「ひゃあっ!」
「この揉み心地……今はまだ小さいけど数年くらいでナイスバデーになるわね……」
私は謎の女性の手だと思われるものに胸を揉みしだかれていた。あまりにもエロい手つきな上にこんな事をされたこともないからお姉様の目の前で顔を真っ赤にして自然と喘いでしまうのがとても恥ずかしい。
「誰だか知らないけど、夢月の胸は私の物なんだから早くその手を離さないと壊すよ?」
「黙りなさいまな板。私が揉む価値すら見出せないおっぱいは消えて頂戴」
謎の女性がやっと手を離してくれたけれど、私は身体に力が入らなくてへなへなとその場に崩れ落ちた。乱れた息を整える為に深呼吸をしてから顔をあげると、謎の女性とお姉様がすごい剣幕で睨み合っていた。
このいきなり胸を揉む変態はどんな面をしているのか気になった私は足元から観察してみた。
「ぼんっきゅっぼん……」
裸なのは置いといて元々男だった私でも羨ましいと思うほどスタイルが良い。髪の毛は白と言うよりも銀色に近くて、アホ毛のようなサイドテールがあり、表情はとても凛々しい。
こんなにも美しいお姉さんみたいな外見なのに私の胸を揉みしだく変態だと考えると、とても残念で自然とため息が出る。
「今ならぱっぱと姿を消してくれたら許してあげる」
「そう言うわけにはいかないのよね」
「なら私が貴女を……」
「……待ってお姉様」
身体の周りに火花を散らしているお姉様の前に立って手を突き出して「待って」と伝える。あまり納得できていなさそうだったけれども、お姉様はその場に座ってくれたので、私は振り向いて変態の顔を直視する。
「さっき……初めて作った子って言った……どういう意味……?」
「夢月ちゃんはまな板と違って話が通じる子で助かるわ」
そう言ってこの変態は自然な流れで私の胸を揉もうとしたから、私はその手を叩くと「ちょっとくらい良いじゃない……」と呟いていたけれど、私からしたらたまったものじゃない。
「それで……?」
「まな板が気絶させちゃったその子は私が作った生き物なの」
「作ったって……どうやって?」
「私は生き物を作ることができる不思議な能力を持っているみたいなの。産まれてから何もないところにただ佇んでいたんだけど、ある日この空間に流れ着いちゃったわけ。それで綺麗なおっぱいを持っている貴女に興味を持ったから眠ってる貴女の身体を採寸して……」
「もう良い……聞きたくない……」
自分の胸がどうとかそんな話は流石に聞きたくない。それよりも気になったのは不思議な能力を持っている事と何もないところに産まれたといったところだ。お姉様と言いこの変態と言い夢月と言い、一体何なのだろうか?
私がどうこう考えているとお姉様がいきなり横槍を入れた。
「そこの変態さん。そろそろ貴女の自己紹介をして欲しいんだけど」
「そう言えば私の名前を教えてなかったわね。私の名前は神綺」
「知ってると思うけど私は幻月。夢月の姉よ」
「私は……夢月」
変態こと神綺は胸を張りながら偉そうに、お姉様は座りながら少し嫌そうに、私は神綺に向かってひらひら手を振りながら自己紹介をした。自己紹介が終わってから変な沈黙が続いていたけれど、神綺は何か思いついたのか指をパチンと鳴らして私にウインクをした。
「ねえ私達手を組まない?」
「いきなり何よ」
「多分なんだけど私が何もないところからこの空間に流れ着いたのは貴女達がこの空間を大きくしたからだと思うの。でも見た感じ、貴女達は生き物を作ることができない。そして私は世界を作ることができない。だから3人でこんな何もない空間を楽園に変えてみない?」
「えっと……変態にしては良い案だと思うんだけど……」
「こんな素敵な案に何か不満があるの?」
「私達……この空間を大きくしているつもり……ない」
「そんな!?じゃあ私の素敵な性が乱れるおっぱいパラダイスはどうなるの!?」
「私達を使ってそんな意味不明なもの作ろうとしてたのかこの変態!!」
神綺が涙目でお姉様の肩をしっかり掴んでシェイクし始めたので、私はため息をついてから気絶しているもう一人の私の前にしゃがみ、あまり長くない髪の毛で三つ編みを作り始めた。
「貴女も一応生きているんだね……何時までも偽物って言われるのは可哀想だから夢子って名前を貴女にあげる」
今までの私なら絶対に言わないような事を言ってるなーと自分でも思う。ただ私がイジメる側に周ってしまったのが嫌だと感じただけかもしれない。でも他人を見下すよりは他の人の為に何かやってあげる方が気持ちが良いなと心から思った。
「よしできた」
パッと夢月と夢子を見分けられるようにと思って作った即席の三つ編みはなかなか良い出来だと自分でも感心していた。あとは服をなんとかして作って夢子なりの個性を作って欲しいな。
「いい加減にしろ!このおっぱい魔神!!」
「ケチ!アホ!バカ!このまな板悪魔!!」
背後からすごい音が聞こえてくるから、私はまたため息をつきながらも少し微笑みながら二人の喧嘩を止めに入った。
……見事に二人のストレートパンチを私が食らわなければ最高の思い出になったのに。