懐かしくてとても楽しかったです
晴天の下二つの影が交わり小さな花火を散らす。
それらは地面に着地すると背後を振り向き、また激しくぶつかり合う。
カブトムシの異形は自らの武器である大剣で戦士の爪とつばぜり合いを行う中、沸き上がる高揚の言葉を溢す。
『久しぶりの感覚だ…やはりこれはいい…』
カブトムシの異形-ビートルサーヴァントの大剣が勢いを増し、爪を圧迫していく。
大剣に押されつつある戦士-シャインは腕力ではあちらに分があると判断し、がら空きになっている腹部を蹴りを入れ瞬時に相手から離れる。
うめき声を上げビートルサーヴァントは怯むがそれも僅かな間の出来事。
即座にシャインに迫りその体を大剣で切り裂く。
痛みを堪え四肢を駆使しての反撃に転じるも屈強な鎧が誇る防御力に阻まれ、逆に一撃をもらってしまう。
「今までの相手とは違う…!」
『当たり前だ!これまでお前が相手にしてきたのは人間を媒介に生み出されたサーヴァント。純粋な闇から生まれた俺とは…実力も格も違う!』
「くっ!」
〈フェニックス!ポセイドン!アビス!〉
そういい放ち向かって来るビートルサーヴァントに対しシャインはこのままではまずい、とメダルを変える。
召喚された三叉槍-トリアイナで大剣を正面から迎え撃ち切り結ぶ。
トリアイナの腹部分で横凪ぎに振るわれた大剣を受け止めると、一瞬だけ全力を出し押し返す。
そして鋭利な突きを胸の中心目掛けて刺しにかかる。
金属同士が衝突し合う音が鳴り響き、その音に周辺の木々に止まっていた鳥たちが驚いて飛び去つ。
シャインは大なり小なり、少なくともダメージを負ったはずだと、実感を持っていた。
だが、ビートルサーヴァントはまるで何事もなかったかのように佇んでいた。
「何!?」
『これが攻撃か?笑わせる、攻撃とはこういうもんだあ!』
「ぐわあああ!」
先の仕返しとでも言いたいのかビートルサーヴァントの蹴りがシャインの腹部に当たり、更には下から振り上げられた大剣が追撃に決まる。
豪快に切り飛ばされ地べたを転がり回るシャイン。
そんなシャインの滑稽な姿にビートルサーヴァントは、嘲笑しながらも憤慨した。
『どうしたその程度か?そんなはずはないだろう、残りの赤いメダルでも使ったらどうだ』
「赤の…メダル?」
「まさか忘れたとは言わせんぞ、俺はそれで倒されたんだからな」
--残りの赤いメダル
その言葉にシャインは疑問を覚える。
しかしビートルサーヴァントは彼の反応に興味を示さず、大剣を右肩にかける形にしながら歩み寄り、拳で殴打していく。
『それとも、余裕ってことか?俺を倒すのに他のメダルは必要ねえと……そう言いてえのか!』
倒れ伏すシャインにビートルサーヴァントが大剣を振りかざす。
受けたダメージが回復仕切れておらずシャインは、逃げることも回避することもできなかった。
ただ自分の五体に重く太い刃が食い込むのを待つしかなかった……はずだった
その行為は突如死角から飛んで来た水の弾丸により妨害されてしまった。
『ちぃ!何だ!?』
水の弾丸が放たれた方角をビートルサーヴァントが見るとそこには、緑色の半魚人がいた。
シャインは新たに現れた怪物を敵かと思い、片膝を付きながらも身構える。
そんなシャインとは異なりビートルサーヴァントは半魚人を、知っているかのような発言をした。
『お前は…!』
『だめ…だ』
『むぅん!』
今度はビートルサーヴァントに背後から、フランケンシュタインに似た顔をした紫の巨人と青い狼が飛び付く。
自身の両腕を掴んでいる二体の怪物を振り払おうと、ビートルサーヴァントは抵抗する。
2体の怪物はさせてたまるかと、踏ん張っていたもののビートルサーヴァントの腕力に青い狼は負けてしまい、抑えられていた片腕が自由になってしまう。
残りの腕の束縛から逃れるべく、力を振り絞るが相手の腕力は自分のそれを大幅に上回っていた。
ならばと自らの得物で切り裂こうと狙った。
それが実行に移される前に青い狼が刀身を蹴り飛ばし、ビートルサーヴァントの手から大剣が離れる。
