仮面ライダーシャイン~輝ける戦士~   作:光陽03

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遅れて申し訳ありません!ちょっとした夏休みに入っておりました。マインクラフトにどはまりしておりました!……だが、私は謝らない!

取り乱して申し訳ありません。では10話です


第10話 偶然という名の神業

警視庁のある一室。

そこには警部の階級を持つショウイチの他にも数々の捜査一課所属の刑事が召集された。

訳も分からず集められ近くの同僚と話し合う者、ある程度憶測ができる者、徹夜で睡眠時間が短かったのか無意識に欠伸をしてしまう者と反応はまさしく十人十色だ。

しばらくの間そんな空気が漂っていたが、参事官を筆頭とした警察上層部の面々が入室すると、皆が即座に態度を律する。

 

 

「えー、参事官の津田だ。突然の召集に困惑している者もいると思うが落ち着いて聞いてほしい」

 

 

参事官が座席に腰を降ろすや否や本題を切り出す。

その面持ちは固く重い。

 

 

「ここ数日、この街で怪物による非常に不可解かつ奇妙な事件が立て続けに発生している。速急に原因を究明しようと我々もあらゆる手段を行使しているが、未だに何一つとして手掛かりを掴めてはいない」

 

 

クモサーヴァントに始まり、タカエンマとペンギンサーヴァント、つい最近現れたエアウィグサーヴァント…これらがもたらした被害は甚大でもはや無視できぬものになっていた。

そこで警察上層部が頭を捻るに捻り、糸口を見つける

 

 

「だが事件発生から今現在に至るまで怪物たちの姿はどこにもない。何故か?それは……仮面ライダーなる存在が怪物たちを倒しているからだ」

 

 

津田はそう言うと机の上に置いていた1枚の雑誌を手に取る。

パラパラとページを捲り目的の記事を見つけると刑事全員の目に届くようにそれを掲げた。

 

 

「これはATASI-ジャーナルという雑誌社が先日販売したものだ。その中に怪物と戦う戦士、仮面ライダーの写真並びに記事が載せられている」

 

 

広げられたページには『人間の自由を守りし戦士仮面ライダー』のタイトルで握手を交わすシャインとスカイライダーの写真が掲載されていた。

雑誌を掲げるのをやめた津田が部屋中の刑事らに説明する。

 

 

「この仮面ライダーなる存在が怪物たちに関する重大な鍵を握っている…私はそう睨んでいる。我々警察は市民を守るのが優先事項であり尊い使命だ、この場にいる捜査員全員一丸となり仮面ライダーの素性を突き止め、怪物たちを1日も早く根絶やしにしてもらいたい……何か質問あるいは意見のあるものはいないか?」

 

「質問よろしいでしょうか?」

 

(!あいつは…確か…)

 

 

津田に問われ挙手した一人の男の顔にショウイチはおぼろげながらに見覚えがあった。

名護シンヤ、捜査二課の刑事で元捜査一課でもあった男だ。

優秀ではあるがやや性格に難があり扱いづらい男…以前ショウイチは共に同じ案件を担当していた名護をそう評したのを今でも覚えている。

人一倍正義感が強く正義に忠実な分独善的な部分が多々あり、取り調べの最中になかなか容疑を認めない被疑者に対し暴行を働き一時期有名になった程

おまけに驚くぐらいに人の話しを聞かず我が道を行くタイプで、それが災いしてある日捜査一課から二課へと飛ばされた。

 

 

「許可しよう、えっと君は」

 

「捜査二課の名護です。津田参事官、その仮面ライダーは本当に信用に値する存在なのでしょうか?」

 

「それは、どういう意味かね」

 

「彼らが怪物を倒したのは事実かも知れません、怪物とは敵対しているだけで、もしかしたら彼らも私たちに仇なす存在であるとも考えられます」

 

 

怪物と戦っているとはいっても仮面ライダーが人類の味方であるなどと保証はどこにもない。

ただ敵対関係にあるだけで怪物たちに代わって人類を恐怖で支配する可能性だってある。

だからそう易々と信用しては危険が及ぶ。

名護の意見を総括するとそういうことだ。

 

 

「そもそも味方かどうかも不確かな存在に頼る必要などありません。市民を守るのは我々警察の使命です、速急に彼らも知っている情報を吐かせた後、排除すべきだと私は考えます」

 

「なるほどな、君の言い分にも一理ある。だが今のところは物騒な手段を取るつもりは毛頭ない」

 

