仮面ライダーシャイン~輝ける戦士~   作:光陽03

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メリークリスマス!
皆さんはクリスマスどのようにお過ごしでしょうか?
私?私は…むなしく1人で聖夜を送りましたが何か?


第14話 私の楽しみ

コスタリカ共和国。通称コスタリカ

中央アメリカ大陸の一国であり軍隊を持たぬ国として有名な共和制国家。

その国内の密林地帯の奥深くにある工場らしき建物。

そんな夜遅くの工場付近では人のものとおぼしき悲鳴と硬い金属同士が激しくぶつかり合う音が鳴り響き、驚いた小鳥や小動物らは身の危険を感じてか音の発生源から遠ざかるための移動を始める。

それからどれ程の時が過ぎただろうか

森林には静寂が戻り工場から発せられた機械のような駆動音も止まり、その工場からはある1つの影が何かのリストを手に出てきた。

 

 

「これは……奴らめ、今度は何を企んでいる」

 

『そっちはどうですか?』

 

「洋か、こちらは駄目だ。肝心なものは既に運び込まれた後だった」

 

『そうですか…そっちも』

 

「その口振りからするとお前の方もか」

 

『はい、着いた時にはもぬけの殻でした。ひとまずまだ当てがあるので俺はそっちの方に向かってみます』

 

「そうか。気をつけろよ」

 

 

影は独り言を終えるたと同じくして森林地帯を抜け、視界が青色1色で埋め尽くされる。

夜空にキラリと輝く数多くの星、その近くで更に強く神秘的な輝きを持ち、波打つ海面にその丸い形を映す満月。

どれをとっても美しく心を癒されるものばかりだ。

しばしその光景に牽かれた視線を影は工場から奪取したリストへと移す。

そこには何らかの部品の出所が記されており、特に多くの部品の出所が『JAPAN』…日本となっていた。

 

 

「日本か…まさかこんなところでこの名を目にするとはな」

 

 

それは影の生まれ故郷にして原点の地。

過去に何物にも変えられない大切なものを失い、激動の戦いの日々に身を投げ出した誇りの地。

そして今は……11人目の戦士がいると仲間から聞いている土地。

 

 

「調査も兼ねて久しぶりに里帰りでもするか…新しい後輩の顔を見ておくのも悪くないしな」

 

 

そう呟く影の手にあるのはリストの他に、月光を浴びて輝く半魚人の逞しい姿が刻まれた青いメダル。

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

 

 

-私は幸せだと思う

 

ミュランにディムにリスティヒ、今はいない他の皆も優しいし私を大切にしてくれる。

こないだ新しい人間の仲間も増えてとっても楽しい。

初めての人間の街もどれも面白いものばかり。

 

今日はリスティヒのお手伝い。

リスティヒにここで待ってればすぐにシャインが来るって言われたけど…じっと待ってるなんて退屈。

 

でもちょっとしたら新しい幸せを見つけた。

色々な色をした凄い速く歩く4つの丸いものが付いてる人間たちの乗り物。

 

 

-私とどっちが速いのかな?試してみよーっと

 

 

 

 

 

沖縄から出港した東京行きの客船が太平洋を横断している。

その船内には老若男女問わず様々な身分の客が乗り合わせており、その中の1人として尾上 タクミもまたこの船に乗っていた。

そして彼の隣で海上を飛ぶカモメ目掛けてパンを千切って投げ与えているのはタクミの幼なじみの友田ユリ。

彼らは『スマートブレインハイスクール』の学生で今日は修学旅行最終日、沖縄から校舎のある東京へと帰るのだ。

 

 

「はあ、今日でもう終わりか」

 

「寂しいのタクミ」

 

「そういうわけじゃないけど…」

 

「じゃあなによ?」

 

「明日からまた学校なんだなって」

 

「同じことじゃない」

 

 

憂鬱そうなタクミにユリはそう相槌を打つと最後の一欠片は自分で直接食べさせたいと思ったのか、カモメの口へと手を伸ばす。

…が寸でのところでカモメは遠ざかってしまい、そのせいでユリはバランスを崩し手すりから落ちてしまう。

 

