IS学園に帰ってきた。と、言っても僕はこれと言ってすることがなかったので、とりあえず一人でオモチャ屋に向かった。買う物は決まっている。ダブルドライバーだ。えーっと、ダブル…ダブルっと、あった。よし、あとは特にないか。買って店を出た。
外に出ると、店の出口に自販機が設置されていた。喉乾いたし、コーラ飲みたい。
チャリンッピッガシャンッ
で、一口。やっぱコーラ美味いよなぁ…炭酸といえばコーラだわ。うん。なんてやってると、今の店からまた客が出てきた。なんか見たことある顔だな……。
「…………………」
誰だっけ…眼鏡の、ん?どっかで見たことある気がする……。その人の手元にはダブルドライバーが握られている。その瞬間、僕の体に電気が走った気がした。
そして、買ったばかりのダブルドライバーを腰に巻いた。その瞬間、向こうもダブルドライバーを装着。僕の手にはサイクロンメモリ、彼女の手にはジョーカーメモリが握られている。
「「変身」」
で、僕は倒れて、コンマ数秒の技で彼女のダブルドライバーにサイクロンメモリを置く。そして、変身した。
カチッ
ビィンッ!
カチッ
ビィンッ!
『サイクロン、ジョーカー!』
「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」
気が付けば通行人のほとんどがこっちを見ていた。あれ?救急車のサイレンが聞こえるよ?僕と彼女は急いで逃げ出した。
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そのままその人とは何も会話しないで別れた。すると、僕の携帯がヴーっと震える。姉ちゃんからだ。今日は一夏さんとプールって聞いてたんだけどな……。
「もしもし?」
『あ、イアン・オルコット様のお電話でしょうか?』
「そうですけど……」
『ウォーターワールドの叢雲ガイといいます。お手数ですが、こちらへ来ていただきますか?』
「……………へ?」
そんなわけで僕はそのウォーターワールドへ行った。
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「ねぇ、ごめんってばイアン」
「も、申し訳ございませんわ」
2人に謝られるが僕は許すつもりはない。
「まったく…プールでIS使って姉の保護者として呼び出されるなんて……」
この後にファインディングエボリューション買いに行く予定だったのに……。2人を寮まで連行して先生に報告しなきゃいけない。
「うっ…だから悪かったですわ」
こんなことのためにわざわざ呼び出されるなんて思わなかった。本当に最悪の気分だよまったく。
「と、所でイアン。何買ったのそれ?」
「なんでもいいでしょ」
「うっ……」
ジト目で睨むと凰さんは怯む。中身がバレたら怒られるかもしれないが、紙袋に入っているので問題ない。
「ほら着きましたよ。次、こんな事で呼び出したらもう知りませんからね」
「「「ご、ごめんなさい……」」
さて、ちょうど寮に着いたし、荷物置いてからゲーム買おう。
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荷物を置いて再び出発。……お腹減ったな。どっかご飯食べに行こう。近くのカフェでいいや。そう思ってたまたま見かけたカフェに突入。
「いらっしゃいまs……」
シャルさんが執事の燕尾服で出迎えてくれた。
「何やってんですか」
「い、イアン……なんでここに……」
いやそれこっちの台詞。つーかなんで執事の格好?なんでこんなクソ似合ってんの?
「あの、シャルさんって男性でしたっけ?」
「怒るよ?」
「ごめんなさい」
なんてやってると今度は別の人がこっちに来た。
「おいシャルロット。なにをしている。さっさと接客を……あっ」
ラウラさんだった。流れる沈黙。なにこれ、どーすんの?てかどーなんの?
「な、なぜこんなところにいる……」
ラウラさんなんて恥ずかしさで顔真っ赤じゃん。
「や、ご飯食べに来たんですけど…」
「そ、そうか。では私が案内を……」
その時だった。後ろからバタァンッ!とドアが開く。慌てて振り返ると、僕は覆面を被った男に腕で首を絞められ、銃を突き付けられた。
「えっ?」
「動くんじゃねぇ!こいつの頭吹っ飛ばすぞ!」
こいつ?それって僕のこと?
「えぇっ!?困るよ!」
「今更かお前!」
強盗に突っ込まれてしまった……。って、そんな場合じゃない!
「え?やだよ助けて!」
「だから遅ぇ!いいから黙ってろ!」
ま、まずい!僕の人生最大のピンチ!福音以上の!
「だ、誰か……!」
と、思ったらラウラさんがなんかコップをおぼんに乗せて持ってきた。
「……なんだ、これは?」
強盗が聞く。
「水だ」
「おい、こいつの頭吹っ飛ばされたいのか」
「黙れ。飲め。飲めるものならな」
言ったかと思ったらトレーをひっくり返した。氷水が宙を舞い、僕を含めて全員がそれを見た。瞬間、ラウラさんの蹴りが僕を抑えていた強盗の手に当たり、拳銃を奪った。
「イアン!こっちだ!」
腕を引っ張られ、僕はラウラさんに助けられる。
「このっ!」
後ろの二人が拳銃を構えた。
「一人じゃないんだよね!」
その二人の拳銃を弾くシャルさん。そして、拳銃を奪って二人の頭に廻し蹴り。
「目標1、2制圧完了」
「目標3制圧完了」
と、いつの間にかラウラさんも強盗を倒している。
「す、すげぇ……」
思わずそんな声が出た。その後、警察やら何やらが来て、僕達は面倒な事になる前に退散した。で、今は臨海公園。
「すごいですね二人とも。銃持った強盗をあんなにあっさり……」
と、言いかけた所でラウラさんに頭を叩かれた。
「痛っ!」
「馬鹿者。私を倒し、教官となった者がなにをあっさり捕まっている」
「す、すいません……」
確かにちょっと情けなかったかもしれない。僕はISがないと何も出来ないのだ。
「ま、まぁまぁラウラ。イアンはつい最近まで普通の男の子だったんだから。あんまり責めないで」
「ふんっ……」
「それよりほら、着いたよクレープ屋さん」
ん?クレープ屋なんて目指してたのか?
