原作第4話前半…日常からの…
第9話 前編
side:勇
「あれ、ここは?」
僕は目を覚ますと、瀬戸大橋に立っていた。
「急にこんなところに…、夢…なのかな?「…1つかな」ん?」
聞き覚えがある声が聞こえ、僕は耳を澄ます。そしてそこに、
「何を言ってるの……銀……こんな時に」
「ミノさん、どうするつもり……」
「勇者が逃げたら世界が終わっちゃうから、ここは頑張るしかないでしょ」
勇者の姿のいつもの3人がいた。よく見ると所々怪我だらけで須美・園子が銀に抱えあげられている。3人に声を掛けようとした矢先、
「ここはアタシに任せてアンタ達は休んどいてよ」
「ミノさん…駄目!駄目だよ!」
「銀何をするの!離して!」
銀は須美と園子を海へと放り投げた。
「またね」
「「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃん!!!!」」
叫びながら2人は落下していった。
そこに異形の姿をした3体が迫る。
「バーテックス!?」
バーテックス3体に対して銀が向き合い、
「さーて、と……ここは任せろって言った以上……責任持たないと、かっこ悪いからね……いっとくかァ!!!!!!」
まさか一人で挑む気なのか!?恐らくあの怪我はこいつらにやられたのか……。僕は咄嗟に銀を止めようと手を伸ばすものの無情にも彼女の身体に触れられず突き抜けた。僕は必死に叫んだ。
「銀!!!やめろぉぉ…って、うわっ!」
突然、僕の視界に変化が起きた。銀がバーテックスに突撃しようとしたところで、今見た光景が全てが消え去った。
――――――――――
気付くと僕は瀬戸大橋の手前側にいた。
「今度は、なんなんだろう…っつ!?」
瀬戸大橋の向こう側から轟音が聞こえてきた。まるでなにかと戦っているような。まさか銀が戦ってるのか?嫌な違和感を感じ音がする方に向かっていくと、
「音が止んだ……?」
轟音は止んで、あたり一面はこれとは思えない程静まり返っていた。僕の足は自然と大橋の方へと向かっていた。
「(!?)銀!!」
大橋を進んでいくと、勇者の姿の銀がそこに立ち尽くしていた。
「銀!無事でよかっ………え?」
彼が銀の肩に手を置くと、ぬるりとした違和感を感じ、ゆっくりと手を離し自らの手のひらを見る。
「血…」
この刹那、異変を感じ銀の顔を見る勇。
「うそ…だろ…」
銀と呼ばれる少女は答えない。状況から壁の向こうに追い払った滅びの存在が再び来ないように壁を強く睨みつけていた。その紅蓮の服を、自分の血でなお朱く染めて、彼女は立ち尽くして……その命は……燃え尽きていた…。
「あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
銀の死に、僕は絶叫した……。
―――――――――
-紺野家 勇自室-
「銀!!!」
僕は布団から飛び起きると体中が汗で湿っていた。息を切らしていたので、少し深呼吸して落ち着くと、
「夢だったのか……だけどこれは……」
生々しい感覚が残るものの夢だと実感した。手のひらについていた血はない。しかし、今までと違うのは…
「夢だったけどなんでだろう…」
鮮明に頭に残っていることだった。
-乃木家-
結局今日は朝の夢の事が頭にこびりついたが、それをおさめながら一日を過ごした。クラス中のみんなが違和感を感じてたみたいで心配されたな。みんなには「夢見が悪かったんだ」って答えたら「なんかわかるな」「精神的に来るよなあ」って和人(前話の桐ケ谷の事です)中心に返されたな。それだけクラスになじめたという事かな。
それを見かねたのもあってか、須美と銀に誘われて園子の家にやってきたわけだけど。
「すみませんね。お嬢様におつきあい頂いたのにこんな所で待たせてしまいまして」
「いえいえ」
園子が持っている服を須美に着せようと企んだ銀だったがあっさりと須美に返されて専ら着替え中。
