殺したっていうならしかたないと思う。まあ、警察に突き出すか一緒に死んでやるさ」

 

 殺しを肯定したのだ。どの世界でも殺しは犯罪だ。なのに否定すらしなかった。

 

「現に俺は人はないがこの世界を守るために怪獣だろうが異星人だろうが殺すための道具を作っている。その道具が人殺しのために使われているのならそれが間接的にでも開発者が背負う義務だ」

 

 ああ、この(父さん)には勝てない、それと同時に、この(父さん)が親でよかった、とタツミは思った。

 だけど、前世のことを話そうと思ったがやめた。これは俺自身が背負う業なのだから。

 タツミが考えていると進太郎の電話が震えていた。

 

「もしもし、はい。……わかりました。すぐ向かいます。それでは失礼します」

 

 電話をきるとこちらに振り向いて基地に戻ると言い、病室を出て行った。

 ユウキは立ち上がると持ってきた進太郎が持ってきたケーキを渡してきた。

 タツミにはチョコレートケーキ、ユウキはブルーベリーのチーズケーキを食べた。

 

「兄ちゃん、もっと強くなろう」

「ああ」

 

 改めて強くなると決意を固める二人だった。

 


 

 IS学園武道場剣道スペースでは、一人黙々と竹刀を振るう篠ノ之箒がいた。

 その顔は怒りを通り越して憎悪で歪ませているようだ。理由は一つ、嫌いな姉に頼んで頼んだ専用機IS、紅椿を姉に取られたからだ。

 これで秋二の隣に立てる、そう思っていたのに、立つところが足手纏いに、しかも腹立たしいことにその隣には一夏に似た顔立ちをした男(キセツ・ミューゼル)秋二に怪我を負わせた女(アルマ・ブラウン)、さらに頼ったのは喧嘩を吹っ掛けた女(小原千沙)といったこの学園できた友達に頼っていたのだ。

 これはおもしろくないのだ。

 

「(なぜ、あんな奴らが近くにいて私は遠い場所にいるのか。幼馴染みなのに、数年いた私のほうが親しいのはず、なのに数か月の奴らなんだ、教えてくれ秋二)」

 

 箒はそんなことを考えているとき、声をかけられた。

 

「箒ちゃん、休みの日なのに素振りとか偉いね!」

「更科先輩」

 

 更科宇宙、箒が中学校時代、IS学園の先輩。中学校は剣道部にいたためそれなりに信頼している相手でもある。本来は弓を得意としていたためIS学園では弓道部に入部している。その実力はインターハイ個人優勝をしている実力者。

 

「先輩、私にはこれしかないですから」

「これしかないと言わないで。私は知っているから」

 

 箒の心は少し安らいだ。やはりこの人といると落ち着くと。姉よりも姉らしく、自分の悩みをよく聞いてくれる。恋愛のほうは疎いが。

 箒は自信が抱えている悩みを相談することにした。

 

「先輩、私は嫉妬しています。本来私が傍に立つのにそこには見知らぬ人が立っています。私はその人たちを追い出したいほど、その人たちより優れていると証明したい。どうすればいいですか?」

 

 宇宙はそれを聞いて考え出した。

 宇宙は箒の恋心を抱いている人物はわかっている。織斑秋二だ。自分の幼馴染であり、友達がいなかった自身の最初の一人であり、同じ道場にいた門下生でもあり、宇宙自身が危惧している依存している相手だ。

 その手のことは学園に入ってからもたまに相談される。

 しかし、上記で述べた通り恋愛には疎い。それでも聞いて欲しくて言っている。が、今回は違うようだ。

 一学期で起こした騒動で何かを感じたらしい。彼女自身の問題は聞いている。本来なら退学ものだが、姉が専用ISを回収して、反省の意味を込めて夏休みで学園のボランティアをやらせていた。それでも彼女には自分自身のことを考えておらず、常に秋二の傍にいることが絶対。八年の差を埋めるだけでは足りない、一生いなければならない。

 

「箒ちゃん、一つ聞きたいけど力で証明したい?」

「力です。今の私には紅椿はありません。剣で証明したいです」

「……箒ちゃん、私もね剣ではないけど力で証明したいって思ったことがあるよ。それだけでは難しいわ力だけでは」

「先輩は何が必要なんですか?」

「それは人それぞれよ。力を使うには制御するには正しく使うにも悪く使うにもあなた次第よ。それだけは相談しても私には出せないわ」

 

 力の使い方は人それぞれ。宇宙は見つけている。箒はまだ見つけられていない。

 

「私が見つけたのは、なにも失わせない、離さない欲望かしら」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。