後々のフラグ投下回でもあり。わしゆ勇者たちがあの子と出会います。
-神樹館 中庭-
「秘密基地見つけた!」
「「は?」」
学校での清掃活動中、銀がどや顔で言った一言にきょとんとする須美と園子。
「だ~か~ら~秘密基地だって~」
「いや、聞こえてないわけじゃなくて…それに私達来年は中学生なんだから…ね?」
「くそうっそんな優しい顔で言い聞かせるなっ!」
そう彼女たちは来年は中学生、こんなはしたない事をするべきじゃないと思った須美は銀に言い聞かせよとしたが、それが馬鹿にされているように思った銀はさらにヒートアップする。
「なんだよもーーっ近くの池でライギョも捕れるし、ザリガニだって爆釣だぞ。そういうなら教えてやんねーぞっ!」
「おお~~~」
根からのお嬢様気質の園子にとって銀の話は興味津々のようである。
「さすが銀
「ぶふっ!」
「うっさいなあもう!」
園子の発言に思わず須美が吹きだした。その様子に銀が顔を赤くし吠えた。
「も~なんでこういうロマンわからないのやら」
「はいはい、早く片付けちゃいましょ」
掃除用具の片づけに行った須美・銀の2人だったが、そんな中、
「ん~ぴか~んと閃いたぁ~」
園子は何かを閃いていた。
―――――――――――
――― 同時刻
-神樹館 6年1組教室-
「みんなわるいわね。本来なら用務員の仕事なのに直してもらっちゃって」
「いえいえ、お役にたてて何よりです」
教室の担当だった勇の班は、本来なら用務員がやるだったが腰を痛めてしまったため変わりに神棚の点検・補修やる事になった。少しガタついていたが、勇があっとういまに直してしまった。
「……神棚を新品同様に直すって…ははは」
突っ込みをいれたのはクラスメイトの『
中、かなりの常識人であり趣味等が合ったため現在は親友の間柄の関係となっている。
「あぁ~いさみんいた~掃除終わったんだ~」
間延びした声で園子が教室に入ってきた。
「まあ一応、早く終わって今から帰る事だったけどどうしたの?」
「いさみん、今日特に用事ないなら私達についてきてほしいんだけど、きーりーと遊ぶ約束とかしちゃったかな?」
「いや、今日は俺の方が用件あって帰らなきゃいけないからな。だから勇は空いてるよ」
「そっかぁ~それじゃあ帰り支度終わったら集合ね~」
園子はそういうと自分の席に戻り帰り支度を始めた。
「そっちも相変わらず忙しいようだな」
「まあね……」
クラスには大赦のフォローで勇が勇者3人のサポートをしていることは知られている。男子の羨望の眼差しがあったのはまたの話である。
―――――――――――
「…で結局ついてくるのね」
園子と勇は後片付けと終った須美と銀と合流し、一同は銀の言う秘密基地であるところへと向かっていった。
「私はちょっと興味がある~♪」
「ほっとくと何するかわからないし」
「言われたからついてきたけど……そういや何するかわからないな」
「で、なんで勇まで連れてきたんだ?」
「男の子ならこういうのわかると思って連れてきたぁ~♪」
「園子!お前の仕業か!」
「それで僕を連れてきたというわけか…」
「ん~勇も来てしまったけど、まあいいや。ほら、着いたぞ」
到着したのは廃れた神社とも言える場所である。
「おお~なんか雰囲気が出てる~」
「全然人も来ないからさ、ほら釣り具とかまで置いてあるんだ…」
「ん?須美どうしたんだ?」
3人は須美の異変に気づき須美を見る。
「ちょっと!こんなにお社さんが汚れてるじゃない!あ―――もうっ!銀は水汲んできてっ!そのっちは草取り!勇君はこっち手伝って!」
(((なんというおばあちゃんっ!!!)))
どうやらあまりにも汚れたお社を見つけたがためどうやらスイッチが入ってしまったようだ。
「まあ、しょうがないやるか」
「うん」
「そうしますか」
3人はそれぞれ作業に入った。
「それにしてもどれだけ長い間手入れしていなかったのかな…ってここ壊れてるじゃないの!」
「須美、僕がお社の修理するよ」
「勇君、いいのかな。お社勝手に直しちゃって」
「その方がここの神様も喜ぶでしょ。幸いそこに釣り具用なのか工具箱あるし。これぐらいなら」
さすがに大人がついて見る程の危ない作業ではないみたいだ。
「それじゃあお願いしようかな」
「任せて」
そう言うと勇は作業に取り掛かり始めた。あまりにも作業工程がてきぱきとしていたのか。
(なんか立ち入れない雰囲気!?)
