セシリアに弟を作ってみた   作:ウルトラマンイザーク

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夏休み2

 

 

 

寮。僕はシャルさんとラウラさんの部屋にいる。それだけなら別にいいんですが、問題は僕の服装なんですよね…なんでシャルさんのパジャマ着てるんでしょうか…しかも猫の。

 

「んー!可愛いー!二人ともすごく似合うよー!」

 

「あ、あの…シャルさんこれは……」

 

「だ、抱き着くな。動きにくいだろう……」

 

「ふっふー。だーめ、猫っていうのは、膝の上で大人しくしてないと」

 

「や、あの…僕人類なんですけど……」

 

うぅ…女の子が後ろと隣にいる状況……。

 

「今は二人とも猫なの!ほらほら、にゃーんって言ってみて?」

 

っざけんな。恥ずかしいとなそんなレベルじゃないぞ。

 

「嫌ですよ……」

 

「そ、そうだぞシャルロット。あまりふざけが過ぎると…」

 

「えーだって可愛いよ?可愛いはなによりも優先されることだよ?ほらほらー言ってみようよ〜にゃーん」

 

余りにしつこいので、僕とラウラさんは顔を見合わせた後、ため息をついて言った。

 

「「に、にゃーん……」」

 

「か、可愛い〜!二人とも写真撮ろう!ね?」

 

「「絶対嫌だ!」」

 

「そんなこと言わずにさぁ〜」

 

な、なんなんだこの人は……しかも逆らえる気がしない……。なんてやってるとノックの音がした。

 

「はーいどうぞー」

 

「いや良くないでしょ……」

 

僕の呟きも虚しく、開かれた扉。しかもそこにいたのは最悪の人物だ。

 

「お、なんか変わった服着てるな。白猫と黒猫だ」

 

一夏さんだった。僕とラウラさんの世界が終わる音、確かに聞こえた。

 

「なんか今日電話くれたみたいで、出れなくてごめんな。ちょっとIS関係ので緊急の用事があってな。ずっと缶詰だったんだよ。夕方に掛け直しても繋がらなかったし、それで様子見に来たんだ」

 

「ね、ね、一夏。この二人可愛よね?ね?」

 

いや「ね」って言い過ぎでしょうこの人。

 

「ん?あぁそうだな。なんか可愛いぞ二人とも」

 

「怒りますよ一夏さん」

 

「な、なんで!?」

 

いや分かれよ。男なら尚更。

 

「でもイアンがいるなら丁度いいや。今から俺、地元の祭行くんだけど、イアン一緒に行かないか?」

 

「あ、行きたいです。日本のお祭りがどんなものか知るいい機会ですし」

 

「そうか。じゃ、30分後に寮の前な」

 

「はい!」

 

 

_____________________________

 

 

 

そんなわけで、僕は一夏さんとお出掛け。それにしても日本のお祭りかぁ、割と楽しみだなぁ。

 

「ほら、着いたぞ」

 

「わあ……」

 

素直に感動した。これがで店かぁ……。

 

「僕、りんご飴っていうのを……」

 

「あー…悪いけど先に行くとこがあるんだ。そっちでいいか?」

 

「? は、はい」

 

言われるがまま付いていく。着いた先はどっか建物。人も何人かいて、舞台?がある。そこではどっかで見たことある篠ノ之さんが扇やら刀やらを振っていた。

 

「箒は剣術道場の娘さんなんだよ」

 

一夏さんの分かりやすい説明で納得した。そうだったのか……。

 

「なんか、綺麗ですね…篠ノ之さん」

 

「はははっ。まぁな」

 

「そんなこと言ったら僕、あの人に殺されそうですけど」

 

「? なんでだ?」

 

「や、それは嫌われてるから……」

 

「ははっ。多分、嫌ってないと思うぞ?」

 

「や、でも……」

 

「箒は、ほらあれだから。素直じゃない部類の奴だから」

 

そうなのかねぇ……。でも、化粧してるからかな。本当に綺麗だ。見違えるほどに。ていうか二度見するほどに。

 

「あ、終わっちゃった……」

 

思わずそんな言葉が出た。それくらいすごく綺麗なものだった。

 

「言っとくよ。イアンが褒めてたって」

 

「や、やめてくださいよー!」

 

「じゃ、行くぞ」

 

「? どこにですか?」

 

「箒のとこだよ」

 

この人、本当に言うつもりか……?ていうかそれなら僕いちゃいけない気がする。

 

「ていうか、それなら僕いいですよ。多分、篠ノ之さんにとってもお呼びじゃありませんし」

 

「は?なんでだよ」

 

この人本気で分からんのか……。とにかく、これ以上篠ノ之さんに嫌われたくない。僕はここで行くわけにはいかない!

