仮面ライダーシャイン~輝ける戦士~   作:光陽03

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お久しぶりです。ここのところ忙しくなかなか執筆作業ができなかったために3ヶ月もかかってしまいました!



第12話 正義の在り方

ここのところこの街ではある奇怪な出来事が起こっていた。

殺人犯、強盗犯、万引き犯、ここのところそういった事件の犯人が警察の追跡から逃れてして間もなく、半殺しの重傷を負って発見される事件が頻発しているのだ。

被害者である犯人たちは皆身体に細く鋭い切り傷が多数刻まれており、警察もマスコミに箝口令を敷き傷害事件として捜査を開始しているが、目立った容疑者の姿が浮上せず悪戦苦闘している有り様だ。

 

 

 

 

 

 

 

そんな怪事件の舞台である街の真昼時の喫茶店。その片隅の一席で名護シンヤと芦河ショウイチがATASI-ジャーナルの羽黒レンと辰巳シンジと同席していた。

 

 

「ご多忙の中わざわざ我々の取材に応じていただきありがとうございます」

 

「いやこちらとしても少しでも貴方方の仕事の助けが出来れば幸いだ」

 

「そう言って下さりありがとうございますショウイチさん。ATASI-ジャーナル来週号の特集は日頃街の平和を守る警察官を取り上げようと考えていまして、日夜凶悪な犯罪に立ち向かう警察官の姿を多くの方に知ってもらおうというものです」

 

「それはわかりましたが…何故私たち2人なのですか?」

 

 

名護はこの人選に疑問を覚えていた。

10数年も身を置き多くの事件を解決してきたショウイチはともかく経験も実績も到底そんな彼には及ばない自分が何故選ばれたのか、それが理解できずにいた。

 

 

「芦河さんは10年近く警察という組織に身を置いてますから知識も経験も豊富ですし、同僚(うち)のシンジと個人的にも親しいとのことで取材許可を取りやすかったんです」

「では私は?」

 

 

ある種の意味の籠った眼差しをレンへと向ける名護。

そんな彼からの問いに答えようとレンが口を開く前に言葉を発したのはショウイチだった。

 

 

「俺1人よりも2人の方がより有意義な取材になると思って俺が薦めたんだ。お前は若い刑事の中でも人一倍正義を全うしてるし真面目だからな」

 

「…ショウイチ警部?」

 

 

仏頂面を保ったままのショウイチから出た言葉に名護は目を丸くし意外そうに彼を見る。

今まで名護はショウイチから誉められたことなどなかったし、むしろ怒鳴り散らされることの方が多かった。

それなのに今この場で自分を評する趣旨の言葉をくれるなんて一体どういう風の吹きましなのか…本来ならば素直に受け取れる言葉に名護は不気味な印象を持った。

しかしそんな彼の思いなど露知らずショウイチはレンとシンジに取材を開始するように進言する。

 

 

「そんなことよりも時間が惜しい。早く取材をしてくれないか。お互いに時間があるとは言っても暇じゃないだろう」

 

「そうですね。ではさっそく-」

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

それから翌週、ATASI-ジャーナルへと続く道をある男が忙しなく駆けていた。

 

 

「どういうことだ!?これは!」

 

 

 

「何がですか?名護さん」

 

 

本来ならば一人言で終わる言葉に返答が来たのに驚いた男は慌て歩みを止め目の前を注視する。

その男…名護の視線の先に遮るように声を掛けたのはシンジだ。

 

 

「何がではない!これは、この記事は一体どういうことだ!」

 

 

そう激昂しつつシンジに突き出した週刊誌。

開かれたページには『凶悪!謎に包まれた怪物』という題名が書かれており、それについて名護はシンジを問い詰めるが、まくし立てる名護とは対称的にシンジは終始落ち着いた言動で対応していく。

 

 

「それは最近街中に出没している怪物ですよ。」

 

「何故こんな内容の記事を書いた!」

 

「今は事件の犯人しか狙われていませんがいつ一般の人たちが被害に遭うかわかりませんから、この記事で少しでも警戒心を持ってもらおうという意味を込めて載せたんですが…何か不都合が?」

