仮面ライダーシャイン~輝ける戦士~   作:光陽03

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ようやく…書けました…

前話との間隔が空きすぎてライダー界も色々変化しましたね。
ゴーストが終わり、エグゼイドが始まり

そして……
パックマンと戦う
……今年一番目が点になった


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第17話 探れ!二回目のバレンタインデーの正体


「なんで…このボクが認められない…」

 

 

どんな世においても勝者と敗者は相反した存在だ。勝者は欲望を叶え愉悦に浸り、敗者は泥沼に浸かりそこから脱け出せぬ寒々しい挫折を味わう。

だが一部の敗者は新たに欲望を見つけ新たな一歩を踏み出せる場合がある。

それ以外の敗者は地ベタに這いつくばったまま屈辱と哀れみに囚われたまま輝かしい光を見ることはない。

ずっと先を見据えずに暗闇に縛りままなのだ。

 

 

「僕が悪いんじゃない…僕を認めない奴らが悪いんだ…そうだ僕が悪いんじゃない…」

 

 

そんな闇を内に閉じ込めた人間の居場所からそう遠くない場所を、赤いゴシックロリータの衣装を着た少女が通りすがっていた。

 

 

 

同時刻の日本、空港国際線ターミナル。

様々な国籍の人々がごった返す中短い髪の毛を金髪に染めた男がキャリーバックとメモ帳を片手に、タクシー乗り場へ移動する。

 

 

「ここが日本か…母ちゃんから聞いてたが来るのは初めてだな…あいつの話が本当なら、ここにいるんだよな。さ~てどこにいるか」

 

 

メモ帳に視線を落としてそう呟くとタクシーが前に止まり、男は乗り込むや否や行き先を訊ねた運転手に逆にこう訊ねた。

 

 

「どちらまで?」

 

「あんたマスクドライダーって奴知ってるか?」

 

 

 

 

 

 

 

ある昼間時の天堂屋。

その和風な店内には天堂屋自慢のおでんを食す常連客で賑わっていた。

しかし賑わっていると言ってもがゲラゲラとした笑い声のような類いの騒がしさはなく、客のほぼ全員が黙々とおでんの具を運んでいる風景がこの店の日常的な光景だ。

 

 

「あ~暑い…ついこないだまで馬鹿馬鹿しいぐらいの寒さだったのに…何なんだこのクソみたいな暑さは…こんな中ついついこんな余計に熱い食べ物を食べてしまう俺が憎い」

 

「嫌なら無理に食べなくてもいいんだぞショウイチ。誰も強制はしていない」

 

「わかっとるわだアホ…」

 

「いいよなあ~沖縄行って来たんだろタクミは~向こう夏でもこっち程蒸し暑くないんだろ~」

 

「カズマだらしないから足を組んで座らない」

 

「はあ~い」

 

「今日は30度越えてるらしいですからシンジさんたちもあまり仕事で無理をしないように気をつけて下さいね」

 

「キラさんもですよ…ここのところお仕事の時間時間が前より増えてきているような気がするのですが」

 

「あ、うん、それはその…最近あまり仕事をする時間も余裕もなくなってきてて、ツボネさんにこのままだと給料大幅カットするって言われちゃって」

 

 

ショウイチとソウジ、カズマとシンジ、キラとミヅキ、それぞれの相方的存在と会話をかわす。

天堂屋の規則上大声で騒がしい話はできないというのもいるだろうが、ソウジを除いた社会人の面々には疲れの色が顔に濃く出ていた。

仕事の疲労だけでなく連日続く猛暑に参っているのだ。

特に肉体労働のショウイチとキラはほぼ毎日汗だくになっており、いつ熱中症で倒れてもおかしくないだろうと半面危惧する程に暑さにやられている。

だらしない愚痴を溢すショウイチの弛みをソウジが指摘した。

 

 

「まだ7月の中盤だぞ?今からそんなに弛んでいてはこれから本腰に入る夏を過ごせるのか」

 

「…毎度毎度この季節になる度お前のその涼しい顔が何時にもましてムカつく」

 

「お前は毎年夏に同じことを言ってはだらけるから余計に暑いと感じるんじゃないか?」

 

「ほんとにな…このやり取りを何度したことか…」

 

「失礼しまーす」

 

「お、タクミ。お帰り~」

 

 

十年来の親友(とも)と書いて腐れ縁と読む二人が例年恒例の言葉を投げ交わしている最中、私服姿のタクミが来店してきた。

その彼をカズマが出迎えの言葉をかけ、席に着いたタイミングを見計らってソウジがおでんの器を手元に置く。

 

