次の日。クラスはかなり賑わっていた。その中心は一夏さん。
「織斑くん!私とタッグ組んでー!」
「いや私とー!」
何事?と、事態が飲み込めないうちに僕も囲まれてしまう。
「あっ!あたしデュノアくんでいいや!」
「えー!私はイアンくんにする!」
「えっ?えっ?えっ?」
ど、どうしよう…姉ちゃんがいれば姉ちゃんと組むって言えるけど……、
「ご、ごめんね…僕はイアンと組むから……」
そう言うシャルルさん。その瞬間、女子達は「男同士なら許せる」みたいな空気を作って退散する。ていうか一夏さんに再び突撃する。
「ちょーっ!待てって!俺は……」
なんてやってるのを捨て置いて僕はシャルルさんの元へ。
「た、助かりました……」
「まったく、男の子なら自分でなんとかしないと…」
「男にとって一番怖いのは歳上の女性ですよ…」
「なにか言った?」
にっこり微笑むシャルルさんが怖かった。
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放課後。姉ちゃんにお見舞いでリンゴを持って行って、今は自室。ラウラさん対策に僕とシャルルさんは会議中。
「……ねぇイアン。思ったんだけどパープルティアーズの性能ってあまり高くない?」
「え?はい」
「いや『はい』って…これ、下手したら第二世代型レベルの機体だよね?」
「仕方ないですよ。元々、ブルーティアーズと訓練機の余りのパーツで作ったんですから。武器だってスターライトリペア、ピストル×2、インターセプター×2しかありませんから。防御に使う分は少しでも速度を上げるために軽量化してありますから」
「……大丈夫なのそれ?確かにイアンはかなり強いけど…」
「僕は強くないですよ」
「この前、ラウラのこと圧倒してたじゃん」
「あ、あの時は無我夢中で……」
頬を掻く僕をジト目で睨んで来るシャルルさん。
「ま、いいよ。とにかく、ボーデヴィッヒさんが誰かとチームワークを組むとは思えない。そこを狙うよ」
「はい」
と、会議は進む。気が付けばもう夕方の7:00を回っていた。
「そろそろご飯食べにいこっか」
そんなわけで食堂。
「あ、一夏さん!」
「お、イアンか」
篠ノ之さんと一緒に歩いている。
「ふんっ」
僕、篠ノ之さんに嫌われてるのかなあ……。なんか目を合わせてくれない。
「一夏さんは誰と組むんですか?」
「あぁ、俺はクジだ。周りの女子のおかげで千冬姉がそうした」
「妥当な判断ですね…」
「だろ?大変だったんだぞ。どっかの男二人は勝手に組んじまうしよ……」
「「うっ…」」
僕とシャルルさんは詰まった声を出す。ていうか、シャルルさんって周りからしたら男なんだよね。篠ノ之さん、気まずいんじゃないかな……。と、思ってチラッと見てみたら全然違った。どうやら一夏さんさえいれば他はどうでもいいようだ。
これは邪魔しちゃいけないかな。
「すいません一夏さん。僕、やっぱ部屋で食べます」
「え?なんで?」
「たまには料理したくて。では」
僕が部屋に戻ると、シャルルさんも悟ったのかついてくる。
「えーっと、なに作ろうかな…」
「しかし、イアンもそういうところちゃんと気遣ってあげるんだね」
シャルルさんが関心したように言う。
「いや、なにより気まずかったんですけどね…それより、なにか食べたいものとかありますか?」
「んー…なんでもいいよ。僕は好き嫌いとかないし」
「分かりました。ではテキトーに作りますね」
数十分後、完成したのは塩焼きそば。
「あれ?焼きそばってイギリス料理だっけ?」
「いえ、その……姉ちゃんに料理させないために、『今日は○○料理覚えたんだ!』って言って誤魔化すために色んな国の料理勉強してたので……」
「大変だね……」
「まったくです」
で、お皿に盛り付けて机の上に置いた。
「どうぞ」
「いただきます!」
ゾボボボボと啜る。うん、まぁまぁかな。シャルルさんの口には合ったかなと思って、横をチラッと見ると箸の扱いに苦戦していた。
「す、すいません。お箸、苦手だったんですね」
「う、うん……練習はしてるんだけどね……」
「フォークにします?」
「い、いや…その……」
? なんか珍しく歯切れ悪いな。
「食べさせてくれると、嬉しいな……」
………今なんつった?食べ……なに?
「あの、シャルル、さん……?」
「二度も言わせるの?」
「ご、ごめんなさい!でも、焼きそばで…?」
「口に入れてくれれば後は自分で啜るよ」
「そ、そうですか…では、あーん……」
あむっと一口。
「ん……(ズズズッ)、美味しいね」
いや、あの…恥ずかしいんですが……。そのまま完食するまでお手伝い。一時間かけてようやく小っ恥ずかしい晩御飯が終わった。