「不都合?当然だ!今すぐ訂正しろ!今すぐだ!!」

 

「やはりお前だったか名護」

 

 

激情に駆られつつある名護の背後の茂みとシンジの後方にある公民館の影から複数の人間が現れ距離を縮めて来る。

その中の1人に名護は驚愕に目を丸くしかろうじてその人物に聞こえるか程度の低い大きさで呟く。

 

 

「ショウイチさん、どうしてあなたがこんなところに…」

「それはこっちのセリフだまさか本当に予想が的中しちまうとはな」

 

「は?」

 

「お前なんだろ、犯人たちを次々と襲った怪物とやらは」

 

「な!?……何の話でしょう?」

 

 

平静を装い話が見えないとでも言うような表情を顔に出す名護。

しかしそれで追及の手を緩めるショウイチではない。

 

 

「だからお前はここにいる。この記事を書いたATASI-ジャーナルがあるこの道に」

 

「違いますよ。私はただ取材の内容がどこにも載っていなかったのでどうなったのか訊ねようとしただけです」

 

「取材の内容がどこにもなかった…そうなのか」

 

「ええ」

 

それを聞いたショウイチは視線を落とし溜め息を吐くとこう続ける。

 

 

「載ってるんだよちゃんと」

 

「そんなはずは…」

 

「そのページよりも後ろの方にな」

 

 

その言葉を受けて最初唖然としていた名護だが恐る恐るページを開いてみると、そこには彼の言う通り確かにあった。

喫茶店で話した内容も、シンジが撮影したショウイチと名護の写真も

 

 

「馬鹿な!俺が見た時はこんなものは-」

 

「それだけお前は衝撃を受けたんだ」

 

 

そう言い放つ新しき声。

名護が振り返りその主を見るとそこにはシンジの両隣に立つキラと今しがた彼に言い放った次狼の姿があった。

面識のない彼らに名護が「誰だ」と問うも次狼はあっさりそれを無視し口を開く。

 

 

「載っているはずの記事を認識できない程にお前は衝撃を受けた。自分を罵倒するかのようなこの記事にな」

 

「さっきから何を言ってるんだ…そこまで言うなら証拠を出せ!俺がその鮫の怪物だという証拠をな!」

 

 

怒号を上げ名護は次狼に噛み付く勢いで言うが相手はそれを一蹴するように、口角をつり上げしてやったりと言うような顔付きになる。

 

 

「誰がいつ()の怪物だと言った?」

 

「!?」

 

 

そこで初めて名護は己の失策に気付く。

ATASI-ジャーナルの記事も、シンジも、ショウイチも、キラも、次狼も、怪物と書いてあったり口にしたりはしていたが、それが()の怪物であるとは一言も言っていない。

どうにか言い逃れる術を模索する名護にショウイチが追撃を加える。

 

 

「それに被害に遭った奴らは全員がマスコミに名前と顔を公表する前の段階で襲われている。その時点で犯人の情報を入手し襲えるのは警察の人間だけだ……何故こんなことをした名護!」

 

 

もはやこれまで

次狼とショウイチの話術と推理の連係プレーにより逃げ場を失った名護は沈黙したかと思えば突如笑い声を上げた。

 

 

「はははははは、はははははは!!…そうですよぉ俺がやりました。ぜぇんぶ」

 

「動機は何だ!」

 

「決まってるじゃありませんか。正義の裁きを下すためですよ」

 

「正義?」

 

「そう!奴らは犯罪に手を染めた愚かな悪党な連中だ。自らの行為が世を乱す悪だと自覚できない哀れな奴ら…ならば世を正すためにそれを教えてやる役目を持った者が必要でしょう?」

 

「それが貴方だと言うんですか?」

 

「その通り。俺こそ役目を果たすのに相応しい、仮面ライダーなどではない。俺が!俺しかいない!」

 

 

先程の様子からは異常なまでにかけ離れた狂気。

誰もがその言い分と理屈に嫌悪と恐れを抱く中、次狼は冷めた目で名護を見る。

 