 

「きゃあ!?」

 

「ユリちゃん!」

 

 

落ちる寸前で反応したタクミがユリの手を掴み引き上げようとする。

しかし航行中で船体がひどく揺れ、また皮肉にもタクミの非力さも相まって、少しでも気を緩めればユリは波に飲まれるだろう。

 

 

「…タクミ。いいよこのままじゃタクミまで」

 

「ユリちゃん、駄目だよ!そんなの!」

 

「でも…」

 

「大丈夫。絶対に助けるから」

 

 

とは言うもののタクミの腕は限界に近付いていた。

このままだとユリの言葉通りタクミまでもが巻き添えを食ってしまう、だがそうだとしてもタクミはユリの手を離そうとしない。

意地でも助けてやる、そう心に言い聞かせ腕に力を込めた時のことだった。

不意に別の腕が加わりユリの体は急激に船体へと引き戻されつつある。

タクミが腕の元を辿って見るとその主は上下のボトムを着こなした黒髪の男性だった。

 

 

「あなたは?」

 

「俺のことよりも今はこの娘を救い上げるのが先じゃないか」

 

 

憮然とした態度で男はタクミに加勢し、そのおかげもあってユリは海に落下することなく無事船内に引き上げられた。

 

 

「た、助かった…?」

 

「よ、良かった」

 

「怪我はないか?」

 

 

気遣いのこもった声色の言葉にタクミが顔を上げると、若々しい男性が屈んでこちらを気遣っていた。

彼がユリと自分を助けてくれたのだとすぐに理解するとタクミはすぐさま礼をかける。

 

 

「はい、大丈夫です」

 

「助けてくれてありがとうございます」

 

「なあに俺は大したことはしてないさ。見たところ君たちは学生のようだが修学旅行か何かか?」

 

「はいこれから帰るところです」

 

「だったら最後まで楽しむのはいいが気を抜いちゃいかんな。修学旅行を楽しんだのに帰る間際に大怪我しちゃ、せっかくの修学旅行が台無しだ…何せ一生語れる思い出になる行事だからな」

「思い出… そうですね。ここまで順調に来たのに私が怪我しちゃったら他の皆にも迷惑ですよね。怪我しない範囲で楽しむことにします」

 

「そう固くなることもないと思うぞ?まあ自分の体に害を与えるような危険な真似はしないよう注意して残りの時間を満喫するといい。そこの君も彼氏なら今みたいなことにならないようにしっかり彼女に気を配ることだ」

 

「か、か、彼氏!?」

 

「か、か、彼女!?」

 

 

男が何とも無さげに口にした次の瞬間、タクミとユリは羞恥で顔を耳の先端まで真っ赤に染め、ユリはその発言を全力で手と首を振って否定した。

 

 

「違うのか?」

 

「ただの幼なじみです!別にそんな彼氏とかじゃありませんから絶対!」

 

「そ、そんなに強く否定しなくても…」

 

「はっはっは、そうかそれはすまなかった。てっきり付き合ってるものかと思ったが、なんだ違うのか」

 

 

事実ではあるものの過剰なまでに否定されたタクミはがくりと項垂れ落ち込み男はその様子を見、晴れやかに笑う。

そしてもうやるべきことは終わったとばかりに彼らに一言言い残して船室へと入る。

 

 

「じゃあ東京に着くまで残りの船旅が良い財産になるといいな」

 

「はい、本当にありがとうございました」

 

 

改めて男に一礼するタクミとユリ。

男が視界の範囲内からいなくなるのを見届けたユリは突然起こったばかりの出来事が甦り頭が混乱する。

 

 

「タクミ、さっき言ってたことって…あれは、その」

 

「あれって?何のことユリちゃんッ!」

 

その瞬間ユリの中で何かが音を立てて切れた、そしてタクミも同じく背筋に悪寒が走った。

それが何なのかは皆目見当がつかないが今謝らなければ口にするのも憚れる恐ろしい目に遭う。

動物としての本能から来る危機察知能力がそう警告しているのを、タクミはこの時酷く敏感に感じ取っているのだ。

 

