デート・ア・ライブ error bugs   作:warabe

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今回はギャグで。キャラ崩壊していないといいのですが・・・・・・。


第三話 マナーは守りましょう

「崇宮真那というのだがね、この少女には大きな期待を寄せている」

 

「へぇ、CEOが興味を示すような人材ですか? なんとも最高に幸運でアンラッキーな少女だ」

 

 

 DEM社にスカウトされてから早一年。紅坂円錐は英国本社の社員食堂で昼食のジャケットポテト・ツナマヨにナイフを入れながら、テーブルの向かいに座っている上司、アイザック・ウェストコットの話を聞いていた。CEOと兵器開発部門の主任が同じ小さなテーブルで向かい合って食事をしているという、一般社員なら思わず距離をとりたくなるような光景だが、何故か二人の存在に気付いた様子は周りの人間には無い。ウェストコットはサーモンとクレソンのサンドイッチをつまみながら話を続ける。

(ジャケットポテトとはジャガイモを焼いてから割ったものにツナマヨ、チーズ、エビマヨなどをトッピングして食べるイギリス料理。ジャガバターのツナマヨその他ver.だと思えばいい。)

 

 

「街中を歩いていたところを保護したのだが、エレンに次ぐわが社の戦力として迎えようと思ってね」

 

 

 なんでもとある筋からかなり有能な魔術師の卵を拾った、らしい。というのはそのウェストコットの言い分を円錐が欠片も信じていないからだ。大方どっかから誘拐してきて記憶を消去したのだろうが、双方にとってどうでもいいことなので話題には上がらない。

 

 そのままでも十分磨けば光る人材とのことだが、円錐の得意とする魔力処理改造を施し、さらに強い手駒にしようとウェストコットは提案した。もちろん少女には無断でだ。傍目には和やかに食事をしている英国紳士と日本男子だったが、話している内容はどう一人の少女を改造して強い兵器に仕立て上げるかというドス黒いものだ。彼らに目をつけられることほど不運なこともそうそうあるまい。

 

 

 しかも会話をしている二人の間のテーブル上には円錐お手製のスマホ型顕現装置(リアライザ)が稼働中、今日も今日とて円錐の実験が行われていることを示していた。今回は特定の対象から意識を逸らすというもの。社員の身分証明バッジに埋め込んだチップ(先月配布された新しいバッジにこれまた無断で仕込んだ)を介することで、社員食堂に来ている社員は円錐とウェストコットを視界に捉えながらも全く意識できないようその思考を誘導されている。ちなみにエレンのように強固な随意領域(テリトリー)を扱える魔術師(メイガス)には効果が無い。

 

 

「当人に悟られることなく、しかし入念に魔力処理を施してやって欲しい」

 

「魔力処理改造を? CEOがお望みであれば本人の了解などすっとばして施術しますが、本人に気づかれずそれを行うのはそれなりの時間かかりますよ?」

 

「構わないとも。事を急いてクォリティが下がってしまっては本末転倒だからね」

 

 

 もしその場にまともな良識を持ち合わせた人間がいたらこう思っただろう。ほんの半月前に兵器開発部門の同僚を洗脳して死に追いやった輩が何を言っているのだと。DEM社の近辺での行方不明者は全員彼の実験材料として殺害されている。本人の了解も何もへったくれもなかった。それはさておき、ウェストコットは円錐の返答にまた質問を投げかける。

 

 

「それで、具体的に何年必要になるかねエンスイ?」

 

「少なくとも二年。ゆっくり丁寧に、おまけに身体検査や健康診断のドサクサに紛れて施術するのではどうしてもそれくらいはかかります。そこまでやっても施術後の残り寿命は良くて十数年ですがね。これは比較表です」

 

 

 話を聞きながらタブレット端末を弄っていた円錐がその画面をウェストコットが見えるようにその向きを変えた。普段彼がよく製造している人間爆弾こと「特攻魔術師(カミカゼ)」の製造コストとパフォーマンス、そして仮に崇宮真那を改造した場合その施術や維持にかかるコストと改造後のパフォーマンス、それらの比較表を即興で作り上げて手持ちのタブレット端末のスクリーンに映して見せたのだ。こうした資料作成の早さもウェストコットが評価している円錐の能力の一つである。