 

「こうまでぶっ飛んでるとどっちが哀れだかわからんな」

 

「何とでも言え。平凡な貴様には所詮俺の正義は理解できまい」

 

「フン、確かに理解できんな。上っ面だけの正義正義と馬鹿の1つ覚えのように吐く阿呆の言うことは」

 

「何…?今何と言った」

 

「どうやらオツムの出来だけでなく耳も悪いらしいな、ならもう少しわかりやすく言ってやる。お前の理屈などそこいらの餓鬼と変わらない戯れ言、そう言ったまでだ」

 

「貴様、さっきから言わせておけば!俺を誰だと思っている!」

 

「おっとこれはすまんな。一つ訂正しなきゃならんようだ。変わらないどころか本当に精神年齢がお子ちゃまなようだな」

 

「黙れええええ!!」

 

 

次狼の一言で堪忍袋の緒が切れたのか名護は青い石…魂石を取り出すや否や、その禍々しい魔力によってシャークサーヴァントへと姿を変貌させ、キラとシンジなど目もくれず次狼へと切りかかる。

常人ならいとも容易く絶命するだろうが次狼はウルフェン族…迫る刃を身を捻らせてかわすと同じ一動作でシャークサーヴァントの背を蹴りつけた。

 

 

「青の魂石、リスティヒのか!面倒な…しかも魂石に完全に心を支配されている」

 

「次狼さん!シンジさんとショウイチさんを頼みます!」

 

 

次狼に2人の護衛を任せキラはフェルスソウルに変身しシャークサーヴァントにパンチを入れる。

 

 

「仮面ライダーだと!?まさかこんな子どもだったとは」

 

「子どもだったら何だって言うんです!」

 

 

その一撃でよろめいたシャークサーヴァントではあるがすぐさま反撃に打って出、腕部分の双刃でシャインの胴を裂き対抗し合う。

一見、双方互角と思われる戦況が暫し続いたがやがてその戦況が変わりつつあった。

 

 

「俺の正義を受け入れない者は誰であろうと容赦しない!」

 

「ぐうっ!」

 

 

以前にも増してシャークサーヴァントの力が上がっている。

そのせいかシャインの攻撃はなかなか通らずそれに反して相手の攻撃をもらってしまい、切り飛ばされ電柱に激突した。

 

 

「何故邪魔をする!何故理解できない!俺こそが正しいと言うのに!何故だあああああ!」

 

 

一息着く暇も与えさせないとばかりにシャークサーヴァントの攻撃が勢いを増し、次第にシャインは押され気味になっていく。

獰猛な鮫の体躯に相応しい怒涛の連続攻撃。まさしく餌の体力を奪い尽くし食らおうとする刃の連撃をシャインは展開したレグルスクローで弾き、ぎりぎり直撃を回避している、そんな彼に次狼が叫ぶ。

 

 

「ちまちまするな!一気に畳み込め!」

 

「でも倒したらこの人が!」

 

「そいつはもう無理だ!魂石に心を支配された以上は倒すしか他道はない!」

 

「そんな!?」

 

 

次狼から突き付けられた内容にシャインは戸惑う。

その生まれた隙を狙ったシャークサーヴァントの刃がまたシャインを切りつけダメージを蓄積させる。

 

 

「これで終わりだあああ!」

 

「ちぃ!」

 

〈レディ、フィストオン〉

 

「はあっ!」

 

 

見かねた次狼が飛び出しイクサとなりシャークサーヴァントの横っ面を素手で豪快に殴打し、距離を取るために腹部に強烈なキックを決め吹き飛ばす。

そして数百メートル程の地点に落下したのを見届けると傍らで片膝を付いているシャインに叱責の言葉を言い放つ。

 

 

「この期に及んで何を迷っている!」

 

「本当に無理なんですか!?あの人をどうにか助けられる方法はないんですか!」

 

「戦いは敵を倒さなければ意味はない!」

 

「あの人は人間ですよ!それを倒すってことは命を奪うってことでしょ!?」

 

「ならこのまま野放しにしてその人間に人殺しをさせる気か」

 

