仮面ライダーシャイン~輝ける戦士~   作:光陽03

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今回で13話目。アニメで言うなら第1クール終了ですね。…果たして完結に後どれだけの話数がかかるだろうか


第13話 ヴァイオレット・サイレン

現れるなりシャインに刃先を向ける紫の死神風の女戦士。

彼女-ヴァイオラの敵意の的になっているシャインは仕草にこそ出さないが、内心戸惑いと驚きに支配されていた。

 

 

「仮面ライダー…なのか?」

 

「来るぞ!」

 

 

イクサが警告の声を上げて呼びかけその内容を頭が理解するよりも数瞬早くシャインは真横に飛び転がり、彼がいた地面を鋭利な何かが突き刺さる。

不意にヴァイオラはシャインに鎌型武器-シャドウサイズを用いて斬りかかってきたのだ。

イクサの叫びで思考の海から戻ったシャインは危なげながらもそれを交わし、より一層警戒を強しつつもヴァイオラに怒鳴るように問う。

 

 

「ちょっと待ってくれ!君は何者なんだ!?どうして僕を狙うんだ!?」

 

「……」

 

 

しかし答える気は見受けられずヴァイオラはイクサを無視してシャインへと駆け出す。イクサの方がすぐ近くにいたにも関わらずだ。

 

 

「まともに話できる相手じゃなさそうですね」

 

「そうだな。よくわからないが少なくとも友好的、そういう態度ではないのは確かだ。ならば」

「向かってくるならやるしかない…か」

 

 

一戦交える覚悟を固めたシャインとイクサ。彼らはやむを得ず接近してくるヴァイオラを迎え撃つべく、各々の武器を手に迎撃を開始した。

強烈な風圧を伴って首筋に迫るシャドウサイズをイクサがイクサカリバーで遮り、動きが僅かに止まったところを真横からシャインが狙う。

 

 

「……」

 

 

しかしヴァイオラは焦りを微塵も顕にせずイクサカリバーと衝突するシャドウサイズにかけている力を緩め、身を捻らせると半歩右方向へとステップを踏む。

 

 

「なにっ!?」

 

 

すると力を受け止める対象を失ったイクサカリバーが空を斬り、イクサも予期せぬ動きであったゆえに前のめりになってしまう。

 

 

「ッまずい!これじゃあ」

 

 

イクサとヴァイオラがいた地点がイクサがふらつくような形で変わってしまい、同士討ちをする羽目になるところをシャインが制動をかけて停止させた。

だがそこにヴァイオラが漬け込みシャインとイクサを斬りつけ、両者が斬られた箇所から火花を散らしていく。

負けてなるものかとシャインはユーレニルソウル特有の高速移動能力でヴァイオラを攻め落とそうと画策し実行に移す。

 

 

「消えた…くっ……違う。これは高速で移動しているのか」

 

 

視界から消えたシャインを探そうと周囲を見渡した時、無人のはずの背後に刺激を与えられヴァイオラは直感的にそう見当付けた。

だが彼女はこれにも困惑するどころか微動だにしておらず、至って落ち着いた様子で鎌を握り直す。

そしてイクサの剣撃を払いのけながら神経を研ぎ澄ませると、イクサを一蹴りの元に遠ざけある一方向へ鎌を振り回す。

虚空であるはずの空間から響く鋼の音と感触。

それを己の五感全てで感じ取ったヴァイオラは今度は反対側の空間へと鎌の先端を向ける。

 

 

「ぐわあ!?」

「くそっ、これ以上やらせるか!」

 

 

その一振りでシャインは高速の世界から排出され勢いよく地面を転がる。

イクサは追撃を加えんとするヴァイオラの無防備な背中を目標にイクサカリバーを振り下ろすも、目も向けられぬままシャドウサイズで阻まれてしまう。

 

 

「馬鹿な…」

 

 

