タイトルの割に作業BGMがウルトラマンメビウス
一応先輩との共闘繋がりはあるけど…書いててテンションは上がったけど…まさか戦闘に4000字以上使うとは思わなかったよ…
(この人はひょっとして……!?)
シャインは隣に並び立つ者の正体に見当が付き、訊ねようとするが、体が痛みを訴え行為を中断せざるを得なくなってしまう。
「あなたはまさか…っ!?」
スカイライダー、自らをそう名乗った戦士は傷を負いよろめくシャインの体を支え、彼をきづかう。
「大丈夫か?後輩」
「後輩?」
自分が何の後輩なのか分からずキョトンとしているシャイン。
スカイライダーはそんな彼の様子に、軽く口をほころばせる。
かつて自分も偉大な先輩たちと初めて対面した時も、こんな初々しい感じだったと懐かしみながら説明した。
「君はさっき身を呈してまで人間を守った、そして戦いへの覚悟。まさしく仮面ライダーの名に相応しいものだ」
「あの、その仮面ライダーって?」
「悪を憎み人間の自由のために戦う戦士のことだ。それが俺と君だ」
「僕が…仮面ライダー」
あまりにも唐突に与えられた仮面ライダーの名にシャインは戸惑いを隠せない。
だが不思議と嬉しさを覚えられずにはいられなかった。
『あれがお前を追って来た仮面ライダーか。なるほどな、確かに底知れぬ気迫を感じる』
『ふん、一石二鳥だ。ここで邪魔な奴らを一網打尽にしてやる』
スカイライダーの登場により一層闘争心を高めるペンギンサーヴァントと、いっそ二人まとめて自分がたおしてやると息巻くタカエンマ。
理由はそれぞれ異なれど2体は戦闘体勢に突入し、シャインとスカイライダーも続いて独自の構えを取る。
「そうだ、まだ君の名前を聞いてなかった。仮面ライダーとしての名前を」
スカイライダーに言われてシャインはどんな名前にすべきか考え込む。
急遽ペンギンサーヴァントが自分に言った名前を採用する。
「…シャイン。仮面ライダーシャイン」
「よし。じゃあ、いくぞシャイン!」
「はい!」
スカイライダーとシャイン、タカエンマとペンギンサーヴァント。正義と悪の二人二組が激突する。
シャインはペンギンサーヴァントの細剣の切っ先が胸部を捉えるより早く蹴りをかまし、続けざまに手刀を胴へと入れる。
『やるな、だが!』
ペンギンサーヴァントもやられてばかりではいられない。
体勢を立て直すや否や細剣を滑らすようにし、シャインの胸を横切りにした。
火花を散らし仰向けに倒れたところに追撃を加えようとするも、シャインは相手の腹に蹴りを入れる動きを利用し攻撃範囲から離脱。
しばしの思考の後、また拳と細剣が混じり合う。
「セイリングジャンプ!」
一方のスカイライダーとタカエンマの戦いはスカイライダー優勢で進行していた。
今は空中戦に移行しており、タカエンマは自身の翼で飛行。
スカイライダーはベルトの重力低減装置を使用することで飛行を可能としている。
だがあくまでもそれは飛行を可能とするだけにすぎない。
彼が小回りが効かない空で意のままに自在に動けるのは、趣味であるハングライダーの経験によるところが大きい。
「俺も頑張らないと、後輩にカッコ悪いところは見せられないからな」
自身に近付いて来る火球を徒手空拳で弾くスカイライダー。
回避できないわけではないが下手に避けてしまえば、周りに甚大な被害を与えてしまう。
痛みをもろともせずそのままタカエンマとの距離を詰め肉薄。
その醜悪に満ちた顔面に一撃を入れ殴り飛ばす。
再度火球を浴びせられるのを避けるべく離れた距離を埋める。
「スカイドリル!」
ドリルのように高速回転させた拳が貫通。
タカエンマは片翼を抉られ、空中で姿勢を取れなくなり落下していく。だがまだ終わりではない。
落下点へ先回りするスカイライダーは地上で落下して来たタカエンマを肩に抱え、跳躍。
子どもがよく遊び道具に使う竹とんぼに近い動きで、タカエンマごと回転する。
技を使用している者と使用されている者は一つの竜巻と化していく。
その影響は周囲にまで及び、巻き起こる風に体を飛ばされないように踏ん張る。