その光景を見た須美はそう思ったという。
――― 1時間後
「「つ、疲れた~」」
社の掃除と草むしりを終えた園子と銀は疲れて座り込んでいた。
「でもぴかぴかになって良かったねえ。わっしーもいさみんもご満悦だ~」
須美はお社が立派に綺麗なったことに勇は自ら手掛けた補修に頷きながら満足していた。
「ほらっ挨拶して。この後お供え物取りに行くわよ」
「え―――!めんどいからかばん置いてっていい?」
「須美はまめだねえ…」
「うちにぼたもちがあるからそれにしよう~皆の分もあるよ~」
「まじで~やった~」
一同は二拝二拍手一礼という参杯礼式の基本的なお参りをすると園子の家に向かうことにして鳥居をくぐったが……通り抜けた時そこに4人の姿はなかった。
―――――――――――
「やっと竹林から出れた~」
「っかしーなあ。目印がなくなってる」
竹林から出た4人は見慣れない光景に少し困惑していた。
「変なとこから出ちゃったね~」
「おっかしいなあ…ん~?ここどこだ?」
「どっかで出るとこ間違えたのかな?」
「待て―――っ!」
「?」
須美が誰かの声に気付きその方に振り向いた。
「といや―――っ!!!」
「(!?)きゃっ!」
突如少女が飛び込んできた。どうやら猫を追いかけていたようでそれを捕まえようとしたが、その途上にいた須美が捕獲されたようだ。
少女の特徴としては、須美たちより年上で赤い髪をリボンで後ろに束ね。アクセントに桜の花びらをあしらった髪飾りを付けている。どうやら須美たちと同じ学生のようで制服を着ている。
「す、須美ー!!」
「須美が捕まったー!?」
「こういうシチュも…悪くない~
肝心の須美は無事なようだが目を回している。
「あーんっ!逃げられちゃった。君、大丈夫?」
そう言ってる間に猫が遠ざかってしまった。すかさず少女が須美を介抱する。
「えっと~お姉さんは?」
「あ、ごめんね。私は『
「あ、あのー…紹介もいいんですけど」
「ともかく…そろそろ離してやってください。ずっと抱きっぱなんで」
「わっと!?」
「ぷはっ!」
銀と勇の突っ込みで友奈と呼ばれた少女は介抱したままなのに気づき、ようやく須美は解放された。
「抱き心地があまりにも良くてつい♪」
「そりゃあうちの大切な≪マシュマロぼでー≫ですから~」
「あのね…褒められてる気がしないんだけど」
「わがままボディもってるのに……贅沢すぎるぞ(ぼそっ」
「?」
銀がなんか呟いてたのを勇は聞いたが、ひとまずは気にしないことにした。
「あ!?そういえばネコちゃん!」
友奈が落ち着かない様子で辺りを見渡す。
「一緒に走ってたあのネコちゃんのこと~?」
「首輪の変わりにリボンつけてたネコのことだよね?」
「それならあっちに走って行ったけど」
「うひゃんっ!ようやく見つけたのにっ……じゃあほんとにゴメンね!あの子捕まえないとっ」
友奈はネコをすぐに追いかけようとその場から去ろうとしたが、
「あの!お困りでしたら手伝いますよ。ご迷惑をおかけしたみたいですし」
「わっしーのせいだしね~私達も手伝うよ~」
「まあ、須美のせいだしな」
「私が悪いの!」
須美はショックのあまり涙目になった。
「お、思いもよらない事だったから気にしなくてもいいよ須美。友奈さん乗りかかった舟ですし僕もお手伝いします」
「う~ん、それじゃあお言葉に甘えてお願いしちゃおうかな」
4人は友奈の部活の手伝いをすることになった。
――――――――――
「そういや、君たちの名前聞いてなかったね」
ネコ探しの途上、友奈は4人の名前をまだ聞いていなかった。4人は簡単に自己紹介をした。
「そういえば言ってませんでしたね。私は『鷲尾須美』と申します」