僕は男の子だし今は退出して廊下で使用人の人が出したお茶を飲みながら終わるのを待っているという訳だ。
……え?身体が勝手にとかのラノベ的展開はないって?そうしたら、的にされるか・蜂の巣か・切り刻まれるかの3択だと思うけど。…ほかの男子だったらやりかねないから困る。あの人?あの人はそういう属性持ちだからいいんですよ。
「いさみん~いいよぉ~」
おっと、脱線してしまった。園子から許可が出たという訳で部屋に入った。そこには、
「な…なんだよ///」
「ね、どうどう?」
「勇君どうかしら?」
フリフリの服を着たせいかいつもと雰囲気が違う銀の姿があった。
「やばい…すごく可愛い///」
僕は正直に感想を言うと、銀の顔はみるみるうちに真っ赤に染まる。
「なっ…///いさみ~~~~~~~~~~~~!!!」
「いさみん
「勇君もこう言ってるし、銀可愛いからもっと着てあげなさい」
そう言うと須美はあらかじめ選んでいたのか複数の服をひらつかせ銀に見せつける。
「正直…もっと見てみたいかも」
園子・須美は目論見通りなのか銀をちゃかし始めた。僕もそれに続くが内心本音も出てしまっている。
「か、可愛いって言うな~!!!」
銀はベットの中に避難して布団に包まり亀のように丸くなってしまった。そこに須美と園子は追い打ちをかける。
「「か・わ・い・い」」
「ははは」
僕はその光景を見ながら今日の夢の出来事を思い出した。
(今朝はあんな夢見ちゃったけど、多分楽しい事が続いたからこその不安の反動かな。大丈夫、彼女たちならこの先もしっかりやれる…そう信じよう)
心にできたわずかな不安を押しとどめた。
「あの様子だったら大丈夫かな?そのっち」
「うん~本当に悪い夢見てただけみたい~」
――――――――――
No side
――― 数日後
-神樹館 6年1組教室-
あれから数日、勇の悪夢による影響はすっかりとなりを潜め日常を過ごしていた。教室内ではいよいよ明日に迫った遠足での話題が持ちきりだ。
「銀、それなに?」
「須美が作った『遠足のしおり』」
銀が須美の席からしおりを受け取って戻ってきた。それはもうしおりというより辞書というべき厚さを持つ紙の束であった。
勇は簡単にしおりの内容を見るが、作り込みのレベルが高く、ほぼすべてを網羅した内容となっている。
「鷲尾さんある意味すごいな…どこまで調べ上げたんだ……この日本庭園の絵なんて」
「なんかさ、……それ現地に行って写生してきたそうだよ。しかも、纏めるのに夜更かしして詰め込みすぎたとか、須美はさとことんのめり込むタイプみたい」
「…あはは」
勇は彼女の凝り性っぷりにある意味で脱帽した。聞けばデータ版も配布するとかと銀から聞いたので須美に頼んで参考にデータ版だけはもらったようである。
「まあ、銀たちと僕の班は別々だけどさ。お役目は大丈夫なの?」
ちなみに男女別での班構成になっているため、勇は彼女らとは別の班である。
「その時はその時。でーんと構えて遠足を楽しむサ」
「だね。いつ来るかわからないのに一々気にしたら身がもたないからね」
――― 遠足当日
神樹館の遠足場所は須美たちの住んでいる町から離れた県庁所在地である。最大の観光地なため行ったことがある生徒も多かったが、それでもみんなはしゃいでいた。
なお、すべてを公開しようとすると凄まじい量(1・2話になる程)になる為、一部を掻い摘んでダイジェストでお送りすることとする。
・自由行動前の校外学習
遠足といっても学校の授業を兼ねた校外学習みたいなものもある。神樹館でもそんな内容があり美術館での見学に参加していた神樹館一同だったが、
《神樹館からお越しの鷲尾須美さん、乃木園子さん、三ノ輪銀さん。至急、入り口に集合してください》
(大丈夫かな。3人共)
須美・園子・銀の班が迷子になるというテンプレ的なお約束が起きてしまった。
「…2人を守る!幽霊なんかに負けない!!!」
「見つけたぞ!ちょ、ぺぺぶ」
