トイレの個室。
「……………………」
僕は、しばらく動けなかった。棒が……棒が凹んで穴になった……。姉ちゃん……弟が妹になったよ……。だ、誰かに相談した方がいいのかな……で、でも恥ずかしくて言えないし……一夏さんに相談、いや女性は男の人に胸と下を見せると襲われるってチェルシーさんが昔言ってたし……。
「どうしよう……」
「どうかしたのかイアン?」
「ブッ!」
思わず吹き出した。一夏さんの声が聞こえたからだ。
「い、一夏さん!?」
「どうかしたのかイアン?」
「えっ!?いやなんでもないです!大丈夫です!」
「もうHR始まるぞ」
「えっ!?あ、わ…わかりました!先に行ってて下さい!」
「………………」
「? な、なんですか?」
「おいなりさん、チャックに挟まったのか?」
「へ、ヘンタイ!女の子に言う台詞じゃありませんよ!」
「? や、お前男だろ」
「と、とにかく!先に戻っててください!」
「分かったよ」
と、とにかくこのままでいいや。スボン履いてれば周りからは分からんだろうし。さぁ、早く戻らないと。
そう思って、トランクスとズボンを上げた時だ。
「ひうっ!」
トランクスの股の下の部分が穴に食い込んだ。
「ぱ、パンツの上げ過ぎに気を付けなきゃ……」
少し腰の辺りまで下げる。だが、
「ひゃうっ……」
中々、パンツが穴から抜けない。思いの外、勢いよく食い込んでしまったようだ。それに、なんか…こう、パンツを降ろそうとする度に体に力が入らなくなる。
「ううぅ……」
携帯を見ると、8:35。いつも先生が教室に来る時間帯だ。
「い、行かないと……」
食い込んだまま、僕はトイレを出た。
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授業中。うぅ……股間の辺りがムズムズするぅ……。なんていうか…ずっとオシッコを我慢してる感じ?いや違うな……とにかく、なんか嫌。ま、まぁこの範囲は寝てても問題ないし、今日は大人しくしてよう。
「じゃ、イアンくん。教科書のP.78の5行目を読んで下さい。この台詞になってるところです」
「…………えっ!?」
山田先生に急に指されてしまった。こ、こういう日に限って……!
「え、えっとぉ……」
78…78、と………。
「あ……会いたかった!…あんっ、会いたかったぞ……んんっ!……ガンダムーーっ‼︎」
おい、教材でガンダム使うか普通?
「あの、イアンくん?読んでるときに、いやらしい声出すのは……」
「だ、出してませんよ!」
「そ、そうですか……?なんか、ガンダムといやらしい行為してるように、聞こえたので……」
「は、はぁ……すみません……」
僕は大人しく座った。今思ったけど、これいつまで続くんだろう……。もしかして、一生このままなんて……。