もう少し夏休みやろうとか言ってたけど、いい加減話進めたいのでやめました。
夏休みも明けて、二学期最初の実戦訓練は一組二組の合同で始まった。そんな中、今は一夏さんと凰さんが、クラス代表ということで戦っている。
「最初にシールドを使い過ぎたわね!」
「まだまだぁっ!」
「無駄よ!この甲龍は燃費と安定性を第一に設計された実戦モデルなんだから!」
と、まぁ白熱するバトルを僕はぼんやり見ていた。一夏さんの白式はかなり燃費悪い。最初の方は一夏さんが押してたにも関わらず、最終的にはエネルギー残量が減って負けそうになっている。
「もらい!」
「!?」
一夏さんの足首を掴んだ凰さんが地面に投げ飛ばし、そこに衝撃砲をぶっ放す。そのまま勝負は決した。
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「これであたしの二連勝ね。ほれほれ、なんか奢りなさいよ」
「ぐうっ……!」
悔しそうに唸る一夏さん。今はいつもの面子で食堂。僕はラーメンを食べている。
「ラウラ、それおいしい?」
「ああ。本国以外でここまでうまいシュニッツェルが食べられると思わなかった。食べるか?」
「わあ、いいの?」
「うむ」
「じゃあ、いただきます。えへへ、食べてみたかったんだ、これ」
「ん〜!おいしいね、これ。ドイツってお肉料理がどれも美味しくていいよね」
「ま、まあな。ジャガイモ料理もおすすめだぞ」
なんて仲良く話すラウラさんとシャルさん。
「あー、ドイツってなにげに美味しいお菓子多いわよね。バウムクーヘンとか。中国にあんまりああいうの無いから羨ましいっていえば羨ましいかも」
「そうか。では今度部隊のものに言ってフランクフルタークランツを送ってもらうとしよう」
………なんか聞きなれない言葉が聞こえた。世界の料理を研究(せざるを得なかった)した僕でもまだまだ知らない料理あるんだなぁ……。
「ドイツのお菓子だと私はあれが好きですわね、ベルリーナープファンクーヘン」
そう言った姉ちゃん。その瞬間、僕はじと目になる。が、気付かずみんなは話をつづける。
「えっ。ベルリーナープファンクーヘンってジャム入りの揚げパンだよね?しかも、バニラの衣が乗ってるからカロリーすごいと思うけど……セシリアはあれが好きなの?」
「わ、わたくしはちゃんとカロリー計算をするから大丈夫なのですわ!そう、ベルリーナーを食べるときはその日その他に何も口にしない覚悟で……」
「よくいうよ。夏休みに僕が作ってあげた奴、一つも僕にくれないで全部自分で食べてた癖に」
「い、イアン!」
「セシリア、それはちょっと可哀想だよ……」
シャルさんに言われ縮こまる姉ちゃん。
「だ、だから謝ったじゃないですか!」
「許してないもん。そもそもカロリー計算なんてしたことないくせに」
「こっの……!イアンは逆に食べなさ過ぎですわ!だからいつまで立っても女子より身長が小さいんじゃなくて!?」
「食事の時くらい落ち着けセシリア。しかし、ジャム入り揚げパンか。確かにうまそうだ」
篠ノ之さんが言った。この人も姉ちゃんと同じタイプなんだろうなぁ……お菓子とかカロリー関係なく食べてそう。
「セシリア、揚げパンが好きなら今度ゴマ団子作ってあげよっか?」
「それはどんなものですの?」
「中国のお菓子よ。あんこをお餅でくるんでゴマでコーティング。その後、揚げるの」
「お、おいしそうですわね!ああ、でも、カロリーが……」
「ま、食べたくなったら言ってよ」
「鈴さん……思っていたよりいい人ですわね……」
「思っていたよりってなによ!思っていたよりって!」
いやそれについては僕も同意見だ。思っていたよりいい人そうだ。しかしこの二人仲良いな。
「私は日本のお菓子が好きだな。あれこそ風流というのだろう?」
そう言ったのはラウラさんだ。夏休みに行った抹茶カフェの水菓子がヤケに気に入ったみたいなんだよね。