 

「と、とにかく!僕は行きませんからね!」

 

「あ、もしかしてお前照れてんのか?」

 

「なんでそうなるんですか!そうじゃなくて……」

 

「はい、連行〜」

 

「はーなーしーてー!」

 

僕の叫びも虚しく、引きずられていった。

 

 

______________________________

 

 

 

「よっ」

 

「…………………」

 

「おつかれ」

 

一夏さんが学校で挨拶するみたいに挨拶した。ちなみに僕は一夏さんの後ろに隠れている。お守りの販売をしている篠ノ之さんからは見えないはずだ。しかしこの人、近くで見ても綺麗だなぁー。

 

「それにしても、すごいな。様になってて驚いた。それに、なんていうか……キレイだった」

 

「っ!?」

 

超驚いてる篠ノ之さん。「キレイだった」って聞いたときなんか顔真っ赤だからね。

 

「夢だ!」

 

「な、なに?」

 

いやそりゃそうなるでしょ……。一夏さんなキレイとか言うなんて……。

 

「これは夢だ。夢に違いない。早く覚めろ!」

 

「なにを言ってるのか分かんないけど本当に綺麗だったって。イアンも言ってたし」

 

「………は?イアン?」

 

「ほら、いつまで照れてんだよ」

 

「て、照れてないですよ!」

 

ドンッと押されて前に出る僕。その瞬間、あからさまに落胆する篠ノ之さん。

 

「やっぱり夢じゃないようだな……」

 

「? お、おう……?」

 

で、僕を睨む篠ノ之さん。こわいです。

 

「まあまあ箒ちゃん。大きな声を出してどうしたの?……あら?」

 

後から出て来る叔母さん。篠ノ之さんのお母さんかな……。

 

「箒ちゃん、あとは私がやるから、夏祭りに行って来なさいな」

 

「なっ!?や、やはり夢か……」

 

「箒ちゃん。現実に戻ってきてね」

 

と、その人は篠ノ之さんの頭にチョップ。どうでもいいけど、この人に僕の姿は見えてないみたいで、見事なスルーっぷりである。

 

「ほらほら、急いで。まずはシャワーで汗を流してきてね。その間に叔母さん、浴衣を出しておくから」

 

「あ、あ、あのっ」

 

「いいからいいから」

 

とわそのまま奥に行ってしまう篠ノ之さん。

 

「ちょっと待っててね。彼女を待つのも彼氏の役目よ」

 

「は、はあ……」

 

「それにしても箒ちゃんもモテるのね。男の子を2人も引っ掛けるなんて」

 

「「は?」」

 

僕と一夏さんが間抜けな声を出した時にはその叔母さんはもういなくなっていた。なんか、面倒な勘違いをしてった気が……。

 

 

__________________________________

 

 

 

そんなわけで、僕達は三人で出発した。

 

「で、一夏。なぜそいつまでいる?」

 

「俺が誘ったんだ。イアンも日本の祭りのこととか知りたかっただろうしな」

 

で、ギヌロッと僕を睨む篠ノ之さん。怖いです。

 

「あ、あの…やっぱり僕、帰った方が……」

 

「なんでだよ。一緒に回ろうぜ」

 

おい、ほんと少しは察しろよ。辛いよ。視線が比喩じゃなくて突き刺さってる。

 

「は、はい……」

 

「で、一夏。何をする?」

 

そう聞いたのは篠ノ之さんだ。心なしかイライラしてるように見えるしなぁ……。

 

「そういえば箒って金魚すくい苦手だったよな」

 

「い、いつの話だいつの!」

 

「ん?今は違うのか?」

 

「当然だ。私をいつまでも過去のままだと思うなよ」

 

「じゃあ、勝負するか?負けたほうが食べ物おごりな」

 

「いいだろう。望むところだ」

 

……なんだろう。会話に入れない……。これ、僕も参加したほうがいいのかなぁ……。なんて思ってる間にも二人は料金を払っている。

 

「何してんだイアン?やらないのか?」

 

「え?」

 

声をかけてくれる一夏さん。

 

「私は相手が歳下でも手加減なしだぞ」

 

