仮面ライダーシャイン~輝ける戦士~   作:光陽03

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まさかの一万字突破!?…………何事ですか?これ、最終回並の字数じゃない?……詰め込み過ぎた?

11話で一万越えるって……これは何としても最終回はこれ以上書かねば!(義務感)


第11話 頼れる存在(なかま)

『全ての悪はこの私が正す!』

 

「ひ、ひいいいいいいいいい!!」

 

「逃げろ!こ、こ、殺されるぅぅぅぅぅ!!」

 

「あれは?」

 

 

キラの前に広がっているのは、黒マスクで顔面を覆ったいかにも強盗らしい風貌の男5人組を青白い体色をしたサメの怪物が追いかける異色な光景だった。

詳しい経緯は把握できないがまずすべきは強盗グループの救出だろう、そう判断したら行動は速かった。

「早いとこ倒さないと周りに余計な被害がでる。そうなる前に倒す!」

 

〈フェニックス!ポセイドン!スレイプニル!〉

 

「うおわ!?」

 

 

キラはドライバーを素早く装着し、変身に必要な動作を行うと強盗グループに襲いかかるシャークサーヴァントへ的確な一蹴りを入れ転倒させる。

近場の噴水に背中から飛び込んだシャークサーヴァントは水飛沫を巻き上げ、睨み付けるように己がいた地点を振り向く。

 

 

『お前は…そうか、お前が仮面ライダーか』

 

「そうだ、と言ったら?」

 

『ここで消えてもらう!』

 

 

腕部から湾曲した双刃を発生させ飛びかかるサメサーヴァント。

さながらその動きはカマキリに近くモチーフであるサメとは程遠いが、厄介には変わらない。

両サイドから狭まる紺色の刃をトリアイナの柄で受け止め、伝わる振動がシャインの手を痺れさせる。

 

 

『おおお!』

 

「っ!こんの! 」

 

 

押しきろうとする圧力と堪えようとする抗力が拮抗していたが、このまま続けても無意味だと推測し別の一手を打ったのはシャインのほうだった。

意識が武器に集中している相手に足払いをかけバランスを崩したところを狙ってトリアイナの穂先を突き刺す。

が、

 

『この程度の攻撃、屁でもない!』

 

「うぉわ!?」

 

 

寸でのタイミングでシャークサーヴァントが素手で直撃を防ぎ、槍を掴むと寝そべったまま腕力のみでシャインを適当な方角に投げ飛ばす。

受け身も取れず無防備な状態でビルの壁に激突してしまう。

しかし無理矢理体を捻りビルの壁を踏み台に飛び、逆にシャークサーヴァントの生ぬるい肌身を穂先が駆け巡る。

 

『ぐ、何故だ。何故こうまで押されている!?』

 

 

シャークサーヴァントが弱音で戸惑いを示すが、シャインは手を緩めず猛スピードでトリアイナでの斬撃を繰り出し、シャークサーヴァントは疲弊する。

 

 

(まずい、このままでは…!)

 

自分はまだここで朽ち果てる訳にはいかない

間違った人々を正すために、無意識に刷り込まれた悪から無垢な人々を解放するために、己の正義を貫き続けるなければ

 

 

「よし、一気にとどめを-っ!」

 

 

蹲るシャークサーヴァントを撃破すべくリーダーを用い致命打を与えようとしたシャインの近辺、そこにいきなり高熱度の火球が大量に襲雨の如く降り注ぐ。

予期せぬ襲撃にシャインは反射速度が追い付き片腕を傘代わりにするようにしてどうにかやり過ごすも、無論効き目がないはずもなく仮面で隠れた顔を苦悶の面持ちに歪める。

そんな彼の耳に空中から飛来してきた襲撃者の物と思われる、戦いの場に到底合わないおっとりとした声色が飛び込む。

 

 

「困るわねえ、今倒されるとちょっと都合が悪いのよ」

 

「う、く…誰だ!」

 

「こうして顔を会わせるのは何十年ぶりかしら、シャイン」

 

 

