序章
「さてと、おじさんから大きい荷物の片づけが終わるまで散策の許可もらったけどどうしようか」
道を歩く年齢が11歳の少年。ちなみに両親は事故で亡くなっており、今は後見人となっている育ての親である叔父の元で暮らしている。元々は地方で暮らしていたが、叔父の仕事の都合で引っ越してきた。今はある程度荷物を運び入れ、自分の力では運べない大きい荷物の整理の邪魔にならないよう散策に出ていた。
「…やっぱし結構広いな。さすがに県庁所在地に近いところだしなあ。以前住んでたとことは大違いだ」
引っ越してきた先は西暦時代には坂出市と呼ばれるところである。
西暦時代の終わり、死のウィルスが蔓延し世界が終わろうとした最中、神樹とよばれる存在によって四国地方が守護され人類は生き延びた。ここはその守護するための壁に近く、かつて西暦時代に四国の玄関口をも言われる瀬戸大橋がある。そのためか規模は大きい。
少年は道を覚えがてら、当てもなく歩いていた。
「学校までの道は覚えたけど…ん?あれは」
ふと見ると、印象としては活発そうな灰色の髪の女の子が誰かを助けているようだ。辺りには荷物がばらまかれている。どうやらお婆さんが転んだ拍子に落とした荷物のようだ。
「…放っておけないな。助けよう」
視点:女の子
「婆さん、大丈夫か。もう少しで片付くからな」
「すみませんのう……ありがとうですじゃ」
そう言いつつ、荷物を拾う女の子。そこに、
「手伝うよ」
「ん、ありがと」
通りがかりの少年も加わり、散乱した荷物はあっという間に片付いた。少年が手にした荷物をお婆さんに渡そうとしたときにはじめて2人が顔を合わせた。
「「あ……」」
互いに顔を見て、見惚れたのか固まる2人。
「どうしたのかな?おふた方」
「「あ、すみません」」
2人はお婆さんの荷物袋に拾ったものを入れた。
「ありがとうねえ2人共。それじゃこれで……あいたたた」
「婆さん!」
「もしかして、転んだ時に足でも捻ったのかな」
荷物を受け取りその場から歩こうとした矢先、お婆さんが痛がる、どうやら転んだ時に足を捻ったようだ。
「家まで連れてくよ」
女の子が婆さんを助けようとしたが、少年が彼女を止めた。
「ねえ君、その制服…この近くの学校の子でしょ。急いで行った方がいいんじゃないか?」
「あー。もうこんな時間か。って君こそ行かなくていいのかよ」
「いいよ。僕は今日ここに引っ越してきて実際に登校するのは明日からなんだ。もしかしたら同じ学校かもね。だから、ここは僕に任せて君は学校に急いで。今なら間に合うと思う」
少年がここは自分がやっておくことを伝え、彼女を行かせようと急かす。
「うーん。わかった、急いでいくことにするよ。ほんとありがとうな。それじゃあ」
女の子は少年に任せ、そそくさと学校へ走って行った。
「さてと、お婆さん手を貸しますよ。ひとまず悪くなってるといけないから病院に向かうけど、ここに引っ越して間もないから案内してもらってもいいかな?」
「もちろんですじゃ」
お婆さんに手を貸し、少年は病院の方へお婆さんを連れて行った。
「しかし、顔合わせて見惚れるなんて…『一目ぼれ』っていうの久々にみましたじゃ。結構お似合いでしたよ」
「あはは…。ちょっと照れますよ///。(とはいったものの。これが『一目ぼれ』ってやつなのかな?見た目も活発そうであの灰色の髪個人的にどストライクだったなあ)」
少年はお婆さんの話に照れながら送っていったのであった。
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‐
視点:女の子
「ふぃー。ま、間に合ったぁ~」
あれから女の子は全速力で走ってきたのか、なんとかホームルーム前に6年1組の教室へ到着した。
この少女は『
大赦とは、いくつかの家系で構成され、神樹を祀る組織の総称である。そんな三ノ輪家もその家系のひとつである。
「おはよう、ギンちゃん」
「うぃーす。今日はなんとか間に合ったよ」
隣の席の子に挨拶する銀。そこに、
「おはよう、三ノ輪さん」
「うぃーす。鷲尾さん」
挨拶してきたのは同じクラスの『
「そういや、乃木さんは?」
「あそこ」
「すやぁ~ZzzむにゃむにゃZzz」
「いつも通りか」