意外にも篠ノ之さんも声をかけてくれた。

 

「じ、じゃあ…あの、やり方は?」

 

「まぁ俺たちのプレイを見ながら学んでくれ」

 

そんなわけで、スタート。

 

 

_______________________________

 

 

 

「いや、すいませんね。りんご飴に飲み物」

 

僕の一人勝ちだ。二人とも悔しそうに睨んてくるが、僕が優越感に浸っているため全然怖くない。

 

「「な、納得いかない……」」

 

「勝負に勝つためには現時点の自分を受け入れることですよー?」

 

「調子に乗るな」

 

スコンと篠ノ之さんにチョップを喰らった。

 

「いてっ」

 

「自業自得だ」

 

頭をさすりながら抗議の視線を送るが、涼しい顔で返された。

 

「さて、次はなにで賭けます?」

 

「「お前とはなにも賭けな……」」

 

「あれ?一夏……さん?」

 

二人の声が一人の声に遮られた。振り返ると赤い髪の女の子。すぐに一夏さんが声を出した。

 

「おー、蘭か」

 

誰?

 

「き、奇遇、ですね……」

 

「そうだなー。案外、知り合いに会わないと思っていたらばったりだな。弾は?」

 

「さ、さあ?家で寝てるんじゃないですか?」

 

「へえ、蘭の浴衣姿って初めて見たな。洋服の印象しか無かったけど、和服も似合うんだな」

 

「そ、そう、ですかっ。あ、ありがとうございます……」

 

かあっと赤くなる女の子。すると、その女の子の周りの女の子が「会長照れてるー」なんてからかってる。と、思ったらそのまま去ってしまった。会長さんを置いて。

 

「え、えっと!あ、あの…そのっ、あの子達、ふざけるのが好きで、ですね…!」

 

「あーなんか分かるぞ」

 

「け、けして、悪い子ではないんですっ。ないんですよ!?」

 

なんだ?なんのフォロー?いや分かるよ。いるもんねそういう子。

 

「あー……ゴホンゴホン!」

 

その二人の世界に耐えられなくなったのか、篠ノ之さんが咳払いをした。

 

「お、悪い。紹介がまだだったよな。えっと、こっちが五反田蘭。ほら、前に話した弾ってやつがいただろ?あいつの妹」

 

「五反田蘭です」

 

「で、こっちが篠ノ之箒。俺の幼馴染み。こっちがイアン・オルコット」

 

「し、篠ノ之箒だ。よろしく」

 

「イ、イアン・オルコットです」

 

聞いてないかもしれないけどとりあえず挨拶。すると一夏さんが言った。

 

「そういえば、蘭は中二だったか?」

 

「い、いえ。中三です」

 

「そっかー…イアンは中二だからもしかしたらと思ったんだけど」

 

「ていうか…イアンくんと一夏さんはどういう関係ですか?」

 

「クラスメートだよ」

 

「え?歳下なのにクラスメート?え?」

 

「あー…まぁ色々あるんだよ」

 

「しかも、IS学園の生徒さんですか?」

 

「まぁ気にしないでくれ」

 

「本当にこんなちっちゃい人がISを操れるんですかー?」

 

この女、ウルトラ失礼なんですけど……。まぁあんま気にならないし。

 

「おいおい蘭。言っとくけどこいつ、俺より強いぞ」

 

「えっ」

 

「そ、そんなことないですよ!」

 

「謙遜するな。福音と一対一でやり合ってた奴の台詞か」

 

篠ノ之さんまで言う。

 

「ちょっそれ軍事……」

 

「一般人に福音と言ってもわからないだろう」

 

ちんぷんかんぷんな顔をする五反田さん。そりゃそうか。

 

「とにかく、一緒に回ろうぜ。蘭も一緒に」

 

おい、何言ってんだこの人。

 

「い、いいんですか?」

 

「ほら、連れ帰っちゃったみたいだし」

 

「はいっ。ぜひぞ一緒しましょう!」

 

で、ガシッと一夏さんの手を握る五反田さん。あぁ…なるほどね。五反田さんも好きなのか。すると篠ノ之さんは表情は変わらないものの、なんとなく悔しそうな空気を醸し出す。だめだ。見てられない。

 

「あの…篠ノ之さんも同じことすればいいと思いますよ」

 

「あ?」

 

こ、怖い!でもこれ以上この人をほっとくともっと空気ヤバい事になりそうだし……、

 