 

「どうだった修学旅行は?沖縄に行ったんだろう? サーターアンタギーに沖縄そば、それにちんすこうは美味しかっただろう?どれも沖縄を代表する食材だ、俺も機会があれば行って食してみたいんだが」

 

「お前の頭ん中の沖縄は食い物ばっかか…他にも色々あるだろ…」

 

「ショウイチ…今のツッコミあまり面白くない…」

 

「じゃあかしい……別に俺はツッコミをするためにここに来てるんじゃない」

 

「ツッコミをしないショウイチなんてもうショウイチじゃない」

 

「…そろそろグーが飛ぶぞ」

 

「あはは…」

 

 

顔を合わせれば必ず2回以上は漫才に発展するソウジとショウイチに苦笑するタクミ。

またかと呆れた目をしつつも慣れた様子でシンジとキラはおでんを汁まで飲み干すと、彼にユリがいない理由を訊ねた。

 

 

「そういえばタクミくん、ユリちゃんは今日一緒じゃないのか?」

 

「今日は学校休みでしょ?いいの?遊び盛りの男の子が彼女とデートしなくて」

 

「キ、キラさん、だからユリちゃんとは別にそんなんじゃ、いやそうじゃなくてえっと、それが…」

 

 

突然語尾が濁るタクミに、今も漫才を続行している約2名以外の者は引っ掛かりを覚えた。

照れ隠しにしては暗い印象を受けたし喧嘩したならば、冷やかされたとしても意識的に反応しないだろう。

そもそもタクミの性格からして、喧嘩の最中ならば呑気にここに顔を出そうなどとはまず思い至らないはずだ。

 

 

「なんか変なんですユリちゃん」

 

「変…って、どう?」

 

「それがよくわからなくて」

 

「「「はあ?」」」

 

 

歯切れの悪いタクミの返答にシンジとカズマ、キラだけでなく先ほどまで漫才に熱中していたショウイチまでもが戸惑いの声を上げる。

漫才をしながらも話は聞こえていたのかショウイチが具体的な説明をタクミに要求した。

 

 

「一旦全部話してみろ、何がどう変なんだ」

 

「はい…昨日も休みだったのでユリちゃんとどこか行こうかって電話をしたんですけど返事がなくて…最初は忙しいのかなって思って留守番メッセージとメールを送ったんですが結局夕方まで返事が帰って来なかったんです」

 

「気づかなかっただけなんじゃない?それか電話が壊れてて修理に出してるとか」

 

「僕もそう思ったんです。でも今朝ユリちゃんのお母さんから電話があって言われたんです…ユリちゃんが変になったから来てほしいって。それでさっきユリちゃんの家に行ったんですけどインターホンを押しても誰も開けてくれなかったんです」

 

 

 

タクミから話を聞いた面々はおでんがまだ残っている者も含めて目配せをし考え込む。

確かに奇妙な状況だ。

 

 

 

「来てほしいって頼まれたんだよな?」

 

「はいそのはずなんですが…部屋の明かりはついてたから留守じゃないみたいでしたし」

 

「じゃあ変だよな。頼んだ相手に居留守をするなんていくらなんでもおかしすぎる」

 

 

うんうんとカズマが自分の言葉に首を縦に何度も頷いているとカウンターを挟んだソウジが、そういえばと思い出したように呟いた。

 

 

「そういえばマユも昨日から妙だったな」

 

「マユちゃんが?」

 

「可愛そうなことに、とうとう兄の変人体質が覚醒したか」

 

「それはどういう意味だショウイチ?いやユリくんとは関係ないとは思うのだが、昨日の夜からショウイチが来る少し前まで部屋に篭りきりだったんだ」

 

「マユちゃんも…?」

 

 

ソウジの話を聞いたキラは自問自答するような口調で呟く。

知り合いの女性が2人に奇妙な変化を遂げている異質な状況。

-もしかするとこの状況はサーヴァントの仕業ではないか

そうキラが眉間に皺を寄せ勘ぐっていた時、ソウジの口から新たな情報が告げられた。

 

 

「俺の勘違いかもしれないが昨日の夜中にマユが1度だけ部屋から出て厨房で何かを作っていたような気がするんだ」

 

「何かって何だよ?」

 

「微かに匂ったあの甘ったるさ…あれは恐らく」

 

「「「キャーー!!」」」

 

 

外から響く女性の悲鳴。

1人2人の声量ではなくどう考えても数10人以上のものだ。ただ悲鳴の割りには悦びの色があるように思える。

 