そう話しかける人物は、黄色をした鳥類の全容と翼を持ち、ところどころに女性特有の魅力的な特徴が見受けられる。

それも相まってかシャインが飛び込み参戦したそれを自分の敵、サーヴァントだと認識するのはそう長くはかからなかった。

 

 

「新手のサーヴァントか…」

 

「そういえば以前に名前は言ってなかったわね、と言うよりとても言えるような状況じゃなかったのだけど。まあいいわ、ミュランよ。どうぞよろしく」

 

不敵な笑みで自身の名を名乗るミュラン。

彼女の名前を記憶の隅へと追いやりながらシャインは落ち着いて状況確認を行う。

数の上ではこちらが不利でありミュランの実力も未知数。

撤退する気になればできなくはないかもしれないがその気は毛頭ない。

ならば選択肢は1つだ、戦ってこの場を切り抜ける。

 

 

「ここは足止めしておくからあなたは引きなさい」

 

 

ミュランがそう進言した相手は同じサーヴァントであるシャークサーヴァント。

それを聞いたシャインは少々意外だと思わざるを得なかった。

てっきり2人同時にかかってくるだろうと予測していたのなら尚更だ。

しかしここでシャークサーヴァントが引くのならばそれに越したことはない、その分こちらも多少は楽になるというもの。

そう思った時……彼らが予想していなかったであろうまさかの事態が起こる。

 

 

「黙れ!」

「きゃっ!」

 

「え?」

 

 

仲間であるはずのミュランをシャークサーヴァントが拒絶の意志を発しながらその双刃で裂いたのだ。

 

 

「味方を攻撃した?何で?」

 

「どうして!?何故私に攻撃するの!」

 

「貴様は化物、すなわち悪だ。悪は全て俺が殲滅する。そう、俺だけが正義を持っているのだ!」

 

「何なのよ…まったく!面倒なのを選んでくれたわね」

 

「何がどうなってるのかよくわからないけど、取り敢えず今は」

 

 

シャークサーヴァントの言動に隠された意図を一辺たりとも理解できぬシャインは面食らっていたが、そんな場合ではないとトリアイナを携え走り出す。

2つの刃物から逃れている最中のミュランは死角から割り込んで来た長槍をも寸でのところでかわし、身を翻し業火を放った。

シャインも合間なく高速で接近してくるそれらをいなして体勢を整え、次の手を打とうとするも横からシャークサーヴァントに切りつけられ転倒する。

そのシャークサーヴァントもまた身を灼熱で焦がされ直撃を受けた胸部を左手で押さえつけ、痛みを打ち消そうとする。

 

 

「こうなればまとめて相手をしてやる。さあ、来い!」

 

「本当に手間をかけさせてくれるわね。こんなことをしに来たのではないのよ私は」

 

 

 

 

 

もはやそこは三つ巴の乱戦と化した。

火球が飛び交い、双刃が唸り、長槍が空を切る。

一進一退の攻防が絶え間なく継続しいつ終わるともはっきりしない戦いがそこにはあった。

 

 

「はあ、はあ、……いい加減、散りなさい!愚かな悪め」

 

「それはこちらのセリフよ、いい加減私の話を聞きなさい!」

 

「もうそんな長く戦えない、これでかたをつける!」

 

 

唇を噛みしめつつ、左側の2つのメダルを抜き代わりに白い2枚のメダルがセットされる。

それをおぼろげながら横目で見たミュランは顔色を豹変した。

 

 

(あれは、ディムを追い込んだ形態への変身…)

 

 

悔しげにディムが自らが敗北した原因を耳にしていたシャインの力。

その秘められた力は本来持っていた力を失っているとは言えどもディムを撃破寸前まで追いやった程。

下手をすれば自分のみならずシャークサーヴァントをも命を散らし兼ねない。

 

 

「残念だけど、そうはさせないわ」

 

 

鳥類の鉤爪を振るいシャインへと一直線に駆けるように飛ぶ。

とても鳥のそれとは思えぬあまりの素早さにシャインは呆気に取られ驚きで動作が僅かに止まる。

それがいけなかった。

 