 

冷淡に最悪の可能性を示唆する次狼を前にシャインは仮面の奥で唇を噛みしめ、地面に俯く。

シャインとしてはシャークサーヴァント、もとい名護は自身と何ら違いのない普通の人間。

そうである以上は必ず助けと思うのは人として、ごく平凡な19歳の少年が抱く発想としては無難なものだろう。

だがイクサはそれを易々認めてくれる程、戦場を生き抜いて来た者の意思は甘くないしそこまで落ちぶれてもいない。

 

 

「戦いは犠牲無しには成り立たない。力を手にするとはその瞬間から同時に命を奪う宿命を背負うことだ、その決意がなければこの場には不要だ。どうしても殺る覚悟がないなら逃げるなり何なり好きにしろ」

 

 

会話をそこで切るとイクサはシャークサーヴァントの刃を腕部の装甲を活かして防ぎ、また両腕ごと刃をはたき落とす。

そして一回転しその動きのまま回し蹴りにて返り討ちにし、勇猛な声を乗せた拳で劣勢に追い込む。

それが決め手となったのかシャークサーヴァントの動作が鈍くなりイクサは早々に終止符を打とうとする。

 

 

「負けるはずがない!俺はこんなところで終わっていいはずがない!」

 

「それが最後の言葉とはな……どこまでも馬鹿な奴だ」

 

 

……が電子キーを挿入しかけたイクサの手を掴みそれを止めた者がいた。シャインだ

振り返ったイクサはその存在を視認すると心の底から怒気を孕んだ声を発する。

 

 

「お前、いい加減にしろ。戦う意思がないのなら-」

 

「違います!」

 

 

珍しく声を荒げるシャイン。イクサはその叫びに気圧されてしまった。己でも気付かない微々たるものであったが

 

イクサが僅かに行動を停止したのを確認したのと、同時に手を離すと今度はシャークサーヴァントへと歩み寄る。

そして次の瞬間、イクサだけでなくシャークサーヴァントら全員が驚くような事態がをシャインは起こす。

変身を解いたのだ。

気でも狂ったのかとイクサもシャークサーヴァントも唖然としているがキラはそれらを意に介さず敵の目前に立つ。

 

 

「これまでずっと僕はこの力で戦ってきた。偶然手にしたこの力が何なのかその正体も、どうして自分に与えられたのかわからずに…これまでずっと」

 

 

……迷いながらもシャインはシャークサーヴァントに自らの思いをぶつける。

 

 

「だから貴方が言うように正義のために戦っているのかって言われるとそうじゃないかも知れない。でも僕はこの力でやりたいことはあります。自分の思ったように力を使っていいと教えてくれた人がいたから」

 

 

その人は生きる希望を失い誰も信じられず絶望の淵にいた自分を救ってくれた。

偶然手にいれただけの力を使って戦う意味を教えてくれた

 

 

「どれだけ苦しんでも悩んでも涙を流しても、それでも戦っていいって…その言葉があったから僕は今自分のしたいことをはっきり言える。誰かを救うためにこの力を使いたいそれが僕の力の在り方で戦いだ」

 

「……」

 

「だからあなたも救いたいし、救ってみせる。絶対に諦めるもんか!」

 

 

キラの心の奥底からの決意を前にシャークサーヴァントはたじろぎ、頭に強烈な刺激が走るような感覚に襲われた。

 

 

(俺は、何をしているんだ…こんなにも)

 

 

本当に俺は正義を貫いているのか?本当に俺は正しいのか?

本当は俺は何をしたかった?

