セシリアに弟を作ってみた   作:ウルトラマンイザーク

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束さん

 

 

 

 

次の日。寝ているとゆさゆさと揺さぶられた。なんかぼやーっとしてて誰だかわかんないが、髪の長い人。誰だろ…。

 

「起きんか馬鹿者」

 

「姉ちゃぁ〜ん…」

 

もうちょい寝たい。だから僕はガバッとその人を布団の中に引き摺り込んだ。どんな人でも布団の魔力に抗える者はいない。一緒に寝かせてしまえばいい。これで姉ちゃんとのなら戦績128戦中91勝だ。微妙な所かな。

 

「ほう、教師に手を出すとはいい度胸だなイアン」

 

……………ん?教師?目を見開くと、織斑先生が同じ布団に入っていた。

 

「ご、ごごごめんなさい!ね、寝ぼけてました!」

 

「目は覚めたようだな」

 

「は、はい!それはもうギンッギンに!」

 

ど、どうしよう!なに言われるんだろう!

 

「私は少しお前を特別視していたようだ。だが、私のクラスにいる以上はいくら歳下でも平等に扱うべきだな」

 

「や、あの……」

 

「今から走り込みだ。朝食は抜き。一番近くのコンビニまで走り込みだ」

 

「へ?一番近くのコンビニって……確か近くて10km先じゃ……」

 

「いいから行け」

 

「は、はいぃ!」

 

慌てて出て行った。

 

 

_________________________________

 

 

 

「っふぅ、っふぅ……」

 

走り込み。うぅ…辛いぃ……。もう無理だよ…歩いちゃおうかな……いいよね。織斑先生監視してるわけじゃないし…そもそも運動苦手なのにこういうこと自体が間違えてるんだよ。

そんなわけで僕は少し歩く。その瞬間、目の前に人参が降ってきた。それもでっかいの。

 

「………え?」

 

パカッと開く。中からうさ耳の女の人が出て来た。

 

「やっほー!んだよぉー!ねぇねぇ君君ぃ、花月荘ってどこだか知ってるぅー?」

 

なんかすごいテンションだな……。とりあえずなんとか答えないと。

 

「え?えっと……僕、今そこから走ってたので、良かったら案内しますよ?」

 

「大丈夫だよ。場所分かってるし!束さんに分からないことはないんだよー!」

 

じゃあなんで聞いたんだよ。

 

「それより君、あそこは確かIS学園が貸切にしてるはずだけどどうしてそこから来たのかなー?」

 

「え?それは、僕もIS学園の生徒だからで……」

 

「あれ?ってことはまさかいっくん?」

 

「え?……いえ、そう呼ばれたことは、ないですけど…」

 

「ふむぅ…あー!まさか二人目の男の子でISを動かせる子か!まぁ分かっててここに降ってきたんだけどね!それで、これからどこ行くの?もう朝練始まるんじゃないかな?」

 

「その…ちょっとした理由でコンビニまで走り込みで…あ、パシリとじゃないですよ」

 

「そっかそっかー大変だねぇー。にしても君、外国人にしては礼儀正しいね。気に入った!束さん君のことも気に入っちゃった☆名前教えてくれるかな?」

 

「え、えと…でも、知らない人に名前教えるのは……」

 

「あははっ!若いのに固いね!大丈夫!私は天才篠ノ之束さんだから!」

 

全然大丈夫である理由がわから……篠ノ之束?

 

「えぇっ!?あの…IS作った……!?」

 

「そうそうー!私は今、失踪中だから!だから名前くらい教えてよー!不貞腐れるぞー!」

 

「わ、わかりましたから!イアン・オルコットです」

 

「うーん、君もいっくんかぁ…よし決めた!君はいーくんだ!」

 

「………へ?」

 

いやそれあんま変わってないような…ていうか勢いでアダ名付けられた。

 

「それで、最後のお願い!君の専用機見せてくれるかな?」

 

「……へ?どうして僕が専用機持ちだって……」

 

「えっへん!束さん天才だからね!その指輪みれば分かるよ」

 

「で、でも…僕の専用機って余ったパーツで作った奴だから…そんなにスペックは……」

 

「ん?君が自分で作ったのかな?」

 

「は、はい……」

 

「いい子だね君!尚更見たくなっちゃった!」

 

「は、はあ。では……『パープルティアーズ』」

 

言うと、僕の周りに纏われて行くパープルティアーズ。

 

「おぉ…これを君一人で作ったのかぁ……ちょっと勝手に見せてもらうよー!」

 

「え?でも、これ僕がブロック掛けてて……」

 

自分で言うのもなんだが、セキュリティ対策はバッチリだ。うちの学園の三年生が束になって解析しても見ることは出来ないだろう。だが、目の前の束さんは平気でこなして見せた。………すごい。ほんものだ……。

 

「ふぅーん、おもしろい武器を使うねぇ……でも、これ上げようと思えばもっとスペック上げられるよね?どうしてこの程度なのかな?」

 

「あー…えっと、その…僕は余り機体の性能とかアテにしたくなくて……あと防御とかも余り上げないで回避メインにしたくて……」

 