「何故ですか!怪物を倒したのだとすれば彼らの力は危険です。放っておけばどれだけの被害になると思いますか!」

 

「しかしな、我々は警察だ、軍隊ではない。それに現段階では彼らは無力な我々警察に代わって市民の生命を守ってくれている。そんな彼らにはそれ相応の礼節を持ってコンタクトを取るべき…そう思わないかね?」

「しかし!……いえ、申し訳ありませんでした」

 

 

口にしかけた言葉を苦い表情で飲み込む名護。

頭を下げる彼に津田は柔らかな言動で応対すると、引き締まった雰囲気を醸し出し声を上げる。

 

「とにかくまず優先すべきは仮面ライダーとの接触。まずはそこからだ。それともう一つ、これはまだ機密事項だ、どうか諸君らだけの秘密にし他には決して他言せぬように!」

 

「「「はい!」」」

 

「では解散!」

 

終了の合図が飛び交い津田たち警察上層部の人間が退室し、緊張で体が固くなっていた刑事はほっと胸を撫で下ろす。

それを尻目に頬杖をついていたショウイチの視界の片隅に映り込んだのは、釈然としないような感情を顔に浮かべている名護だった。

 

 

 

 

 

 

「納得がいかない!どうして参事官はわからないんだ!」

 

 

早朝の会議から数時間が経過し、名護は警視庁近くの公園で苛立ちを発散させるかのように土砂を蹴りあげた。

幸いと言うべきか公園は無人であり彼の発言を咎める者は誰もいない。

 

 

「何かあってからでは遅いというのにどうして参事官も皆、俺の言い分がわからないんだ!」

 

 

-万が一ことが起こってしまえばどうしようもない、過ちを反省しようとしてももはや手遅れになってしまうかもしれないのに

-誰1人として理解を示してはくれない、俺はただ正しいことを言っているだけなのに!

名護の中で自分が間違っているという考えは塵1つとしてなかった。

自分の言い分はすべて正しいし間違っていない。

間違っているのは否定するオツムの足りない馬鹿だけだ。

そんな身勝手な発想しかなかった。

 

 

「お困りのようだね、どうかしたのかな?」

 

 

ふと名護の前に青いタートルネックを着たメガネの男が現れ歩み寄る。

何の気配もなく距離を縮めてくる初対面の男にさしもの名護も警戒し眉を潜めた。

 

 

「誰だ?君は」

 

「その様子とさっきの言葉から察するに誰かともめたのかい?」

 

 

質問を無視された挙げ句逆に質問を返され、名護は元から不機嫌だったのもあって憤慨しそうになる。

だが男の次の言葉でそれは彼の気分は急変した。

 

 

「僕で良かったら力になろう、何でも言ってごらん君の悩みを解決しよう」

 

「何でも、だと?」

 

「そうさ、君にその気があるのならこの石を受け取りたまえ」

 

 

そう満面の笑みで男がズボンのポケットから取り出したのは手に収まるぐらいの青い石。

訝しげにも何でもという言葉に魅力を感じたのか、名護は手を伸ばしそれを掴む。

すると名護の指先が石に触れた瞬間、石が青き輝きを発し2人の中心を照らす。

 

 

「こ、これは…?」

 

魂石(こんせき)。君の願いを何でも叶えてくれる力を与える魔法の石さ…どう使おうと君の自由だ、好きなように使ってくれて構わない」

 

「願いを叶える…力!」

 

「そう何だってできる…君の思うがままに」

 

「本当か!?」

 

「ああ」

 

 

これがあれば変えられる。

自分の考えを否定する者たちも、市民を怪物の禍々しい手から守ることも……

自分の正義の邪魔をする障害を灰にすることさえも

 

「これで、俺は俺の正義を貫く!」

 

 

目に小さいながらも怪しい光を灯す名護を、力を与えた者が端正な容姿にそぐわぬ下劣じみた笑いで見守っていた。

 

 

「そういうことか…」

 

 

ショウイチは自分のデスクで何事かを考える仕草を取っていたが、しばらくして何かに気付いたのか低く呟く。

そして携帯電話を取り出し通話ボタンを押す。

 

 

「あいつが…そうなのか……もしもし、シンジか。ちょっと確認したいことがあるんだが、時間いいか?」

 

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

「遅いぞ」

 

「すいません、待たせてしまって。最近仕事休みっぱなしで休憩取るのが忍ばなくて」

 

 

