トーナメントから一週間経った日のこと。
「ねぇ、シャルロットさん」
放課後の教室。イアンがシャルロットに声を掛ける。
「どうかしたの?」
「その…パープルティアーズの修理は終わったんだけど、強化しようと思って、手伝って、くれないですか……?」
「うん。いいよ。行こっか!」
にこりと笑って答えるシャルロットにパァッと明るくなるイアン。で、二人は整備室へ。だが、そこにあったのはパープルティアーズじゃなくてダブルベッド。
「イアン?これってどういう…」
「えいっ!」
「ふぇ!?」
ドサッと押し倒されるシャルロット。
「い、イアン……?」
「シャルロット、僕と、一つになろう……」
「えっ?えっ?えっ?」
みるみる赤くなるシャルロット。
「だ、だめだよそんなの!」
ガバッと起き上がると自室。それが夢だったことに気付くのに約10秒。
(あわわっ…僕はなんて夢を……)
自分で自分が恥ずかしくなるシャルロット。
(今更だけど…僕ってイアンのこと好きなのかなぁ……って、でも二つも歳下なんだよ!?これじゃあし、ショタコンみたいだよ!)
が、イアンのことを考えると頬が熱くなるのは事実。
(うー…確かに、戦ってる姿はかっこよかったけど…でも…だからって二つも歳下の子に……)
が、今までIS開発の道具として扱われていたシャルロットにとってこの感情は理解し難いのも事実。だから、今までの自分の行動を含めて協力者に話して、意見を聞いてみることにした。
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「恋ね」
「恋だな」
「恋ですわ」
の、三段活用。
「やっぱりかぁ……」
と、深々とため息をつくシャルロット。
「ていうかあんた、それだけ大胆なことしといて自分の気持ちに気付いてなかったの?」
「うっ」
鈴に言われてグサっと来るシャルロット。
「と、いうか逆にそれではただのビッチだぞ」
さらに箒の追い撃ち。
「そもそも、あまりわたくしの弟に淫らな物を見せないで下さる?」
トドメの一撃。もはや残りHPは限りなくゼロに近い。
「それで、どうすればいいかなあ……」
「なんであたし達に聞くのよ」
至極当然のことを聞く鈴。
「だ、だって三人とも一夏にゾッコンでしょ?」
「「「は、はぁ!?なにをバカな……!」」」
「だから、アドバイス貰えるかなあって……」
三人の反応などまるで無視して言うシャルロットだった。
「うーん…一応聞くけど、ラウラはどうしてるわけ?」
「毎日のように夜這いに行ってるよ…その度にイアンが泣きついて来る」
「なんで少し嬉しそうなのよ」
呆れる鈴。
「そうだセシリア!イアンってなにか好きなものない?」
「うーん…あるにはありますけど…果たしてあなたがそれについていけるか…」
「教えて!」
「昆虫、ロボットアニメ、仮面ライダー、ウルトラマンですわ」
「」
それには全員が呆れムードになる。
「子供っぽいな……」
「なんかトミカとかあげたら喜びそうな感じ……」
箒、鈴とゲンナリした声を出す。
「あと、最近ではこの前壊れたパープルティアーズの改造にハマっているみたいですわ。一緒に行ってきてはどうですの?」
「え?で、でも僕、ISを作り方なんてとても…」
「大丈夫だろう。手伝うという行動だけでも大分ポイントは上がると思うぞ」
セシリアの思い付きに箒の援護射撃。
「ちょうど今もあっちにいるんじゃない?行ってきたら?」
「わ、分かった!ありがとみんな!」
そのままパタパタと整備室へ向かうシャルロット。
「なんか、恋する乙女って感じねー」
「お前もそうだろう」
「箒さんの言えた台詞ではありませんわ」
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整備室。ソーっと音を立てないようにシャルロットは中へ入る。
「イアン、いるかな……」
中ではイアンがコツコツと武器を作っていた。布仏本音、てかのほほんさんでいいや。のほほんさんと一緒に。
「それにしてもアイアイはよくそんなトリッキーな武器を思い付くね〜」
「うーん…やっぱりロボットアニメの影響なんですかね…こんな感じのを使いたいっていうのを作ってますから」
(なんか、忙しそうだし…布仏さんいるなあ…僕が行っても意味あるのかな……い、いやいや!箒も手伝いに来たことに意味があるって言ってたし!大丈夫だよ!)