 

「ぐわっ!」

 

 

胴から火花が弾け背中からアスファルトへと落下するシャイン。

翼をはためかせ更にミュランは大量の火球を広範囲に散りばめる。

これまでの戦闘の疲労も祟ってか防御姿勢に入るのに手間取るシャインはたまたま視界の端に入り込んだ人物に目を奪われた。

 

 

「ミヅキ…?どうしてここに」

 

 

風心館にいるはずの可憐な少女がそこにはいた。

彼女は火の雨の行動範囲におり驚き立ちすくんでいるのか、棒立ちで動く気配がない。

助けに行こうと足を前に踏み出すが、距離がかけ離れ過ぎてとても間に合いそうにない。

急速に距離を縮められるユーレニルソウルの力を使おうにも、先の攻撃でメダルが散らばってしまい回収していてはそれこそ手遅れになってしまう。

 

 

「くそ!間に合わない……!ミヅキーーー!!」

 

 

諦めてなるものかと手を伸ばすがてんで届かない。

最悪の結末を脳内で描きかけるシャインに猛火が着弾しますます救助の手を伸ばせない。

失意に涙が瞼を濡らしそうになった時、別の誰かがミヅキの盾になり火の球体を一身に受け止めた。

 

 

「ぬおおおおおおおお!!」

 

 

シャークサーヴァントが両腕を交差して燃え盛る球の進行を阻止する。

水性生物をモチーフとしているだけあって熱への耐性は強いのだろうが腕からは微かに黒煙が上がり始めていた。

しかし火球が完全に消失まで持ちこたえたシャークサーヴァントは今しがた己が助けた少女へと向き直る。

 

 

「怪我は…ないか?」

 

「は、はい…」

 

「そうか、よかった。ここは危ない速く逃げるんだ 」

 

 

そう言うシャークサーヴァントは空中にいるミュランを求めるが彼女は既におらず、その影の形もない。

改めて目を配らせるがやはり見当たらずシャインすらもいつの間にか消えていた。

逃したかと呟いたシャークサーヴァントは立ち去ろうとする。

 

 

「待ってください。あなたは一体?」

 

「名乗る程の者ではない。あえて言うなれば私は正義を尽くし悪を憎む者…とだけ言っておこう」

 

 

そしてシャークサーヴァントは駆け出しその姿は目視できなくなった。

するとそのすぐ後にミヅキを心配する声が彼女の鼓膜に響く。

 

 

「大丈夫?ミヅキ」

 

「キラさん、どうしてここに?」

 

「それは僕が聞きたいんだけど…」

 

「ツボネさんにお買い物を頼まれたのですが、どこに行けばいいかわからなくなってしまって」

 

「…成程、ね 」

 

 

要するに迷子になったところにうっかり鉢合わせしてしまったということか。

というより記憶喪失だからといって買い物の仕方すら忘れてしまうのだろうか、そしてそのミヅキに1人買い出しを頼むツボネもツボネでおかしい。

そんな彼女たちに若干呆れつつキラは髪を掻きながら提案する。

 

 

「じゃあ、一緒に行こうか。その代わりちゃんと買い物の仕方を覚えるんだよ」

 

「はい!」

 

危険な目にあったとは感じさせない満面の笑みで頷くミヅキをキラは微笑ましく思う。

だがその一方でシャークサーヴァントには何とも例えがたい違和感のようなものを抱いていた。

強盗グループらしき一味を襲っていた敵のはずが、今度はミヅキをミュランの攻撃から身を挺して庇ったりとその目的がてんで読めない。

 

 

(何がしたいんだ?あのサーヴァントは)

 

 

心に生まれた疑問に明確な答えを示してくれるものは何1つとしてなかった。

やむを得ず一旦思考を切り替えようとした時、女性の声と音楽が携帯電話から流れる。

着信を伝える着メロだ。

 

 

「はい、もしもし。ショウイチさん?……今すぐですか?、わかりました……」

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

「どういうつもりかしら、リスティヒ」

 

 

