隣に寝ている夢子より先に起きた私は青いメイド服を身に纏ってから鏡がついた化粧台の前にある椅子に腰を掛けて項垂れていた。
「……起きてるんでしょ夢月」
「おはよう夢月。昨夜はお楽しみでしたね」
顔を上げて鏡を覗き込むと、そこにはげっそりしている私じゃなくてにっこり笑っている私が写っていた。
「……夢月は俺にちゃんと教えてくれなかったけど俺って何故か一週間ほど意識が無い時期があるんだよね」
「ふーん。そうなんだ」
鏡の中にいる夢月はまるで他人事のようにニヤニヤしてるのを見て鏡を割りたくなるのを我慢して話を続ける。
「意識が戻ってから夢子は俺にべったりだし気がついたら幽香はいるし……俺が気絶している間に何かやったでしょ」
確かお姉様が赤ちゃんが欲しいみたいな事を最後に俺の意識は飛んでいる。もしかして……
「あーそれね。私が身体の主導権を奪って夢子と子供を作っただけよ」
「やっぱりあんたのせいだったんだ……」
怒りを通り越して呆れた私は握っていた拳の力を抜いてため息をついた。
「それより夢子と子供作ったって何……?レズセックスでできるものなの……?」
「あなたの記憶の中にあったエロ本の中にあったような事はしていないわよ。ほら、私達とお姉ちゃんが作った生き物って何故か成長しないでしょ?」
私達が神綺の真似をして初めて作った何時も腐った林檎を手に持ってる何年経っても全く外見が変わらない少女を思い出して俺は頷く。
「だからあなたに好意があった夢子をちょーっと誑かして彼女の血を手に入れて私達の血を混ぜて術式を組んで……」
「夢子の気持ちを弄んだの……?」
「あなただって夢子の事が好きなんでしょ?それで今の関係になったならウィンウィンじゃない」
「うぐっ……確かに人形って可哀想な運命を必死に変えようと努力している姿とか愛おしいけど……」
「さっきから独り言ばかりどうしたの?」
恥ずかしくてゴニョゴニョ言ってると、何時起きたのか夢子が後ろから抱き付いてきた。チラッと鏡を見ると私が写っているだけだから一安心していると、夢子はいきなり私の胸を揉んできた。
「ひゃあ!?」
「私を無視するなんて酷いわね」
「寝ぼけてただけだから大丈夫大丈夫……」
白いカチューシャがついている夢子の頭を優しく撫でると彼女は気持ち良さそうに微笑むから、その姿を見て和んでいると、突然部屋のドアを叩く音がした。その音にびっくりした夢子は私のコスプレ衣装が入ったクローゼットの中に入ってしまったので残念に思いながらノックがしたドアを見ると、幽香を肩車したお姉様が入ってきた。
「むっちゃんあそぼ!」
「夢月は逃げないから髪の毛引っ張るのだけはやめて」
「おはよう幽香。お姉様がハゲちゃうから髪の毛を引っ張るのだけはやめましょう」
何が楽しいのか涙目なお姉様の髪の毛を離さない幽香の脇を擽り、笑って手を離した瞬間に私が幽香を抱っこした。
「ちょっと魔界からお客さんが来たから相手して欲しいの」
「魔界からって……名前分かりますか?」
いきなりクローゼットから飛びてた夢子を見たお姉様は驚いて尻餅をついていた。そしてその光景を幽香はとても面白そうに見ていた。
「いててて……なんであんたはそんな所にいるのよ……」
「それで誰ですか?」
「無視か……随分私の地位も下がったものね」
「お姉様はこの世界の王様……それだけは変わらない……」
「さすが夢月!貴女だけが私の理解者よ!」
お姉様は幽香を抱っこしている私に抱きつこうとしたけれど、幽香がお姉様の髪の毛に手を伸ばしていたからお姉様が飛び引いて壁に背中をぶつける光景は何とも言えなかった。
「あー夢子こんなところにいた!神綺が怒ってたよ!」
「……お邪魔します」
お姉様の一人コントを見ていると、突然二人の少女が部屋に入ってきた。その二人を見て私は何処か懐かしさを感じていた。
こんばんは……すごく久しぶりの投稿です……ここがおかしいとか日本語変などあったら指摘していただけると嬉しいです