しかしこの場にいる誰よりも、過酷な目にあっているのは技をかけられているタカエンマだろう。
今にも半身が真っ二つにされかねない勢いで回転させられているのだから。
「スカイライダー99の技の一つ、竹とんぼシュート!」
『う、うおおおおおお!?』
勢いに乗ったままスカイライダーはタカエンマを地表に投擲。
余りの破壊力に道路が陥没。白煙が昇り、空の青を侵食した。
激しい鈍痛が体中を巡るタカエンマは地に這いつくばりながらも、一泡吹かすべく火球を噴射。
スカイライダーは予期せぬ反撃であったものの、動じずバク転で全弾を回避。
同じく一度、後退してきたシャインと背中合わせの状態になる。
彼らは首だけを背後の味方に向け、互いに頷き合う。
シャインはタカエンマへ、スカイライダーはペンギンサーヴァントへと、先戦った相手とは異なる方へ前進する。
己の得物を振るうペンギンサーヴァントに対し、スカイライダーは変わらず両の拳と足で応戦。
レグルスクローと呼ばれる聖獣の爪を持つシャインとは違い、何の武器も持たないスカイライダーは不利に思えるだろう。
だがそれを補うだけの、実力と経験を数々の死線の中から得ている。
ゆえに引けを取ることなく善戦できるのだ。
『面白い、面白いぞ仮面ライダー。まさか、これだけの強者がいたとはな』
シャインとはまた違った強さを持つ目の前の男にペンギンサーヴァントは歓喜した。
シャインが精神面での強さを見せたならば、スカイライダーは肉体的な強さ。
ごく単純なものであるが、それだけに深いものがある。
(その強さ、もっと私に見せてみろ!)
もっと知りたい。目の前の強者の本気を。突き動かしているものを。強さの根底にある思いを
それをペンギンサーヴァントが知る方法…場所はただ一つ。戦いの場のみ。
そのような思いを乗せたこれまでとは速度も威力も桁違いの剣先がスカイライダーの中心を貫く……とペンギンサーヴァントは確信していた。
しかし現実は甘くはなかった。
その上、スカイライダーは予想もしない手段で自身の渾身の剣技を回避したのである。
『バカな、私の細剣の上に…乗っている…だと!?』
自らの得物の腹部分に両足で乗るという離れ技をやってのけたのだ。
「スカイライダー99の技の一つ、槍渡り陽炎の術!」
槍渡り陽炎の術
重力低減装置を用い自身にかかる重力を0とし、あたかも宙に浮かぶ陽炎の如く敵の武器に乗ることで封じる技。
例えるならば、かの有名な武将武蔵坊弁慶の槍の上に立ち、格の違いを見せ付けたとされる牛若丸の再来。
無論ペンギンサーヴァントが牛若丸を知っているはずもない。
だが相当の技量と覚悟、そして自信がなければ成功するのは厳しい技であるのは分かる……一歩タイミングを誤れば死に直結するのなら尚更。
「さあどうする?押すことも引くこともできんぞ」
確かにスカイライダーのいう通り、何をどうやっても細剣は1㎜足りとも動かない。
かといってこのまま何もしなければ一方的に攻撃を受けてしまう。この場合、ペンギンサーヴァントに残された選択肢は一つしかない
「……ならば放すまで!」
そう細剣を放すことだ。
スカイライダーも当然、ペンギンサーヴァントがそうするしかないのは分かっている。
そのためペンギンサーヴァントの手から落ちる前に細剣を踏み台に軽く浮遊し、右足による蹴りで右頬を強襲する。
「すげえ」
鮮やか。まさにその一言に尽きる戦いぶりに人々は感嘆の声を上げた。
シンジも今この瞬間、自分たちを護るために戦いに身を投じる二大ライダーの勇姿をカメラに収めている。
「あの人たちが俺たちのために頑張ってくれてる。あんな酷いことを言った俺たちを守ってくれてる」
「俺たちの町なんだ。俺たちが頑張らないでどうする!」
「でも私たちじゃ戦えないし……」
「だったら応援しないか?戦えなくても気持ちだけでも伝えるんだ。あの人たちに俺たちができることはそれぐらいだ」
「そうね。私たちだってそれぐらいやらなきゃ罰が当たるわ」
シャイン庇われた男性を筆頭に、化け物と蔑んだ者、ただ人間とは違う姿に畏怖した者、泣き崩れていた子ども。
