一部オリジナル展開あり。
side:勇
「おいっちに!」
「さん、し~♪」
夏祭りも終わり、いよいよ夏休みが終わりに近づいてきた。みんなで朝早くに公園で行われるラジオ体操も今年の分もそろそろは終わりかな。
「いっちに、さんし。ん~、関節が伸びるぅ~~」
思えば、この夏休みも大体が訓練に明け暮れたけど不思議と辛いと思ったことはなかった。たしかにきつかったけど銀・須美・園子との訓練はそれなりに充実していたし、その合間に色々やって結構楽しく過ごせたな。
「ん~、横っ腹が伸びるぅ~~。色々あったけどアタシもそれなりに充実デキたかな。訓練だらけだったけど悪くはなかったかな」
「銀もそう思う?」
「うん、須美も園子も同じだと思うよ」
このラジオ体操も実はそれなりに事が起きているわけで、4人で行こうと約束していたが園子がよく寝坊して遅れて来たのをどうにかしようと、3人で四苦八苦して連れて来ようとしたな……。寝ながらそこら中フラフラ動いてるのを初めて見たよ……。
「今はこうしてなんとか起きれるようになったよ~」
銀の機転もあってかラジオ体操カードのうさぎスタンプを集めるという目標ができラジオ体操限定ではしっかりと起きれるようになったらしい。……普段からこうなら苦労はしないけどね。
「まあ、それがそのっちだし。次の学期までには少しづつなおしていくしかないわね」
「ふぇぇぇぇ…わっしーは厳しいよぉ~」
園子がショックを受け涙目の顔になってる。
「須美はどうなんだ?夏休みで一番思い出深いのは」
「う~ん。挙げるなら職場体験の事かしら」
須美が夏休みで一番印象に残ったのは、自由研究のかわりにやった職場実習らしい。銀の伝手で喫茶店の接客というやったことのない分野で銀と園子の真似をして上手くいかなかったのを悩んでたけど、3人でアドバイスしたら自分らしくやったら店長さんに褒められてたな。
「真面目な須美らしいね」
「そうね。でも、色々発見できてよかったわ。変なお客様がいたようだけど……」
あぁ~……あれか。
「うっし、今日のラジオ体操終わり。やっとこ、足もいい感じに動けるようになったし、勇もいることだし今回の合宿も楽しくできそうかな」
「でも~、ラジオ体操いけなくなっちゃうからうさぎさんもらえないのがなあ~しょんぼり」
「そのっち、大赦の人が気をつかってスタンプ押してくれるじゃない。だから、あっちでもラジオ体操頑張りましょ」
祭りが終わって次の日、銀の怪我も完治してリハビリもはじまったが、彼女の頑張りもあってか予想以上に回復も早いみたいで訓練でもそれなりについていけるようになってきた。
「さてと、もうそろそろ帰らないといけないな」
ラジオ体操も終わり今日から訓練の仕上げということで1週間の合宿に参加なっていて、これから家に帰って大赦の訓練施設へ向かうことになっている。
「そうだな。それじゃあ2人共またあとでな」
「えぇ」
「2人共まったね~」
side out
――――――――――
side:銀
というわけで、あっとういう間に到着。
「はぁ~。こんな立派なとこで合宿か……ここテレビとかでやってた高級旅館じゃないかな」
勇が驚くのも無理はないか、以前の合宿もここでやったけど大赦の運営してるとこだってさ。
「もっと驚くになるわよ勇君。これからね」
へ、何々?先生の発表に注目するアタシ等4人だけど、
「4人の呼吸をあわせるために同じ部屋で共同生活をしてもらいます」
「な……!?」
「え?」
「ほぇ?」
は~。同じ部屋で生活ねー……って、ちょっと待ってよ!センセー!!!