生じた隙を逃さず、半魚人の水の弾丸と紫の巨人の拳がまともに直撃。
3体の連携は流れる水のようなしなやかさを持っており、一切の無駄がない。
現にビートルサーヴァントは後退していく有り様だ。
『お前ら、全滅したんじゃなかったっけか…ファンガイアども!』
『それはこっちの台詞だ。てっきりお前は焼かれて灰になったと思っていたんだがな』
両者共に皮肉を言い合うビートルサーヴァントと青い狼。
彼らは刃物に近い鋭さを持った視線を目の前の敵に向ける。
するとしばらくしてビートルサーヴァントの方が興ざめとでも言うかのように肩の力を抜く。
『やめだやめだ、邪魔が入ったんじゃつまんねえ…シャイン!お前の命、次に会う時まで預けておいてやる。それまで俺に殺られる覚悟を決めておくんだな!……それと、てめえも潰してやるからな』
『面白い、やってみろ』
シャインと3体の怪物……特に青い狼に、そう言い残し残し立ち去るビートルサーヴァント。
体力を消耗し負傷しているシャインは当然だが三体の怪物はビートルサーヴァントを追おうとはせず、姿が見えなくなるのを待っていた。
(何なんだ…この3人?)
半魚人による乱入からいまいち状況が飲み込めないシャインであったが、とりあえず今混乱している頭で可能な限り情報を整理する。
半魚人と紫の巨人、青い狼は戦いぶりからして仲間同士であるのは明らか。
この3体とビートルサーヴァントは敵対関係にあり、何らかの理由で彼らに助けられた。
ここまで頭の中でまとめたシャインは知らない相手であるものの、礼を言ったほうが良いだろうと代表格と思われる青い狼に近付く。
「あの、助けて頂きありがとうございました。あなたたちは一体……!?」
口を開いた瞬間だった…青い狼が一瞥するといきなり爪で襲いかかった。
その上、最悪にもこの攻撃が合図となり半魚人と紫の巨人も水弾や重量感のあるパンチでシャインに猛攻を加え始めたのだ。
「が……どうして!?」
味方かと安心した途端に浴びせられる攻撃にシャインは、驚き半分怒り半分で問い詰めるが相手は聞く耳を持ってはいなかった。。
シャインは傷付いた体に鞭を打ち、水弾をトリアイナで打ち落とし、背後から迫る豪腕に対して体を捻らせかわす。
負傷している体でありながら見事な立ち回りを見せていたが、いつまでもそれが続けられるはずもない。
疲弊の影響で動きが鈍くなった瞬間を見逃さず、青い狼が自慢の爪で一閃。
「うわあああああああああああ!!」
風を切るかのような激しい攻撃を受け、橋から海へと落下するシャイン。
ボチャンという音と水飛沫が上がったのを確認すると三人の怪物は、自身の姿を人間の姿へと変化させた。紫の巨人は引き締まった筋肉の巨漢に
半魚人大人しそうな印象の中学生ぐらいの少年に
そして、青い狼はスーツ姿の男性-次狼へと
「死んだ……のか……」
「ガルル、確認してこようか?」
「必要ない。気に食わないがあの程度で死ぬたまじゃない………そろそろ戻らないと王子が心配する、いくぞ」
シャインが落下した水面を見下ろし三者三様の反応を取る。
巨漢は首を傾げ半魚人はガルルと次狼を呼び、意見を求めた。
次狼は水面に広がっている波紋をまじまじと見ると、それを背に歩き出し少年と巨漢も後に続く。
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「残るはお前と俺だけ、そろそろ決着をつけるぞ!」
「負けませんよ、ここで負けるわけにはいかないんです」
「よし、じゃあ引け!」
「……決めました。これです!…」
「ウエェェェェェェェェェェェェェェェイ!?ジョーカー!?負けたー! 」
夕暮れ間近の風心館では円卓を囲んで5人の人物が、トランプゲームをしていた。
料理長のアキヒロと女将のツボネ、数日前からここに住んでいる記憶喪失の少女ミヅキ。
そして本来、この時間にはここにはいないはずの人物が2人。
ワタルと同じ制服を着た純粋さを感じさせる顔立ちをした少年-アスム。