皆が目前で拳を振るうシャインとスカイライダー……仮面ライダーを応援する。
彼らは怪人と対等に戦う力はない。だがせめて、せめて気持ちだけでも一緒に戦いたい、自分たちの町を他人だけに守らせてはいけない
そう思いを胸に全力を上げて激励をした。
「「頑張れ!仮面ライダー!!」」
「「負けるなライダー!」」
「いけ!そこだ!」
「「ファイトだ!」」
そんな声援をエネルギーに変えシャインはタカエンマを追い詰めていく。
スカイライダーにやられた傷は深く、今唯一彼が可能な攻撃方法は火球のみ。
だが最後に残された手段も、シャインのレグルスクローにより無効化されてしまう。
つい先の余裕はどこへやら、焦りを覚えずにはいられなくなったタカエンマは首の両側をチョップで挟み撃ちにされる。
『カッ…ハ!?』
喉が圧迫し呼吸が困難になり回復する暇を与えずともえ投げでくらい、立て続けに投げ飛ばされた。
片翼を失ったために虚空でもがくタカエンマに追撃を加えるべく、スカイライダーはペンギンサーヴァントの顎を蹴り上げると、飛び立つ。
そしてタカエンマの腰を鷲掴みにし、自分共々回転させ……本日3度目の99の技を行う。
「スカイライダー99の技の一つ、ライダームーンサルト!」
スカイライダー99の技。
それはかつて、スカイライダーと7人ライダーをも苦戦させる強敵グランバザーミーを前に、7人ライダーにより行われた友情の大特訓。
それにより強化した姿と共に会得した99の技を示す。
先の竹とんぼシュートと槍渡り陽炎の術、そしてこのライダームーンサルトも全て特訓によって会得したのだ。
技名を叫び終えたところでタカエンマをペンギンサーヴァント目掛けて投げ飛ばし、2体は仲良く衝突し倒れ込む。
シャインも着地したスカイライダーと合流し、互いに確認し合う。
「スカイライダー!」
「タイミングは俺が合わせる。遠慮せずにやってくれ」
「はい!」
〈シャイニングチャージ!〉
ベルトを読み取ったリーダーを通してエネルギーが全体に伝達し終わったシャインがジャンプし、スカイライダーもそれに続く。
「「--ライダーダブルキィィック!!」」
シャイニーキックと大回転スカイキック。
各々の必殺キックが華麗に邪悪な敵に炸裂し2体は大きく吹き飛び、ぴくぴくと痙攣する
『く、くそがああああああああああ!!』
『見事なり…仮面ライダー…』
己を倒した相手をタカエンマは恨みながら、ペンギンサーヴァントは敬意を評し爆発を起こし、散る。
爆発により伴った爆風で赤いマフラーが上下に揺れてながらも、スカイライダーはシャインに手を伸ばす。
彼の行動がいまいち分からず、脳内に疑問符が浮かび上がっているシャインであったが、やがて意図を理解し同じように手を出した……俗に言うところの握手だ。
無言で手を握りこくりと頭を動かす2人のライダーに戦いを見守っていた人々が歓声を上げた。
「ありがとう仮面ライダー!」
「昨日は酷いこと言ってごめんな!」
「あんたは俺たちの命を救ってくれた英雄だ!」
「え、え? 」
19年間歩んで来た人生において、体験したことのない事態にシャインは先とは別の意味で戸惑う。
そんな彼が困惑している様に失笑しながらも、スカイライダーは助け船を出す。
「みんな感謝してるんだよ、君に」
「はあ…」
言われて納得はいくが少しばかり受け入れられない部分はあるのか、シャインの返事は曖昧なものであった。
だがそんな彼に止まない歓声の中からある声が聞こえ、過剰に反応する。
「ありがとかめんらいだー!」
(ん……この声どこかで聞き覚えが)
いつだったか自分が聞いた声色の高い声だ。
舌足らずな言葉使いから子どもであろうことが容易く連想できるが、具体的な持ち主の特定にまでは至らない。
シャインが必死に記憶を巡らせていると、ある瞬間電撃が走ったような衝撃に襲われる。
(思い出したこの声あの時の子のだ)
自分がライダーとして初めて戦った日にクモサーヴァントに危害を加えられそうになったのを、寸でのところで助けた男の子だ。
実際に声を聞いたのは短い時間でかつ一度だけだったので思い出すのに随分と時間を要した。