 

 

-ああ、そうか

 

 

その時ようやく彼は悟った。

自らの行為が誤りであったと

正義を持ち、貫く

それ自体に何ら問題はない、しかし正義に明確な正解などないのだ。

一人一人に違う正義があり思いがある。それを把握した上で自分が思う正義を主張すればよかったのだ。

だが自分はそれを怠り仕舞いには己が正義を他人に押し付けた、暴力に訴える形で…だ

そうなってしまえばもはやそれは個人の正義として成り立たなくなる。

ただの正義の押し売り、子どものわがままに成り下がってしまう。

今頃になって思いしるとはどこまで愚かなのだろうか、哀れまれても仕方のないことだ。

 

だがこれまでの自分の過ちに気付けた。まだ間に合うはすだ。

我が身を省みず大事なことを教えてくれた少年の思いに答えるためにも

 

 

「…俺は、俺の求める正義は、こんな形ではない!!」

 

 

瞬間、シャークサーヴァントが青く発光しもがき苦しむ。

体内で抵抗する何かを懸命に抑えようとまだ微かに残っている負の心が抵抗するも、それは無駄骨に終わる。

光が消失した時には名護はシャークサーヴァントの体外に解き放たれ、自由の身となる。

 

 

「魂石の魔力に打ち勝つとは見上げた精神力だ」

 

『おのれ!俺を裏切るとは許さん。貴様も切り刻んでくれる!』

 

 

次狼の感嘆の言葉を打ち消すかのように、使用者の人格を正確にトレースしたシャークサーヴァント(魂石)は彼らに怒りの矛先を向けていた。

 

 

「これで人を殺す心配はなくなった。思いっきりやれる」

 

 

シャークサーヴァントが名護を失ったことで何一つ気兼ねなく戦えるとなり、キラは俄然闘志を燃やし、それを示すようにドライバーには白メダル3枚が装填されている。

そして名護には変身を解いた次狼がそのままイクサナックルを投げ渡す。

 

 

「これは?」

 

「自分の闇ぐらい自分で片を付けろ。それぐらいはできるだろ」

 

「当然だ!」

 

 

そう返しつつイクサナックルを握る名護。

 

 

「変身!」

 

〈ユニコーン!レグルス!スレイプニル!…ユー、ユー、ユーレニル!〉

 

〈レディ-

 

「俺は変わってみせる。正しい道を歩くために、変身!」

 

フィストオン〉

 

 

現れたるは白き2人の戦士。

シャイン・ユーレニルソウルとイクサ、ただイクサの方は閉じられたいた複眼が装甲装着と同時にオープンされ、燃え盛る意志を形どるような赤く丸い複眼が露になり、更には長剣型武器イクサカリバーが握られている。

次狼が変身するのとはまた違った姿、変わろうとする志しが引き起こした変化…さしずめ、イクサ・バーストモードと言ったところだろうか。

 

 

『2人がかりとは如何にも悪に堕ちた者のやり口だな。いいだろう、俺がこの手で粛清してやろう』

 

 

名護を取り込んでいた時と変わらない口調で迫り来るシャークサーヴァントをイクサは躊躇いなくイクサカリバーの刀身で双刃を防ぐ。

甲高い金属音が鳴り響き双方の得物が拮抗していたがそれに勝利したのはイクサだった。

軽々と押し返し生じた隙を逃さずカリバーを横凪ぎに一閃。

そしてそのままシャークサーヴァントの背後に駆け抜けたと思いきやカリバーを振るい、振り向いたシャークサーヴァントの体躯に縦直線状の軌道を刻む。

吹き飛んだシャークサーヴァントは傷を負いながらも反撃に出ようと立ち上がるがそこをシャインが強襲する。

対応しようにも視認さえ困難な高速で動き回る相手に双刃しか持たないシャークサーヴァントが太刀打ちできるはずもなく、レグルスクローの連撃を受けダメージが蓄積されていく。

 

 

『ぐえええ!?』

 

「諦めろ。お前は正義の英雄ではない、ただの暴君だ」

 

『ほざけ!俺が負けるはずはない。正義が悪に屈していいはずがない!』

 

 

なおも己の身勝手な正義を振りかざし向かって来るシャークサーヴァントをイクサはやりきれぬ目で見ていた。

自分の鏡写しのような存在、端から見ればここまでものだったのか

そうイクサはを哀れに思いながら、カリバーをガンモードへと移行させ銃弾を打ち込む。

 

 

「名護さん!」

 

「これが決別の一撃だ。その命、神に返しなさい」

 

〈シャイニングチャージ!〉

 

