『力が欲しいか?』
謎の声を聴いたラウラ。返答はもちろん。
「欲しい。この戦いを終えたくないからな!」
『いいだろ。使え!』
「うわあああああああ!?」
そこでラウラの意識は失った。
泥に飲み込まれたラウラのところにいたのは暮桜を模様したIS。偽暮桜は雪片を持ち、秋二に襲い掛かってきた。
「っ!?危ないな!」
『コロス、コロス!』
「物騒だな!」
雪片輪型を展開し、迎え撃つことにした。雪片と輪型の斬り合い、打ち合いが始まった。高速でやる剣と拳による攻撃は人の許容範囲を超えるものだった。
どちらも零落白夜を纏っているため一度でも掠れば多大なダメージを負うことになる。なのに、絶妙なうち合いによりどちらも掠ってはいない。
先に勝負を仕掛けて来たのは偽暮桜。
雪片を高速の唐竹割りをしてきた。それを逆手に取った秋二は零落白夜を纏った片手の輪型で防ぎ、開いている片手で取られないようにしっかりと抑え、乱月を放つ。それにより離れた雪片を手に持って居合いの構えになった。
「(集中、集中。楽しい戦いは終わりだ)」
秋二は隙を探し、偽暮桜は雪片を二本出し斬りに来た。幻蝶を発動し、一撃目、二撃目をかわし、三撃目を上にかわし、四撃目を雪片の零落白夜が出ていないところに立ち、斬り落とす。
「蜉蝣」
そういった途端、二人目の秋二が出て来た。二人目は手ぶらな状態で月兎を構えている。
「錬武法
剣術、秋二の口から出て来た言葉は気が付いた箒、千冬を驚かせた。
「(俺が身に着けた技、最速を!)零せぇぇぇぇん!」
しかし、剣を振りぬいていなかった。失敗、みんなの頭に過った。しかし、秋二は笑った。
次の瞬間、偽暮桜は斜めに斬りつけられていた。その中から気を失ったラウラが出て来て、つかさず二人目が月兎で救出。
「うおおおお!熊手、衝月、双月、棘、乱月、輪月!」
熊手で肥大化した腕で衝月から臨月を偽暮桜へぶち込み、平手にした手を後ろに構えて打ちだす準備をしている。
「奥義!白掌!」
白掌が偽暮桜の胴体に決まり機能を停止、コアを残し消えてしまった。
「はあ、はあ……っしゃぁぁぁぁぁ!」
叫んだ後、後ろに倒れた。
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Sideラウラ
……ん、ここは?この臭いは消毒液、つまり保健室か?
「気が付いたか」
「教官?」
「教官ではない、織斑先生だ。調子はどうだ?」
「体が少し痛いですが、生活には支障はないです」
「そうか。二日、三日は安静にしてろよ」
「私は何をしていたのですか?」
「ヴァルキリー・トレース・システムがお前の機体に入っていた」
「あれは条約で禁止されていたシステムですよね。なぜ私の機体に?」
「ドイツ軍の上層部が仕込んだものだとボーデヴィッヒ准将が言っていた」
「父上が?」
「ああ。連絡するか?」
「いえ、後で報告します」
「そうか」
織斑先生は退出し、入ってきたのは鳳鈴音とセシリア・オルコット、キセツ・ミューゼルの三人。
「あら気付いたのですね?」
「先ほどな」
「ふ~ん、それより秋二知らない?」
「織斑か?」
「ええ、彼も運ばれたと聞いたので代表して私たちが来ました」
「いや、知らない」
「奥のベットにいるぞ。寝ているが」
「あら、お見合い品だけ置いて帰りますか。それよりラウラさん先ほどから私以外に誰と会話しているのですか?」
「誰って、鳳だろ?」
「おい」
「ええ」
「何話している?」
「ラウラさん落ち着いてください。ここに鳳さんはいませんよ」
「いや、いるから。影薄いからっていない扱いはしないで」
「そうだぞ。先ほどからそこで漂っている奴と一緒にするな」
「「え、漂っている?」」
「半透明な日本幽霊が「「ギャアアアアア!?」」お、おい!?」
絶叫しながら保健室から出ていくオルコットと鳳。
「ボーデヴィッヒ居るからと言って、それはタブーだぞ」
「そうなのか?ドイツでは一部軍人の後ろには常にいるからついその類だと思って」
「スタ〇ドもまで兵器にするのかドイツは!?」
ミューゼルに注意されて、出て行った。
さて、起きているんだろ?
「いつから?」
「先ほどな。そいつは?」
「寝ていたからベットの中に入れた。色々ヤバいから」
寝ている小原をベットに入れて起きた織斑。
「看病ありがとな」
「織斑試合はどうだった?」
「俺の勝利で幕締めで、学年別トーナメントは一回戦だけやって終わり。それで今週は休みだ」
「そうか。私は弱かった」
「力か?」
「いや、心が」
話してしまうか。私の過去を。
「私はデザイナーベイビーとして生まれた人とは言えない存在だ。兵士として兵器としては最高だと当時言われた。しかし、ISが出てから操作向上実験として実験体として使われた。その時の私はさらに強くなってドイツの為にやれる、と思った。しかし……」
「失敗か?」
「ああ。私の左目に宿っている力の制御不能として失敗作の烙印を押された。今までの階級をはく奪されて、生きる証を失った。その時だ。第二回モンド・グロッソで一年間教官としてくれた織斑教官いや、織斑先生に鍛えられたお蔭で、力も階級も取り戻した。それと同時になぜ優勝できなかったと思ってしまった。原因は……」
「俺だな。正確に言えば兄さんだな」
「ああ、原因とは思っていた。愚かだったなあの時の私は。織斑先生が日本に帰ってから半年後のことだな。そんな私を正してくれたのは父上だった。養父だけど、調子乗っていた私をISなしでぶっ飛ばされた。その時、私にこう言ってくれたんだ。『強くなる向上心は良いことだ。だが、そんな私情では力で勝っても心では負けるぞ。俺と来い。そしたら、世界にいるごまんといる強者たちから学べる』そう言われて、父上の元で強くなるために修行している。その時か、養子縁組を組んだのは。結果はこのようなものだが」
「ボーデヴィッヒは強いよ。自分の弱さを知り、次はならないために考える。それと、お前は人間だ」
驚いてしまった。なにか言われると思っていたが、こんな私を否定せず、考えてくれる。しかも、人間と言ってくれた。これだけでも私は救われた気分だ。
「まあ、強くなるなら、俺らも協力する」
「ありがたい」
「俺もボーデヴィッヒみたいな時があった。そんな俺を見てくれたのがいたんだ」
「いたって、もういないのか?」
「ああ。失って初めて気づいた。こんな俺を俺として見てくれた人がいたと。それから俺は失わないために強くなるために今生きている」
「貴重な話ありがとう」
「よせ、俺は少し寝る」
「ああ」
織斑のこと初めて知った。こんな事実があるとは知らなかった。私も少し寝るとするか。
SideOut
『もすもす、ヒメマス』
「姉さん」
久しぶりの篠ノ乃姉妹の会話。
『おお、箒ちゃん久しぶりだね。で、なにかな?誕生日プレゼントかな?』
「いえ、私にISをください」
『何のために?』
「秋二の隣に立つために」
『……わかった。臨海学校の時に持っていくね』
「お願いします」
妹は喜び、姉は心配する。