side:勇
始おじさんの車に乗ってしばらく走ってたけど、とある喫茶店の前に停まった。
…喫茶『月輪』?和風喫茶かな?
「今は貸切だし、ここでなら話しても大丈夫だよ。」
そういいつつ、始と勇は店内に入ると。
「始こっちだ。…それに勇も顔合わせるのは5年ぶりだな。ふっ…少しは男前になれたか」
店内には亡くなった父と始おじさんの親友の輝実のおじさんが居た。店主は奥に引っ込んでるみたいだけど。輝実のおじさん相変わらずキザっぽいんだか、皮肉屋なんだか…。電話とかでは話したけど実際会うのは久しぶりかな。
「輝実のおじさん…あなたもいるということは」
「そうだ。関係者であり責任者だ」
「へ?」
「輝実は私の所属する組織の現リーダーだよ」
なんてこったい…身内がいつの間にかというかずっと前から関わっていたのか…。
「…」
「勇どうした!?」
「どうやら処理が追いつかずについにパンクしたようだな。
よくもまあここまでもったものだ、しばらく放っておけ、そのうち戻るだろう」
――――――――――
‐数分後‐
というわけで、身内の事情を知ってしまって。心ここにあらずな状態になってしまった訳で、出された飲み物と簡単な食事をとってやっと僕も落ち着いたということで、おじさんたちが所属する組織のことを教えてもらってから今日あった出来事についての説明を受けることになった。
組織の説明が長いので簡単に言うと、神樹を守る為に組織された大赦と連携しつつ僕みたいな資質持ちの保護が主な目的で、またその資質を活かし影ながら勇者のサポートを行ってるらしい。救助に来た人も組織の一員だそうな。
「まずは今日あった出来事を確認したいのだが、勇は大体現勇者の正体を見てしまったってことでいいんだよね」
そうだけど…あの時は気が気じゃなかったからなあ。
「あの時は緊急事態だったからバーテックスと勇者のことを教えたけど」
「バーテックスに関する事は大赦では禁則事項だ。下手したら行動に制限かけられるな。監視とか最悪幽閉とか」
そんなにやばいのか…僕の立場って。
「輝実、冗談でも実際ありえそうな例えは辞めた方がいいよ…勇安心して、大赦に報告前だしこっちでどうにかしておくよ」
「無難に説明うけた後に機密保持のための書類書いて終了だ。多少不便になるが秘密を厳守すれば普通暮らせる。この事は旨にしまっといてくれ」
秘密を共有すれば、普通に日常生活を送れるそうだ。日常の裏でそんなことあったのは怖いけどひとまずは安心かな…。
「分かったよ…」
「それと今後の対策のために、今日からこのスマホを使ってくれ」
渡されたのは、そこらのスマートフォンと変わりのない端末だった。
「そいつに入っているアプリを使えば樹海内に巻き込まれることはなくなる」
「資質持ちの安全のために配布してるものだ。さて、続いては機密保持の説明かな?」
説明はどうやらまだ続くのか…。災難だ…。
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-
あれから、機密保持などの説明受けた後に書類書いてからやっと解放された…。神樹様の加護の下であんなことがあったなんて、普通の人じゃあ一生知ることはないだろうなあ。それにあの子たちの大赦でのお役目を知ってしまった…。
「おじさん。あの子たち本当にこれからやっていけるのかな?」
「日は浅いけどお役目のために訓練はしてきた。今日だって乗り越えたからきっと大丈夫だよ。」
始のおじさんは大丈夫って言うけど、やっぱしあの子達気になるなあ…。特に灰髪の…ってあれは!?
「ちょっと止めて!」
「(!?)どうした?」
おじさんに車を停めさせ、窓を開ける。そこにいたのは、
「銀、こんな時間にどうしたの?」
「勇!?」
夜遅くなのに一人帰路につこうとしてた銀だった。どうしたのかな?
「いやぁ、ちょっとね…「お役目だったの?」ってどうして勇がお役目のことを」
「鷲尾さんたちと同じ事聞くんだ…。クラスメイトや先生から聞いたよ」
「そうか。勇も知っちゃったんだね。それで少し遅くなっちゃったんだ」
さすがに女の子だから夜道は危ないかな。
「おじさん乗せてってもいいかな?」
「ん?問題ないよ」
「サンキュー勇。遠慮なく乗らせてもらうよ」
というわけで銀を送っていくことになった。
side out
――――――――――
side:銀
バーテックスとの戦いでアタシは水球の液体を飲み干して溺れるのを防いだわけでそれで大赦が管理してる専門の病院で精密検査を受けたから遅くなっちまった。両親も今日は仕事で遅くなるから迎えに来れなくって一人で帰ろうとしたんだけど、そうしたら今日転入してきた勇と出くわして驚いたよ。で、今は彼の親(おじさんって呼ばれてたけど)に乗って家まで送ってもらうことになった。
「そういえば精密検査ってなにあったの?」
「う…」
ちなみに勇のおじさんのすすめもあってか今は後ろの席に2人で座っている。しかし、参ったなあ…。いくらお役目のこと聞いてるとはいえバーテックスのことは教えちゃだめ
って大赦から言われてるからなあ。…仕方ないごまかそう。
「実は…そのお役目で水飲む儀式あるんだけど、それで勢いあやまったんだ。それで念のために診てもらったんだ」
「(あ、もしや…)そうなんだ…でも何ともなくてよかったよ」
どうやらうまくごまかせたかな?
「(話を変えるか)そういえば、鷲尾さんたちからイネス行こうと誘われたんだけど結局断っちゃったな…。「イネス!?」え?どうしたの銀?」
アタシは自称するほどのイネスマニアだ。あいつら、アタシが検査受けてる間にいい所行きやがって~。
「…明日銀も誘って行こうかなって提案しちゃったんだけど…」
「もちろん~行こ行こ!」
「2人とも楽しんでるとこ悪いけど、銀ちゃんのお家に着いたよ」
そうこうしてるうちに家に着いたみたいだ。なんでだろう…もう少し話したかったな。
「それじゃあ銀、また明日」
「またね、勇」
side out
「勇、彼女って勇者の一人だよね」
「ついでに言うとクラスメイト」
「君も罪だねえ…」
始は微笑みながら呟いた。
「おじさん…それどういうことなの?」
「ここ家の近所だぞ」
「ふぇ!?」
こうして、勇にとっての怒涛の1日は終わるのであった。
――――――――――
―――これは彼女たち3人の物語。神に選ばれた勇者という名の少女達のおとぎ話。
多くの場合、その結末は―――。
―――そんな中、彼女らの物語を知ってしまった僕。
僕と彼女らと邂逅することで紡がれる物語は…。
――――――――――
‐以下、勇がいったん席を外した時の会話‐
「輝実…。これでいいのか?」
「これでいい。まだ彼は知っただけだ。そこまで踏み込む必要もないだろう」
「昔から彼の面倒を見てるからわかるけど、表面上は分かっていても、内面では気になってるみたいだ。ああ見えて結構悩んでから答え決めるとそうそう曲げないからね。そのうち、打ち明けてくるかも」
「もし、それで踏み込んで来たらどうする?」
「…すべてを伝えるさ」
説明会まとめるのがしんどい…。先のことであまりバラしすぎるのも説明足らずになるさじ加減が難し過ぎる。
小説第1話、コミック第1~2話まで終了したので現時点での設定を解禁します。
感想・誤字は感想欄ので受け付けます。