しかしその反面シャインは自分がやって来たこれまでの行為は無駄ではなかったのだと、ようやく実感できた。
収まりきらない嬉しさをどうにか胸に押しやると、その子に歩み寄りしゃがみ込みながら頭を撫でた。
「どういたしまして」
それからゆっくりと余韻を味わいながら戻り、スカイライダーと一緒になって人々に手を振る。
そしてスカイライダーは重力低減装置を作動させシャインの手を握ると……大空へと飛翔した。
「セイリングジャーンプ!」
「「「ありがとう仮面ライダー」」」
人々は姿が見えなくなってもその場を離れようとせず、何度も何度も空に向かって手を振っていた。……自分たちの命を身を省みず助けてくれたヒーローに向かって
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太陽が西の方角に沈みかけている橙の空を背景に2人の人間が、風心館から2km程の地点に降り立った。
シャインとスカイライダー、彼らはそれぞれ変身を解除すると手を握り合う。
キラは感謝の気持ちを伝え、うっすらと口をほころばせた。
「ありがとうございました。何から何まで迷惑をかけてしまって」
「いや迷惑をかけたのは俺の方さ。タカエンマを
申し訳なさそうに顔をしかめる男にキラは見覚えがあった。
今朝絶望の淵から自分を救った男だった
「まだ名前を言ってなかったな。俺は筑波洋、趣味は。ハングライダー」
「涙奏キラです。風心館って旅館で働いてます」
簡潔な自己紹介を交わし、筑波は日本を訪れた経緯を説明した。
「タカエンマはフランスで密かに生物兵器の開発を行っていたんだ。兵器自体は完成する前に潰せたんだがタカエンマには逃げられてね、この数日間あいつの足取り追っているうちにここに来たんだ。まさか、11人目の仮面ライダーがいるなんて思いもしなかったけど」
「僕も似たような人がいるなんて知りませんでした」
「ははは、分かるよ。俺も先輩たちに初めて会った時はそんな感じだったから」
「そうだったんですか?なんか意外です」
時間を忘れて2人は談笑をした。
仕事の話や趣味の話、学生時代の話になどをしているといつの間にか夜空が広がっていた。
丁度いいところで話を切り終えた筑波は通信で呼び寄せたバイクに乗り、ヘルメットを被る。
「もう行くんですか?」
「俺としてはもう少し話したいんだけどまだフランスでやることが残ってるから」
若干がっかりと言いたげな様子なキラ。
キラとして筑波から聞きたいこと学びたいことはあった。
だが自分の勝手で留めることなどできない。
彼は今も人間の平和を守るために戦いを続けているのだから。
キラはそう理解し別れを告げようとするが、それより前に筑波が助言めいた言葉を言った。
「優しさを無くさないでほしい、優しさは弱さだと決めつけないでほしい。優しさは強さを助けるんだ…それだけは忘れないでくれ」
いきなり何を言うのか、とキラは目を丸くする。
その傍らにいる筑波にはある意図があった。
1日会った程度の関係だがキラの性格は分かったつもりだ。
真面目で純粋な性格
それは人としては美点だ、素晴らしい程に。
だが戦いにおいてはその優しさが命取りになる。
優しさに漬け込まれ生涯を終えるなんて、事態が冗談で済まされない世界だ。
長く戦闘に身を置いているからこそ、幾度となく敵に優しさを利用された経験を持つ筑波だからこそ、言っておかねばならなかった。
どれだけ戦いで足手まといになろうとも優しさは無駄にはならないと
その優しさで救えた命…魂もあるのだと
言葉に込められた明確な願いは分からなかっただろうが、その重みは充分に理解できたのかキラは大きく頷いた。
「はい!」
「その様子だともう大丈夫そうだな」
人と異なる姿と力を受け入れたキラの自信に満ちた声を聞き、筑波は安堵する。
そしてエンジンを噴かすとキラの肩にぽんと手を置く。
「また会えますか?」
「会えるさ、必ずまた。だから俺たちの帰る場所を守ってくれ」
「頑張ります。先輩たちに負けないぐらいに」
