池袋のラビ。僕とラウラさんは二人でそこにいる。最上階に「ガンダム」というフロアがある。「おもちゃ」でも「ホビー」でもなく、「ガンダム」である。中々にインパクトがある上に、本当にまんま「ガンダム」フロアだ。
「これが…すべてガンプラなのか?」
「そうですよ。ラウラさんはどのシリーズを見たんですか?」
「種だ」
「…………は?」
「ガンダム種というものだ」
「すみません。もう少し分かりやすく……」
「私は特にブリッツガンダムが好きだな。あれは中々にシュバルツェア・レーゲンに似ている」
それは色だけでしょ……ていうかそれ種ってSEEDか。
「なるほど…なら、SEEDは多分こっちですね」
「おっ?」
「どうかしました?」
「こ、これは何ガンダムだ?」
ラウラさんが手に取ったのはクロスボーンx2。うわあ…似合う……ダメじゃないか!死んでなきゃあっ!
「クロスボーンガンダムX2ですね。僕、ガンダムはSEEDとかOOしか見てませんから詳しくありませんが、確かザビーネが操るクロスボーンバンガードのモビルスーツで、パイロットが前作のF91のベルガギロスに乗っていたこともあってショットランサーを装備してるんですよ。まぁ個人的にはX2よりはX1の方が好きですが……」
そこまで語ったところでラウラさんがドン引きしてることに気づいた。
「……お前、詳しいな」
じと目で睨んでくるラウラさん。ゲッ、実はガンダム大好きなことがバレると面倒だ。
「そ、そんなことないですよ!興味があったからパソコンとかで調べた程度で、物語は読んでないですし、ほとんどにわかです」
「そうか。ではあそこのνガンダムとはどんなものなんだ?」
「RX-93νガンダムですね。ロンド・ベル隊隊長のアムロ自身が設計したニュータイプ専用モビルスーツでサイコフレームを搭載してるんです。武装はフィンファンネル以外はほとんど初期ガンダムと同じですが、僕が特に感動したのはこの時代のビームサーベルは振った時に初めてビームが出る仕組みになっ……」
気が付けばラウラさんは僕を見ていた。まるで哀れむような目で。
「あっいや…今のは……」
「………………」
僕は顔を赤くして俯くばかりだった。
「ガキだな」
「だからラウラさんには言われたくないです!その歳でクマさんパンツの人に……」
そこで僕は自分の失言を悟った。が、その時には既に遅く、ラウラさんは僕の後ろに回り込み、首を締め上げて人差し指を僕の喉仏に当てていた。
「答えろ。どこで見た」
「ち、違うんです……この前、シャルさんに誘われて部屋に、行った時……ベッドの上に落ちてるのを見かけただけで……」
「それではなぜ私のだと分かった……」
「シャルさんはそんなの履くように見えなかっ……」
「もういい寝てろ」
その人差し指が僕の喉仏を…こう、うまく説明出来ない具合に刺激し、僕は気を失った。
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目がさめると、僕は公園にいた。しかもなぜかベンチの上で寝ている。ていうか頭の下が柔らか……、
「目は覚めたのか?」
「わあっ!」
どうやら、ラウラさんに膝枕されていたようだ。すぐに起き上がる。
「まったく…私におんぶなどさせおって……」
「す、すみません……」
あれ…なにがあったかイマイチ覚えてないぞ?
「い、いや…その、私の方こそすまなかった。やり過ぎるつもりはなかった」
「は、はぁ……」
何されたのかな…まあいいや。
「それで、結局ガンプラは買ったんですか?」
「ま、まぁな。一応……」
袋の中にはX1のHGが入っていた。
「あれ?X1にしたんですか?」
「わ、悪いか?」
「い、いえ。その、最初はX2の方を見ていたのでてっきりそっちにするものかと…」
「迷ったのだがな………お前がX1の方が好きだというから……」
「? 何か言いました?」
「な、なんでもない!とにかく、起きたなら帰るぞ!」
「は、はい」
そのまま前を歩くラウラさんを慌てて追い掛けた。が、すぐにピタッと止まる。
「あ、あの…イアン」
「なんですか?」
「そ、その、だな……」
指をもじもじさせ、目を逸らしながら顔を赤くするラウラさん。
「もし、作り方が分からなかったり、したら……その……一緒に、作ってくれるか?」
今度はハッキリ聞こえた。そんなの決まってる。
「はい。僕で良ければお手伝いします」
そう答えると、はにかむように笑みを見せたラウラさんは、僕の手を握ってまた帰宅道に戻った。その時の笑顔は、少しだけドキッとしてしまった。
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ラウラ、シャルロット部屋。
「〜♪〜♪」
「どうしたのラウラ?ご機嫌だね」
「む、ま、まぁな。さて、では作るか」
「なにを買ったの?」
「実はな、イアンと池袋に行ってきたのだ。そこでガンプラなるものを……」
「ちょっと待ってラウラ?それは抜け駆けっていうんだよ?」
「ふえ?…………あっ」
「本当にラウラはいつもいつも…少しお仕置きが必要かな?」
「ま、待てシャルロット。その手の動きをやめろ…頼む!コチョコチョだけはやめっ……」
数秒後、ラウラの笑い声が響いた。