「なるほどねぇ〜いやぁ、可愛いねぇ君!よし、特別に束さんが君のISを作ってあげよう!」

 

「………へ?」

 

「大丈夫!君の要望通りの機体にするから!じゃあそろそろちーちゃんと箒ちゃんに会いに行かないといけないから!またね!」

 

そのまままた飛んでった。なんか、すごい人だったなぁ……。あ、そろそろ走り込みしなくちゃ。

 

 

___________________________

 

 

 

一時間後、やっとの思いで走り込みを終えて戻って来ると誰もいなかった。

 

「遅かったなイアン」

 

ラウラさんが待っていた。

 

「あの、なにかあったんですか?」

 

「緊急事態だ。ついてこい」

 

なんだろう……なにかあったのかな。ついていった先は大座敷。今では完全に会議室となっている。

 

「では、現状を説明する。二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS『銀の福音』が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したとの連絡があった」

 

なるほど…緊急事態だったか……。いやさっきラウラさん言ってたけどね。

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから2km先の空域及び海域の封鎖を行う。教員は訓練機を使用してその海域の封鎖。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

 

つまり、僕らがそれを止めるのか。

 

「それでは作戦会議を始める。意見のあるものは挙手するように」

 

「はい、目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

「わかった。ただし、これらは二カ国の最重要軍事機密だ。口外はするな」

 

「わかりました。……広域殲滅を目的とした特殊射撃型……わたくしのISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですわね」

 

「攻撃と機動の両方を特化した機体ね。厄介だわ。しかも、スペック上ではあたしの甲龍を上回ってるから、向こうの方が有利……」

 

「この特殊武装が曲者って感じはするね。ちょうど本国からリヴァイヴ用の防御パッケージが来てるけど、連続しての防御は難しい気がするよ」

 

「しかも、このデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルもわからん。偵察は行えないのですか?」

 

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。最高速度は時速2450kmを超えるとある。アプローチは一回が限界だろう」

 

「一回きりのチャンス……ということはやはり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね…」

 

どれが誰の台詞かは大体分かってもらえただろうか。最後のは山田先生の言葉。それをきっかけに僕を含めた全員が一夏さんを見た。

 

「え………?」

 

間抜けな声を出す一夏さん。

 

「あんたの零落白夜で落とすのよ」

 

「それしかありませんわね。ただ問題は」

 

「どうやって一夏をそこまで運ぶか、だね。エネルギーは全部攻撃に使わないと難しいだろうから移動はどうするか」

 

「しかも目標に追いつける速度が出せるISでなければいけないな。超高感度ハイパーセンサーも必要だろう」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!お、俺が行くのか!?」

 

「「「「当然」」」」

 

四人の声が重なった。うわあ…いや一夏さん以外には無理なんだろうけどちょっとかわいそうだな。

 

「織斑、これは訓練ではない。実践だ。もし覚悟がないなら、無理強いはしない」

 

それを織斑先生に言われると、一夏さんの表情は引き締まった。

 

「やります。俺がやってみせます」

 

「よし、それでは作戦の具体的な内容に入る。現在、この専用機持ちの最高速度が出せる機体はどれだ?」

 

「それなら、私のブルーティアーズが。ちょうどイギリスから強襲用高機動パッケージが送られて来ていますし、超高感度ハイパーセンサーもついています」

 

「超音速下での戦闘訓練時間は?」

 

「20時間です」

 

「ふむ。それなら適任……」

 

「待った待ーった。その作戦はちょっと待ったなんだよ〜!」

 

ん?どっかで聞いた声だな。と、思ったら束さんが天井から生えていた。

 

「やっほー!いーくん!一時間ぶりだねー!」

 

うわあ…手ぇ振ってる……それと周りの人からの「知り合いなの?」的な目線が嫌だ。

 

「山田先生、室外の強制退去を」

 

「えっ!?は、はいっ。あの、篠ノ之博士、とりあえず降りてください」

 

「とうっ★」

 

山田先生の言葉を無視して着地。

 

「ちーちゃん、ちーちゃん。もっといい作戦が私の頭の中にナウ・プリティング!」

 

「出て行け」

 

織斑先生の冷たい声も無視して束さんは言った。

 

「聞いて聞いて!ここは断・然!紅椿といーくんの出番なんだよ!」

 

「えっ?」

 

今度は僕が間抜けな声を出した。

 

「この紅椿は高機動パッケージなど必要なしに超高速機動が出来るんだよ!あとそこのいーくんが足止めしてくれればいっくんが隙を突いて落とす。完璧な作戦じゃないかー!」

 

「えっ!?ぼ、僕!?」

 

ちょっとそれは僕には……、

 

「束、お前パープルティアーズのスペックは見たのか?速度的に考えても足止めにもならん」

 

「ちーちゃんこそいーくんの戦闘データ見たの?あの子は機体の性能ではなく自分の腕で戦えるんだぞー!」

 

「うえ!?だ、だから僕はそんなに強く……」

 

「とにかく!いーくんといっくんと箒ちゃんに任せなさい!」

 

そんなわけで、束さんの独断と偏見で作戦は決定した。

 

 

 

 

 

 

 

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