「むにゃむ……あわわっ…あれ?家じゃない」
「おはよ~乃木さん。目冷めたか。」
「あ、ミノさんおはよー。今日は早かったんだね」
須美の席の隣で居眠りしていたのは『
「今日は早いね~どうしたのかなあ?」
「あぁ。実は…」
銀は登校途中で起きた出来事を話した。
「そんなことがあったのねえ」
銀の出来事が珍しかったのか、関心している須美。
「でもある意味ミノさん運命的かもしれないねえ。こういったシチュエーション最近じゃあ珍しいし~」
「ちょ、乃木さん!///」
その話を聞いた園子がある意味爆弾発言。言うことがある意味確信を得ている。こういうことに関しては恐ろしい子である。銀の顔は恥ずかしさのあまり真っ赤になった。
「でも、その男の子引っ越したばっかで転入前なんでしょ?こっちの学校来るのかなあ?」
「そうかなあ……///。(なんだろう、やっぱし気になるなあ…。ちょっと出会って助けてもらっただけなのに。見た目は黒髪の普通の男子なんだけど。アタシもそこらの男子とよく遊んでるけどそこまで意識したことないぞ。どうなってるんだこの気持ち。しかも、さっき乃木さんが言ったことで余計意識しちゃうじゃないか)」
銀は隣の席の子との話の最中、出会った少年のことが気になるのであった。
――――――――――
――― その翌日
視点:少年
「ここがあなたの所属するクラスになります。呼ばれたら入ってきてくださいね」
「分かりました。先生」
そう言って、担任の先生が入っていった。それから数瞬のうちに、
「間に合えーーーーー!」
少年を通り過ぎ、1人の女の子が教室に入っていった。
「はざーすっ!ま、間に合った!」
「三ノ輪さん、間に合っていません」
――― バンッ!
軽く何かで頭を叩いた音が聞こえた。
「あいたっ!すみませーん!」
女の子の謝った声が聞こえたあとにクラスのドッとした笑い声が聞こえた。
「(なんだったんだろう)」
転入生の少年は気になっていたが、はたから見ればどうでもいいことだったので気にしないことにした。
「こほん、今日はお祈り前に転入生を紹介します。入ってきてください」
担任の先生に言われ、少年は教室に入っていった。そして、
(あ…。あの子は)
昨日散策中に出会い助けた活発そうな灰色の髪の女の子を見つけた。
視点:三ノ輪銀
「あ……」
教室に入ってきたのは、昨日銀が出会った男の子であった。男の子は黒板に自分の名前を書き、
「紺野さん自己紹介を」
「はい。今日ここに転入した『
「紺野さんは、三ノ輪さんの隣の席が空いている席に座ってください」
「分かりました」
担任に急かされ、勇は自分の席に向かっていった。
昨日出会った彼が転入生だということに固まる銀。そこへ勇は、
「やぁ。昨日ぶりだね。同じ学校でクラスも同じなんて…」
「え…ええと、まさか転入するって聞いたけどこの学校なんて聞いてないや」
「ギンちゃん、転入生となにかあったの?」
「昨日ちょっとね。でも詳しいことはあとでかな。今はお祈りと授業始まるし」
「あ…準備しなきゃ。」
勇は銀に簡単に挨拶、近くの席の子から質問されるも授業前ということで後にすると伝える。授業後の休憩時間にまとめて受けるのだろう。我にかえった銀はランドセルを確認するが。
「アウッ!まずい教科書忘れた」
「三ノ輪さん、あとで貸してあげるから」
「転入生君やっさし~」
「ごめんな転入生!ええと…」
「僕のことは勇って呼び捨てでもいいよ。堅苦しいのは慣れてないんだ。」
どうやら勇は銀とその周り席の子とはすぐになじめそうだ。
「(もしかして、彼が昨日三ノ輪さんの言ってた男の子なのかしら?)」
「むにゃむにゃ……「ごほん」あ、シオスミさんおはよ~また寝てた?」
「相変わらずねえ……」
須美が彼が昨日銀が言っていた人だと思い、園子は相変わらず寝むたそうになっていた。
「あれぇー?知らない子がいるぅー」
「…乃木さん転校生来てたのに寝てたのね」
勇の転入があって少し遅れたものの、日直が号令をかける。
「起立、礼」
生徒達は号令に従い、立ち上がり、頭を下げる。
「神樹様に、拝」
「神樹様のおかげで今日の私達があります」
礼をしたまま手を合わせ、日頃の恵みをもたらす神樹様に感謝と信仰を捧げ、
「着席」
生徒達は着席。そして1日が始まる。