次の日。寮で一人、朝食をとっていると、僕の席の前に誰かが座った。
「よう。イアンだっけ?ここいいか?」
一夏さんだった。
「あ、ど、どうぞ……」
「そんなに緊張しなくていいよ。俺は織斑一夏、昨日は余り話せなかったから、改めてよろしくな」
「は、はい。イアン・オルコットです!」
「分からないことがあったら聞いてくれ。同じ男として出来ることならなんでも強力する」
なんかいい人そうで助かった。では弟としての債務を果たそう。
「じ、じゃあ早速なんですけど…一夏さんって、姉ちゃんのことどう思ってますか?」
「は?セシリア?」
「はい。こう…好き嫌いとかいい奴嫌な奴みたいな感じで…」
「うーん…そう聞かれると……」
パコンッ
僕の頭に衝撃。振り向くと姉ちゃんがオボンで僕の頭を叩いていた。
「よ、よ、余計なこと聞かないでくださる!?」
「ね、姉ちゃん……」
「一夏さん?ご一緒してよろしいかしら?」
「あ、ああ。別にいいけど……」
「待てセシリア。そういうことなら私も座らせてもらおう」
なんか一夏さんの周りにはすぐに人が集まって来るな…。ていうか、みんな美人さんばかりだなあー…。
「ん?あ、ああすまない。私は篠ノ之箒、一夏の幼馴染だ」
篠ノ之さんが僕に挨拶してくれる。
「あっえと…イアン・オルコットです…よろしくお願いします……」
ダメだ。歳上の女性と話すのは緊張する。それも美人さんとくれば尚更だ。それに、みんな僕より身長高いし…女の子より小さい男の子って価値あるのかなあ……。
「こいつの家は剣道場なんだ。今度鍛えてもらってみたらどうだ?」
「一夏、余計な事を言うな」
「まあ、ですからそんな野蛮な女性になってしまいましたのね」
「人に向かってISを使う奴に言われたくない」
「あ、あはは……」
なんだろう…苦笑いするしかない。僕ってこんなに話せない人だったっけ?
「そういえば、イアン。お前はISを操れるのか?」
篠ノ之さんに聞かれた。
「は、はい。一応……でも、訓練以外でのISの使用は禁止されています。僕が代表候補生になるのを断りましたから」
「そうなのか……」
まぁ、あまりこの手の話題には触れたくない。さりげなく話題を逸らそう。
「それはそうと、一夏さんは日本の代表候補生だったりするんですか?」
「いや?違うよ?」
「へ?でも専用機……」
「俺はほら、世界で唯一ISを動かせる男子ってことになってるから。特別扱いされてんの。学園内ではそうでもないんだけど」
「そうなんですか……」
なんて会話をしながら僕達は朝食を食べ終わって学園に向かった。
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SHR前。騒がしいクラス。
「織斑くんおはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」
「転校生?イアンじゃなくて?」
「イアンくんじゃないよー」
「あの…頭撫でないで下さい……」
と、迷惑そうにするイアン。が、クラスの女子はそんなの無視してなでなでしながら続けた。
「なんでも中国の代表候補生なんだってさ」
「ふーん」
そんな様子を耳にしながらイアンはただぼんやりしていた。本当にどいつもこいつも歳上なんだなーとか思いながら。
「どんなやつなんだろうな」
一夏が言った。
「む、気になるのか?」
「ん?ああ、少しは」
「ふん……」
そんな様子を見てイアンは一夏に言った。
「もてもてですね」
「はあ?どこが?」
「イアン。余計な事を言うな」
ギロッと睨む箒だが、顔を真っ赤にしているので全然怖くない。
「ちょっと!人の弟を脅すような真似はやめてくださる?」
「ふん。姉の教育がなってないんじゃないのか?」
「そちらこそ歳下の男の子を脅すなんてどういう教育を受けてましたの?」
なんてギャーギャー騒ぐ二人を捨て置いてイアンと一夏は話す。
「そうだ。イアンって確かISについて詳しいんだったな」
「そんなことないですよ。少しだけです」
「よかったら俺のISの特訓、付き合ってもらえるか?あの二人だと『こう、ずばーっとやってからがきんっ!どかんっ!という感じだ』『防御の時は右半身を斜め上前方五度傾けて、回避の時は後方へ二十度反転ですわ』と、まぁ見事に正反対なベクトルにわかりずらくて…」
「そういうことなら、でも僕も同じようにしか教えられないかもしれませんよ?」
「大丈夫、どちらにせよ男に教わるっていうのはなんとなく気が楽なんだ」
「わかりました。では、放課後よろしくお願いします」
「そ、それはこっちの台詞だ」
そんな感じになってる中、教室の入り口ではツインテールの女の子が固まっていた。
「タイミング逃した……」