技量に思わず驚愕の声を漏らしたイクサにヴァイオラは容赦なく切り捨てる。

何度も何度も鎌を走らせイクサをいたぶるヴァイオラ。

その太刀筋には一切の無駄がなく彼女の実力の高さを示しているおり、。シャインはユーレニルソウル最大の技、スパークライズを発動させ高スピードでの突撃を試みた。

-倒せなくてもいい、深手を負わせれば逃れる時間ぐらい作れる

シャインは間合いを急激に詰めながら願うがそれを易々とさせてくれる程ヴァイオラは寛容ではなかった。

己の武器であるシャドウサイズをシャインへと投擲し、自らはイクサを蹴り飛ばして宙へと飛び上がる。

前触れもなく投げられたシャドウサイズを高速で直進するシャインが避けれるはずもなくまともに直撃を浴び、その影響で速度を維持できず動きが止まる。

シャインの眼前へと舞い降りたヴァイオラはすかさず投擲したシャドウサイズを回収したと同時に純白のボディを袈裟懸けにし切り刻む。

 

 

「う…く…何て、強さだ」

 

「まさか傷ひとつ与えられないとは…」

 

 

シャインとイクサの吐いた言葉が、自らの絶望に拍車をかけるように響く。

離れた柱の影から戦闘の経過を見ていたショウイチとシンジそれに次狼にもそれは聞こえていたが、少したりとも弱音を吐く彼らを情けないとは思わなかった。

シャインもイクサも決して弱くはない。だが彼らよりも敵の方が遥かに強い…ただそれだけの話だ。

しかしそうだとしてもこのまま指をくわえて見物するつもりは次狼には毛頭ない。

誇り高い自身の真の姿、ウルフェン族の姿へ変化を遂げると一気に駆け出しヴァイオラを奇襲する。

これにはさすがに不意を突かれたためにヴァイオラは拳を受け横転してしまう。

 

 

「新手か!?」

 

「大丈夫です、味方です!」

 

「ぼさっとするな!一気にいくぞ!」

 

 

ガルルの参入で僅かに戦意を取り戻した彼らは再び攻めに転じる。

青い拳、イクサカリバー、レグルスクロー、3方向から迫る攻撃をヴァイオラは全て防ぐことは叶わず、何発かもらい後退していた。

-このまま押し込めばいける

だがヴァイオラは変身に使用したのとは別のタロットカードをベルトに翳し、シャドウサイズに妖しい紫の光が宿る。

 

 

「調子に…乗るな」

 

『Assault』

 

「「「うわああああああ!!」」」

 

 

無機質な電子音声と女とは思えない冷徹な声と共に放たれた紫色に輝く刃は瞬く間に、ヴァイオラを取り囲んでいた3人ライダーを包み込み彼らを地べたに這いつくばらせる。

その一撃でシャインの変身は解除されイクサに至っては変身ツールのイクサナックルに刃傷が食い込まれてしまっていた。

もう戦える者は1人として残されていない。その事実を確認したヴァイオラはキラを一瞥すると変身を解き、トドメを加えることもせずどこかへ去る。

 

 

「大丈夫か!おい名護!」

「キラ君!次狼さん!しっかりしてください!」

 

 

ショウイチとシンジは傷ついた彼らの元に駆け寄り安否を確認する。

 

 

「呼吸はしている…シンジ!すぐにソウジのところに運ぶぞ、ここからだとあそこが一番近い!」

 

 

気絶してはいるが呼吸も安定しているし目立った深い傷もないことを調べたショウイチは、一拍置かずにシンジに指示を飛ばす。

その指示をシンジはすぐに受け入れキラを担ぎ、ショウイチもまた名護と次狼を肩に背負うように天堂屋へと急ぐ。

切迫した状況の中で風だけはいつもと変わらず夏の暖気を伴い彼らの髪を揺らし、街路樹が左右小刻みに揺れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかここまでやるなんてね」

 

「スゴいんだね!」

 

 

 

口々に仲間たちの賛美がヴァイオラに集中する。

 

 

(面白くねえな)

 

 

ディムはそれが気に食わなくて仕方がない。

彼はヴァイオラの戦いぶりを仲間たちと人間の姿で遠くから見物していた。

自身が敗北に追いやられたシャイン・ユーレニルソウルを手玉に取り、そこにイクサとガルルが加わってもこれを撃沈させてみせた。

しかも3対1の数的にも戦力的にも不利と言える戦局でありながらも、終始圧倒していたのだ。

これがミュランやラナ自らが信頼を置いている仲間たち…仮にリスティヒだったとしてもまだ幾分かマシだっただろう。

突然横から涌き出て来た、それも人間の女が己が成せなかったことを成した。

癪に触るのも無理もない話だ。

 

