※ここからの会話はすべて英語だと思ってください。
僕は姉ちゃんとイギリスに帰国した。姉ちゃんはこれでもオルコット家の代表やらなにやらで忙しい身だから、戻らないわけにはいかなかった。
「チェルシーさん。お久しぶりです」
「はい。イアンさん」
「ではわたくしは職務がありますから。チェルシーはイアンのお世話をお願いします」
「姉ちゃん!だから子供扱いは……」
「かしこまりましたお嬢様。イアンさん、参りましょう」
「はーい。姉ちゃん」
「はい?」
「早目に終わらせてね」
言うと、クスッと笑って言った。
「はいはい……」
で、チェルシーさんと自室へ。
「チェルシーさん。ゲームやりましょうゲーム」
「かしこまりました」
「もう、いつも言ってるじゃないですか。敬語やめてって」
「ならイアンさんこそ敬語やめてくださいな。私はイアンさんのメイドですよ?」
「で、でも…歳上の人にタメ口は……」
「イアンさんが敬語やめたら、私もやめます」
「じ、じゃあ…よろしくねチェルシーさん」
「うん」
にこっと笑うチェルシーさん。ちなみにこのやり取り、僕とチェルシーさんが二人きりになる度にやってる。
「ほら、膝の上おいで」
「うん!」
チェルシーさんの膝の上でゲーム。頭も撫でてくれるし安心できる。普段、子供っぽさを隠してる僕としてはこの時間は大好きだ。
「余り隠しきれてませんけどね……」
「? なにか言った?」
「ううん。それより今日は何のゲームやりたい?」
「うーん…スマブラDXかな」
「また古いゲームを……」
「いいじゃん!さぁやろう!」
「はいはい。じゃあ準備しますね?」
「僕がやるからチェルシーさんはジッとしてて!」
「はぁーい」
言いながら僕はゲームキューブにディスクを入れてコントローラを二つさした。
「さ、やるよ」
「はい」
で、涼しい顔でこの人は僕のことをフルボッコにするんだから本当に嫌だ。
「もう、なんでプリンでそんな無双出来んの?」
「どのキャラも使い方次第だよー?」
「……なんかムカつく」
なんてやってると、部屋のドアが開いた。
「ふぅ…休憩ですわ……」
姉ちゃんが部屋に入ってきた。
「あ、お疲れ様ぁ〜」
「お疲れ様ですお嬢様」
「なっなななにをやってますの!?」
「「ん?」」
二人揃って間抜けな声を出してしまった。
「どうかし姉ちゃん?」
「な、なんで膝の上に……!」
「なぜって…お嬢様も知っておられたはずですが……」
チェルシーさんもそう言う。
「そ、それはそうですが……にしてもあれですわ!もう中学生なんですからそろそろ……」
「やだ」
「なんでですか!?」
「だってチェルシーさんの膝好きだもん」
「くっ……いつになく甘えん坊モードのイアンですわね……」
「だって、四月からチェルシーさんに会えなくて寂しかったもん」
「んぐっ……」
詰まるセシリア。
「お嬢様、この位は許してあげてくださいな」
チェルシーさんの援護射撃。
「はぁ…分かりましたわ」
「それに、嫉妬はあまり好ましくありませんわ」
「んなっ……!だ、誰にですか!?」
「チェルシーさん。姉ちゃんが好きなのは一夏さんだよ?」
その瞬間、生まれる謎の沈黙。と、思ったら姉ちゃんはビットを部分展開。
「えぇっ!?」
「ふん。愚弟」
そのまま不機嫌そうに出て行ってしまった。
「ごめんねイアンさん。少しいいかな?」
言われて僕はチェルシーさんの膝の上から退いた。そして、チェルシーさんも出て行ってしまった。
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(ありえません!ありえませんわ!わたくしが弟を……!いくら少しだけ頼りになるからって……!)
とか思いながら居間のソファーにふんぞり返るセシリア。
(大体、わたくしには一夏さんが……!)