どこか子供に似た雰囲気と端正な顔を持ち合わせた青年-剣立カズマ。
何故彼らがここにいるのかというと……
『すいませんカズマさん。お忙しいのにわざわざ』
『いいって、俺も今日は暇だったしさ…それより勉強はどうだ?』
『勉強は、まあまあ…ですかね。数学と理科以外は』
『理系分野かー、俺は結構出来たほうだったな逆に文系が駄目だったけど』
親がいないアスムのため、代わりに学校の避難訓練で彼を迎えに行ったカズマ。
その帰りの最中、互いに世間話をしながらショッピングモールを通りがかると辺りをキョロキョロ見渡しているミヅキが目に入った。
『あれ?カズマさんあの人どうしたんでしょう?』
『ほんとだなんか困ってる感じだな』
基本こういう類いの出来事は見過ごせない2人はミヅキに話し掛けた。
『どうしたんだ?そんなキョロキョロして』
『人を探してるんです、お買い物をしている時にいなくなってしまって』
『どんな人なんですか?その人の特徴とかありませんか?』
『えっと、キラさんという方なんですが』
思いがけないところで知り合いの名前を聞き、軽く驚くカズマとアスム。
キラとはシンジやソウジなどと同じく、年齢の離れた友達と言っていい関係だ。
彼の温厚な部分はアスムも尊敬しているし、カズマも感心する程の真面目な性格。
女の子がキラの知り合いというのも意外だがもっと気になったのは、彼が女の子1人残してどこかへ行ってしまったことだ……それも何も言わずに
何かしらの理由があったのだろうと、カズマとアスムは予想しミヅキに提案を持ち掛けた。
『そうだ。風心館に先に戻ったらどうだ?俺達も一緒に行って待ってるから』
『いいんですか?』
『荷物もかなりありそうですし、女性1人で持ち帰るのは大変ですからね』
『ありがとうございます』
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カズマとアスムの気遣いに感謝し、ミヅキは彼らと共に風心館でキラを待つことにした。
待っている間暇をもて余したカズマがババ抜きをしようと言い出し、アキヒロとツボネを巻き込んでのトランプゲームが開始されたのだ。
因みにこのババ抜きアキヒロとカズマは密かに賭けをしており、どちらかが片方に負けた場合敗者が勝者に金銭を払うことになっている。
「負けた~」
「ザマアみろカズマくん!賭けは俺の勝ちだ!」
「もう一回!もう一回だけお願い!」
「駄目だ!勝負は1度きりだ!」
純粋な子供の前で醜くく黒い争いを繰り広げる成人男性2人。
そこには大人としての威厳や尊厳は微塵も有りはしなかった。
「ずるいぞアキヒロさん、あんたこないだのボーリング大会の時にも賭けで負けたくせに何もしなかったろ!」
「いや~覚えてないな~そんな昔の話。年取るとね記憶が曖昧になってきてね~」
「汚ねえぞあんた!」
「勝負に汚いも何もないんだよカズマくん!そもそもねえ、ケツの青いガキにこちとらまだ負けてはいられないんだよおおおお!!」
「あんたそれでも大人か!!?」
…唯一あったのはごく単純明快な欲望だけ
しょうがないと言いたげにツボネはため息を吐き、ミヅキとアスムに至っては無視に入ったのか神経衰弱を行っていた。
今も勃発している終わりなき論争になると思われたが、ある1人の人間によってあっさりと終結を迎えることとなる。
「…子供の前で賭けなんてしないでくださいよ」
「うわああ!?」
「ふぇい!?」
いつの間にかすぐ側に立っていたキラにアキヒロとカズマは椅子からひっくり返りそうになったが、ひっくり返ったのはカズマだけで済んだ。
その際倒れたカズマの財布が開いてしまい、中の小銭が床に散らばってしまった。
「ちょっと脅かさないでくれよキラくん」
「いってぇ~」
「賭け事も場所を考えてほどほどにしてくださいよ」
「キラさんお邪魔してます」
「こんにちはアスムくんゆっくりしていってね」
アキヒロとカズマを軽くしかりつけ、アスムの挨拶に手を上げるキラ。
