あるところに永地と呼ばれる土地があった。険しき山々を中央に、広大な平野や豊富な水流、そして遥かに続く海に囲まれた地である。
かつてその地に巨大な闇が降り立った。竜の姿をとるその闇は自身に似せた鋼の獣を従えてこの地を侵略した。そしてそこに住む人々を虐げ、力でもって支配したのだ。その闇の力は圧倒的で次々とその手を伸ばし勢力を広げていった。
その支配に対抗しようとするものも少なからずいた。だが神にも等しい力を持つその闇といかなる武器も通用しない身体を持つその鋼の獣には敵わず、多くの勇士が命を落とす。それでも残ったものはその遺志を引き継いで戦ったが次第に追い詰められていった。
ある満月の夜、一人の武者がその地にやって来た。天の御使いを名乗るその若武者は、光り輝く武具でもって襲い来る闇の眷属を退ける。彼が放つ光の波動により今まで歯が立たなかった鋼の獣達を倒すことが出来るようになった。
それを知った抵抗者たちは彼を指導者に仰ぎ、迎え入れる。そして彼を先頭に反撃を開始した。
困難な闘いを経て各地の闇を打ち払い、次々と支配に苦しむ人たちを解放していく。闇を打ち払い、光をもたらす彼はいつしか光の救世主と呼ばれるようになった。
月日が経つごとにその戦いは激しさを増していった。だが長き戦いの末、ついに決戦の時が来た。闇を退け、自身の支配を崩していく光の救世主たちに業を煮やした闇の竜神が自ら迎え撃ったのだ。
対する光の救世主たちもこの一戦を決戦とし、闇の脅威を完全に払おうと望んだ。
だがその永地の闇を吸収し力を増した闇の竜神は強大であった。その圧倒的な力によって光の救世主たちは劣勢となりつつも勇敢に戦った。
光の救世主は残りの力を全て振り絞って闇の竜神と相打ち、その命でもって闇の竜神を倒す。だが闇が倒れ、光がもたらされたその場には彼の姿はなかった。ただ光を失った彼の武具だけが残されていただけだった。
人々は光の救世主の武勇を立てえると共にその武具を各地に祭った。二度と闇がその力を発揮できないようにこの地の守りとしたのだ。
それから長い年月が流れた。
南方に起こった新興の国
その圧倒的な武力によって次々と国々を併合し勢力を伸ばしていく上威眼は南方の地を瞬く間に征服すると、その手をさらに広げる。
狙われたのは、かつて天の御使いが初めて降り立ったという伝説が残る山国「御使いの国」であった。
屈強な軍団と有能な指揮官によって幾度と無くその侵攻を耐えた「御使いの国」であったがやがてその戦力差によって徐々に追い詰められ、ついには敗れ去った。
長き伝説と伝統を持つ国の滅亡はこの永地の地一帯を巻き込んだ戦乱の幕開けとなる。
なるべく早く次の話を上げます。多分。