「い、いったいなにが」
はぐれた皆を探してた3人は一般人立ち入り禁止区域に入ってしまい。怪しい人だと勘違いした園子が職員を撃退した。その後、3人は先生にお説教をしっかりと受けた。
・アスレチックで遊ぼう
意外とすんなり発見されたため自由行動の時間に影響が出なかった。勇者3人は銀の希望で最初にアスレチックコースに来た。
「あわわ、ゆ、揺れる~!揺れる~!」
園子は時々苦戦している様だったが、さすがに訓練された勇者である3人はその華奢な外見とは裏腹に中学生コースまでもクリアしていった。なお、神樹館の制服でも遊べるコースであると補足は一応しておく。
「うぅ~よく考えれば、わっしーもミノさん相手じゃ、一緒に戦っているから伸び具合も同じで……結局ビリだ~」
「ぼやかないぼやかない。ほらもうちょい」
え~いと銀に飛び込む園子。よく頑張ったとわしわしと撫でる銀を見て、須美も割り込んできた。
「…仲良くしてるから私も」
「甘えん坊さんめ、よしよーし」
「…///」
――― 一方、勇の班は、
「ぜぇ…ぜぇ…」
「なんで勇そんなに早いんだよ!剣道やってる和人でも追い付けないなんて」
「妹と違ってそこまでやってないぞ。…勇、たしかスポーツとかやってなかったよな」
「あ~、多分四国中色々まわってて、ここ来る前は山奥の学校とかだったからなあ…そこで1年もいたせいか身体が鍛えささってたみたい」
勇は難関コースを制覇してもなお息を切らさず余裕であった。唯一ついてこれた和人でさえも息があがっている。
「身体能力も野生児並かよ……」
「野生児ほどじゃ…ないかな」
勇の身体能力に男子も脱帽だった。
・商工奨励館にて
偶然にも須美たちの班と勇の班がアスレチック出口で合流したため、なんやかんだで一緒に行くこととなった。
ここでは、工芸品を自分で体験制作する事ができる。その人のセンスが問われるため出来る物には多種多様である。
「こんなものね」
サンプル通りに完成する者。
「うぬぬ。器用にできない自分の手が憎い。それならこうだ!」
開き直って色々やる者。
「「すげえな勇、和人!!!」」
「得意分野じゃないからなあ…こんなものか」
「サンプルにちょっとアレンジ加えただけなんだけどな、それ言うなら園子さんも十分すごいかと」
サンプルに手を加えてよりよくする者。
「ええい!神樹館の小学生は化け物か!」
「素晴らしすぎる…修正は…必要なさそうだ…」
「えへへ~」
そんな中、園子は是非とも展示したいとのレベルの作品を誕生させていた。
・日本庭園にて
「素晴らしい景観ね……日頃の疲れが癒されるわ」
「うん。心が洗われるような感じって、こういうことなのかな」
どちらかと言えば精神年齢が高い2人は癒されていた。
「確かにいい眺めだけど、ここが一番楽しみとは、なんというか流石須美だ」
「わっしーは少し丸くなった気がするけど、ここはブレないねえ~」
「ではみんなにここがどれだけ素晴らしい場所か、教えてあげるわ」
須美はにっこりとしていた…が、完全にモードに入っている。
「「「「「「勘弁してくだしゃ……」」」」」」
――――――――――
side:勇
「ふう、疲れた…」
はしゃぎまくったのかバス中の皆は寝息をたて静かに寝ている。勇者3人は…、
(すぅすぅ…)
(すやすや…)
(ぐーぐー)
どうやら遊び疲れて寝てるみたい。楽しい時間は疲れを忘れると聞くが、終わると一気に来るなあ…。さてと、そういう僕も疲れたし眠ることにしようかな…。
side out
side:銀
何事もなく無事に神樹館についたアタシ達は現地で解散後、それぞれ帰路についていた。
「あ~楽しかったね~」
「バスの中でたっぷり寝たから元気全開だ」
「明日はお休みだね~半日は鍛錬として後、半日はどうしようか?」
「そうね……」
よし、じゃあ勇も誘ってアタシのイネスのとっておきコースだ。以前のテストで頑張った借りもあるしね。
――― ドォン!!!