「ほ、ほら…一夏さんの右手空いてますし……逸れたら大変じゃないですか……ってことで」

 

「な、なるほど……たまにはいいこと言うな」

 

で、篠ノ之さんも二人の輪に参加。三人が前を歩く中、僕はその後ろを一人で歩く。…………これ、周りから見たらストーカーじゃね?帰ろっかな……。と、思ったらトテトテとこっちに寄って来る五反田さん。

 

「あの、歳下なんだよね?タメ口でいいかな?」

 

「えっ?うんはい」

 

二回返事してどうする僕。

 

「もしかして、あたし達に気を遣ってくれてるのかな?」

 

「えっ」

 

「あ、当たりだ」

 

クスッと微笑む五反田さん。

 

「いいんだよ気を遣わなくて。一番年下なんだから、一緒に回ろ?」

 

「で、でも……」

 

「いーからいーから。おいで?」

 

僕は黙って頷いて五反田さんと二人の後を追う。……なんかアレだな。すごくいい人だった。一瞬、ドキっとしちゃったし。

 

ドンッ

 

「きゃっ!?」

 

「あ、ごめんなさい」

 

「い、いえ、私もちゃんと見てませんでしたから」

 

すれ違う人とぶつかって、五反田さんは軽く会釈した。

 

「大丈夫ですか?」

 

「う、うん。大丈夫。あっ………」

 

「? どうかしました?」

 

体制を崩した五反田さんは僕の胸に頭を置いて、ちんまり洋服の襟を握っている。

 

「えっ、うっ、あっ……!ご、ごごごごめんね!」

 

「? 何がです?」

 

「えっ!?や、やっぱりなんでもない!」

 

(この子!見た目によらずある程度体ガッチリしてる!)

 

どうしたんだろう五反田さん……なんか顔赤いけど……。

 

「もしかして、熱中症だったりします?」

 

「ち、違うわよ!こ、これは…えっとぉ……」

 

わたわたと胸前で手を泳がせる五反田さん。

 

「あの、五反田さん?」

 

「そ、そーいえば一夏さん達はどこへ行ったのかなー!?」

 

「あっ、そういえばはぐれちゃったみたいですね。今、連絡取りましょうか?」

 

「う、うん!そうだね!お願い!」

 

言われたので僕は携帯を取り出すが、

 

「すいません、充電切れみたいです……」

 

「じ、じゃあ私が連絡してみるね!」

 

言いながら手元の袋の巾着を探る。だが、

 

「携帯、忘れちゃったみたい……」

 

そのまま、不安そうな顔になる五反田さん。

 

「まぁ、回ってる間に見つかりますよ。それまで一緒にいましょう」

 

「う、うん……」

 

少し不安げだなやっぱり……まぁそりゃ友達に帰られて、一夏さん達とも逸れて、今日であったばかりの男と二人きりだもんね。ここは僕が何か言うしかないか。

 

「じゃあ、なにかやりたいものありますか?これでもお金はある程度ありますから奢りますよ」

 

「ほ、ほんと!?」

 

すると、ぱぁっと明るくなる五反田さん。

 

「あ、あれ!あれやりたい!」

 

犯人はお前だ!とでも言わんばかりにビシィッ!と指を五反田さん。その先には射的。

 

「じゃあ行きましょうか」

 

「う、うん!」

 

(や、やだ…イアンくんって、頼りになるし優しいし……どうしよう、胸の高鳴りが……)

 

「五反田さん?」

 

「は、はいぃ!?」

 

「あの、本当に熱中症ですか?顔赤いですし……」

 

「ち、違う違う!問題ないよ!それより五反田さんじゃなくて蘭って呼んで!」

 

「へ?」

 

「ほ、ほら。私、お兄いるし!なんとなく混ざるのは嫌なの!」

 

ああ、それは分かる。僕もIS学園に来た時、織斑先生にオルコットで呼ばれて姉ちゃんと一緒に返事した覚えがある。

 

「分かりました。蘭さん」

 

すると、顔を赤くして目を軽く見開く蘭さん。

 

「………やっぱり熱あるんじゃ……」

 

「怒るよ?」

 

「ごめんなさい……」

 

「いいからほら、射的やろう!」

 

「は、はい!」

 

で、射的屋へ。

 

「へい、らっしゃーい」

 

「あ、あの…二人分で……」

 

「おう!ほら銃だ」

 

ゴトッと置かれる銃。で、これどーやんの?