でも最近はイアンが誰かと仲良くしているのを見ると、少しイラッとする。例え一夏であっても。
「お嬢様」
呼ばれて振り返るとチェルシーが立っていた。
「チェルシー?なんですの?」
「いえ、ただブラコンも度を越えたと思いまして」
「んなっ!な、な、なにをバカな……!」
「でも、イアンくんは渡しませんよ?」
「えっ……?」
「私、イアンくんが好きなんです。ずっと、前から」
「……………」
「夏休み明けてから。覚悟してくださいね」
ニコッと笑うとチェルシーはイアンの部屋に戻った。
(わたくしは………)
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目が覚めて時計を見る。6:00か……起きなきゃ……。とりあえず軽く伸びをして居間へ。チェルシーさんはまだいないよね?今日の夜には日本に戻らなきゃいけないんだから今日くらいは僕がご飯を作ってあげたい。
そんなわけで、キッチンへ。冷蔵庫の中は……うん、ある。とりあえず日本で買ってきた魚でも焼……、
「あらイアンさん。早いわね。どうかしたの?」
そっちこそ早くね?
「あの…明日で僕達、今日の夜に日本に戻っちゃうから…今日くらいは僕がご飯作ろうと思って……」
「そっか…じゃ、一緒に作る?」
「うん!」
そんなわけで一緒に朝飯作り。姉ちゃんがいたら爆心地となりかねないのでなるべく起こさないように作った。で、完成し、居間に並べる。
「じゃ、ぼく姉ちゃん起こしてくるね」
「いってらっしゃーい」
で、僕は姉ちゃんの部屋に入った。
「あっ」
着替え中だった。
「ごめん姉ちゃん。出直すわ……」
「こんのっ…愚弟がっ!」
飛んでくるビーム。
「うわっ!なんで姉ちゃん!?普段は別になんともないじゃんか!」
「う、うるさいですわ!」
部屋のドアを閉めても追ってくるビット。
「ご、ごめんなさい!次からはちゃんとノックするから……!」
と、謝ったところで姉ちゃんが着替え終わって出て来た。
「い、いえこちらこそ…大人気なかったですわ。そうね、姉弟ですからね……」
「ど、どうしたの姉ちゃん。最近なんか変だよ?」
「なにもありませんわ。それよりなにか用があったのでしょう?」
「朝ご飯出来たから呼びに来たんだけど……」
「あら、そうでしたの。では参りましょう」
「本当に大丈夫かな……」
不安に思いながらも僕は朝食の席に戻った。
「今日はチェルシーさんと二人で作ったんだよ」
「そう。それは楽しみですわ」
そのまま他愛のない時間が過ぎていく。姉ちゃんの職務も昨日で終わったので、今日はずっと一緒にいられた。
「じゃ、そろそろ出発ですわね」
そんなわけでしばらくまた実家を空ける。チェルシーさんはIS学園前まで付いてきてくれるみたいだ。
「ではイアン、先に車に乗っててくださる?」
「へ?姉ちゃんは?」
「後で行きますから」
言われるがまま僕は車に乗った。なんなんだろ……。
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「チェルシー、いいかしら?」
「はい。お嬢様」
セシリアは家でチェルシーと二人で話す。
「わたくし、実はまだイアンと一夏さん、どちらが好きか自分でも分かっておりませんわ」
「はい」
「それでもこれだけは言っておきます。あなたには負けませんわ」
「はい。私もセシリアお嬢様には負けません」
「それだけですわ。じゃ、行きましょう」
「はい」
で、二人は車に乗り、ブゥーンと空港へ向かった。
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ようやく!IS学園に帰って来たぁー!さぁて、これからまた頑張らないと!
「じゃあ、チェルシーさん!またね!」
「イアン」
不意に呼び捨てで呼ばれ、少し戸惑った。が、そんな僕の気も知らずにチェルシーさんは僕の頬にキスをした。
「えっ……?」
「もっと、男になって帰って来てね」
そのままチェルシーさんは行ってしまった。僕はただその後をぼーっと眺めるしかなかった。