隠れ家に帰還したミュランが問い詰めたのは、今回のシャークサーヴァントの出現に一役買った仲間リスティヒだ。

刺し殺す程の威力を誇る視線を突きつけられていようとリスティヒは動ずることなく淡々とした様子で答える。

 

 

「どういうつもりって、シャインを誘き出すためじゃないか」

 

「そういう意味で言ったんじゃないわ。よりにもよってあんなに扱いずらい人間に魂石を与えた理由を聞いてるの」

 

 

珍しく荒げる声を出すミュランに偶然居合わせていたラナはピクリと体を震わせ、その彼女にすがるようにしがみつかれたディムも意外そうに眉を吊り上げていた。

しかし事の張本人のリスティヒは「ああ、そっち」と怯みもせず軽く返す。

 

 

「実際ああいう人間のほうが効率良く負のエネルギーを集められるのさ」

 

「何故そう言い切れる?」

 

「あの男にあったのは強い正義感。断じて悪を許さず追い求める理想のためなら努力を惜しまない…」

 

「おいおい、そんな正義感の塊みたいな奴じゃ闇が生まれねえだろ」

 

「そうでもないよ。どんな人間にも光と闇、2つの異なる性質を持つ心がある。ただどちらかが強く出ているかで善人と悪人に分かれるだけ。つまりどんな善人も事と次第によっては悪人になる場合もあるってこと、僕はその手伝いをしただけ」

 

 

それを聞いても尚ミュランは不満げに視線を投げ掛けていたが、いつまでも根に持っていては性に反すると判断し冷静さを取り戻すと、それ以上口出しすることはなかった。

 

 

「そう、ならいいのだけど。ごめんなさい、いつになく取り乱してしまって」

 

「構わないさ、まさか僕も君がそんな目に遭うなんて思いもしなかったからね」

 

「リスティヒ、そいつは手懐けられないのか?」

 

「あの手の類いは無理に縛りつけると返って逆効果になる。放っておけば勝手に自滅して上質な闇を作ってくれるさ……」

 

 

終止声色を変えることなくディムの質問に答えるリスティヒ。

この中で人間の心情を最も把握しているのは彼だ。

心理戦や言葉攻めにおいては彼の右に出る者はきっといないだろう。

そのことを認めている分ディムはリスティヒが気に食わない。

リーダー気質で気配りができるミュラン、己が心にどこまでも純粋なラナとは異なり、陰湿が似合う彼の性格はとことん自分とはこの先反りがあわないと自負している。

だからリスティヒの言うことは正しいとは理屈では思えても自身の気質ではどうにも苛ついてしまう。

しかもそれを自覚しているから余計に腹正しい、いっそのことリスティヒが自分の仇敵のシャインだったら、と仮定したほうが余程満足感に浸れるのではないかとさえ思う時が多々あるのはどういうことだろうか。

だが当然そのリスティヒがディムの腹の内を知るはずもなく、直接不満をぶちまけたところでお得意の理論と皮肉たっぷりの言葉で数倍返しされるのは目に見えている。

 

 

 

「ま、成功しようがしまいが俺は興味ないしな。俺が今興味があるのはお前だ…人間」

 

 

ディムが首のみを動かしそう告げたのはつい最近加わった人間。

物陰に潜んで会話に入ることはなかったのだが、ディムに呼ばれたのを機に口を開き出す。

 

 

「そろそろ俺の傷も癒えてきた。ジジイに買われたお前の力、見せてもらうぞ」

 

「…期待に答えるようにはする」

 

「安心しろ、期待なんかしてねえから。せいぜい退屈しのぎにぐらいにはなってくれよ」

 

「な~ん~で~そんな冷たいの~!ディム~!!」

 

「いってえ!?いてえいてえ!!いてえっての!やめろラナ!」

 

「酷いこと言うディムにはきついお仕置きをお見舞いする!」

 

「ちょっと待て!傷が開くからやめろ!やーめーろー!!」

 

 

