side:勇
まどろみの中、声が聞こえる……。
「この世界も私たちも、未来はない…私たちは■■■■を失い続け、大切な■■や楽しかった■■も失って、それでも戦い続けて…これ以上大切な■■を■■にさせない!!」
「その力の■■として、■■■■を神樹様に■■として■■■いく……。治りたいよね…私も治りたいよう…歩いて、友達を抱き締めに行きたいよう……」
青い衣装は明らかに須美……包帯だらけで寝たきりになってたのは園子だよね。2人共辛そうな顔をしてた……あれ?……あの子は…なんでいないんだ?
そうこう考えているうちに僕の目がさえたようで、いつも通りに目覚めた。この夢の事に関しても全く覚えていなかった。
―――――――――
-翌日-
《――― 次のニュースです。○○山にて土砂崩れが発生しました。なお、この災害による死傷者はいないということ… ―――》
「この近くだな……うむ」
「どうしたのおじさん?ともかく、時間だからいってくるよ」
「あぁ…、いってらっしゃい」
いつも通り朝食を食べ終わったためカバンを持ち、銀を迎えに行った。
「はざーすっ!悪いねいつも」
「……どうしたの、その傷」
「ええと…」
「昨日のお役目かな?」
「へ?まあ、そうだけど。見た目の割にほとんど治ってるしどおってことなないけどね」
銀は僕を安心させようと、腕をブンブン回すなどの大丈夫であるとのアピールを示す。
「……それならいいけど無茶は駄目だよ」
「うん…。気をつけるよ」
2人は学校へと向かっていった。その道中にて、
「そういえばさ」
「ん?」
「あの時は本当に驚いたよ。まさか勇が大赦の人が言っていた『影響を受けない人』だなんて。しかも、巻き込まれた割に全然アタシらより冷静だったし」
やっぱり聞いてくるよねえ。昨日は敵も来てたし、急かせて行かせちゃったからなあ。ちゃんと説明しないと。
「……2度目だからね。色々あったせいでかえって耐性が付いたというか」
「って2度目ってどういうことなんだよ。…もしや」
「そうなんだ。ちょうど僕が転入してきた日…」
僕は銀に転入初日に起きた事、さらにお役目に関する事を知ってしまった勇を大赦が知った事で使者が2度目の戦闘のあった日の夜に訪れた事をすべて話した。
「……という事があって、他の人に知られなければ勇者の事を頼むって言われたんだ」
「そっか。あの時からアタシら勇者の事を知っちゃったんだね」
「昨日大赦の人が来て色々聞いたよ…。そのかわりに公にしないでねって念押されたけど。後で、須美と園子にも事情話さなきゃ」
「そうだね。ん?」
不意と銀が見慣れた後姿に気付いた。あれは…、
「おい~須美!」
「(!?)あっ…。銀、勇君…」
珍しいことにいつも早めに登校している須美と出会った。いつもなら僕たちが登校する前に教室にいる程なのに、
「珍しいね。こんな時間に登校するなんて」
「ちょっと色々あってね…」
「そっか。時間もおしてるし一緒に学校へ行こうか」
「う、うん…」
……なんか様子がおかしいな。いつもより元気がないそんな感じがするな。ひとまず一緒に登校することにしたけどなんか気にしているようで上の空だな。
「…銀?気付いた」
「あぁ…やっぱし昨日の事気にしてるのかなあ」
「どういうことなの?」
「もう学校の前だし、あとで園子と一緒に話すよ」
「わかった」
結局須美には僕のことを話せなかった。そんな雰囲気ではないなにかを彼女から感じたからである。銀がなにか知っているようなのであとで聞くことにして、僕たちはそれぞれ教室へと入っていった。
――― 昼休み
「うんうん、いさみんの事情も大体わかったよぉ~」
午前中の授業が終わり、給食後の昼休み、園子に事情を説明していた。須美は相変わらずなんか考え込んでいたので今は席を外している。
「さてと銀、昨日の事ってどういうことなのかな」
「それじゃあ……」
銀が言うには昨日のお役目は成功したんだけど、須美の矢が弾かれて神樹様の結界である樹海を傷つけてしまった。その事に須美は落ち込んでおり2人は慰めたが、今日の朝方に入っていたニュースの災害が起きてしまったことで、恐らく須美はそれを気にしているとの銀の予想だ。なんの関係があるかと思ったが、神樹様の結界である『樹海』を傷つけてしまうと、それが現実世界で災害となって現れるそうな。
でも考えたけど、須美は全然悪くないよねえ。3人共経験少ないし、敵の事も全く分からないからこういう事は起こり得るはずなんだけど。不幸中の幸いか被害が軽かったし…規模がどんなもんかわからないけど。
「そうなんだけど~わっしーもかなりひきづってると思うんだ…」
「あいつはどうも真面目すぎるしどうもお堅いところあるからなあ。アタシらもフォローいれといたんだけど…」
生真面目だからいったん気にするととことん自分を責めてしまうタイプか。
「さすがにこればかりは須美自身が解決するしかないかな。今は信じて見守った方がいいと思うよ」
「わかった」
「うん~」
と言ったもののやはり心配だな。さてとどうしたものかなあ。よし!