彼を見てカズマは床に打ち付けた後頭部を抑えながら訊ねる
「そういえばキラ、何でミヅキをショッピングモールにおいてけぼりにしたままどっかに行ったんだ?」
「それは…まあ色々あって、迷惑かけてすいませんでしたカズマさん」
「俺はいいからにミヅキに一言謝ったらどうだ?」
やむを得なかったとはいえ、何も告げずにその場を離れてしまった自分にも非はある。
カズマの言うことは最もだとキラも心中で同意し、アスムとの神経衰弱に決着を着けたミヅキに謝罪の意志を伝えた。
「ごめん…ミヅキ」
「いえ私は気にしてません…ただ…」
「ただ…?」
言葉の続きが気になりキラは反射的に復唱してしまう。
「お買い物が途中で終わってしまったのが残念です」
「あ、……そっか、じゃあまた今度時間があったら行こうか」
「はい、その時はまたお願いします」
また買い物をしようと約束を交わしこれで問題無し。
キラはそう思い自室に向かおうとした。
しかし階段を上がりかけたキラをアスムが慌てて制した。
「キラさん」
「どうしたの?アスムくん」
「これってキラさんのものですか?」
そう言って彼が見せたのは、おとぎ話に出てくるような不思議な姿をした馬が描かれた白いメダル。
キラはそれが何なのかを理解すると、どこで見つけたのかアスムに問いただす。
「どこにあったの?」
「僕の足元に落ちてたんです。僕の物じゃありませんし、カズマやミヅキさんの物でもないみたいでしたからキラさんのかなと」
「あ、うん。ありがとう、どこにあるか分からなくて困ってたんだ」
もちろん嘘だ。
だが本当のことを言えば厄介な事態に陥る可能性がある。
キラはそう考えアスムに礼を言うと、メダルをもらい階段を上がっていった。
バタン、と自室の扉を中から閉めるといきなり前のめりになって倒れ込む。
「はあ、はあ……っ!」
心配を掛けさせまいと、他の皆がいた手前妙な仕草を取らないよう注意していた。
だがその注意が緩んだことにより、再び痛みが全身を襲い呼吸も荒々しくになりつつあるのだ。
だがそれも致し方ない話だ。
ビートルサーヴァントに痛み付けられた体を、回復する間もないうちに更にメッタ打ちにされたのだから。
「ぐっ…何だったんだ…一体…」
薄暗い部屋でただ1人呟くキラ。
シャインを知っていたビートルサーヴァント、彼が言った赤のメダル、味方なのか敵なのかはっきりしない3体の怪物…
新たにわき出た謎を知りたい思う反面、知りたくないとも思いつつあるキラであった。
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『……ガルル、お前は逃げろ!』
『何言ってるお前を残してなど行けるか!』
『いいから行け!俺は命に変えても、アイツを止めるだから……行け』
『ウェイクアップ・3!』
『キングス、ワールドエンド……!』
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「キング!」
次狼は声を張り上げるが部屋には彼以外誰もおらず、何の反応も返ってこない。
周囲を見渡し、自分が見ていたのが夢であると知ると次狼は安心を覚え、肩で息をする。
目が覚めて早々苛立ちを募らせ憎々しげに舌を打つ。
夢とは実に勝手が効かないものだとつくづく思う。
気分の良い夢は目が覚めてしまえばほとんど思い出せないというのに、逆の不吉な夢は色濃く残ってしまうのだから。
また寝るのも癪に触ると判断したのか窓を開け室内に夜独特の冷たい風を入れると、次狼は懐に手を入れてある物を取り出す。
「ちっ、夢か…よりによって一番見たくない夢を…」
忌々しさが混じった口調である物を力強く握った。
それは頭部に1つの角を生やした馬が表面に刻まれている…キラが持っている物とは異なる
やるかどうか分かりませんが……近頃、仮面ライダー大戦みたいな感じのストーリーを考えています。
もしその場合、スーパー戦隊側からも1戦隊ぐらいは出したいと思っています……戦隊最近あんまり見てないけど