で、深呼吸すると、心を落ち着けて目を見開いた。
(よしっ!)
「イア……」
「あれー?でゅっちーなにしてるのー?」
「ひゃあぁぁぁぁっっ‼︎‼︎」
びくびくぅっと跳ね上がるシャルロット。
「うぇっ!?」
それに反応してイアンも振り向く。
「あれ?シャルロット、さん……?」
「や、えーっと!本日はお日柄も良く…じゃなくて!」
アワアワと慌てるシャルロットを不思議な目で眺めるイアン。
「えっと…お、お手伝いに、来たよ……?」
途切れ途切れにそう告げるシャルロット。最初は不思議な顔をしていたものの、イアンはすぐに笑顔になって答えた。
「ありがとうございます。じゃあ、完成した武器をテストしてもいいですか?」
「! うん!」
そんなわけで、第二アリーナ。パープルティアーズは既に直っているらしい。
「模擬戦形式でもいいですか?追加武装は二つだけなので」
「うん。そう簡単にはやられないからね」
戦闘開始。
「行くよリヴァイヴ!」
初っ端からヴェントをぶっ放すシャルロット。それを横に回転しながら回避し、スターライトリペアを呼び出して撃つ。が、それもかわされた。
「このっ!」
さらにレイン・オブ・サタディ、ショットガンを二丁取り出し、イアンに乱射。それを実に緩やかにかわすイアン。イアンはスターライトのグリップを引き抜く。
「まずは、一つ目!」
そのグリップから出たのは短いビームダガー。それをぶん投げた。
「そんなもの!」
それを撃ち落とすシャルロット。だが、その瞬間大きく爆発した。
「うあっ!」
「そして、二つ目!」
イアンはピストルを二丁取り出すと、それを縦に繋げた。そして、ストレージから砲口のような筒を取り出し、前のピストルの真下に装着する。
「喰らえ!リボルビングピストル!」
解説。ピストルを繋げることによって、本来の倍のエネルギーのビームを放てる。また、砲口を前のピストルの真下に付けて、前の引き金を引くと、砲弾が飛び出す。
まぁそんなわけで、砲弾が飛んだ。爆発に爆発が重なり、アリーナは爆発に包まれた。そして、イアンは空高く飛び上がった。取り出したのは再びスターライトリペア。そこから煙の中の熱を感知する。
「狙い撃つッ!」
パシュッと狙撃。数秒後、模擬戦終了のモニターが出た。
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「ご、ごめんなさいって!最後の狙撃は確かにいらなかったと思います!」
さっきから謝ってるのはイアンだ。で、怒ってるのはシャルロット。今は模擬線が終わり、寮の食堂である。
「ふんだ。武器を試すだけとか言ってた癖に」
本当は、ただ単に叩きのめされたのが悔しかっただけだ。
「ごめんなさい…次から、気を付けますから……」
余りにも泣きそうな顔をされてしまったため、逆に困ってしまうシャルロット。そして、ふっと笑うとイアンの頭に手を置いた。
「今度、臨海学校があるよね」
「へ?は、はい……」
「その水着買いに行くから。着いてきて」
「わ、分かりました…」
「それと、あだ名」
「え?」
「僕、本名言ったからみんなもう『シャルロット』って呼ぶでしょ?だから、僕とイアンだけのあだ名考えてくれたら許したげる」
「え?えーっと……」
困った顔をするイアン。
「し、シャル、とかは…どうですか?」
しばらく無表情のシャルロット。だが、すぐにニコッと笑ってイアンの頭を撫でた。
「じゃ、次の休日、ちゃんと空けといてよ」
「は、はい!」
そのままシャルロットは部屋に戻りながら、にやにやする自分の顔を隠せなかった。