「なんでクレープですか?」
「なんでも、あそこのミックスベリーとかいうのを好きな人と食べると……」
「わー!わー!な、なんでもない!なんでもないからね!?」
すごい勢いでシャルさんが止めた。
「? なにを隠す必要がある?」
「そうですよシャルさん」
「い、いいから!ほら買いに行こう!」
ま、大して気になってるわけじゃないからいいんだけどね。
「ミックスベリー、3つください」
シャルさんが言った。だが、
「すいません。ミックスベリーはもう終わっちゃったんです」
と、言われて残念そうな顔のシャルさん。でもさ、メニュー見て言おうよシャルさん……。ミックスベリーなんて…、
「では、ブルーベリー一つとイチゴを2つもらおう」
ラウラさんが言った。で、僕はブルーベリーをもらい、シャルさんとラウラさんはイチゴを食べた。なんでブルーベリーとイチゴ……あぁ、そういうことか。で、そこら辺のベンチに座る。
「んむ、んっ。これ、おいしいね!」
「そうだな。クレープの実物を食べるのは初めてだが、うまいと思うぞ」
「イアンは?美味しい?」
「は、はい。普通に美味しいと思います」
うん。実際、中々に美味い。
「せっかくだから、またみんなで来ようね。その時にはミックスベリーもあるだろうし」
うーん、この反応……まだ気付いてないのか。言っていいものなのか……。
「あぁ、そういえばあのクレープ屋だがな、ミックスベリーはそもそもないぞ」
「え?」
一刀の元斬り捨てやがった……。
「イアンも気づいていただろう?」
「は、はい。メニューにありませんでしたし」
「い、イアンも気付いてたの?」
「まぁ、どうせ店の人が客寄せのために噂作った…あ、いやそれならミックスベリーを本当に作った方が儲かるか。ならどっかの誰かが勝手に噂したんだと思いますよ」
「それにシャルロットは見事に引っ掛かったというわけだ」
うわあ…ラウラさん容赦ねぇ……。
「そうだったんだー」
と、思ったよりショックを受けてないシャルさん。なぁんだ。だったらさっさと言えば良かった。そんな事を思いながらクレープを食べる。すると、いつの間にか僕の顔のすぐ前にラウラさんの顔がある。
「えっ何です……」
ペロッと、ぺろっと頬を舐められた。僕もシャルさんもギョッとする。
「なっななな……」
「クリームがついてた」
「だ、だだっ、だだだからって、え、えぇぇ!?」
余りの動揺に思わず声が震える。
「余り動揺するな。男だろう」
「男だからですよ!」
何言ってんのこいつ?みたいな顔でクレープに戻るラウラさん。僕はただ舐められた頬を手で摩っている。と、思ったら頭をパカンと叩かれた。
「な、なんですかシャルさん!」
「女たらし」
「な、なんでですか!」
まったく…今日は厄日だ……姉ちゃんのせいで呼び出されたり、強盗に人質にされたり、女たらしだのなんだの言われたり……。
「まぁそう拗ねるなイアン。私のクレープをやるから、お前のクレープも寄越せ。それと、シャルロットとも交換してやれ」
「へ?」
「お前のことだ。気付いてるだろう」
「ま、まぁ気付いてますけど……じゃあラウラさんから、あーん……」
「あ…んっ。うん。では私のもやろう」
「ま、待って二人とも!さっきから二人で話進め過ぎだよ!」
突然割り込んでくるシャルさん。
「なんだシャルロット。あとでお前もやるのだからいいだろう」
「そうじゃなくて!なんでわざわざ食べさせ合いっこなんて……し、しかも、かっかかか関節き……」
「あ、ん…あ、イチゴも美味しいですねぇ」
「イアンまで勝手に……!」
「ほら、次はシャルロットの番だ」
さっきから一人で顔を赤くして戸惑ってるシャルさん。
「あの、もしかしてブルーベリー嫌いですか?」
「そ、そんな事ないよ!じゃあ、頂こうかな!」
で、ヤケに緊張しながら一口。
「じゃあ、今度は僕がいただきますね」
「え?う、うん……」
あむっと一口。
「うむ。これでミックスベリーだな」
最後にラウラさんがそう閉めた。キョトンとするシャルさん。
「えっ……?あぁっ!ブルーベリーとストロベリー!」
「ご名答」
楽しそうに笑うラウラさん。そんな様子を僕は横目で見ながら、またクレープを一口頬張った。