One's Ammo.   作:鳳圭介

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作中に出てくるバスや作戦等々は架空のものです。


ブリーフィング

 放課後、情報科のある一室に俺を含めた強襲科や情報科。狙撃科など、武偵校の科の生徒が最低限1人。多くて5人ほど集められた。

 暗くされた部屋の中、スクリーンに映し出されたのは痩せ型で特徴のない男だった。

「こいつが、周知メールに載っていた情報屋の写真だ。コイツは、情報屋を名乗りながらも偽の情報を流していた男だ。なぜ今まで捕まらなかったかは、俺は知らん。とりあえず、今回はコイツを捕まえてもらう」

 スクリーンの前に立っていた情報科の生徒の言葉が終わると、画面が切り替わる。

 なんということのない、数階建てのビルだった。

「犯人の潜伏場所の建物だ。管理者はその男で、店も住人も特にいない、半分廃墟みたいなものだ。ボディーガードを数名連れていることがわかっているが、人数や銃の所持については不明だ」

 そこまで説明したところで、スクリーンは消え、部屋の明かりが付いた。

「とりあえず、ここに居る面子のうち、狙撃科の奴は近くの建物から裏口や各窓の警戒。強襲科の奴ら数名でさらに固める。そっち側のメンバーは……」

 そんな風に説明が淡々と進む中、俺は考えていた。

 なぜ自分が呼ばれたのかと。

「突入メンバーには、強襲科の不知火、斎藤を筆頭に……」

「え?」

 なぜ俺が呼ばれたのだろうか。

「なんだ? 斎藤」

「いや、俺が筆頭って、どういう?」

「そのままの意味だよ。そんなことなら続けるぞ。それ以外のやつは――」

 そう言ってさらにブリーフィングが進む中、俺はさらに困惑していた。

「よろしく、斎藤君」

 俺と一緒に呼ばれた不知火が頬杖をつきながら声をかけてくる。

「お、おぅ」

「どうかしたのかな?」

 不知火が当たりのいい笑顔をこちらに向けてくるが、既に何か知っているような顔が少し気味が悪い。

「いや、なんでも……」

 俺がそう答えると、笑顔をそのままに頬杖をついた手の人差し指を立て、

「なんで自分が呼ばれたのかって、思ってる?」

 と、俺が思っていることをそのまま言ってくる。

「あぁ、その通りだ。わかってたんじゃないのか?」

「いやいや。わからなかったよ」

 と、笑顔も頬杖もそのままに見てくるが、不知火の底の知れなさが逆に怖かった。

「君が呼ばれたのはね、先日神崎さんに勝ったって噂もあるからね。もともとAランクっていうのもあるんじゃないかな?」

「それなら香織を呼んでやってくれ。俺よりよっぽど使えるぞ」

「彼女は……射撃の腕が……ね」

 苦笑する不知火。俺も大いに納得する。香織は完全に近接型だ。というよりは近接戦闘能力でほとんどAランクだ。射撃の腕はあまりよくない。むしろ並以下である。基本を知っているだけだいぶとマシだが。

「まぁ……、射撃なら……俺……なのか?」

 今度から、射撃の試験を少しサボろうかと思う。割と真剣に。

 

 各自が一度部屋や寮に戻り、準備を揃えてきた。

 かという俺は、M2008が邪魔だが、外すわけにもいかないので毎度変わらずの防弾制服だ。

 そして、集合場所に集まっている奴らは完全に特殊部隊張りの格好をしている。そして、その近くには大型の車両が2台止められていた。

 車両、というのは、バスを少しゴツくしたような、防弾された車両だ。パッと見では普通のバスと大差なく見えるだろうが、スモークガラスを使用してあり、中は見えないようになっている。

 俺は左側の内ポケットにいつもの如くM2008を入れてあり、胸ポケットに隠すように自作した小型弾丸ホルダーに223remを6発分。ベルトの右のホルスターにラーマM82を入れてある。予備弾倉はベルトの左側に3つだけ。腰の後ろには小太刀をベルトで止めてある。

「じゃあ、全員乗り込め。こっちから支給するものや、細かい連絡については車内で行う」

 そう言われると共に、集まった面子が情報科の指示に従いその大型車に乗り込む。俺は1号車に割り振られた。

 車内は普通のバスとは違い、むしろ装甲車に近い。人の出入りのしやすさと、装備を置くことを考え、中央には何もなく、両端に椅子が並んでいる。どちらかというと、普通電車に近い椅子の配置だ。ただし、椅子はそんな大層なものでなく、硬い布を張った、ベンチのようなものだ。

 そして、車内からでも応戦できるように、一応は天井にハッチもついている。

 各自が椅子につき、簡易的に付けられたシートベルトを付ける。

 車のエンジンがかかり、そのままゆるゆると、そして徐々に速く走り出す。

 その時、車内に付けられたスピーカーから女性の声が響く。ただし、それはガイドさんの挨拶なんかではなく、

「では、皆さん。作戦についての細かい指示ですが……」

 という、通信科の中空知の声だった。

「車両で近辺まで行くのは強襲科の方のみで、狙撃科の方々は各所で降りてそのまま狙撃ポイントへ向かってもらいます。また、強襲科の方々は現地では車両に乗っている方々でパーティを組んでもらい、表口と裏口に分かれて侵入してもらいます。この際、表口の方々は1号車の方々でα班とし、1階から上がる形で。裏口の方々は2号車の方々でβ班とし、裏口の警備に回ってもらいます。α、β共に各階を捜査してもらいますが、侵入捜査は『ステルス・エントリー』でお願いします。また、狙撃科の方は……」

 と、その後も色々と説明を受けた。

 そして、説明終了後に各自インカムを渡される。それをテストし、問題ないと確認が終わる。

 淡々と過ぎていく時間。だが、緊張感は確実に高まっていた。

「では、狙撃科の方、降りてください」

 その言葉とともに、車両が停車し、扉が開く。

 それと共に、狙撃科の奴らが全員出ていく。

 車内に残ったのは6人だけだった。

 不知火がいないところを見ると2号車に乗っているのだろう。

 座り心地の悪い椅子に体を預ける。外を見る、明るい東京の街が流れていく。

 ため息をつき、思ったことが一つある。

(神崎との勝負、無理してでも断っておくべきだったな)

 あれさえなければ、俺はここにいなかっただろう、と。

 そんな考えも虚しく、バスは人気の少ない、その建物の前に止まった。

「では、強襲科の皆さん、ご武運を……」

 その言葉とともに、バスの扉が開かれた。




誰か、特殊部隊の装備名とか、いろいろ資料をくれ……ガクッ
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