「ご招待したいのはバーテックスじゃないんだけどねぇ~」
「も~せっかく楽しい遠足だったのに~。最後の最後でコレなんて無粋ってやつだよ~」
「ぼやかないの!家に帰るまでが遠足なのよ」
「出た、須美先生!」
「じゃあ、いくよぉ~」
アタシ達は端末を使っていつも通りに変身!!さてと…
「みんな!」
「勇君「いさみん」「勇」!」
変身後、近くにいたのか勇がやってきた。
「行くのか?」
「「「うん」」」
「…無事に帰ってきてね!」
勇の応援をもらい、アタシたちに力が湧いてくるような感じがした。
「「「いってきます!」」」
アタシたちは勇の声援に応え大橋へ向かった。
-瀬戸大橋-
「あちゃあ、同時に2体…律儀に1体ずつ来る必要ないよなぁ」
「単独行動が基本と聞いてたんだけど……」
進軍してきたのは、どっちも特徴的な尾をもったバーテックスで、片方は鋏、もう片方は尾でも長いやつで先端に痛そうな針がついたやつだった。
「驚いたけど大丈夫だよ~。私とミノさんで1体づつ相手するから、わっしーは遊撃で援護してね」
「流石ね。そのっち。了解!」
「じゃあアタシは気持ち悪いほう…といってもどっちもどっちか。鋏のほうとやるよ!」
「わかった~私は痛そうな針を持ったほうね~」
作戦開始だ!アタシは鋏を持った奴が相手で、勢いよく振り下ろしてこちらを断ち切ろうとするけど…甘い!
【!?】
シンプルな分アタシ向けだね。須美の援護もある分正面から押せる。園子の方はというと…
「よっぽどその針を当てたいんだね~。じゃあ、針にだけは命中しないようにするよ~」
不規則にブンブンと振り回して針を槍で捌いてる。いい感じだ。それに須美の援護の時だけ一撃を加えてる。
よし、このまま押し切れ……なんだ?
「(!?)上から何か来る!」
――― 天から多数の光の雨が3人に降り注いだ。
「これは広域だ!逃げられない~」
園子が咄嗟に槍を頭上で回転させ防ぐ、須美も隣に滑り込んだ。
「っ!?」
アタシも斧を交差させ、上からの矢を防ぐ。その瞬間…一瞬の隙に交差した斧の隙間から見えたのは、
【・・!】
【・・・!】
矢の雨の中、再生しながら突っ込んでくる2体のバーテックス!まずい!避けれ…
――― ズガァァァァァン!
「「「うぁぁぁああああっ!!」」」
―――――――――――
「ぐっ…うぅ…」
身体中が痛い……。どうやら攻撃を受けて吹き飛ばされたようだ。アタシのシステムは接近戦用だから防御力と回復力はあるからこれで済んだけど。2人はどうなった?あぁ……
「あ……あぁ……ぁぁ……い、痛い……」
「げほっ、ごほっ、ごほっ……」
アタシはなんとか立ち上がれたけど、須美と園子は戦闘不能だ。こんなに血を流して…咳をするたびに血を吐いてる……。駄目だ。2人共立てそうにない……。
【・・】
【・・・】
【・・・・】
バーテックスは…3体いたのか…。多分あの弓持ちが矢の雨を…。こりゃあまずい…かな。
side out
side:勇
勇者3人を見送った僕だったけど、なんでだろう…不安が治まらない。なんでだよ…あれは夢だったんだ現実になるはずが…でも、何故かそうとも言い切れないから否定もできない。
でも、どうしようかなちょうど別れた位置が大橋と目と鼻の先なんだよな。まさに少し走れば到達できる距離だ。
(prrrr)
と、ここで着信かおじさんだな
《勇か!》
「おじさん!」
《位置は確認してる。防衛場所の近くとはな。そこからじゃあ避難場所まで遠い…迎えを寄越すから待っててくれ。アプリは》
起動する前に連絡が来たんだ。これからだよ。
――― ズガァァァァァン!
わっと、突如轟音と震動でよろめいてしまった。僕はスマホで通話を続けようとするが、
《大変です!……》《…状況を…》《…至急…対…班…》
混戦してる…まさか…。
《勇、ともかくアプリを起動してそこから離れろ!》
いつもならどんな時でも冷静なおじさんが気が動転してる?おじさん、あの子たちは、勇者がどうなったの?
《わからない。術式を施した機器が突然切れた。なにかあったのは確かだが……》
この時、彼女たちを放ってはおけず、僕が決意するまで時間がかからなかった。
「ごめん、なんか嫌な予感がする。大橋近くまで様子見てくるよ」
《ちょ、勇!…》
僕は通話を切り、急いで大橋へ向かった。
投稿ついでに作品をちょくちょく直しました。
質問掲示板で規約に抵触する可能性のある記述がありましたので、突然修正すみません<m(__)m>