「あのう先生……自分男なんで色々と問題が」
「私は別にいいよ~♪みんなで部屋で過ごすの楽しいからこういうのもいいかな」
「そのっち!前は私達だけだったけど、今回は勇君もいるから……男の子もいるし少し恥ずかしいわ」
須美の言う通りだよ。かえって気になるから一緒にいると遠慮しちゃうよ……。アタシと勇それに須美が顔を赤くしていると、
「4人共安心してそこは配慮しているから。特別な部屋で入口は1つだけど、さらに中で1人と3人用の寝室に分かれてるわよ。大赦側で決めた事だし、勇君ならしっかりしてるから変な気を起こさないわよ。ね?」
「は……はぁ」
結局、センセーにいい感じに丸め込まれてしまった。アタシ等は用意された部屋に荷物を置いて、訓練着に着替えてゆっくりとしていた。
「よろしくね~あなた」
「夫婦じゃないんだから」
とまあ、須美と園子が……なんというか夫婦漫才みたいな事をしている。
そういや、部屋に向かう前にセンセーから新たな勇者システムの説明があった。どうやらデリケートかつ高度な調整で時間はかかったけど9月に支給ささるらしい。バーテックスの動向が変わった事とアタシが無茶したりとか須美と園子が窮地に陥ってしまった事もあるから慎重になってるのかな。
あと、勇のシステムも実戦かつ勇専用に改修するらしくてこの前持って行ったみたいだ。
――― トンットンッ
「3人共、そろそろ時間だよ」
おっと、語っているうちに勇が来たようだ。
「さてと、それじゃあしっかり訓練しましょ。行くわよ、そのっち」
「ふぇぇ。使命感に燃えすぎだよわっしー」
須美が園子を引きずって行ってしまった。……こういうのはブレないよな。それはおいといて鍛えよっか。
――――――――――
・・・ぷはぁ~。風呂上りのこの一杯はやっぱ最高だよ!
「本家を聞くとやっぱ違うわね」
昼間、たっぷりと訓練をしてからクタクタだ~。終わったらもう日が沈んでて、アタシ等は美味い料理を食べて温泉に入ってから部屋に帰ってきた。
女子組の寝室に入って3人分の布団を敷いて後は寝るだけなんだけど、
「お前等ただで…」
「はいはい。もういい時間なんだし消すわよ」
須美が部屋の電気を消した。ふっふっふ、須美よ、残念だけどこの自由時間ただ寝るだけ銀様じゃないぜ。
「お楽しみの就寝タイムだねわっしー、ミノさん!」
「って、そのっちまでこのまま寝るだけでしょう?」
「せっかくの自由時間なんだから、お喋りしようよ~」
園子もこの通りハイテンションだ。さてと、須美覚悟はいいな。
「も~。明日も早いんだし少しだけね」
「かつてのコイバナの続きもいいんだけど~。私やミノさんから振る事が多かったから、なんか面白い話ない? わっしー?」
「そうね……。ある山奥に、……」
「……念のために聞くけど怪談じゃないよね?」
「違うわ」
「ほっ」
「五助っていう漁師がいて、ある晩山の中で火を起こして一夜を過ごそうとしたらいつの間にか隣に若い女がいたの」
……須美さん、そんな語り方だと明らかに怪談のような雰囲気なんですが。園子が小動物のように細かく震えているぞ。
「違うわよ、銀。若い女は大きく口を開いてこう言ったわ。狩りをしていなさるのか―? その鉄砲、弾は何発撃てるんだー?」
おおぅ……。語り方がそれっぽいや。
「嘘だよ。これ絶対に怪談だよ~!」
「戦闘もあるから面白く聞ける……
「やめて~!!!」
園子が布団に丸まってノックアウトだ。怪談話は苦手だからこうなったか。
「さてと、銀にはどういう
ワッツ!?今なんか変なルビが見えた!!!なんか逆らったらまずいような気がする。
……いや、語りが妙にうまいからある意味須美の世界に引き込まれてしまうよ。
「須美、園子も寝たようだしアタシも寝るわ……」
「そうしましょ。明日もまた話せるからその時にね」
「ねえ……わっしー…ミノさん……」
ン?布団に丸まっていた園子が枕を抱えて起き上がってきた。
「……わっしーが怖い話したから眠れない」
「えぇ? そのっちって小学校低学年?」
「もうすぐ中学生だよ~」
「それでいいの?」
「いいの~3人で一緒に1つの布団で寝るの。大きな虫が出てきても絶対わっしーは逃がさないよ~?」
そこまで怖かったのか。まあ、それなりに布団も大きいし小学生3人固まっても大丈夫でしょ。風も涼しいから暑くはならないか。アタシは別にいいよ、園子。
「うっ……どうぞ。なんか弱みを握られた気分だわ」
「えへへ、お邪魔しま~す。親以外で、誰かと同じ布団で寝るなんて、初めて~」
「私だってそうよ」
「アタシもだな」
と、須美、園子寝る前にちょっと。
「お休み勇!」
「お休みなさい、勇君」
「おやすみ~いさみん」