「春は砂糖菓子、夏は水菓子とくれば秋はまんじゅうだな」
「ほう。冬は?」
「せんべえだ」
「せんべいですラウラさん」
僕が言うと、少し恥ずかしそうな顔をするラウラさん。まぁ、言わんとすることは分かったから気にしないでください。
「それにしてもなんでパワーアップしたのに負けるんだ……」
「だから燃費悪すぎるのよ。アンタの機体は。ただでさえシールドエネルギーを削る仕様の武器なのに、それなふたつち増えたんだからなおさらでしょ」
「うーん……」
本当にその通りだ。背部ウイングスラスターも大型化に伴い、エネルギーを大量に使用するになってしまった。
「ま、まあアレだな!そんな問題も私と組めば解決だな!」
メチャクチャいい笑顔で語る篠ノ之さん。
「ざーんねん。一夏はあたしと組むの。幼なじみだし、甲龍は近接も中距離もこなすから、白式と相性いいのよ」
「な、何を勝手な……!?ゴホン!それならこのわたくし、セシリア・オルコットも遠距離型として立候補しますわ。白式の苦手距離をカバーできましてよ?」
「ええい、幼なじみというなら私の方が先だ!それに、なんだ。白式と紅椿は絵になるからな。……お、お似合いなのだ……」
いや照れるくらいなら言わないでくださいよ……。
「んー……。でもなあ、別に最近ペア参加のトーナメントとかないしなぁ」
「いきなりあるかもしれないでしょうが」
「あるとしたら誰と組むんだ?」
「イアン」
その瞬間、なぜか女子全員が僕を睨むとともにため息をついた。怖いです。
「ちなみに、イアンは誰と組むの?」
「えっ?僕ですか?」
シャルさんに聞かれた。
「や、一……」
「一夏以外で」
にっこり笑うシャルさん怖い。
「えっ……姉ちゃ」
「セシリアもダメ」
な、なん…だと……?
「えっ…それは……」
どうしたもんかなぁ……。
「えっと……」
すごい視線がもう一つ。ラウラさんだ。僕の事をすごい剣幕で睨んでいる。
「あー……」
二人が怖い…涙出そう……。
「ご、ごめんなさい!」
そのまま僕は逃げた。無理、怖い。
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「やっぱり無駄に広いもんだ……」
「そうですね。二人でこのロッカールームは少し贅沢ですね」
何人分あるんだ。いや30人以上はあるよね。
「すいません。トイレ行くので先に行っててください」
「おう。遅れんなよ」
で、僕はトイレに向かった。その途中、目の前が真っ暗になった。ポケモンか。でも本当になった。
「!?」
「だーれだ?」
え?誰?知らない声…多分、歳上の人かな?いやそりゃそうか。歳上しかいないもん。
「はい、時間切れ」
そう言って解放してくれた。誰だろうと思って振り返ると全く知らない人だった。
「………だれ、ですか?」
「んふふっ」
楽しそうに笑った。リボンの色が二年生かな。
「あの……」
「それじゃあね。君も急がないと、織斑先生に怒られるよ」
「へっ?って、ヤバッ!お、怒られる!」
トイレに行ってる時間なんてない!
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「遅刻の言い訳は以上か?」
「いや、あの………あのですね?だから、その……」
「ではその生徒の名前を言ってみろ」
「で、ですから初対面で……」
「その初対面の女子との会話を優先して、授業に遅れたと?」
「あ、いや結果的にはそうなったのかもしれませんが、違うんですよ。一方的に向こうから……」
「おいデュノア。ラピッド・スイッチの実演をしろ。的はそこの馬鹿者で構わん」
「えっ」
いやおかしいでしょ。
「え、いや待って!ご、ごめんなさい!」
だが、聞く耳持たない先生。バッとシャルさんの方を振り返った。にっこり笑って返してくれる。女神転生。さすが…いい人は違っ
「行くよリヴァイヴ」
女神じゃなかった。魔王だった。僕の声は銃声に掻き消された。