人間にだけ素っ気ない態度をするディムにラナが年相応に丸みのある頬をふっくらと膨らませ、ディムの口元を両側に伸ばして引っ張り上げる。

さらに面積の少ないハイヒールの踵で足を豪快に踏みつけるなど身体全てを駆使したえげつない行為に走り出した。

いくらサーヴァントと言えども人間に擬態した姿では基本構造は人間と同じで、そう都合よく痛みを感じない体になるはずもない。

そうなれば必死に止めるのは無理のない話なのだがラナはやめる気配がないどころか、段々エスカレートしていきしまいには目潰しまで行う始末。

 

 

「…これは、止めなくていいの…」

 

「別にいいわよ。今に始まったことでもないし」

 

「というより、ほぼ毎日これだよね」

 

「は、はあ……」

 

「謝って!ディ~ム~!」

 

「わかった!わかったから!やめろ!やめてくれ!頼むから、まず足どけろ!!聞いてんのかおい、やめろおおおおおおおおお!!」

 

 

ディムの悲痛な叫びもむなしくまたしても2本の指先が彼の眼球に深く突き刺さるのであった。

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

「え、と…これはどういう状況で?」

 

 

ショウイチから天堂屋に来るようにと連絡を受けて来てみればそこはいつものアットホームな雰囲気はなく、いつにない緊張した空気に包まれていた。

キラの正面に居座るショウイチは強面な顔で茶を飲み、シンジは気まずそうに卵を口にし、カズマは目玉をショウイチとキラの間を何度も何度も往復させ落ち着かない様子。

唯一平日運行なのはこの店の店主の孫と記憶喪失の女の子のみと奇妙な雰囲気になっている。

 

 

「どうだろうか?家のおでんは」

 

「すごいです。とても香ばしい匂いがします」

 

「おでん食べるのは初めてなのか?」

 

「はい」

 

「そうか。なら美味しく食せる食べ方を教えよう。まず-」

 

「…お前ら、悪いけどそれ後にしてくれるか」

 

 

あまりにも場違い感が強すぎるソウジとミヅキに耐えかねたショウイチが目を合わせずに言うが、ソウジはキョトンとしたように目を丸くする。

 

 

「何を言うんだショウイチ。それではおでんが冷めてしまうだろう、温かい時に食べなければそれは本当のおでんとは言えない」

「じゃあせめて黙って食ってくれないか」

「それでは彼女に教えてあげられない」

 

「…だったらもう離れて食え」

 

「俺も話を聞きたい」

 

「……なら静かにしてくれ」

 

「しかしそれでは彼女に-」

 

「………お前はフリーダムかああああ!!」

 

 

一向に出口が見えない無限ループの会話にとうとうショウイチがソウジに怒鳴り散らす。

突然の大声に店内に居合わせた客は目を奪われ、赤ん坊に至ってはびっくりしたのか泣き出してしまった。

 

 

「この耳は何だ、え?飾りか!だから人の話がまともにわからないのか!」

 

「耳はアクセサリーなどではないぞ、ショウイチ」

 

「んなのは俺もわかるわ!この宇宙人!」

 

「宇宙人?確かに他の惑星に住む異星人から見れば俺たちは宇宙人かもしれないが。その宇宙人はどこにいるんだ?」

 

「お前だ!俺の目の前で大根食ってるお前だ!」

 

「……」

 

「何故後ろを向く…お前だ!お・ま・え!」

 

「俺は純粋な日本人だ。お前と同じくな……!そうか、成程。ショウイチ、何故今まで黙っていたんだ。お前は他の星から来た…だから俺のことを宇宙人と」

 

「違うわ!だああああああ!……何でこいつはこうなんだ……」

 

 

わかってやっているのか、それとも本当に無自覚でやっているのか。

どちらにしても見ていて飽きない大人たちだ。

彼らと年の離れた友人であるキラたち3人は、そう率直に口にはしないもののつくづくそう思った。

 

 

「はあはあはあ……もうこいつはいい。キラ、俺は今日お前に聞きたいことがあってここに呼んだ」

 

 

本題に入る前から嫌な汗を垂らし憔悴しきっているショウイチだがどうにか自慢の気力と精神力で持ち直す。

そして一度咳払いしてからこう切り出した。

 

