ここに入学して数日経つが,この学校には慣れた。昼食を簪と食べている時、マドカとクロエがやって来た。
「イザナギ、いっしょにいいか?」
「いいですかイザナギ様?」
「いいけどクロエ、様付けはやめろ。いくら慣れてしまったからって」
「そうだよ。様付けは私だけでいいから」
簪がそう言うが、決して様付けはお前限定じゃないからな。
「そんで、何かあってきたんじゃないか?」
「いや、別に用事はないが」
「私は食べる人がマドカ様だけなので」
「私がいるよクーちゃん!」
「いえ、簪様は熱いので」
「私は熱くないよ。クーちゃんだけその熱さを見せているんだよ」
「それはどうでもいい」
「ひどいなマドカちゃん。あ、一夏さんに今会えないからって妬んでいるの?」
簪が冗談を言う。それにテンパるマドカ。それを見て笑うクロエ。
ほんと、毎日が楽しい。前生きていたころよりずっとな。
それにしても簪の奴覚悟を決めたとはいえ、変わり過ぎだろ。
二日前。
「一夏さん、弾さん、数馬さん、お話があります」
簪が三人を呼んだ。
「私は、あの家と決別します。だから、その為に力を貸していただきませんか?」
「……理由は?」
「私はあの家で劣った存在で兄と姉と比べられていました。もう戻りたくない。あの家にいると私は、一生比べられたまま生きていく」
「……俺はいいが」
「俺もだ」
数馬と弾が賛成する。一夏は。
「……簪、俺も昔お前と似た境遇にいた。嫌だったあそこにいるのが、そんな時転機が訪れた。世界がガラッと変わって、俺の才能と努力を認めてもらえた。師匠や家族、仲間もできた。そしてこの地に戻ってきて、帰る前に決着をつける」
「えっと、どういうことだ?」
「つまりだ。簪お前には何が残っている?」
「私には……なにも」
「いやあるさ。それは物でも能力でもない」
簪が首をかしげる。それを見て一夏は自分の胸に手を当てた。
「心だ。まあありふれたことだけど、自分が一番譲れない信念とかあるだろ?俺は家族を守るって信念なんだが、ここにいる時点で守れていない。心配はしているだろうし早く帰らないとな」
それをきいた簪は目を瞑り、考えていた。自分の信念とは何か、自分が譲れないものとは何か、自分が一番失いたくないものは何か、考えた。そして、見つけた。
「どうやら」
「はい。私は、私は……です」
「本当か?」
「はい」
「いいぜ。貸してやる。その代わり向き合えよ。そして決別して来い」
「はい!」
まあ、その為に力をつけないとな。守れなくなってしまう。
けど、その前にひと時の平穏をかみしめるとしますか。
「イザナギくん行くよ」
「おう」
とにかくだ。使ってまだ間もないあれを使うには実践あるのみだよな。しかしそんな場所どこにある?
「ねえ、か~のじょ」
「えっと、誰ですか?」
「俺は紀田正臣っていうんだ。よろしくね簪さん」
「は、はい。こちらこそ」
馴れ馴れしい奴だが、チャラ男か?ま、ナンパじゃないだけマシか。
「紀田って言ったか?何か用事があるのか?」
「あれぇ、あんたは?」
「坂本イザナギって言うんだ。よろしく」
「よろしくなイザナギ」
フレンドリーな奴だな。
「そろそろ時間だし行くね」
「またな」
食堂にいく途中の道でカップルを見つけた。彼女の首に傷がついているが、手術の後なのか?
「お前は坂本イザナギか?」
「そうだけどあんたは誰だ?」
俺に接触してきた男が一人いた。
「ご同行願う」
「いやだ」
「力ずくでも」
そうゆうとポケットからメモリーを取り出した。
『Arms!』
「ガイアメモリ!」
「知っていたか。フン!」
そう言うと自分の首に刺した。
俺もカバンから戦極ドライバーを取り出し着けた。
「変身!」
『フィフティーン!ロック・オン!』
エレキギターが鳴り響き、上から頭蓋骨が降りてきた。それが展開して鎧になった。
「来やがれ!」
黄泉丸を抜き斬りかかった。相手も右手の剣で斬りかかって来た。
「ふっ!やああ!」
「ふん!遅いな。そんなものか!」
「まだまだ!」
蹴りを撃ち込み、下がった。ブレードを一回降ろした。
『フィフティーンスカッシュ!』
黒い斬撃を放った。
アームズドーパンドは赤い銃弾で相殺した。
「こんなものか?」
「ちっ!まだまだだ!」
俺は違うロックシードを出した。
「こいつで決める!」
フィフティーンロックシードをウォータメロンに変えた。
『ウォーターメロン!ロック・オン!』
『ウォーターメロンアームズ!乱れ玉ババババン!』
攻守、遠距離に否がないこのアームズで倒す!
「くらえ!」
ウォーターメロンガドリングでアームズドーパントを撃つ。
遮蔽物に隠れていようが、関係ねぇ。あぶりだしてやる!
「どうした?早く来いよ!」
「ならいくぞ!」
決して早くないスピードなのだが、近づいてくる。こいつ慣れていやがる。銃撃の嵐に!
「ちっ!なら」
近づいてくるなら、こっちだって!
「ふん。は!」
「くっ!?」
剣による斬撃でやられた。
「これで終わりだ!」
やられる!
「おいおい、うちのアルバイト定員に何手出してんだ?」
その声は!
「一夏さん!?一夏さん逃げてください!」
「ほう、貴様が一夏か?」
「そうだが、あいにく俺には変人と変態ぐらいしか知り合いいないんで、アンタみたいなの知らないが?」
あきらかに挑発だ。今のうちに体制を整えないと。
「ふん、まあいい。これだけは覚えておくんだ「三下みたいなセリフ言ってないで早くかかって来いよ」言わせておけば!」
「言っとくが、負けだ」
『ウォーターメロンスパーキング!』
「はあ!」
「しまった!?」
溜めておいたエネルギーを撃ちだした。それに当たったアームズドーパントは爆発した。
変身を解除して一夏さんの元に行った。
「しかっし、イザナギお前弱いな」
「はい。わかっています」
「いいや、わかってないね。よく見てみろ」
言うので向いてみると、メモリブレイクがされていなかった。つまり。
「弱くても、油断はしないで見ることだ。お前は倒した過信と安心が一気に出ていた。そんなんでよく簪を守るって言ったな」
「うるさい」
「さらに言うとなれば、周りを見ろ」
言われた通り周りを見た。そこは俺らがつけた後だった。
「確かに自分の命を守るのは大事だ。しかし、周りに人がいればけが人が出ていた」
「…………」
「そこんところ踏まえて今後頑張れ」
説教じみた言葉が俺の胸に刺さった。