そんなわけでアリーナ。生徒会長と男子のイアンがしあいをやるということで結構人が集まった。
「一夏、何事?」
たまたま居合わせたシャルロットが一夏に聞いた。他にセシリアとラウラがいる。
「あー…色々あってああなってる」
「そのいろいろを聞いてるのですわ!」
「と、とにかく見てようぜ。話はそれからだ」
下らない挑発に乗った自分のせいだとは言えない一夏だった。
で、アリーナの中央。
「じゃ、やろっか」
「は、はあ」
いざ、対決。イアンにとってらあまり気乗りはしないが、こうなってしまっては仕方ないだろう。
「行くよ、秋桜!」
とりあえずリボルビングライフルを取り出して撃つ。が、あっさりかわされた。その後、空中に舞い上がって、動きながら狙撃するが、全部かわす楯無。
「いい射撃ね」
イアンは攻撃しながらも、今までの敵のどれよりも強いと直感的に思った。回避の仕方に余裕がある。
「このっ……!」
片手に小太刀・ビーム小太刀を握ってそのまましばらく射撃。向こうも大型のランスを取り出し、ガトリングを撃ってきたが、全部回避するイアン。
が、しばらくイアンは防戦一方になり、すべての行動を回避に回した。
「くうっ!」
「逃げてるだけじゃ、勝てないわよ!」
が、カチンと音を立てて弾が出なくなる。
「そこっ!」
その瞬間を見てイアンは超ロングライフルを呼び出して撃ちこんだ。速度だけならリボルビングライフルの三倍はある。
「捉えた!」
だが、効いていない。
「えっ!?」
「私のアクアクリスタルは射撃なんて通らないのよ」
そして、向こうは弾を装填したのか、再び撃ってくる。
「うおっ!」
回避するイアン。射撃が効かないのなら、リボルビングライフルも超ロングライフルも使えない。
「格闘でっ!」
小太刀・ビーム小太刀を握って突撃。楯無のランスの四連装ガトリングを確実にかわしながら接近した。
「当たらない!?」
当たりそうな攻撃はすべて弾かれる。今更回避しようとするが遅い。イアンのビーム小太刀が楯無を真っ二つに分断した。
「やった!?」
客席から…という一夏のそんな声がしたが、イアンは素直に喜べない。
(この感覚…当たってない……!?)
「そう正解。水で作った偽物よ」
後ろからゾワッと嫌な声が聞こえて、イアンはテキトーに横に左へ逃げる。その瞬間、右に振り下ろされたランス。完全にたまたま避けれただけだ。
「危なかった……!」
「あらっ、でも今のはテキトーね」
続いて、もう一度ランスを振り被る楯無。
「うわああああっ!」
イアンは、振り向きざまに脚部サーベルを出しながら廻し蹴りをかました。
「そんな所に……っ!」
ランスで急いでガードするが、勢いが違う。思いっきり蹴り飛ばした。
「やったなっ!」
そのままランスの四連装ガトリングを乱れ撃つ。それを後ろに宙返りしてかわしながら、脚部サーベルを片方飛ばした。
「んなっ……!?」
そのトリッキーな動きに完全に呑まれた楯無。しかも、射撃攻撃ではないのでアクアクリスタルでは防げない。直撃して、怯む楯無。
(手加減なんてしてる場合じゃない……!)
そう思い直し、バッと前を睨むがそこにイアンはいない。
「そこっ!」
後ろから声がしてテキトーにかわすと、すぐ横に小太刀が通り頬を掠める。
「今のテキトーでしたね」
「生意気っ!」
振り向きざまにランスで攻撃しようとしたが、それをもう片方の足の脚部サーベルでガードされる。
「もう一本!?」
「これでっ!」
で、ビーム小太刀叩きつけ、地面に落とす。が、シールドエネルギーを削りきらなかったのか、まだ勝ちではなかったようだ。
「はぁ、はぁ……」
アリーナに煙が舞う中、中央になにか青いエネルギーが集中する。
「なんだ……?」
キィィィィンッ……と、中央で光ったかと思うと、何かが発射された。
「『ミストルティンの槍』」
その瞬間、ドゴォッ!と音を立ててイアンに向かって飛んでくる。慌てて回避するが、爆風で体制を崩した。スタジアムの客席は吹き飛び、煙が上がる。
「な、なんて威力……」
「そこよ!」
「えっ?」
声がして振り返ると、ランスが飛んで来た。いつの間にか楯無が回り込んでいた。
(回避出来なくもない。だけど……!)