 

「まどろっこしいのは嫌いだから直球に言うぞ。キラ……仮面ライダーは、お前だな」

 

「え…………」

 

 

それを最後まで聞いた瞬間キラの意識は世界が静止したのではないかと錯覚する程の驚愕に埋め尽くされた。

さっきまでの愉快なやり取りなどもう頭にない。

あるのは何故知られたのかという疑問とどう誤魔化して切り抜けようとする方法を模索する脳だけ

 

 

「…冗談きついですよショウイチさん。そんな、僕が仮面ライダーなんてあるわけないじゃないですか」

 

「そうだって。何を言い出すんだよショウイチさん」

 

 

キラだけでなくカズマまでショウイチの言葉を否定する。

しかしショウイチを追及の手を緩めず続けていた。

 

 

「キラがその女の子の身元を知っているかと訊ねた日、その日は仮面ライダーが廃ビル付近に現れ近隣の住人に石とかを投げつけられたのがテレビに流れたのは知ってるな」

 

「そりゃ知ってるけどそれが何なんだよ」

 

「分速80mと想定して計算するとここから廃ビルまで徒歩でおよそ13分程度。走ればざっと3,4分は短縮できるはずだ。あの時お前がここを出て丁度そのぐらいたった直後に仮面ライダーがそこに現れた…これは何の偶然だろうな」

 

「たまたまだろ、そんなの。それだけで決めつけるなんておかしいじゃないか?」

 

「もちろんそれだけじゃない。あの時不自然にここを出ていったな?あれは何故だ」

 

「それは…」

 

 

まるで取り調べだ。場所こそおでん屋だが本職の警察官がいる上に内容が内容だけにますますそう彷彿とさせられる。

 

 

「さっきシンジに聞いたが、シャインという仮面ライダーは一人称に()を使っていたそうだ。お前も自分のことを()と言うよな、それに怪物が出没するようになってからお前は仕事を休みがちだと聞く……どうだ?これでもまだ違うと言い切れるか」

 

「もうやめてくれよ!こんな尋問みたいなこと。キラが可哀想だろ!」

 

「……カズマさん。ありがとうございます、でもいいんです…本当の…ことですから」

 

 

さすがにここまで徹底してくるとは想定外だ。

どうにかして誤魔化せるだろうと踏んだ自分が浅はかだった。

もう隠しておくことなど不可能。できるはずがない。

 

 

「キラ、まさか本当に…お前が?」

 

「全部話します。僕が知ってること今何が起きているのか全て」

 

 

その言葉通りキラは天堂屋にいた知り合い全員に全て打ち明けた。

シャインになった経緯。スカイライダー…筑波洋との出会いを経て仮面ライダーを名乗るようになったこと。ワタルの親代わりに等しい存在次狼の正体。この世界の成り立ちから洗いざらい全部

 

 

「-これで僕の知っていることは全部です」

 

「……な、なんつーか」

 

「不思議、ですね」

 

「途中から全然わからん」

「へー、そうだったのか…」

 

「本当に神なる存在がいたとはな」

 

 

反応はまさしく十人十色で話についてこれているのは、シンジとソウジだけ。

ミヅキはどうなのかは微妙なところだが、ショウイチとカズマは完全に思考回路がエンストしている。

それでもキラが常識とは遠い異質な領域に近付いてしまったのはわかった。

だからこそ

 

 

「こんのバカちんがあ!」

 

「いだっ!?」

 

 

ショウイチは一発脳天に拳を直撃させなければ気が済まなかった。

 

「ちょ!何を!?」

 

「ずっとそれを1人溜め込んでたのか、どうして俺たちに一言言わなかったんだ」

 

「僕が関わった問題にショウイチさんたちを巻き込むなんてことは……」

 

「子どもが大人に余計な気を使うな!それに安心しろ、既にもう俺たちも巻き込まれている。下手に気を使う必要はどこにもない」

 

 

そのショウイチの言葉に激しく同意するかのようにシンジにカズマ、ソウジも続く。

 

 