「『乃木園子』だよぉ~」
「『三ノ輪銀』だ」
「僕は『紺野勇』」
「須美ちゃん、園子ちゃん、銀ちゃんに勇君ね。よろしくね~」
「友奈さん~私も聞きたいことが~」
「なあに園子ちゃん」
「さっきの『勇者部』ってなんですか~?」
未だに見つからないという訳で園子が友奈との話で気になった『勇者部』について聞いてみることにした。
「あ、えっとねー。人のためになることを勇んでおこなう部活でね。困っている人を笑顔にしたいんだ」
「へえ」
「ああ。それで『勇者』ってわけだ」
「だから…須美ちゃんたちも『勇者』だね!」
笑顔で友奈はそう答えた。須美たちは照れて顔が赤くなる。そんな中、
「ん?見つけたよ!」
勇がネコを見つけたようだ。
「え?どこ~?」
「あの木の上に登って行ったのが見えた」
「結構遠いんだけど…勇、本当に見えたのか?」
勇が指を指した木までの距離は相当あった。余程の眼の良さがなければ視えない程である。
「あのリボンつけてたから多分間違いないよ」
「とにかく行ってみよう!」
一同は友奈の号令で勇がネコを見つけた木へ向かうことにした。
――――――――――
「本当にいましたね…」
「でも降りられないみたい~」
勇が言う通り木に登っていたネコを見つけたが、どうやら降りられない様でネコは足がすくんで動けなくなっていた。
その光景を見た友奈は突如閃いたかのように、
「よしっ。みんな合体だ~!」
「合体「ロボ」!?」
「あのう?合体って…」
事情が飲み込めなかったので勇は友奈に聞いてみた。
「男の子である勇君だと1人しか持ち上げられないけど、女の子2人ならなんとかいけそうだから須美ちゃんと銀ちゃんを持ち上げて、ネコさんの救出をするのだ。2人共やるよ~」
「おう!」
「なんかわからないけど…やってみます!」
「2人共がんばれ~だよ」
友奈のテンションに須美と銀は同調した。どうやら、友奈・須美・銀の順番で人間橋子となり猫の橋渡しをして救出するようだが……。
(あれ?この角度まずいような…)
勇はなんかの悪寒を感じていた。
「ファイトぉ~」
友奈さんが二人を持ち上げた瞬間、勇は直ぐ様後ろ向き直り両目を手で塞ぐ。
「ぱぅわーーーーーー!!!」
「銀まだ~!?はやくっ!」
「もう…ちょい」
震えながらもネコまであと少しの位置まで届かせる。銀はネコを抱えようと必死で手を伸ばす。その様子を見ていた園子は勇に気づき声をかける。
「いさみん、どうしたの~?後ろ向きで目まで塞いじゃって?」
「言わせる気ですかい!?園子さん?」
勇はパニックのあまり敬語になっていた。その後、ネコは勇気を振り絞り、友奈たちの身体を足場にし、
「おかえり~」
園子が抱えていたネコ用の箱に飛び込んだ。
「あれ?勇なにしてんだ?」
「わっしー、ミノさんこういうのも、なんだけどぉ~見えてたよぉ~」
「へ?なにが?」
「もしかして…」
事情を察した須美と銀は赤面し、何か威圧感のあるオーラを身に纏いながら、
「勇「君見た?///」」
「ヤバいと思ってすぐに後向いて見ない様にしてました。決して見てません!!」
「「そのっち」園子どうなの?」
「う、うん…。いさみんすぐに振り向いたから中身は見られてないと思う~」
園子がそう言うと、二人のオーラがおさまった。どうやら正直に言った事と中身を見てなかった為許されたようだ。
―――――――――――
「依頼完了~☆」
「「お疲れ様でした」」
「楽しかった~」
「だな」
一同は依頼者のお婆さんにネコを引き渡しお礼の品をもって帰路についていた。
「もなかにぼたもち、それにかりんとう色々貰っちゃいましたね」
「これでお供えの品も確保できたね」
(ぴりりりり!)