 

 

「エレンには及ばないまでも十分に卓越した数値だな」

 

「急ごしらえの人間花火とは比べるべくもないかと。頑丈さもそれなりに仕上がる予定なので、SSSを軽々と取回せるでしょうね」

 

「ところでそのSSSの名称についてだが、英国のSSSから苦情が来ていたよエンスイ」

 

 

 そう、日本で言うところのAST(Anti Spirit Team)の英国版であるSSS(Special Sorcery Service)と、円錐の造った狙撃銃の略称が丸被りしていたのだ。紛らわしい上に「Scream(悲鳴)、Slaughter(屠殺)、Smithereens(木端微塵)」などと物騒な武器の略称と一緒にされたくはないとのことだった。殺しても死なない精霊、《ナイトメア》を幾度も肉片にするという成果を上げている兵装であったが、使うたびに射手の腕を粉砕骨折するようなゲテモノなので完全に敬遠されていた。円錐としてはもういっそロボットにでも持たせて使おうかと検討中である。

 

 

「あ~、完っ全に失念してたなソレ。面倒くさいからCEOが新しい名前付けてくれません?」

 

「名付けならばエレンが喜んでやってくれると思うが」

 

「執行部長のネーミングじゃ何でも円卓の騎士がらみになるから却下です。ビート板に『プリドウェン』とか無い」

 

 

 これはDEM社内では割と知られていることだが、世界最強の魔術師であるエレン・M・メイザースはそのプライベートが残念極まりない。こと戦闘に関してだけならば疑う余地なく世界最強だが、素の身体能力は並み以下で、思考がお子様なことが多い。具体的には階段の上がり降り程度で息切れし、挑発にすぐ乗ってしまうなど。あと、何でも自分の持ち物および武装にアーサー王伝説にちなんだ名前を付ける癖があった。ちなみにプリドウェンとはアーサー王が使っていたとされる盾の名称だ。間違っても水泳具に付ける名前ではないだろう。

 

 

「ならばフェイルノートはどうでしょう」

 

「それはトリスタン卿の弓の名前かな? これは狙撃銃、弓じゃない。というかどこから湧いて出た執行部長!?」

 

 

 いつの間にやら二人しかいなかったテーブルに美しい金髪の少女が加わっていた。彼女は紅茶を飲みながら、ショートケーキをそれに載っているイチゴを傷つけないよう慎重に食べている。この少女こそ話題に上がっていた世界最強の魔術師、エレン・M・メイザースである。しばしあっけにとられていた円錐であるが、眉間に寄ったシワを揉みほぐすようにしてから、ショートケーキのイチゴを宝石のように扱う少女にツッコミを入れた。

 

 ちなみに完全に余談であるが、英国本社のこの社員食堂にはロンドン市内の5つ星ホテルからヘッドハンティングしたパティシェが常駐している。よってエレンが今食べているショートケーキはロンドンにおいても最高級のモノだ。かつてこの食堂で不味いショートケーキを出した前任のスイーツ担当のコックはテムズ川にぶち込まれたらしい。そしてその犯人はやたらと「最強」であることを強調する少女であったらしい。多分。メイビー。詮索するものは執行部長による裁きか、円錐と地下室でたのしい理科の実験だ。

 

 さてそんな世界最強の少女が何故ここにいるのかというと。

 

 

「アイクが私のことを呼んだ気がしたので直ちに駆けつけただけです」

 

 

 確かに話題に出しはしたが別に呼んでねぇ。そんな円錐の目線はどこ吹く風で受け流される。そもそもエレンには兵器開発部で製造した汎用対精霊ライフルのテストを執行部で行うよう頼んでいたはずだった。監督役であるはずの彼女がここにいるのはどういうことか。

 

 

「執行部に頼んでおいた兵装のテストは?」

 

「とっくに済ませましたが何か? 最強の魔術師である私の力に耐えきれず砕け散る不良品でしたね」

 