「俺たちももう当事者だ。できることがあるなら喜んで協力したい」

 

「シンジの言う通りだ。正直まだ信じられないけど、俺たちは友達じゃないか。悩みの1つや2つ応えてやらないで何だってんだ」

 

「そうだな。おばあちゃんが言っていた、人と人が助け合ってできる字は人、その人1人1人を繋ぐ線…絆を顕す字が間。その2つが合わさった字こそが人間だと」

 

「私もキラさんにはお世話になっています。やれることは少ないかもしれませんが、キラさんの心を支えることぐらいはやってみせます」

 

「皆…」

 

 

ミヅキまでも加わった面々にそれぞれの思いを語られキラの胸に何かほんのりと暖かいものが浮上し、目にほんの微かに水が涌き出す。

この上なく頼りになる彼らにこう言われれば、キラにも断る理由はない。

むしろそうしたいと感じられる程にまでになっていた。

目元を指で拭いしっかりと全員を見渡し決心する。

 

 

「これからもよろしくお願いします」

 

「「「ああ!」」」

 

「はい!」

 

 

共に事態に立ち向かっていく仲間ができたところで、早速彼らは今後の方針について話し合う。

 

 

「さて、これからどうするか」

 

「7人の仲間…というのも気になるけど、まずはやっぱり今起きている事件を解決するのが先じゃないですか?」

 

「キラが言うにはサメの怪物がおかしいんだろ?」

 

「はい、最初は強盗らしき人たちを襲っていたんですが急にこっちを目の敵にしてきたり仲間のはずのサーヴァントを攻撃したり……何て言うか、怪物って言うよりかは人間臭い感じがした」

 

「そういえば後、正義の味方と言っていましたね」

 

「…………」

 

 

様々な意見が飛び交う中キラとミヅキの発言を聞き、ショウイチが考え込む仕草を取り出す。

それを見たソウジが彼に思い当たる節があるのか、と問いただす。

 

 

「ショウイチ、何か思い当たる節でもあるのか?」

 

「キラとミヅキの言葉が正しければ気になる奴が1人…職場の同僚なんだが、いくらなんでもあいつがそんなことをするとは考えられない」

 

「怪しいなら直接聞いてみてみればいいじゃないか」

 

「それができれば苦労はない。面と向かったところでまともに話にすらならないのは目に見えてる」

 

「てことは、話さえできれば万事OKってことだろ?簡単じゃないか」

 

「まだ問題はある。警戒心が人1倍強い、顔見知りだとまず間違いなく真実を隠す」

 

 

うーむ、と悩み出すショウイチ。

キラたちも何か方法がないのかと案を練り出そうとする。

どれぐらいそんな時間が流れた時だろうか、キラがパッと俯かせていた顔を上げあるシンジとショウイチを1ヵ所に集めてひそひそと話をする。

 

 

「シンジさんショウイチさん、ちょっといいですか?」

 

「何か思い付いた?」

 

「どんな方法だ?言ってみろ」

 

「こんな方法で成功するかわからないんですけど……」

 

「…成程ね、確かにそれならどうにか上手くやれるかも」

 

「まあそれなら怪しまれずにすむだろうが…成功するかは正直、賭けだぞ大丈夫か?」

 

 

カズマらを放置して会議している中ショウイチだけが不安気な表情を見せていたが、そんな彼とは対照的にシンジとキラはこれから悪戯でもするかのような満足感に満ちた笑顔をし互いに打ち合わせをしている。

 

 

「まずは桃井さんに許可を取って…それとレンさんにも話は通しておかないといけない」

 

「ありがとうございます。シンジさん」

 

「いいって、さっき言ったばかりだろ?できることなら何でもやるって」

 

「シンジさん…」

 

彼らが着々と作戦の下積みをしているのを余所に、ミヅキは先程から襲われている違和感に疑問を抱いていた。

 

 

(サーヴァント……私はたぶん彼らを知っている。でもはっきりとまではわからない…どうして?)

 

 

 




やっぱり感想をもらえるのとそうでないのではモチベーションが全然違いますね。

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