「2人ともちょっといいかな?」
――――――――――
side:須美
-大赦支部 訓練所-
「勇者鷲尾どうした?お前らしくもないぞ」
「す…すいません。師範」
はぁ……大赦での訓練だったら忘れられるかと思ったけどやっぱし気にしてしまうわね。私のせいじゃないって2人から言われたけど…私がもっとしっかりしてたらあんなことにはならなかったのに。だからこそやろうと思うたびに逆に動けない…。
「……昨日の戦闘の影響もあるので今日はここまでとする」
「「お疲れ様でした」」
「……お疲れ様でした」
全然身に入らないなあ…どうしよう…このままだとお役目をこなせない…。
「わっしー…」
「これは重症だなあ…」
――― 訓練終了後
大赦支部での訓練が終わって、そのっちは家の用事、銀は弟の事もあってか早く帰って行ったわ。私は家までの帰り道を1人で歩いていた。
はぁ~、なんか不甲斐ないわね。こんな感じで俯きながら考えてたら、
「あれ?須美じゃないか」
「(!?)勇君」
勇君と鉢合わせたわ。今日はよく会うわね。勇君も帰り?
「そうだね。ちょうど学友と一緒に遊んできたとこ、須美は?」
「私は大赦でお役目関連で行ってきたとこ、今はその帰り」
「そっか…、須美悪いけどちょっと時間あるかな?」
――――――――――
-近場の公園-
特に断る理由もないわけで、勇君のお誘いを受けたわけだけど、今私たちは近くの公園のベンチに腰を掛けている。
「はい。適当に買ってきたけど」
「ありがと」
勇君が買ってきた飲み物をもらい口に含む、お互いに落ち着いたのか勇君が話を切り出した。
「単刀直入に言うけどさ、朝からだけどなんか悩んでる?」
(!?)勇君も気付かれてたなんて、そんなに表情に出て…いや、確実に出ていたかもね。意外とわかる人にはわかるものかしらね。でも、話していい事なのかしら。
「そういや、須美には説明まだだったな」
――― 園子及び銀に話した、勇に関する事の説明中
そっか、勇君もこちら側に関わっていたのね。う~ん、大赦外の人とはいえ、お役目の事を知ってるなら思い切って話してみるのも手だわね。
――― 昨日の戦闘で須美がやってしまった事の説明中(須美は勇がこの事をまだ知ってないと思っている)
話したあと勇君は少し考えてから、
「……須美はやってしまったことを後悔してる?」
後悔…ね。私は少し首を傾げ考えたけど、
「少し後悔してるかな?それが無ければ災害なんて起きなかったわけだし」
「アウト!話を聞く限り、須美がやったことは敵を撃退するためにやったことなんだからそれは後悔しちゃだめだ。たとえ、失敗したことでもね」
へ?あんな事が起きたのに。
「あの災害は人的被害出てなったからある意味ついていたんだよ。かわりに反省はいくらしてもいいよ……だからといって、自分を責めすぎるのはよくない須美はちょっと真面目すぎるんだよ、それがいいとこでもあるんだけど悪いとこでもあるんだ。なんでもしょいすぎてそのうち責任で潰されちゃうよ。それに人って誰だって一度は失敗するよ。僕も昔やらかして須美と同じように悩んだことがあったんだ」
言われてみれば…そうかもしれない。でも、勇君ですらも失敗することあるんだ。
「だったら次は同じミスをしないようにまた頑張ればいいさってお世話になったひとからに言われたんだ。ようは失敗して学んだからこそ次にいかせばいいんだ」
そうね。いくら悩んでも、あれは軽率な行動だったわね。『後悔はするな』と『次へつなぐこと』か。少し考えれば行き着くのに…そんなに自分を追い込んでたのかしらね。
「最後にもう一つ、それでも悩むなら周りにもっと頼ればいいんだよ。須美だって力になってくれる人がいるんでしょ……ね、2人とも」
「え?」
「そうだよ~わっしー」
「あの時も言ったじゃないか須美~」
茂みからそのっちと銀が出てきたわ!もしかして最初から聞いてたの!?
「ごめんね須美。2人が須美の事が心配で相談されてたんだ」
勇君も一枚かんでいたのね。ふふふ、してやられちゃったわ。
「あぁ~わっしーがやっと笑ってくれたぁ~。そんなにおかしい話だったのかなぁ?」
「ふふ、ごめんなさい、違うの…言われてある意味吹っ切れたかなって…逆にここまで言われるのもある意味新鮮だったから」
「そういや…一体どんな手品でも使ったんだ?あのちょいジメジメする須美がなんか吹っ切れてるからさ」
「ちょっと言いたい事言って自分で気づかせただけだよ」
「何だよぉそれ~」
4人でついつい大きな声で笑ってしまったわ。……もう大丈夫よ3人共、おかげで悩みも晴れたわ。本当にありがとう。
――― 少女のお役目は続く。敵は、まさしく星の数ほどいるのだから。
――― 少年は少女のために自らのできる限りのことをする。その儚げな運命と向き合うことになるとも気づかずに………。
今回は、原作2話あとの話で須美がもってしまった軽いトラウマを払拭させようと自分なりに構成してみました。
そのせいか、オリ主が歳の割に大人ぶってしまったかもしれませんが…まあ、早くに両親を亡くしたけど精神的に乗り越えて成長した事にしといてください。