やっと武蔵出たよ!
旧更識簪、現龍間簪、私がこの名前で名乗って約三カ月経つ。線引きはできたのかと言えば、経歴上は死んだとされる。けど、嘘だと思ってしまう私がいる。
しかし、嘘とは思わない。思いたくない。一夏さんがいて、弾さんがいて、数馬さんがいて、クロノさんがいて、そしてイザナギがいる。この日常が嘘とは思わない。
けど、そんな日々が一瞬で崩れ去るとは思わなかった。
それが起きたのは6月のこと。
その日はイザナギが日直で遅く帰る時だった。
「龍間さんはいます?」
「どうしたの園原さん?」
園原杏里、彼女と知り合ったのはダラーズの集会以降のこと。その時は、ダラーズの話題が上がっていて誰もかも話していた。以前、ナンパしてきた人、記田くんがもう一人、竜ヶ峰くんと一緒に来たのが園原さん。なぜかはわからないけど、自分と似た雰囲気を感じて、私から会話して友達になった。
「校門でIS学園の制服の人が待っているよ」
そう言われたので見てみると、タボタボの制服を着て人を当たりが良いマイペースそうな女子がいる。
「本音……」
「だ、大丈夫?」
「……うん」
園原さんが心配している。
大丈夫、もう過去は振り返らない。例え幼馴染でも、元従者でも。
「簪行くぞ」
「うん。園原さんまたね」
「それじゃあね龍間さん」
イザナギと一緒に帰っている時、イザナギがさっきのことを聞いてきた。
「簪さっきのは?」
「私の従者って言えばいいかな?」
「従者?」
「そう……さっきその子が来ているって言っていた」
「近道して帰るか?」
「うん」
イザナギは私の手を引っ張って外へ、そのままお姫さま抱っこされて塀を飛び越えた。ふぇ!?
「い、イザナギ!?」
「巻くならこう言うのがいいだろ?」
本当にすごい。私が出来ないことを平然とやってのける。そこに痺れる!憧れる!
……コホン。
イザナギの行動力は目をみはるものがある。私も真似をしたいくらい。けど、真似じゃなくて私と言う個人の行動力を持ちたい。
私と言う存在が認められるようになりたい、そう思っていた。けど、違った。いえ、違うと思っていた。
イザナギや数馬さんたちと生活していくうちに、私を見てくれる人がいるって気づかされた。幼少期に家であったのが再び見れた。嬉しかった。自分が一番欲しているものがまた手に入ったこと。
だから、二度と無くしたくはない。
それと同時に決めたことがある。
更識との決別、そしてイザナギと共に歩むこと。
長期休みの時でも戻って絶縁する。
そして、イザナギと一緒に生きよう。初めてあった時は怖かった、憧れた。しかし、私は惹かれた。イザナギと言う男の子に。
「よっと、着いたぞ」
「うん。ありがとう」
いつの間にか好きになっていた。
アナグラ食堂の朝は早い。仕入れから仕込みまでの昼夜の準備で。
朝早くから働き、夜まで働き詰めでいつ休むのか。
彼らは疲労は感じなかった。
今日の夜が無ければ。
「と言うわけで、更級宇宙さんだ」
「久しぶりね簪ちゃん」
いつ子の二人を会わせるか、悩んだ悩んだ。二人の都合があわなかったとは言え、期間が空いたと感じた。
俺と言う男が面倒くさいと思ったわけではない。
言うなれば、邪魔者がいたと言うことだ。
「お姉ちゃん!?」
「この人が簪の」
「正確には従姉妹のね」
更識家のことはくそ兎の話だと古くから日本にいる対暗部組織の家、国家を第一に考え、テロリストの襲撃を防ぎ、汚職や危険思考の人物の暗殺をする、時には国外へ行き日本に敵対する組織等も殺す。
この家のせいでなかなか会わせることができなかった。
そこで同盟組織の亡国に会談しても問題なく、襲撃されても問題ない店を紹介してもらった。(脅してないから)
やっと日程を組んでここまで来た。
「さて、俺らは外にいるから何かあったら呼んでくれ」
舞台は整った。あとは、決着が着くのを待つだけ。
数ヵ月前、簪ちゃんが消えたあの日。私は後悔していた。側にいれたとは言えない。ただ、気にかけることはで来たはず。なのに、あの時、あの時私が気付いていればならなかったはず。
また大切な人が消えた。そう思っていた。
しかし、そうならなかったわけはただの勘。
偶然にも幼少期にあった男の子と同じ名前の人と知り合い、偶然にも簪ちゃんの名前を聞き、今日の会談で話すことができる。
「久しぶりね」
「うん宇宙お姉ちゃんも久しぶり」
「元気そうで良かった」
「それで何しに来たの?」
「お話ししに来たの」
「お話し?」
「簪ちゃん私はあなたを連れ戻しに来た訳じゃないわ。あなたに今の生活はどう?って聞きに来た」
「楽しめているよ。友達が出来たり、勉強やアルバイトは大変だけど楽しく過ごせている」
「良かった~。で、隣にいたの彼氏かな?」
顔を赤くした。
「ち、違うよ!?」
違うけど、好きなのね。
「そ、そう言う宇宙お姉ちゃんは一夏さんのことじろじろ見ていたよね?」
それを聞いて、反論した。
「にゃ、にゃにを言ってるのか、わ、ワカラニャイニャ!?」
「呂律回ってないよ」
はう。
「好きとは言えなくはないけど、気になっているのよ。前話したかと思うけど、似ているのよあの男の子に」
「だったら聞いてみたらいいのに」
「聞いてみたよ。知らないと言われた」
聞いてみた。はぐらかせたけど、まだ確信は持てていない。
「そうだ!アルバイト!そうアルバイトはどんな感じ?」
「さっき話したと思うけど?」
「詳しく」
「話をそらしたよね?」
焦らせようとしたとき、扉の外から爆発音が聞こえた。
「な、なに!?」
「簪ちゃん後ろに!」
扉が開き、黒服の男たちが現れて、私たちへ来ようとしたとき。
「なに、いこうとしているだ?」
黒服の男たちが止まり、後ろから一夏さんの声が聞こえた。
「質問、お前らは俗に言う身内殺しか?」
「そうだ!」
男が行った瞬間、全員床に伏せられた。
「貴様らの目の前にいるものに対して無礼!」
ここからでもわかる殺気が肌に響く。人の殺気じゃない生物の、それも頂点にたつ威圧だと思う。
「おぅりゃあああ!」
人が投げられてきた一人は女。
「刀奈様!?」
「見つけたわ簪ちやあああああ、ガハ!?」
女性が出してはいけない声と共に壁にぶつかる。
「もういっちょおおおおお!」
「見つけたぞ簪いいいいい!?」
今度は楯無様ですか!?しかも、天井ぶつかり落ちてきたところへ。
「ライダー、キック!」
イザナギくんに蹴られ、起き上がった刀奈様と共に壁へ。
「どういうこと?」
私が聞きたい!