「誰が全力でぶっ放せって言った!? アンタの出力に耐えられる武装とか、専用装備でも作らなきゃ無いっ! あれはジェシカ・ベイリーに撃たせるように指示していた筈だ!」

 

 

 頭が痛そうにした円錐が思わず怒鳴る。常人とは比べ物にならないエレンの魔力量で全力を出されると汎用武器がオーバーロードを起こして壊れてしまうからこそジェシカに頼んだのだが・・・・・・。

 

 

「彼女ならば私を愚弄したその愚かさを身に沁みこむよう罰を与えたら、失神して医務室に運ばれました」

 

「オイ、オレは珍しく胃が痛くなってきたぞ。CEOもなんとか言って――いなくなってる・・・・・・」

 

 

 正面を見やれば、これまたいつの間にやらウェストコットの姿が消えていた。そういえばもう数分で昼休みが終わる。執務室に戻ったのだろう。面倒事を円錐に押し付けたととれなくもないかもしれない。とにかくいなかった。気を取り直して円錐はエレンに質問する。

 

 

「で、ジェシカ・ベイリーの奴は今度は何をしたんだ? アイツも懲りないというかなんというか」

 

 

 DEM社の執行部はいわばウェストコットの親衛部隊にして最精鋭。ジェシカ・ベイリーもゆくゆくは、執行部の中でもさらにエリート中のエリートであるアデプタスのメンバーになると言われている新人だ。ウェストコットへの忠誠心も申し分ないし有能だが、エレンをからかう度にしばらく泣いたり笑ったりできなくなるような目に遭わされていた。

 

 

「ショートケーキの上のイチゴを簒奪した報いです。これの重要性を分からないとは貴方もまだまだですねエンスイ」

 

「そうですか・・・・・・。とにかく、フェイルノートの名はもっといい武装を作った時のためにとっておくぞ、勿体無い」

 

「何故です!? 私がつける名前なのですから、最強に相応しいものでなければなりません!」

 

 

 愕然とするエレンを無視して円錐は悪態をついた。

 

 

「アンタの専用武装『ロンゴミアント』に劣る兵器にそんな大層な名前を付けられるか。アホ」

 

「あ、アホ・・・・・・!? 最強の魔術師たる私になんという侮辱を、このマッド(MUD、泥)サイエンティスト!」

 

「オレが泥臭いだと・・・・・・このお子様思考の虚弱体質!」

 

「そこに直りなさい、実験用のマネキンに流血ペイントを施して悦に入っている変態!」

 

「んだとコラ!?」

 

 

 CRーユニットを展開するエレン。そして自作の戦闘ロボットを、遠隔操作で食堂の壁を突き破らせ乱入させる円錐。低レベルな口喧嘩は互いの技術を尽くした戦争へと突入。飛び交うビームと衝突して火花散らす刃。その場にいた社員たちは悲鳴を上げて逃げ出す。テーブルは紙ペラのように切り裂かれ、厨房はビームで爆発四散する。

 

 魔力で編まれた刃であるレイザーブレイドを展開したエレンと、戦闘用ロボットに改造された流血ペイント実験用マネキン「ジョン・ドゥ(円錐命名)」との乱闘騒ぎで破壊されたDEM英国本社の社員食堂は1週間使用不能になったのだった。

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 結局。円錐は自分で武器を命名し直したのだが・・・・・・。

 

 

「Shrieking(悲鳴を上げている)、Scorched(焼け焦げた)、Stiff(硬直した死体)」

 

 

 略称がSSSのままであるのと、その内容が前より悪化しているとこのことで即時却下され、略称をS (3)(Sキューブ)、正式名称は無難に社内で募集して採用された「Spirit Slaying Shot(精霊を殺害する狙撃)」という名称に変えることで決着。円錐のネーミングセンスもイマイチであった。

 

 

 

<原作開始まであと3年>

 

 

ナイトメア「何故わたくしを狙撃してくる魔術師は皆、両腕を包帯ぐるぐる巻きになってますの・・・・・・? うっ、包帯をみたら黒歴史が」




番外編でもなければシリアスオンリーにしようと思ってたら、エレンと円錐を絡ませたらギャグになってしまった・・・・・・。

やはり執行部長は最強。
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