〈イクサカリバー、ライズアップ〉

 

 

シャインとイクサはシャークサーヴァントを間に挟み込むような位置でそれぞれ必殺技体勢に入り、先に動き出したのはシャイン。

俊足の速度を乗せた飛び蹴りをシャークサーヴァントに叩き込み、その体を踏み台に反転跳躍。

そして今度は空中で大気を蹴りレグルスクローを光らせシャークサーヴァントに突撃。

回避を試みるシャークサーヴァントであるが宙に浮かされ身動きの取れない状況ではどうにもならない上、反対側からはイクサが前進している。

とても回避は絶望的だった。

 

 

「ソイヤァァァァァー!」

 

「せぇぇぇぇい!」

 

『俺は、俺はああああああ!!』

 

 

横線と斜め45°程の線、2つの線が織り成すX字がシャークサーヴァントに描かれ、怪物は絶叫を上げ戦士たちの中間で四散。

それを背にした戦士たちは爆発跡を見、それぞれ思いを馳せた後歩み寄り言葉を交わす。

 

 

「ありがとう。君のおかげで目が覚めた」

 

「お礼なんかやめてください。むしろ何か偉そうなことを言ってすみませんでした」

 

「いやそんなことはない。あそこで君の言葉がなかったら私は一生自らの闇に飲まれていた、むしろこれぐらいじゃ感謝仕切れないぐらいだ。ありがとう」

 

 

実直なイクサの言葉にシャインは普段馴れていないのかあたふたと動転し、反射的に周りに助けを求める視線を送る。

だがショウイチも次狼も面倒なのか見てみぬふりを決め込み、シンジに至っては次の雑誌のためにカメラを構えている有り様だ。

味方がいないと思い知らされたシャインはせめて『仮面ライダー、後輩に謝罪を強要』なんて週刊誌の一面にならぬよう何か言おうと思考を回転し、言葉を紡ごうとした、その時

 

 

 

「あなたがシャインね」

 

 

そこには黒紫の身軽そうな服装に華奢な体を覆った若々しい女性にも少女にも見れる女がいた。

腰まである長い黒髪にキラと同じスカイブルーの瞳、だが温かみのあるキラと対象的にその瞳は映したものを凍らせるのではないかと錯覚するまでに冷たさを秘めている。

見知らぬ人物の登場に誰もが顔をしかめ皆を代表するように次狼が問う。

 

 

「お前何者だ?」

 

「……」

 

 

しかし女はそれには答えずタロットカードに似た複雑な紋様が描かれている紫色のカードを手にすると、突然腰にベルトが出現した。

神秘的なオーラを醸し出すそのベルトに女は無駄のない静かな動作でカードをベルトの中央に翳し、感情の無い声色でこう呟く。

 

 

「変身」

 

『Trance Mode ヴァイオラ』

 

 

電子音声と共に女の眼前に紫色の幻影が発生し、それは粒子となり女を包み込むとその姿を変貌させる。

紫を統一色とした全身、死神を彷彿とさせそれを上回る殺気が込められた鎌、紫のマスクを引き立てるように複眼は氷に近いクリスタルカラー。

それは不気味ながらもある存在に驚く程によく酷似していた。

 

 

「仮面…ライダー… 」

 

 

だがとてもその印象はない。

むしろ魂を刈り取る死神、悪魔の類いの方がしっくりくる。それだけの威圧感を放っていた。

そして鎌の切っ先をシャインに向け宣告を下す。

 

 

「シャイン、あなたを排除する」




シャークサーヴァント回は次回で終わりです。

そういえばバトライドウォー創生に昭和ライダー参戦のようですね。
本郷さんの本人参戦だったり、昭和ライダーOPバックに戦えたり、1話再現など盛りだくさんでありますが個人的に嬉しいのはスカイライダー超必殺技ライダーブレイだと言うこと!これで当時バンクの都合でできなかった体色変化後セイリングジャンプもライダーブレイクもできるぞ!
それにしても竹トンボシュートや三点ドロップはともかくライダースピンなんてコアな技を導入するとは…気合いの入れようがスゴいな
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