照りつける太陽の灼熱の光を浴びた漁船が並び立つ埠頭。

そこで次狼はキラに話しをするために待ち合わせていた。

次狼としては本当はもっと早くに済ませたかったのだが、それぞれ都合が合う日がなく…その上キラは風心館の仕事をサボり気味なのが気がかりで、結果今日まで長引いてしまったのだ。

 

 

「まあそれはいい…まずお前はどこまで知ってる」

 

 

会うなり本題に入る次狼。

彼に訊ねられたキラはかぶりを振りながら懐から出したドライバーとベルトを見せる。

 

 

「それが…まったく。そもそもこのベルトとメダルが何なのかすらさえ」

 

「ったく、そこからか…本当に何も知らないのか」

 

「……すいません」

 

思っていた以上にキラが事情を把握していないと知り、次狼は悪態をつく。

せめて自分が手にしている力の出所ぐらいは分かって欲しかった、そう内心で毒づいていた。

しかしそれを口にしたところで只の時間の無駄だろう、そう察した次狼は仕方ないとばかりに呆れて閉ざしていた口を開く。

 

「お前が今手に持っているメダル、ソウルメダルと言うんだがその力の源は名前のとおりある生物の魂を力へと変換している」

 

「ある生物?」

 

「世界に様々な形で名を遺した生物だ、神話生物…と言ったらわかるか」

 

「!…そうか、そういえばフェニックスもレグルスも神話に出てくる生物だ」

 

 

指摘されるまで気付かなかったのかキラは納得したように首を縦に振る。

次狼も次狼であまりのキラの知識に乏しさに今までよくも戦い抜いてこれたものだと、別種の感嘆を抱いていた。

だがいちいち彼に流されて反応していたら、進むものも進まないと気持ちを切り替える。

 

 

「その神話生物の力を融合させて強大な力に変えるのがシャインだ。ここまでは分かるな」

 

「ええまあ、でも誰がそんな力をメダルに宿したんですか?」

 

「-神だ」

「はい?…」

 

顔色をピクリとも変えずに呟かれた言葉。

それにキラは目を見開くと共にすっとんきょうな声を上げてしまう。

 

 

「え、今、神って言いました?」

 

「ああ」

 

「本気で…言ってます?」

 

「この顔が冗談を言ってるような顔か」

 

「いや、でも、だって……神様なんて本当にいる--」

 

「いないと思うか?」

 

 

言いかけた内容を先に答えられキラは僅かに驚いたが、すぐさま頷き返す。

 

 

「では聞くが、この地球上に人間…生命が生まれたのは何故だ?」

 

「えーと、ビッグバンで地球ができて、最初に生まれた生命から段々と発展していったとか、アダムとイヴとか色々ありますけど」

 

「まあ、他にもあるが最も正しい答えは……偶然(・ ・)だ」

 

 

そんなことを言ってしまったら元も子もないのではとキラはまず思わざるをえなかった。

昔から世界中の多くの学者が様々な説を提唱しているが、その中にそんな解答を出した者は少ない。

しかしその漠然とした答えはよくよく考えてみると、ある意味では一番真理に近いかもしれない 。

 

 

「ある時偶然地球が生まれ、ある時偶然生命が生まれ、ある時偶然動物が生まれ、ある時偶然人間が生まれ、ある時偶然建物が生まれた。こうも偶然が連続して起これば何か感じないか?」

 

「何か…?」

 

「この偉大なる偶然が何者かによって仕組まれたのではないか……と」

 

「まさかそれが、神?」

 

「物分かりが良くなってきたな。そのとおりだ、すべての物事を裏で仕込んできた崇高な神様のおかげで今の地球がある」

 

 

考えたこともなかった。

神など空想、それこそアニメや漫画の世界にしかない存在だと認識していた。

おそらくこの間までの自分なら真に受けもしなかったはずだ。

だが超上の力を持つ今の自分には、改めて言われてみるとその存在に現実味を帯びてきている。

 

「神は平行世界と呼ばれる複数の世界と地球、生命を創造した後に人間という極めて異質な存在に興味を抱いた」

 

「人間が…異質?どうして」

 

「人間は生まれながらに光も闇も持っているからだ。一つの存在に光と闇、双方を抱えていたのは神が生み出した生命の中でも人間だけだ。不可能などない神すらも想定していなかったレアケース、これには無関心でいられなかった」

 

「もう……わけが分からないよ」

 

 

語られる内容が内容だけに、聞いている内にキラは徐々に頭が痛くなってきた。

だがこの程度は序の口であると数分後の彼は知ることになる。

 

