一年一組の教室。
「イアンが帰って来ない?」
そう言ったのはセシリア。一夏に相談され、いつの間にか鈴や箒も集まってきている。
「あぁ。放課後はいつも部屋にもアリーナにもいなくて、なにしてんのかなあいつ……」
「さあ…直接聞いてみたのか?」
箒に聞かれた。
「あぁ、でも『ちょっと、色々アレでして…』ってよく分からん返事された」
「あの子…自分にバツがあるときは返事を濁しますからね…」
「そうなの?」
セシリアが言うと、鈴が聞き返す。
「えぇ、少し前にわたくしのマグカップを割ってしまった時の言い訳が『と、飛んでった……』でしたから」
「すごい言い訳だな…」
箒が呆れている。
「とにかく、今日尾行してみよう」
そんなわけで放課後、ストーキングである。
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放課後。
「イアン、一緒に帰ろうぜ」
「す、すいません一夏さん。今日も少し…」
「そうか。あんま遅くなるなよ」
「はい!」
そのまま走り去るイアン。教室の中で一夏、箒、セシリアはアイコンタクトを取ると、教室を出た。
鈴も加えて四人はこっそり後をつける。イアンは整備室に入って行った。
「あ、アイアイーまた来たんだねー」
中にいたのは布仏本音。
「こんにちは本音さん」
「毎日毎日大変だねー」
「そんなことないですよ。自分のことですし。今日で仕上げですから」
なにがだ……?と、思わずにはいられない。が、そんな気も知らずにイアンはバサっと近くにあった布を取る。そこから出てきたのはISだった。見たことのない。
『!?』
四人は大きく反応する。色は青基調だが、打鉄のパーツも使われているのか所々黒かったりグレーだったり。
「あ、あれ一人で作ったのか……?」
「試験稼働はまだみたいだけど……」
「スペック高そうな……」
箒、鈴、一夏と声を漏らすが、その声が止まる。セシリアの無言の威圧である。
「せ、せしりあ……?」
一夏の声にも反応しない。セシリアは四人の群れから出た。
「ちょっ!セシリア!?」
「イアン?」
ギクって音と共に震え上がるイアン。
「ね、姉ちゃん…!なんでこんな所に……」
が、ハッとしてあわあわと両手をバタバタさせる。そんなイアンにセシリアは冷たい声で言った。
「どういうつもりですの?」
「なっななななにが!?」
「そこのISですわ」
「こ、これは本音さんの専用機で…て、手伝ってたんだよ……!」
「そこの青い部分、ブルーティアーズの部品ですわね?大方、余った部品を送らせたといったところかしら?」
またギクっとなるイアン。
「ち、違う!これはあれだ!エクシアの……」
「ていうか、この学園に一人でIS作れる人間なんてあなたしかいないでしょう」
で、ガックリと肩を落とすイアン。
「で、どういうつもりですの?あなたはイギリスの代表候補生にでもなるつもりですか?」
「もうなったよ」
「え?」
「これからは僕が姉ちゃんを守る。いや、今は姉ちゃんだじゃない。一夏さんや篠ノ之さん、凰さんに本音さんも守る!だから、僕はイギリスの代表候補生になるって言ったんだ!」
「バカなことを言うな!」
普段のセシリアからは考えられない口調である。
「あなたは自分でなにを言ったのか分かってるんですの!?」
「分かってるよ!僕の存在を世界に伝えるようなものだ!僕のIS適性がS+だったことも!」
「そもそも、わたくしは弟に守られるほど弱くなったつもりはありませんわ!」
「弱いよ!一夏さんにやられかけたって聞いた!シールドエネルギーが切れなければ確実に負けてた!」
「このっ……!」
バシィンとビンタの音が響いた。
「……っ!」
「勝手になさい。わたくしはもう知りませんわ」
そのままセシリアは整備室を出て行った。