 

「何だ何だ今度は!?」

 

「外からみたいですね」

 

「悲鳴…とは違う、よな。なんか興奮してる感じだったし」

 

「とにかく見に行ってみましょう」

 

 

天堂屋を飛び出したキラたちは大声の出所へと駆け付け、目を疑った。

街中の中心にある1人を囲うように人だかりができており、その周りにいるのはほぼ女性ばかりでいずれも紙袋を手にしている。

 

 

「キャー!アビコくーん!!」

 

「私のチョコレート受け取ってー!」

 

「ありがとうございます。こんな僕のために、皆さんのくれたチョコレートは大切に責任を持って食べさせて頂きます」

 

「やっぱりカッコいい!仕草がキュート!笑顔が眩しい!私もう死んでもいいわー!」

 

「なんなんだこれは…」

 

 

時刻は昼時。この時間帯なら会社に勤め働いているであろうはずのスーツ姿の女性に、赤子の眠るベビーカーを放ったらかしにして集団の和に入る女性もいる。

見たところ十代から四十代前後までの年齢層の女性が、1人の少年にラッピングされた紙包みやら袋を手渡していた。

その中に見知った人影を捉えたタクミとソウジは目を丸くし、2人に続くようにショウイチも愕然と項垂れる。

 

 

「あれって、ユリちゃん!?」

 

「マユもいるな…しかし恋人ができたのは微笑ましいが一言ぐらい言って欲しかったな。気恥ずかしかったのか?」

 

「八代…何故だ…何故お前が…あんな男なんぞに…」

 

「ちょ!?ショウイチさああん!しっかりしてくれ!気持ちはわかる。フラれた哀しみはわかるけどそんな愕然としないでくれ!」

 

「カズマお前傷口に塩を塗るようなこと言うな!」

 

 

ショウイチへのフォローになってない慰めをかけるカズマを叱るシンジ。

するとカズマが騒がしかったのかシンジが煩かったのかは知らないが、渦中のアビコなる少年がこちらに近付いてくる。

 

 

「君は?」

 

「駿河アビコと言います。すいませんこんな騒ぎになってしまって、でも彼女たちは悪くないんです。ただ僕にチョコレートを渡すために集まってくれただけなんです」

 

「何故チョコレートを?この時期にチョコレートを渡すのは少しずれているような気がするのだが」

 

 

礼儀正しく名乗ったアビコにソウジが一行を代表した質問をぶつけた。

その問いにアビコはさもそれが不思議とでも言うかのように、怪訝な顔になる。

 

 

「今日は2月14日バレンタインデーじゃないですか。チョコレートを貰うのはごく普通のことではないでしょうか」

 

「「「……は?」」」

 

 

長い硬直の後ソウジを除く一行の口からそんな呟きが漏れだした。

そして誰もがこう思った。-目の前のこの男、おかしいんじゃないかと

そう思ってしまうのも無理はない。

蒸し暑い夏真っ盛りなこの季節はどう考えても真冬を脱却したばかりの2月であるとはありえない話なわけで、現に今この瞬間もじりじりと盛んに日差しが照りつけている猛暑日だ。

 

 

「こんな熱いのに2月なんてそんな馬鹿な」

 

「嘘だと思うなら確かめてみたらどうです?」

 

 

馬鹿なことをと疑いの眼差しを一旦切らしたショウイチとキラがスマートフォンを起動し、メニュー画面を開くと確かにそこには7月14日。紛れもなく今日を示す日時があった。

が、それをアビコに突きつけようとした瞬間表示画面が歪み日付が2月14日に変わる。

 

 

「ほらちゃんと2月の14日じゃないですか」

 

「な!?今確かに7月になっていたはずだ!」

 

「僕に嫉妬して難癖つけたくなる気持ちもわかりますけどこれにこりたらもうやめてくださいね。嫉妬程見苦しいものはありませんよ」

 

 

侮蔑を込めキラたちを一瞥したアビコはそそくさと去りまた新しいチョコレートを持った女性たちが、彼の後に追従していく。

 

 

「あーもう!どうなってんだよ!」

 

「俺たちがおかしいのか…」

 

「こんな状況じゃそう思いたくもなりますけど絶対におかしいですよ。何か仕掛けがあるはずです」

 

 

混乱して悲鳴を上げるカズマと二割程度の困惑を顔に浮かべるソウジに、シンジが淡々と告げる。

その彼の言葉にはキラも思い至る節があるのかそういえばと全員に語る。

 

 