 

「人間を深く知るために神は自らの懐に人間に似た存在を新たに創りだした。人間の光をベースにした天使と人間の闇をベースにした悪魔を。更には創造した平行世界から得た情報を元にオルフェノクと俺たちファンガイアが生まれた」

 

「ファンガイアって、次狼さんが変身したあの狼みたいな姿ですか?」

 

「そうだ。だが今やオルフェノクは全滅しファンガイアも俺を含めて3人のみになってしまった」

 

「全滅…どうしてまた」

 

「慌てるなまだ話は終わってない。話を戻すがそれから数十年は神が住まう天上世界(ヘブンズワールド)は平穏だったが、ある時…悪魔が天上世界を支配しようと侵攻を開始した」

 

「生みの親の神様を裏切ったんですか?」

 

 

悪魔と言ってもキラたちが認識している悪魔とは違い神の手によって誕生した生命のはず。

すなわち神様の子どもと例えても過言ではない。

そんな悪魔が己の生みの親を襲撃する理由が見当たらない。

 

「悪魔にとって肉親など関係ない。気に入らなければ相手が誰であろうと殺す…それが奴らだ」

 

「…そんな…」

 

「侵攻を開始した悪魔を迎え撃つべく天使もオルフェノクもファンガイアも一丸となって戦った。だが数的不利な状況であっても悪魔側は抗戦…そんないつ終わるともしれない膠着状態の争いに終止符を討ったのが、ファンガイアの長が変身したダークキバ……そして、神の命を受けた聖なる戦士シャイン。彼らの活躍により光側の勢力が勝利を納めた」

 

 

淡々と自身が経験してきた経緯を語る次狼の心中を顕すかのように、その声色は事務的である中に懐かしい過去を羨む物寂しい響きを含んでいた。

目の前の彼からキラは明確にではなく、うっすらとだがそのような印象を受けた。

 

「しかしその戦いが終結して数年、予想だにしていなかった事態が起こった……突如シャインによってオルフェノクが抹殺された」

 

「そんなどうして!?」

 

「俺にも分からん。だがオルフェノクの次は俺たちファンガイアの番だった。誰にも止められなかった…次々と同胞が命を散らし俺たちの長…ダークキバも残った仲間を守るために俺の目の前で…死んだ」

 

 

何故だ、どうしてかつてのシャインは味方同士だったはずの彼らの命を奪ったのだ。

何かそうせざる事情があったのだろうか

 

 

「その時シャインは何か言わなかったんですか」

 

「何の説明もなく奴は同胞の命を奪った。数多くの同胞の犠牲の上生き残った俺たちは逃れるようにこの地上に来た。そしていつかまたシャインが前に現れたら仇を討ってやろうと心に決めた、イクサはそのために造った力だ…ところが次に会ったシャインは無知でばか正直なガキで、倒したはずの悪魔…サーヴァントまでもが復活していた」

 

 

誉められてるのか貶されているのかなんとも言えない複雑な心境になったが、キラは次狼と初めて出会った際に彼がやけに自分を毛嫌いしていたのを思い出す。

 

 

「最初に会った時僕に言った言葉はそういうことがあったからなんですね」

 

「あの時は気配でお前がシャインだと分かったからな。変身者がガキの姿を借りて近付き今度こそ俺たちを始末するのかと勘繰っていた」

 

「そうでしたか」

 

 

胸の内につかかっていた疑問が消えキラはすっきりするどころか逆に増えたような気がしてならなかった。

 

 

「シャインのこととか次狼さんたちのこととか色々わかりましたけど、やっぱり今もちょっとよく分かりません。何て言うか話が壮大すぎて」

 

 

そう苦い表情をしつつ頭を片手で抑えるキラに敵の出現を知らせる信号が伝達された。

だがいつもと違ってその信号は短く小さなもので、少しでも気を抜けば見逃してしまいそうになる。

次狼もキラの僅かな反応で何なのかを察したのか、敵の名を低く呟く。

 

 

「サーヴァントか」

 

「はい、すいません!僕行きます」

 

 

一言断りの言葉を入れると止めてあるバイクを吹かして現場へと走り出す。

1人残された次狼は波打つ海を優雅に飛ぶカモメを尻目に浅いながらも溜め息を漏らした。

 

 

 

 

「俺からしてみればお前のほうが分からないんだがな……何故ただの何ともない普通の人間のお前がシャインに変身できるのか」

 

 

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