その日の放課後。織斑先生に報告しにHRの結果を報告しに行った一夏さんを職員室の前で待っていた。その時だ。
「やっ」
「えーっと、更織さん、でしたっけ?」
「そうそう。よく覚えてたね。でもおねーさんのことは楯無さんと呼びなさい?」
「は、はあ…それで、僕に何か用ですか?それとも……」
「ううん。君じゃないよ。君は強いから平気」
「?」
「私が用あるのは一夏くんだよ」
「は、はあ……えっ?じゃあ、僕一夏さんの特訓に付き合う予定だったんですけど……」
「うーん…悪いんだけど今度にしてもらえるかなあ?君も一緒に来るのもアリだよ。むしろ君もいてくれた方がいいかもね」
「や、さっき用はないって……」
「直接的な用がないだけよ。男ならつべこべ言わずに来なさい」
「学園祭ではメイドをやらされるかもしれないんですけどね……」
「それは良いことを聞いちゃったな」
「別にいいですよ来ても。どーせ一夏さんの執事見にほとんどの生徒が来るんですから」
「なんか、えらくナイーヴだね」
「そりゃそうなりますよ!メイド服ですよ!?まだ中二なのに!」
「この学園では高一でしょ」
くっ……ど正論だ……。なんてやってると、一夏さんが出て来た。
「お待たせイアンー…って、更織さん…でしたっけ?」
「やっほー」
「なんで?」
「や、なにか話があるみたいなんですよ。一夏さんに」
「そうそう。私が一夏くんのISコーチをしてあげようと思って」
「へ?あ、いやコーチはいっぱいいるんで」
「うーん。そう言わずに。私は何せ生徒会長なんだから」
「はい?」
「あれ?知らないのかな。IS学園の生徒会長というと…」
ん?なんだ?と、思ったら前方から竹刀を持った女子が殴りかかってきた。
「覚悟ぉぉぉぉっ‼︎」
「なっ……!?」
「う、うわわっ!」
僕は思わず腰を抜かしてしまった。が、楯無さんは扇子を取り出し、竹刀を受け流し、左手の手刀を叩き込んだ。と、思ったら今度はガラスが破裂する音。
楯無さんの顔面を狙い、次々と矢が飛んでくる。よく見ると袴姿の女子の姿。あ、暗殺?
「ちょっと借りるよ」
楯無さんは竹刀を蹴り上がらせて浮かせ、キャッチし、放り投げた。それが弓道部の女子の眉間にクリティカル。
「もらったぁぁぁぁ!」
バンッ!と廊下の掃除用具ロッカーからボクシンググローブを装着した人が殴りかかってくる。
「ふむん。元気だね。ところで二人とも」
「「は、はい?」」
「知らないようだから教えてあげるよ。IS学園において、生徒会長という肩書きはある一つの事実を証明してるんだよね」
そう言う間もボクシング部のラッシュを平気な顔してかわす楯無さん。
「生徒会長、即ちすべての生徒の長たる存在は」
右ストレートをかわす楯無さん。
「最強であれ」
そして、蹴り抜いてボクシングの人はロッカーに突っ込んだ。
「………とね。イアンくん大丈夫?」
手を差し出してくれる。情けないなぁ僕。
「ま、その最強の座も危ないんだけどね。君のおかげで」
「へ?ぼ、僕?」
「………なんてね」
僕なんかじゃ生徒会長に勝ち目ないと思うんだけどな……。
「で、これはどういう状況なんですか?」
一夏さんがきく。
「うん?見たとおりだよ。か弱い私は常に危機に晒されているので、騎士の1人もほしいところなの」
「さっき最強だとか言ってたくせにですか」
「あら、ばれた。まぁ簡単に説明するとだね、最強である生徒会長はいつでも襲っていいのさ。そして勝ったなら、その者が生徒会長になる」
「はぁ……、無茶苦茶ですね」
本当に無茶苦茶だ。
「ではまあ、一度生徒会室に招待するから来なさい。お茶くらい出すわよ」
「「はぁ」」
そんなわけで連行された。
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「ただいま」
楯無さんが言いながらとある教室に入った。中には二人の女子生徒がいた。