「そういえばまともなのって僕ら男だけなんですね」

 

 

ふと見回してみると、チョコレートを持った妻とおぼしき女にしがみついて止めようとするサラリーマン風の男のような男が、一人や二人でなく山程いる。

いずれも同じ状況に直面しているであろうことは一目瞭然であった。

 

 

「みたいだな」

 

「女性にだけ効く何かがあるということか。それも催眠術のような何かが」

 

 

ソウジとショウイチが情報を纏めた上で推測を立てそれを口にする。

 

 

「あのアビコとか言う奴が絡んでるのは確定だろうな。俺は少し情報を集めてくる」

 

「俺も会社でレンさんとか他の記者に話を聞いてみる。カズマお前も来い」

 

 

そう言ってショウイチとシンジ・カズマは二組に別れて行動を開始した。

この場に残った四人でこれからのことを相談しようとした時、不快な気配を感知したキラが目を光らせる。

それに気付いたソウジはよしと、手を叩きミヅキとタクミの手を掴む。

 

 

「よしミヅキくんとタクミくんは俺の店の手伝いを頼む。マユとおばあちゃんがいないから人手が足りなくてな」

 

「は、はい、わかりました」

 

「ちょ!ソウジさん!?」

 

 

有無も言わさずミヅキとタクミを引き摺るように連れ去るソウジ。

そんな彼の突拍子のない行動に隠された意図が、それが自分のためだと悟ったキラはソウジに礼を小声で言う。

 

 

「ありがとうございますソウジさん」

 

 

 

 

 

『いい、ぞ!いい、ぞ!もっとだ!もっとだ!』

 

 

ビルの屋上で独特な口調で喜びを表現するサーヴァントがいた。

血のように赤い鎧で上半身を覆い、細長い鼻が特徴のアントイーターサーヴァント。

鼻先で汚染された空気のように漂う負のエネルギーを吸い込み、満腹とばかりにぷっくりと膨れた腹を擦る。

 

 

『ゲップ、お腹いっぱいなんだな。でもまだ足りないんだな』

 

「はあ!」

 

〈ポセイドン!レグルス!スレイプニル!〉

 

『わぱあああああー!』

 

 

突如として真下から高速で駆け上がってきたシャインにアントイーターサーヴァントは、間抜けな叫びと共に吹き飛ぶ。

 

 

「やっぱりサーヴァントが原因か…早いとこ倒さないと」

 

『な、なんだなチミは!余計な邪魔しないでくれなんだな!』

 

「それは悪いけど、倒させてもらうよ」

 

『ま、待つんだなああ!』

 

そんなアントイーターサーヴァントの制止にシャインが構うはずがない。

スレイプニルメダルの高速移動とレグルスメダルのクローを活かした近接攻撃を仕掛けていく。

シャインを近付けまいとアントイーターサーヴァントの鼻が伸びるも、かすり傷も与えられず易々とかわされ距離を詰まれた。

そしてレグルスクローに膨れた腹を中心として斬りつけられ、アントイーターサーヴァントはあっというまに追い立てられてしまう。

 

 

『痛いんだな!もう許さないんだな!』

 

 

体毛が生えた腹を必死に擦りながらアントイーターサーヴァントの声色は苛立ちを帯びていた。

腹正しく足を踏みつけその足首を通じて床上を赤いパワーの波が広がる。

それを視認できぬシャインはアントイーターへ猛スピードで一気に迫る。

 

 

〈シャイニングチャージ!〉

 

『ほい!』

 

 

振り上げた爪が風船みたいに膨らんだ腹を抉ろうとした瞬間、シャインの足下にはちょうどすっぽり体が填まる穴が発生。

 

 

「へ、うわあああああ!?」

 

 

浮かび上がる手段のないシャインは重力に従って穴に真っ逆さまに落ちる。

穴は幾つもの生成しており屋上から最下層までビルの階層を叫び声を上げて落下するシャイン。

幸い騒動が起っている最中であったがためにビル内は無人に等しかったが、いないわけではなかった。

 

 

『ばーかばーかなんだな!ははは!』

 

「いったた…」

 

 

既に微かにしか聞こえなくなった侮辱の言葉より後頭部を打ち付けた衝撃が強く頭を抑えるシャイン。

逃げられた事実に歯噛みしているのも束の間、目を丸くして自身を見つめる50代後半の女性と視線が合う。

 

 

「…」

 

「…」

 

「お仕事お疲れ様です…」

 

「いえ…」

 

 

それしか咄嗟に出る言葉が思いつかなかった。

 

 

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