 

「文句のつけどころがないわね。改めて私達の仲間に歓迎するわ皆もそれでいいかしら」

 

「さんせー!」

 

「実力はミュランの言うとおりだし何より猊下のお墨付きだからね。僕は異論はないよ」

 

「俺はまだ納得してねえからな」

 

 

ほぼ満場一致に決まりかけたところに割り込むディムの否定の声。

それにはラナも不満気に頬をふっくらと膨らませ「どうして」と訊ねるとディムはヴァイオラへと…正しくはヴァイオラという戦士に変身する女性に立ち塞がりこう切り出す。

 

 

「お前、あの時トドメを刺さなかったのは何故だ。何か殺しちゃマズイ理由でもあるのか」

 

 

その一言でミュランはディムの考えるところに行き着き、双桙をヴァイオラの空色の瞳に合わせる。

ディムに言われるまですっかり失念していたがヴァイオラは勝利しておきながら、簡単に殺せるはずだったにも関わらずシャインにトドメを刺していない。

ミュランはその行動をさほど気にしていないが成程…見ようによっては確実に殺せる状況下で、あえて見逃したとも取れるだろう。

もしそうであった場合ヴァイオラは必ずしも味方であると見なすのはリスクが大きい…実力が高いのなら尚更だ。

そうなる恐れをディムは考慮し真意をはっきりさせておこうと言うことだ。

味方なら快く受け入れるし力を貸してくれるのならこちらも彼女の力になるが、違ったら即刻ここで総力を挙げて彼女を抹殺する……つまりは2つに1つ

 

 

 

そして彼女、ヴァイオラが出した答えは

 

 

 

「倒すのはあなたたちなんでしょう。なら私が殺す必要はない」

 

 

平然と言ってのけた女にミュランにラナ、リスティヒが呆気に取られ沈黙する。

しかしただ1人ディムだけは彼女の答えが大層刺激を受けたのか大声で笑い、興奮が収まると口角をつり上げて女に言う。

 

 

「いい、いいぞ…気に入った面白い奴だ」

 

「切り替えが早いねえ、さっきまであんなに毛嫌いしてたのに」

 

「細かいことは気にすんな。とにかくお前は今から俺たちの味方ってわけだ」

 

「皆で仲良くやろうね!」

 

 

一悶着あれど、これで全員が彼女の参入を認めたことになり、自分たちの使命をこなす上で必要な負のソウルエネルギーをより効率的に収集できる。

その様子を微笑ましげに見物し、今後の策を練ようとしたミュランにリスティヒが進言した。

 

 

「今度は僕が直接やるよミュラン」

 

「あなたが?それはいいけど何か妙案でもあるの」

 

「うん、でもそれをシャインに邪魔されずにするにはちょっと僕1人じゃ無理なんだ。だから手を貸してくれないかな」

 

「そういうことなら私が」

 

「私がやる!皆頑張ってるんだから私もやる!」

 

 

リスティヒの補佐にヴァイオラを差し置いて立候補したのは、ピョンピョンと身軽な体格を揺らして跳び跳ねているラナ。

サーヴァントの中でディムやミュランのように戦ってもなければ、リスティヒのように魂石を用いての負のソウルエネルギーの収集もしていないのは彼女のみ。

ただでさえ大人しくしているのが苦手なわんぱく染みた性格のラナは一度痺れを切らしたらどれだけ規格外な行動に飛び出すか、考えただけでも不安になるというもの。

だが仲間の言葉には従順な分まだ救いはある。それに今回は何より新しい仲間に先輩らしいところを見せたいというのが大きな要因になっているようで、やる気は十二分だ。余計な心配はいらないだろう

 

 

「じゃあ今回はリスティヒとラナに任せるわ。ラナ、ちゃんとリスティヒの言うことを聞くのよ」

 

「はーい!」

 

 

念のため勝手な行動に出そうなラナに言い聞かせるミュラン。

それを尻目にリスティヒは足早に1人策を講じるべく、どこかへと消える。

 

 




次回はいよいよある昭和ライダー客演2回目です!
残りの9人かあるいはまたまたスカイさんか、お楽しみください
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