「ああ。またな」
そう言い残すと筑波はバイクを発進させ、この場を後にした。
彼の姿を目に焼き付けていたキラもまた、託されたものの重さを噛み締めながら帰路につく。
風心館が視界に飛び込んできた時には辺りはすっかり真っ暗になっていた。
空に浮かんでいるのは幾つかの星と丸い月のみ。
キラは扉の前で立ち尽くしたまま、なかなか動けずにいた。
「はぁなんて説明しよう…」
昨日から戻っていないのだ。
女将のツボネはもちろん、アキヒロにも心配をかけさせてしまっただろう。
当然事情を聞かれるだろうが答えようがないのも明確。
怪物と戦って遅くなりましたなどと口が割けても言えはしない。
どうするべきか対応に追われていると、不可解なことにキラが手をかけていないのに勝手に扉が開かれた。
「お帰りキラくん、遅かったわね…中に入らないの?体冷えるわよ」
「……あ、はい」
中から出て来たのは大原ツボネであった。
彼女は茫然としているキラに中に入るように促すと、嬉々とした仕草でキラの後ろに回りその背中を押す。
整理が追い付かない頭でありながら、キラはツボネに謝ることを決めた。
「あの、すいませんでした。昨日帰って来なくて」
「いいわよ全然」
てっきり怒られるかと思ったが 、あっさりとした表情で許されてしまった。
予想を裏切られたキラは素朴な疑問をツボネにぶつける。
「怒らないんですか?」
「キラくんも年頃の男の子なんだしいちいち怒らないわよ。たーだ、連絡ぐらいはして欲しかったけど」
「すいませんでした。これからは気を付けます」
「うむ、よろしい」
そんな会話をしている間に彼らは居間へと行き着いた。
すると白いソファーに座り、こちらをきょとんとした目で見ている少女がいるのにキラは気付く。
華奢な体つきに腰まで届く優雅に靡く黒髪、あどけなさを感じさせる黒い瞳と顔つき。
そこまで特徴を挙げたところでキラは、あっと納得の声を漏らす。
自分が導きだした答えの正解を聞くべく、隣のツボネに訊ねる。
「ツボネさんもしかしてあの娘、こないだの娘ですよね?」
「そうよ。昼頃目が覚めてね、まだ記憶を思い出せないみたいだからそれまでうちで面倒みようと思うんだけど、キラくんはどうかしら?」
「僕は構いませんよ、それが一番だと思いますし」
「初めましてあなたがキラさんですか?ツボネさんからあなたのお話は聞いてます」
ツボネの案にキラが同意すると、その問題の少女が立ち上がり歩み寄る。
改めて至近距離で少女を見るとキラは不意に慌ててしまった。
「う、うん。ええっと、君の名前は……そっか名前も分からないんだっけ」
「そうだったわね。名前がないのも困りものだし、何かいい名前ある?」
「そんないきなり言われても」
確かに名前がないのはこの先色々と不便だろう。
かといって無意味な名前にするわけにもいかない。
できるだけ女子っぽい名前でかつ、少女とツボネそして自分が賛同できる名前が好ましい。
唸りながら考えている拍子に、キラは窓から入り込む月の光に目を奪われた。
「……月……ミヅキってどうですか?」
「ミヅキ…ね。いい名前じゃない!あなたはどう?」
「ミヅキ…ミヅキ…はい!私も気に入りました。ありがとうございます!キラさん」
何度も自分の名前を復唱すると、少女は満面の笑みを浮かべた。
咄嗟に考えたものではあるが自分が考案した名前を気に入られたキラも、その様子を心地よく見ていた。
「さて名前も決まったことだしそろそろご飯にしましょう」
「あっ、そういえば今日何も食べてなかったんだ」
1日中ほとんど何も口にしていなかったのを今さら思い出すキラ。
彼にとって今日は色々な出来事がありすぎて、空腹など空の彼方に飛んでしまったのだろう。
今頃になって鳴り出した腹を抑えながらキラもどんな食事が出るのか楽しみなミヅキも、ツボネに続いて食卓に向かった。
ちなみにその後酒に酔ったアキヒロにキラが付き合わされ、翌日二日酔いになったのは秘密だ。
ようやくヒロイン出せました!
今度の昭和ライダーはヒントを言うなら奇数組です。
そして次回から第2フォーム回です。