次の日の放課後。僕はキャノンボールファストに向けて特訓だなんだとラウラさんに呼び出され、第三アリーナへ。が、先客がいた。
「あ、姉ちゃん」
僕が声を掛けると、姉ちゃんはこっちを見る。ブルーティアーズを装備していて、やっぱこの人とブルーティアーズは似合うなぁとか思った。
「姉ちゃんも特訓?じゃあ僕達と……」
「決闘ですわ」
「は?」
何言ってんのこの人。
「わたくしと戦いなさい。イアン」
「ま、待ってよ姉ちゃん!理由がないよ!なんでそんなこと……」
と、言おうとした僕の頬をビームが掠めた。姉ちゃんがスターライトを放っていた。
「ねえ、ちゃん……?」
「戦いなさい」
僕は黙って秋桜を呼び出した。
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ラウラは少し遅れて第三アリーナへ。今日はイアンと二人きりで特訓だ。それなのに、途中で一夏にバッタリ出会して、高機動訓練を土下座までしてお願いされてしまったので、仕方なく引き受けたのだ。
「ありがとなラウラ。今度なんか奢ってやるから」
「ふんっ。食べ物なんかで私の機嫌が……」
「この前の抹茶カフェの水飴でどうだ?」
「し、仕方のない奴め!」
明らかに声が弾んでいた。で、二人はアリーナの中へ。だが、目の前ではイアンとセシリアが戦っていた。
「なんだ?模擬戦か?」
「いや、これは……」
ラウラは二人の目を見る。明らかに模擬戦の目付きではない。セシリアが。イアンはイアンで、戦う目ではなかった。
「イアンめ、手を抜いているな…」
「そうなのか?」
「見て分からんのか。さっきからわざとライフルの照準をズラしている。あれじゃセシリアには当たらん」
「すごいなラウラは。よく見抜けるなー。つーか視力どんだけ?いやでも模擬戦じゃなかったらなんなんだ?まさか喧嘩ってことは……」
「あり得ない話ではない。セシリアにとってイアンは守るべき相手だった。その相手が自分より強かったのだ。そうなってもおかしくないだろう」
「いやでもそんな事で喧嘩なんて……あーいや、もし俺の方が千冬姉より強かったら、どうなるかな……」
「安心しろ。お前が教官より強い事はない」
「んぐっ!」
で、その頃戦闘中の2人。イアンは確実に攻撃をかわして、当たらない銃撃を行う。セシリアはインターセプターを抜くと、突撃した。それに答えるようにイアンも小太刀・ビーム小太刀を出して応戦。
「このっ!」
「………………」
すべての攻撃をかわし、当たらない反撃。
「何をしてますの?」
途中でセシリアの攻撃が止まる。それに応じてイアンも動きを止めた。
「なんですその生気のない目は!わたくしをバカにしてますの!?」
「そうじゃないよ。でも…こんなこと意味ないよ」
「な、何を……」
「こんな喧嘩、意味ないよ。姉ちゃんがどうして僕に挑むのかが分からないんだ」
「だ、だからって手を抜いていいはずが……!」
「理由もないのにヤル気なんて起きるわけないだろ!」
「……ッ‼︎」
「もうやめようよ。バカバカしい」
「このっ!」
パァンッとビンタ。イアンの顔は横に向く。
「戦いの時に手を抜くなんて相手への最大の侮辱ですわ。もうあなたなど知りません。イアン・オルコット」
「えっ……?」
「絶交ですわ。もしわたくしと仲直りしたければ、キャノンボールファストでは全力で来なさい。さようなら」
「ちょっ…姉ちゃ……」
だが、そのままセシリアは降りてしまった。イアンはその場からしばらく動けなかった。