隣の部屋で寝ているであろう勇に就寝の言葉を言ってから、須美を真ん中に右手側に園子、アタシは左手側に横になる。
「全然リラックスできるなぁ~。わっしーの布団は自宅のような安心感だ~」
「だからってくっつくと暑いわよ」
「そりゃあそうだろ。……須美、また大きくなったろ…」
「そぉい!!!」
「ひゃああ!」
アタシは悪気もなく、須美の胸を鷲掴みにしたら思いっきり手刀がとんできた。
――― 数分後
(すやすや……むにゃむにゃ)
(すぅすぅ…)
テンションが上がってついついじゃれ合ったり、くっちゃべってたら2人が先に寝たみたいだ。イヒヒ、ほっぺでも抓ってやろうかな。
(すやすや…わっしー……むにゃむにゃ)
(すぅすぅ…またみんなと……花火を見るんだ)
はうっ!この無防備な寝顔は手を出せない。巧クラスの可愛さじゃないか。
う~ん、まだ眠くもならいし困ったぞ。
アタシはなにか飲み物でも取ろうと布団から出て、寝室から本間の方へと向かうと、
「……あれ、勇?」
side out
――――――――――
視点:勇&銀(3人称)
「なんだか落ち着かないな」
すぐに床についた勇だったが様々な要因もあっていつも以上に落ち着かないのか目が冴えてしまっていた。
「……仕方ない。飲み物でも持ってきてから少し読書でもしよっと」
そう思い、居間の方へと向かうと、
「……あれ、勇?」
「(!?)銀」
隣の女子組の寝室から出てきた銀が出てきた。
「勇も寝れないっぽい?」
「……まぁね。どうやら慣れないとこでは眠りづらい体質みたいだ」
「……あはは」
銀も呆れた笑みを浮かべる。2人はいまだに眠くならなかったので、
「っていうことがあってね」
気分が落ち着くまで談笑する事にした。
「……そういえばさ、前々から聞きたかったことあるんだけど」
「ん?」
「勇はアタシ等3人の事はどう思ってるんだ?」
まわりくどい事が苦手な銀は直接勇に気になった事を質問してきた。
「どう…って言われてもなあ」
「知り合ってかなり経つ訳だし、ちょっと気になっちゃってサ。あくまで勇が思ってる事だけでいいよ」
勇は意を決したように口を開いた。
「う~ん。まあ、転入してきて数少ない女子の友達だからだけど、やっぱり3人と一緒にいることが一番楽しいかな」
「そっか~」
「でもさ……何と言うかね。須美も園子と一緒にいるのは楽しいけど、それ以上にね…銀と一緒にいることが一番楽しい。ちょっとフランクで男っぽいとこもあるけど……って何言ってるんだ僕は……まあ、こんな感じかなって、銀?」
勇の答えを聞いた銀は顔を赤くしてフリーズしていた。しばらくした後に我にかえった。
「あ、あぁ。いや、そういう事なのか(た…多分、勇は地で言ったと思うけど、面と向かって言われてフリーズしちゃった)。あははは…」
笑ってごまかす銀。ここで勇が時計を見ると、
「もう消灯してから1時間くらい経ってるし、明日も早いから……そろそろ寝よっか」
「う、うん。おやすみな、勇」
2人は寝室へと戻った。勇は布団に入るとすんなりと床につくことができた。
一方の銀は、
――――――――――
――― 須美たちが就寝した同時刻
須美・園子・銀の家に大赦の使いが来ていた。使いからの言葉を聞き、
「「そ、そんな」」
須美の両親は涙を流し、
「「……」」
園子の両親はそのことに絶句し、
「あなた……」
「(神樹様の御意志なら。だけど……、命を懸けたあの子を…)」
「う、う……びええぇぇぇぇぇん…」
「「あ……」」
困惑する銀の両親の心境を感じ取ったかのように弟である巧が泣き出した。
――― その一方、紺野宅では、
「春信君からの報告だ。……やはり神樹様は」
「あぁ。最も辛い決定をしたようだな」
『……びええぇぇぇぇぇん…』
「どうやって向き合うか……だな」
―――――――――――
-同時刻、とある場所-
【……】
【あなたも理解したでしょう…これは必要な犠牲なのです…】
【■■様……人が望んだ事に我々は相応の力を与えた。ただ、それだけです】
【そう…ですね…(また…選ばれし少女を苦しめることに……本当に私は…)】
いくつもの影がどこかへ消えた。
【私たちの力が至らないばかりに…ごめんなさい…ごめんなさい……】
残された少女?らしき影はがっくりと膝をつき泣きながら呟いた。
すまぬ…恋愛経験皆無の作者じゃあここら辺が器らしい。
以下、後書き
●銀について
作者なりの考えですが、仮に原作4話の死亡回避したとしてもこういう立場になった可能性が高いと思います。
●新キャラ
原作設定入りの作者オリキャラとなっています。「~は勇者である」シリーズでは最も重要な存在となっているキャラです。
●勇の恋愛感情
この時点でははっきりと気持ちには気づいてはいませんが、意識はしています。