 

「ユ、ユリちゃん…?僕何か不味いこと言っちゃったかな?」

 

「別に、何もないわよタクミの馬鹿!」

 

「その言い方…あるって言ってるのと同じじゃないか」

 

「知りません!何もないったら何もない!」

 

 

頭上から蒸気が吹き出るという表現が的確なユリはタクミを置き去りに船室に戻り、理不尽だと困惑しつつタクミもユリに許しを乞うべく後を追っていく。

 

 

 

 

 

「さてと、仕込みは上々…」

 

そうして誰もいなくなったそこの手すりにリスティヒが腰掛け携帯電話を操作し、何かを送信すると口角を吊り上げた不敵な笑みを浮かべていた。

そして青い魂石を砕くとその破片を海面に溢し、波紋を広げると首元のタートルネックを撫でるように弄り始める。

 

 

「これから愉快なものが見れるよ」

 

 

 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

 

 

ヴァイオラとの戦闘で九死に一生を得たもののキラたちの状況は芳しくなかった。

ヴァイオラは3人を敵にしほぼ無傷で戦闘不能に追いやった。

その事実から並大抵の実力者ではないと考えられ

戦闘を繰り広げたキラと名護、次狼はそれぞれ程度に差があれど負傷し、3日間安静にしていたのだ。

しかし傷は癒えるもののイクサの変身アイテム、イクサナックルはヴァイオラによって破損し、使い物にならなくなった。

つまりこれから先の苛烈な戦いをキラ単独で勝ち抜かなくてはならないのだ。

それでもキラは戦いから身を退くことはなく、最後までその命を懸けると次狼と名護に告げた。

そして

 

 

 

「これでよしっと、ミヅキそっちは終わった?」

 

「もうすぐです」

 

「じゃあ、それが終わったら次は女風呂の掃除お願い」

 

「キラくん、これエアコン動かないんだけど壊れたかな?」

 

「こないだ買い換えたばかりじゃないですか。もう1回試してみて下さい。そんな早く壊れるはずありませんよ」

 

 

いつも以上に慌ただしい風心館の館内。

本日予定にない団体客の予約が入り込み、すぐに到着するとの連絡を受けているために、ただでさえ少ない従業員総出で準備をしている。

女将のツボネは高校時代の友人の結婚式に出席するため出払っているので、戦闘の疲れが癒えぬキラも必然的に駆り出される羽目になったのだ。

 

 

『皆さん、本日は万里野港開港40周年を記念致しましてゲストの方に来ていただきました』

 

「そういえばタクミくん今日こっちに帰って来るんだよね?」

 

 

居間のテレビが付近の港に停泊する船の映像を見たアキヒロが、思い出したようにキラに訊ねる。

ツボネが趣味として植えている庭の花壇に水やりをしながらその質問をされたキラはミヅキに花の説明をしつつも答えた。

 

 

「そうですよ。確か4日前から沖縄に修学旅行に行ってるって本人から聞きましたけど」

 

「いや~沖縄か~。あそこはいいよ、昔行ったことあるけど海が綺麗だし料理も美味いし」

 

「沖縄…ですか?そこにも花はあるんですか?」

 

「もちろんあるよ。ハイビスカスかな、有名なのは。赤色でね花言葉は勇敢とか繊細って意味だったかな」

 

 

久方ぶりに日常的な会話を満喫していると携帯電話が振動し、着信音を鳴らす。

新着メール通知画面が表示していて受信ボックスを開き確認すると、メールの送り主はつい先日メールアドレスを交換したばかりの名護。

いくら怪我しているとはいえ、時間帯からしてまだ出勤中のはずだ。

その彼が一体何用だろうとキラは送られて来たばかりのメールの文面に目を通してみる。

 

 

『今からすぐに警視庁近くの弥吉公園に来てくれ』

 

 

メールの内容を読み込んだキラは一粒程の僅かな違和感を覚えていた。

急用ならば電話で直接伝えるだろうから文を打つ手間がかかるメールでは連絡しないはずだ。

何か他人に聞かれては困る大事な話なのだろうか。

とりあえずキラはコスモスを観察しているミヅキとゴルフクラブで素振りをしているアキヒロに断りを入れ、バイクで指定された弥吉公園へ急行することにする。

 