イアンもビーム小太刀を握り、振り向きざまに突き刺す。お互いのアーマーに突き刺さり、勝負は引き分けとなった。
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「で、お前らはスタジアムをぶっ壊したと?」
僕と楯無さんは織斑先生に怒られている。
「や、僕は壊してないですよ!壊したのは……」
「イアンくん。男の子が女の子のせいにするの?」
「歳上が歳下に罪を広げますか!?」
「うるさい馬鹿者ども」
ゴチンッ☆と頭を殴られた。
「ったい!」
よく見たら楯無さんも涙目だ。
「もういい。次はないからなまったく……」
そのまま職員室を追い出された。
「それにしても驚いちゃった。かなり強いわねイアンくん」
「い、いえ!そんなことないですよ」
「またまた謙遜しちゃって。おねえさん驚いちゃったなー」
と、頭を撫でられる。
「じゃんけんぽんっ!」
「うえぇっ!?」
いきなり言われてパーを出してしまった。楯無さんはチョキ。
「はい。これで賭けはお姉さんの勝ちね」
「ち、ちょっと!ズルいですよ!不意打ちなんて!」
「お姉さんは常日頃から不意打ちされてるけど負けたことないけど?」
「そ、それとこれとは……!」
「いーじゃない。男の子でしょ?」
そう言われてしまうと言葉に詰まる。
「ほら、早く一夏くんの元に戻るわよ」
あー…怒られるだろうなぁ。ジャンケンで負けたなんて言ったら。
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その後、僕は一夏さんとは別に帰った。明日から一夏さんと楯無さんと特訓かぁ……っと、さっさと電話しないと。ついっついっとスマホを動かして電話。
『も、もしもし!?』
「あ、蘭さんですか?僕です。イアンです」
『ど、どうしたの!急に電話なんて……?』
「あ、忙しかったですか?」
『そんなことないよ!超暇だった!』
「ならよかった。あの、今度学園祭あるんですけど、来ますか?」
『へ?それって、IS学園に!?』
「は、はい。どうですか?無理にとは……」
『行きます!』
即決かよ。
「そ、そうですか。分かりました。では招待券送っておきますね」
『う、うん!ありがとうね!』
「では、失礼します」
ふぅ、さて部屋に戻ろう。
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あれから二日。僕は一夏さんの特訓に付き合ってはいるものの、ただ見ているだけが多い。なんでも、生徒会長お墨付きの強さとかなんとか言ってただ見学させられるだけだ。今日の訓練も終わりか。
僕は一夏さんと二人で自室に戻る。
「あー…疲れた……」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ…俺のためにやってることだし……」
「あの、良ければマッサージとかしますけど」
「おぉ、サンキュー…頼むわ」
なんて話しながら部屋に入る。
「お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」
バタンと一夏さんがドアを閉める。
「今、見えた?もしくは聞こえた?」
「一夏さんの疲れが感染したみたいです」
「伝染病みたいに言うな。と、言いたいところだがすまん。まさか疲れが人に伝染するとは」
で、あっはっはっと乾いた笑い。もう一度突入した。
「お帰り。私にします?私にします?それとも、わ・た・し?」
「選択肢がない!」
「あるよ。一択なだけで」
「いや選択の余地がない時点でそれは選択肢ではないのでは……」
「もーそれは屁理屈だよ。イアンくん。あんまり生意気だとお姉さんが色々と大人にしてあげよっかな〜」
「ちょっ…そのかっこうで来ないで!」
そう、裸エプロンの楯無さんだ。僕は一夏さんの背中に隠れる。
「もう、照れちゃって可愛いなぁイアンくん」
「で、なんでここにいるんですか?」
一夏さんが軌道修正してくれる。助かった。あのままじゃ話が進まない。
「今日から私、ここに住もうと思ってね」
「は………?」
「いやぁ、みんなに自慢できるなぁ。まだ2人しか住んだことのない、一夏くんのお部屋で寝泊まり。私ってば三人目の女ね」
「いや、あの、………え?ちょっと、ここって、一年生寮ですよ?」
「生徒会長権限」
この人は……やっぱり強けりゃ生徒会長はよくないと思いました。
「と、とにかく!服を着てください、服を!」
一夏さんがもっともなことを言う。だが、
「じゃん♪水着でしたー」
「……………」
「んふ。残念だった?」
「そ、そんなわけないでしょう!」
この人は……残念なのはあんたの頭だ。