よいお年を!
カットラスドーパントが腕にはやした二本の直剣を振り下ろして攻撃してきたのを簪は危なげなく回避し、ソニックアロー・廻で斬り払う。それを大剣を生成して受け止め、左腕の直剣で刺突していくのを右頬に感じながら紙一重に躱して、袈裟斬りで一撃を与える。ガキンッ!と金属同士がぶつかり合う音を響かせながらエネルギーの矢を一発撃ち、離れる。
手応えはあったけど硬い、そう思う簪。多少の煤がついているが、ほぼ無傷のカットラスドーパントがゆっくりとこちらに向かってくる。先ほどと違い刀に変えてこちらに来ている。
簪はマンゴーロックシードを取り出してソニックアロー・廻にセットし、マンゴー状のエネルギーの塊を形成していき、矢に変化していく。
『マンゴーボレー』
鋭い一撃を撃つ。避けることはせず唐竹割の構えで待ち伏せて斬り捨てる。矢は真っ二つに割かれ四散した。斬り払いの状態で駆け出した。それ迎え打つ簪。交わるその瞬間、刀の刀身が短くなり簪の攻撃は空振り、元の刀身に戻った刀で切り付けられた。少し後退し、反撃で上から斬る時、左腕を無数の刃に変えて受け止めた。そして、右ストレートからの一撃を喰らうと同時にパイルバンカーのような杭がさらに重い一撃入れた。
吹っ飛んでいく簪、受け身は取れず石壁に当たり止まる。
「(強い、今までの相手とは比べられないほど強い)」
そう思ってしまうほど強い一撃をもらった。
「(だけど、こいつを倒さないと園原杏里の命が消える。それだけは絶対に駄目!)」
簪の脳裏には半年前のイザナギが死んだ姿が思い浮かんだ。己の無力さ、相手への憎悪、亡くなって気付く尊さを。
絶対に倒す。腰からブラックレモンエナジーロックシードを取り出し、アップルエナジーロックシードと交換した。
ジンバーブラックレモンに変わるとソニックアロー・廻にアップルエナジーロックシードをセットし、地面に突き刺した。そして、無双セイバーにフィフティーンロックシードをセットして、二刀流で決めにかかる。
相手から10mの距離を駆ける。カットラスドーパントも刀で反撃準備にでる。伸びる刀身での一撃を躱して突き刺しにくる針をソニックアロー・廻で滑らせながらエネルギーの矢を撃ち出す。胴体に無数の刃を出して防ぐ。足から無数の刃を伸ばしてくるのを無双セイバーで砕く。その反動で飛び上がり素早くカッティンブレードを3度落とす。
『フィフティーンスパーキング!ブラックレモンエナジースパーキング!』
黒く染まった右ライダーキックで決める。
『アップルエナジーボレー!』
赤と金のリンゴのエネルギーが当たり爆発する。
『フィフティーンパワー!』
トリガーを二回引き、髑髏のエネルギーで斬りつける。
後ずさりするカットラスドーパント。しかし、体全体に罅が走る。最後のあがきとしてナイフを投擲したが、無双セイバーではじき返した瞬間カットラスドーパントは爆発した。
「早くいかないと!」
サクラハリケーンに乗り、園原杏里のところへ向かう。
Side龍間簪
現場に着くと刀を刺す園原さんと年上の女学生、蹲っている那須島に黒バイクがいた。
近くで見ていると那須島は何か語り始めた。いや、いいわけかな。これで分かったのは倒れている女性は贄川春奈さんということ。聞いているとメンヘラストーカーに追いかけられているクズ教師の構図だった。
那須島は何をとち狂ったのか胸ポケットからメモリーを取り出した。
『テンタクル!』
胸にメモリーを差し込み変化した。イカやタコを思わせる触手が出てくると巻貝のような頭部が出てきた人型の怪人、テンタクルドーパントが現れた。
「今日で二回目とか聞いてない、よっ!」
触手で園原さんを攻撃してくるテンタクルドーパントを無双セイバーとソニックアロー・廻で捌いていく。
「仮面ライダー!?」
『なぜ仮面ライダーがここに!?』
無双セイバーを仕舞って、ソニックアロー・廻を構えた。
「あなたには関係話よ」
向かってくる触手を捌きながら進んでいく。時折牽制程度で撃っていく。テンタクルドーパントまで近づき、カッテングブレード二回降ろし、フィフティーンオーレ!アップルエナジーオーレ!でヤクザキックを蹴りこみ変身解除とメモリーブレイクを行う。
素人だからなのか手ごたえがなかった。
倒れた那須島は放置し、後ろで構えている二人に振り替える。
「那須島先生はどうするの?」
「え?このまま放置するよ。どうせ証拠はないし、巻き込まれたくないならかかわらないほうがいい」
私はサクラハリケーンに跨り食堂へ戻った。
《SideOut》
簪が去ってからすぐのこと。
黒バイクのセルティは考えていた。
『(あれが仮面ライダー実際に見るのは初めてだったけど女性の声だったな)』
「セルティさん、あの時はすみませんでした」
『あの時のこと?ああ、いいよ。事情はさっき聞いていたし、その本人は倒れているし』
「ですが!」
『文句は罪歌に言うとしよう。では、この子のことを医者に見せに行くから』
セルティが贄川を背負って帰る姿を後ろから見ている園原がいた。
園原は今日あったことを思い出していた。そして、自分は力を持ったことを自覚して。
彼らといる日常を巻き込ませない。縛りと責任感を心に抱いて、今ある自由を謳歌しようとしていた。
『貴女のことは愛せないけど、嫌いじゃないわよ』
罪歌の声が聞こえたような気がした。