臨海学校も期末試験も終業式も今日終わり、夏休みに入ろうというこの頃、僕は一夏さんと自室にいた。シャルさんが女の子だの分かった時にこの部屋割りに戻った。
「ふーん。じゃあイギリスに帰っちゃうのか」
「はい。まぁすぐに戻って来れると思うんですけどね」
「そっかー。でもお前ら帰らなくてもいいんだろ?用があるのセシリアなんだから」
「嫌です。姉ちゃんと一緒にいたいです」
「シスコン……」
「聞こえてますよ」
「本当のことだろー甘えん坊め」
「違います!大体、一夏さんだって織斑先生にべったりじゃないですか!」
「違うね。俺達は両親がいないから二人でいる機会が…」
「それは僕も一緒です」
ジト目で僕は一夏さんを睨む。
「ま、なんでもいいか。それより帰っちまうんなら遊びに行こうぜ」
「はい!どこに行きますか?」
「出来れば男だけで行けるところだよなー」
「なんで男だけですか?」
「ほら、ここの学園に来てからあんまり男と遊ぶ機会ないだろ?」
「なるほど。じゃあどこに行きます?」
「どこか行きたい所あるか?日本に来てまだ日も浅いし、行ってみたい所とかあるだろ?」
「うーん…じゃあ、遊園地!」
「男二人で遊園地……」
「? どうかしました?」
「いや、なんでもない。行くか」
「今からですか?」
確かに今日は終業式で学校も10:30に終わったけど。
「都合が合わないなら明日とかでもいいけど」
「いや、今行きましょう!」
そんなわけで着替えて出発した。
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一夏とイアンが部屋を出ると、バッタリ鈴と出会した。
「あ、鈴。よう」
「う、うん。どっか行くの?」
「だから頭撫でるのやめてくださいよ」
「あぁ、ちょっとイアンとな」
「そっかー。男同士ってこの学園だとあんまないもんね。どこ行くの?」
「遊園地」
「デートか!」
「え?」
鈴からツッコミが来た瞬間、キョトンとした声を出すイアン。すると、一夏が鈴の肩を組んでヒソヒソ話し。
「ちょっちょちょちょっと!いきなりなにを……」
「バッカお前、イアンが日本で行ってみたい場所っつーから行くんだよ。余計なこと言うとあいつが遠慮しちゃうだろ(小声)」
「そ、そう…悪かったわね……(小声)」
「じゃあ俺達行くから」
「う、うん」
出発進行。
「もしもしセシリア?暇だったらでいいからちょっと遊園地行かない?」
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「ほら、ここがウルトラスーパーメガ粒子ハイ・メガ・バズーカランチャーツインバスターライフル遊園地だ」
一夏に連れられて遊園地に到着。
「なんか乗りたいものあるか?」
「と、言われても何があるのか分かりません」
「そういえばそうか…じゃ、俺がエスコートしてやるよ」
「よろしくお願いします」
「じゃあまずは……」
と、2人が仲良く歩く中、その数m後ろでは、
「聞いた?エスコートだってよ……」
「覗き見なんて趣味が悪いですわよ鈴さん」
「そんなこと言いながら双眼鏡持ってきてるじゃない」
「だ、だって!弟の貞操の危機なんてどっかの中国が言うからつい……」
「いや、それにしても覗く気満々よね。あんたも大概ブラコンね」
「んなっ……!それ以上言うと帰りますわよ!?」
「ふーん。じゃあイアンが一夏に何されても言い訳ね?」
「んぐっ……!わ、わかりましたわ!行けばいいんでしょ行けば!」
尾行するバカ二匹もいた。まぁそんなことはさておき前の二人は列へ。二人は一番前の席になり、ガタンガタンとゆっくり動き出した。
「うわわっ……」
「大丈夫、俺が守るから」
「えっ?今何か……」
「いやすまん。間違えた」
(危なかった……ついうっかり男になるとこだった)
そのころ、セシリアと鈴。手元でセシリアが双眼鏡を握り潰した。
「ちょっとあんたなにやってんのよ」
「あら、脆い双眼鏡ですわね」
「いや明らかに高そうなんだけど……」
「高ければ頑丈という物ではありませんわよ」
なんてやってると、ガタんっと動き出した。ゆっくりと傾いてコースを登る。
「うわぁ、高い……」
「こっからだぜ」
「へ?」
で、頂上。ピタッと止まったかと思うと、一気に急降下!