「おかえりなさい、会長」
出迎えたのは三年生の眼鏡の女子だ。そして、その後ろにいたのは、
「わー……おりむーとあいあいだ〜…」
あ、そう言えば本音さんって生徒会だったっけ。パープルティアーズ作ってた時に言ってた。
「まあ、そこにかけなさいな。お茶はすぐに出すわ」
メガネの生徒に言われ、僕と一夏さんは座る。
「お客様の前よ。しっかりなさい」
だが、ぐてーっとしてる本音さん。
「えーと、のほほんさん?眠いの?」
「うん……深夜……壁紙……収拾……連日……」
「夜勤明けってことですか本音さん?」
「あら、あだ名にファーストネームなんて、仲いいのね」
「あー、いや、その…本名知らないんで……」
「ええ〜!?」
がばっと起き上がる本音さん。そりゃそうだ。
「ひどい、ずっと私をあだ名で呼ぶからてっきり好きなんだと思ってた〜……」
「いや、その……ごめん」
一夏さんが頭を下げると三年生の人が口を挟む。
「本音、嘘をつくのはやめなさい」
「てひひ、バレた。わかったよー、おねえちゃん〜」
「「お、お姉ちゃん?」」
「ええ、私は布仏虚。妹は本音」
「むかーしから、更織家のお手伝いさんなんだよー。うちは、代々」
ふーん…そんな家柄がまだ日本にあるとはなぁ……。別に日本について詳しいわけじゃないけど。で、僕達の前にお茶が出される。
「はい」
「ど、どうも」
「すいません……」
「本音ちゃん、れいぞうこからケーキ出してきて」
「はーい。目が覚めた私はすごい仕事できる子〜」
言いながらケーキを取りに行く本音さん。
「あいあいー、ここはねー。ここのケーキはねー、ちょおちょおちょおちょお〜……美味しいんだよー」
「やめなさい、本音。布仏家の常識が疑われるわ」
「だいじょうぶ、だいじょうぶっ。うまうま♪」
ケーキのフィルムについたクリームを猫のように舐める妹にゴチんっとげんこつ。
「うええっ……いたぁ……」
「本音、まだ叩かれたい?………そう、仕方ないわね」
「まだ何も言ってない〜。言ってないよ〜」
仲良いなこの二人。すると、楯無さんが前に出る。
「一応、最初から説明するわね。一夏くんとイアンくんが部活動に入らないことで色々と苦情が寄せられていてね。生徒会は君をどこかに入部させないとまずい事になっちゃったのよ」
「それで学園祭の投票決戦ですか……」
「あの…僕中二の上に男子なんですけど……」
「大丈夫大丈、どーせマネージャーくらいしかできないでしょ?でね、交換条件としてこれから学園祭の間まで特別に私が一夏くんを鍛えてあげましょう」
「遠慮します」
その答えは少し意外だった。一夏さんなら乗ると思ったのに。
「大体、どうして指導してくれるんですか?」
「それは簡単。君が弱いからだよ」
うおっ、サラッとひどいこと言うなぁ。
「それなりに弱くないつもりですが」
しかも乗っちゃったよ一夏さん。
「うーん…じゃ、イアンくんと一夏くんはどっちが強いのかな?」
「それは……」
「イアンですが?」
「え?いや僕ですか!?」
が、無視して話が進む。
「だよね?じゃあ丁度いい機会だし、私とイアンくんが戦って、イアンくんが勝ったら私の言うこと聞いてもらうわね?」
「えっ?」
「いいでしょう」
「ちょっ一夏さん!?なんで?僕は関係な……」
なんとかしてやめようとしたが、それを楯無さんが遮った。
「ダメだよイアンくん。一応言っとくけど、私はあなたと元々戦う予定だったのよ?」
「な、なんで!?」
「なんでって…生徒会長はこの学園で最強と言ったでしょ?けど君だけは唯一、私より強い可能性があるの」
「い、いやいや!大体、僕生身はカブトムシより弱いですし!楯無さんなんかに勝てるわけが……」
「いいから。アリーナに集合ね」
横暴だ……。テキトーに負けようにもそしたら一夏さんに何言われるか分からんし……。やらないとなぁ。