 

 

 

 

「うわああああ!な、何だこいつ!?」

 

「こ、こんなの。ば、化け物じゃねえか!?」

 

「化け物?」

 

 

 

港沿いの街道を走行中に後方から怯え声の叫びが轟き、キラはスピードを落とし背後を振り向く。

見ると赤いスピードカーに乗る男2人組。

どちらもグラサンにニット帽、

一見するとヤクザかチンピラの部類に思われるがそれには余り関心はない。

 

 

「あははは、楽しー!ねーねー、もっと速くならないの?」

 

問題はそのスピードカーに平行して走り、嬉々として笑う赤いゴシックロリータの少女-ラナの方だ。

 

 

「…え?おかしいな、あれ?車と女の子が同じ速度で走ってるなんて…寝惚けてるのかな…そうだよ。そうに違いない夢じゃあるまいし」

 

 

衝撃的な光景を目の当たりに、キラは有り得ないと自分に言い聞かせ引き笑い気味になっているにも気付かず前に向き直るが、耐えきれず改めて振り返るとやはりまったく同じ光景が展開されていた。

それだけならまだしもスポーツカーはラナを振り切ろうと速度を格段に上げキラを追い越し、数秒と待たずラナもキラを追い抜きまたスポーツカーと平行して走っていく。

 

 

「うっそだ~。やっぱり夢じゃなかった……ってそうじゃない、あの子もサーヴァント…だよな」

 

 

さすがに間近で不可思議な少女を見れば人間ではないと結論に行き着くのは当然。

だとすれば十中八九サーヴァントだろう。

キラはバイクを走らせながら同時にドライバーに3色のメダルを差し込み変身を行う。

 

 

「変身!」

 

〈フェニックス!レグルス!アビス!…フェルス、フェルス、フェッルス!〉

 

 

変身を完了したシャインは更にスピードを出すと彼が秘めた未知の力を授かって、跨がっているバイクにも変化が訪れた。

メタリックカラーボディが清らかな金色のボディへと変色し、スピードも心なしか急激に増したようにシャインは乗り回して実感する。

そうしている内にラナと赤い車体のスピードカーに追い付く。

するとラナはシャインの存在に初めて気付くと競争相手の対象であったスポーツカーには完全に興味を無くし、次なる興味の対象はシャインへと移り変わった。

 

 

「その車から離れるんだ!」

 

「あ、シャインだ!遅いよもう、たくさん待ったんだよ!」

 

「え、ちょっと?」

 

「でもいいよ、許してあげる。その代わり、今からたっぷり遊んでね(・ ・ ・ ・ )

 

 

そう言うが否やラナの体ははどこにでもいるごくごく普通の少女から異形へと変化する。

猫科の動物の毛皮と鋭く光る銀の爪を持ち、ゴシックロリータの服装と同色の赤い体躯。

それらの特徴的な要素を持ち合わせた怪物が抱きつくような勢いで飛びかかり、シャインはそのまま慣性に従ってバイクから転げ落ち地面に背中から倒れ伏す。

受け身も満足に取れなかったシャインは痛みに耐え、貫こうと付け狙うラナの爪をレグルスクローで反らし、問い詰める。

 

 

「遊ぶってこれのどこが遊びなんだ!」

「違うの?」

 

「当たり前だこんなの遊びでやるもんか」

 

「-でも楽しいよ」

 

 

余りにも純粋な声色で聞かされたその一言にシャインは凝固し、耳を疑い、頭が真っ白になる。

そしてそれを言ってのけた相手に自然とある感情が沸き上がる。

 

 

「楽しければそれでいいのか?」

 

「遊びって楽しくなるものでしょ?だったら私楽しいからこれも遊びだよ」

 

 

ふざけるな、口には出さずともシャインは怒りを隠し切れずラナの爪の猛攻を遮り自らも反撃を仕掛ける。

 

 

お互い譲らない戦いぶりを披露していく。

 

 

 

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