『キャアァァァァッッ‼︎‼︎‼︎』
と、客が声を上げる。イアンもその一部だ。
「うおっ…思ったより……」
と、一夏も少し怯む。が、ギュッと手を握られた。イアンに。その瞬間、キリッとした顔になる一夏。そのまま一周し、二人は降りた。
「やっぱり一番前だと怖かったなぁ…一夏さんはどうでした?」
「余裕だった」
即答である。
「やっぱりすごいなぁ、一夏さん」
「まぁな?まぁいつも白式乗ってるわけだしこの程度は余裕だなうん」
そんな様子を見ながら鈴は、
「なによあいつ…最初の方はビビりまくってた癖に……ほらセシリア行くわよ」
「……………」
「セシリア?」
「鈴は先にお二人を追ってくださいな。わたくしはお手洗いに行ってまいりますわ」
「はぁ?それくらいあたしも付いて行くけど……」
「いいからさっさと追ってください。台無しになりたいんですか?」
「分かったわよ……早く来なさいよー」
そのままタタタッと走って行く鈴を後ろから眺めながらセシリアはトイレに向かった。
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「次はどこ行こうか……」
一夏がキョロキョロしながら歩いてるが、イアンの目線は一か所に止まっている。その場所はメリーゴーランド。
「……………」
(どうする、気付かないフリをするか乗ってやるか……いやしかし、男同士であれ乗るの?しかも中学生と高校生で?冗談キツイどころかキツ苦しいレベルなんですけど……ていうかどこまで子供っぽいんだこいつ……)
「一夏さん」
「どうした?」
「あれ乗りたいです」
「やだ」
「な、なんでですか!?」
「あれは、ほら…お子様用かバカップル限定だから。俺達は男同士で……」
「でも、乗りたいです」
上目遣いで言われ、怯む一夏。だが、まだ耐えている。理性が勝っている。
「ダメ、ですか……?」
「乗ろう」
振り切った。二人はメリーゴーランドの列へ。
「ふぅ…お待たせしましたわ鈴さん」
「あ、あんた何してたのよ。なんかあった?」
「いえ、特には……」
「もしかしてお漏らししちゃったとかー?」
「………………」
「えっ嘘……や、ごめん。誰にも言わない」
「で、どうしてあの二人はメリーゴーランドへ?」
「可愛い弟ね……」
「えぇ、自慢の弟ですわ」
「そういうことじゃなくて……」
で、メリーゴーランド。楽しそうなイアンと恥ずかしそうな一夏の写真を撮る鈴とセシリアだった。
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今度はお化け屋敷に向かう2人。
「僕、こういうの苦手なんですけど…」
「大丈夫だよ。死にはしないからな」
「そういう問題じゃ……」
中へ入った。
「あたし、こういうの苦手なんだけど……」
「あら、こういうのわたくしは好きですわよ?おもしろそうでしょう」
「小学生の頃、一夏と電気消してバイ○ハザードやってチビってからトラウマで……」
「……やめときます?」
「いや、行くわ」
で、突入した。一方、一夏とイアン組。
「うおーっ!」
「わわっ!」
ギュッと一夏の腕にしがみ付くイアン。
「ご、ごめんなさい……」
「大丈夫だ。問題ない。むしろもっと来い」
「じ、じゃあ…手ぇ握っててもいいですか?」
「おう!」
無駄に男前な一夏と、
「きゃあぁぁっ!もうやだぁ!帰ろうセシリア!」
「まだ入って3分も経ってませんのよ……」
「うわあぁぁん……」
ビビりまくってる鈴と実に面倒くさそうに受け止めてるセシリアだった。
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「もう時間も時間だし、帰るか」
一夏がそう言うと、イアンはキョトンとする。
「へ?日本の遊園地って最後は観覧車に乗るものなんじゃないんですか?」
(なにを言ってるのこの子)
「や、それはだからカップル限定なわけで……」
「そうなんですか?」
「だからもう帰……」
「観覧車の一番上からIS学園が見えるか確かめたかったのになぁ……」
「行くぞ観覧車」
「ええっ!?」
(どんだけ可愛い理由だよこいつ…)
その後ろ。
「ねぇ」
「はい」
「男同士で観覧車に行って何するつもりなのあのバカ達」
「止めなければ、流石に止めなければ……」
「でも、どうやって止めんのよ」
「わたくしに秘策がありますわ」
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観覧車の中。
「わー!見える見える!見えますよ一夏さん!IS学園」
「はははっ。本当だ。なんか小さく見えるな」
なんて笑いながら話す2人。
「今日、楽しかったですねー」
「あぁ。イギリスには遊園地ないのか?」
「ありますけど、でもやっぱり別の国のって気になるじゃないですか」
「……あぁ、分かる。俺もアメリカのUSJとか行ってみたい」
「アメリカだとJ付きませんよ?」
「あっそっか」
なんて話してると、観覧車がガタンと揺れた。
「わわっ」
イアンがバランスを崩しそうになった時、一夏の唇に口が……、
「さぁせるかぁっ!」
変なお面を付けて甲龍に乗った奴が……ていうか鈴が衝撃砲を放った。
「んなっ!?」
「えっ!?」
二人はなんとかかわそうとするが、観覧車の中なのでどうしようもない。そのまま観覧車の一部が吹っ飛んだ。
「ふ、凰さん!?なんでこんなところに……!」
「イアン!後ろだ!」
言われて振り返ると、後ろからビームが飛んでくる。
「うわあっ!」
今度はサングラスを掛けたセシリア。
「姉ちゃん!?」
「この変態どもがぁぁぁっっ‼︎‼︎」
「仕方ねぇ!白式!」
「秋桜!」
二人してISを装着。
「やるぞイアン」
「分かってます!」
うおおおおっと四つの専用機がぶつかりあった。
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遊園地の職員室。
「とにかく!先生方には連絡しておきましたから!」
「「「「すいませんでした」」」」
捕まり、学園で千冬にめちゃくちゃ怒られた。