こんな感じで和気藹々としていると友奈のスマホが鳴った。
「ごめんっ。部活のみんなが待ってるから行くね。あ、これはみんなで食べて!」
友奈は4人の分のお菓子を渡し、手を振りながら
「ありがとね~ちっちゃな勇者さんたち~」
どこかへと走り去っていった。その後4人は再び竹林へ戻り、鳥居をくぐった。
お社へと戻った4人は頂いたお菓子をお供え物として置くと、再びお参りをした。
「これでよしっと、さあ3人共帰りましょうか」
「賛成~」
「だな、まあ色々あったけど楽しかったな」
4人はご満悦で帰路につこうとすると、
「!?」
勇が誰かに見られているような気がし、あたりを見渡すか誰もいなかった。
「勇?どうしたんだ?」
「いや…気のせいだったみたい」
4人は鳥居をくぐり、それぞれの家へと帰宅した。そんな最中……
【…………】
社の敷地内の神木に留まっていた黒い鳥が彼らを見届けると何処かへ飛び立っていった。
―――――――――
side:須美
次の日、私たちは『讃州中学』の場所を調べた。理由はもう一度あの人…何故か翌日になって名前を忘れちゃったけどその人とお話してみたかったから。
調べて分かったことといえばそこは歩いて行けるような場所じゃなかった事、そして―――『勇者部』が存在してなかったことだった。
でも―――あの日見たお姉さんの姿だけは目に焼きついている。あの花のような笑顔は…。
side out
「なんか…夢みたいだったね~」
「そうね…」
現在4人は中庭に集まって清掃活動を行っている。今日は須美たちの班と勇の所属している班が協同で掃除をしているため4人が顔を合わせたというわけだ。
「4人一緒の夢って…なんかおとぎ話みたい」
「でも勇者部…楽しかったよな」
「そうだね。なぜかみんなあのお姉さんの事忘れてたのが気になるけど」
ここで銀が少し考え込んだが、なにかを閃いたようで、
「…なあ。アタシらも中学に入ったらやってみないか?」
「私も同じこと考えてた~」
「ふふ…そうね。私たちも勇者だしね」
「それって…僕も含んでのことかな?」
「もちろんだよ~」
そんな感じでいつかやる未来について話しながら4人は清掃活動を終わらせるのであった。
side:勇
この時の僕や須美・園子・銀は知らなかった。
迎撃され続けた知能ある生命体が、どういう行動をとってくるかを。
そして、僕は勇者である少女たちの運命や世界の真実と本当の意味で向き合う事になるとは―――勇者である少女や僕も含めて誰も知る由もなかった……
side out
――――――――――
――― 時は前日に遡り
-紺野家-
《……解析のデータは大赦の方での解析と反映を終わらせたので、いつも通り送っときます》
「…いつもすまないな。春信」
《いえいえ、これも仕事ですので》
「春信君からかい?」
「あぁ…この前の戦闘の詳細報告といつもの解析データを送るらしい」
「そうか」
始は端末でなにかの作業をしている。
「……しかしながら、なぜ初代リーダーである先祖は300年近くも費やしてこんな未完成のシステムの開発を続行しろと遺言を残しているのやら」
「……システム自体は初代が中心となって数年で完成しているよ」
「だったらなぜ使えない」
「勇者システムと同じ原理だよ。使える適正者が未だに見つかっていない。過去に初代を含め何人か使用できた人もいるけどすべて引き出しきれていないよ。文献にある『託された者』の条件を満たす人が見つかってないからね」
「それでも使わないことにこしたことはないよ。現在は勇者システムで事足りてるし」
「そうならないのが一番だが。奴らも知性があるはずだ。このままであればいいのだが」
一部の大人たちはこの先に起こり得るかもしれない最悪な事態を予想していたが、今はそうならないことを祈るしかなかった。
次回はいよいよ原作での山場のひとつ……。いよいよオリ勢が大きく動き出すことになる…と思います。急展開など色々あるかもしれませんが頑張って書いてみます。
●主人公の親友『桐ケ谷』
モブ系キャラを考えるのは苦手なので、他作品ベースのキャラを使用。元ネタはSAOのあの主人公です。関連はわしゆ小説掲載誌『電撃G's magazine』繋がり。モブ系男子をフリーダム系な性格にしたので、原作よりもコミュ症を改善したほうと考えてください。
また、説明会を作るのは苦手なので趣向を変えた特別話も用意しました。そちらもどうぞ。