 

「あの、蘭さん。これ、どうやるんですか?」

 

「へ?あ、そっか。日本のお祭りは初めてなのか。これは銃口にコルクを詰めて……んしょっ。で、狙いを定めて、撃つ!」

 

言いながら放った弾は何かに当たることなく落ちていった。

 

「……これで当てて倒せば景品ゲット」

 

「なるほど。じゃあ蘭さん、なにか欲しいものあったりしますか?」

 

「へ?」

 

「取れるかは分かりませんけど。一応、狙ってみます」

 

「じ、じゃあ…あのぬいぐるみ」

 

「わかりました」

 

僕は言うと狙いを定める。頭の中では、福音を狙撃した時のような情景が広がっている。

 

「そこっ!」

 

ぱーんっと本物とは程遠い音でコルク玉は発射され、見事に落とした。

 

「おっ!兄ちゃん、初めてにしてはやるな!ほら、ぬいぐるみだ」

 

お店の人が景品を取ってくれて、僕はそれを蘭さんに手渡した。

 

「どうぞ」

 

「わっ……すごい………」

 

「射撃なんてコツを掴めば簡単ですよ。銃を構えて下さい」

 

言うと、頭に「?」を浮かべながらも構える蘭さん。その後ろから僕は蘭さんの腕を掴んだ。

 

「ひうっ!」

 

ビクッとなる蘭さん。

 

「動かないで。ここをもっとこう…脇を締めて……」

 

と、とりあえず自分の知ってることをレクチャーした。顔を真っ赤にして「ぁぅ……息が掛かる……ぁぅ……」って言ってるけど聞いてるのかな。まぁいいや。

 

「そこっ!」

 

言うと慌てて引き金を引く蘭さん。すると、ポコっと見事に当たってココアシガレットに当たった。

 

「やった!」

 

「おめでとうございます」

 

そう言って僕は微笑んだ。で、景品を受け取る蘭さん。その後もポコッポコッと景品を落とした。

 

 

________________________________

 

 

 

袋の中に景品を入れて二人でで店を回り、その後も焼きそばだのわたあめだのを食べ歩いた。その途中、

 

「おっ!見つけた蘭!」

 

そんな声がした。振り返ると、見たことのない歳上っぽい男の人が立っている。

 

「お、お兄!」

 

「探したぞお前……隣の男はなんだ?ナンパか?てめぇ、うちの蘭に手ェ出した後が怖ぇぞ。特に爺ちゃんが」

 

「ち、違うよ!一夏さんの友達!」

 

「おっ、そーか。そりゃ悪かったな」

 

「えっと…蘭さんのお兄さんですか?」

 

「おう!五反田弾だ。一夏とは中学時代の友達だ!よろしくな!」

 

なんか元気発剌な人だな。

 

「お、お兄!もういいから帰って!」

 

「あ?なんだよ迎えに来てやったのに冷てぇな。いいから帰るぞ。親父達がうるせぇんだから」

 

「……あの、せめて、花火が終わるまでは、ダメかな……」

 

上目遣いで言う蘭さん。すると弾さんは目をぱちくりさせると、頭をかきながらため息をついた。

 

「あんま遅くなんなよ」

 

それだけ言って僕の肩を組む弾さん。

 

「おい、お前この後時間あるか?(小声)」

 

「え、ありますけど……(小声)」

 

「うちに来い。そして奢らせろ(小声)」

 

「へ?」

 

「飯屋やってんだ。いいな?来いよ?(小声)」

 

「わ、分かりました…(小声)」

 

それだけ言うと去っていく弾さん。その瞬間、バァァァンッッ……っと、花火が上がった。僕と蘭さんはそれを見上げた。

 

「綺麗ですね……」

 

「うん」

 

ぎゅっと僕の手を握る蘭さん。

 

「蘭さん?」

 

「今日は、ありがとね」

 

「なにがです?」

 

「一夏さん達と逸れて、少し不安だったの」

 

「いえ、それなら僕もありがとうございます。気遣ってくれて」

 

「元々気を遣いすぎてたのはイアンくんでしょ」

 

「そ、そうですね……」

 

そんな風に二人でその時間を過ごし、いつの間にか花火は終わっていた。

その後、蘭さんを家に送るついでにご飯をいただいて、寮に帰ったら一夏さんと篠ノ之さんと姉ちゃんにめちゃくちゃ怒られた。

 

 

 

 

 

 






うおぉ…長かった……。

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