幽閉された平和の天女   作:アリス・リリス

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高天原の宮殿

この大きな空の果てに『高天ヶ原(たかまがはら)』と呼ばれる場所があった。

 

この神々が暮らす地に事件が起こる。

 

世界に平和をもたらす天女・タマヨリが十二支の神々によって幽閉されたのだ。

 

彼女がいなければ、高天ヶ原(たかまがはら)だけでなく、人間界も荒れ果ててしまう…。

 

そのことを理解しているはずの神々の長・アマテラス。

しかし、彼女は動かない、いや動けないというのが正しい。

 

なぜなら、アマテラスは天罰神ではないゆえ、同じ神であっても天罰を与えれば、“邪神”として扱われてしまうからだ。

 

しかし、このまま動かないままでいるわけにもいかない・・・。

 

 

アマテラスは、他の神々にこう言った。

 

「誰か、あの神らを上回る力の持ち主はいないのかね…?」

 

すると、サグメが答えた。

 

「人間界にスサノオという武勇に優れた男がおります。

彼なら、タマヨリを救えましょう」

 

「ならば、その『スサノオ』という者をここへ」

サグメは、すぐさま人間界からスサノオを連れてきた。

 

急に連れてこられたスサノオは、不機嫌な顔をしていた。

 

 

「そなたがスサノオか?」

「ああ、俺を呼んだのはお前か?」

 

「少々口が悪いようだな。

(わらわ)は、アマテラス。

そなたにあることを頼みたい」

 

「一体なんだ?」

 

「タマヨリが十二支の守護神に幽閉された。

このままでは、この高天ヶ原(たかまがはら)だけでなく、そなたらが住まう世界も滅びの道を辿ろう…。

しかし、守護神の力は強大で(わらわ)たりとも倒せぬのだ。

スサノオ、そなたは武勇に優れておると聞く。

その武勇をもって、タマヨリを救いだせぬか?」

 

アマテラスの話を聞き、しばらく黙っていたスサノオが口を開いた。

 

「条件つきで引き受けよう」

 

「その条件とはいかなるものぞ」

 

「条件は、ただ1つ。

タマヨリを妃とし、神として俺を迎えることだ」

 

スサノオ!

アマテラス様に向かって、なんということを!

 

汚らわしい、アマテラス様の神聖な宮殿からさっさと立ち去れ!

 

だから、人間など嫌いなのだ!

 

 

 

 

「静まるのじゃ!」

 

 

 

 

「…スサノオよ、タマヨリを救い出せたのならば、その願いを聞き入れよう」

 

 

アマテラス様!

 

 

「よいのじゃ。

汝らも滅びの道は嫌であろう?」

 

 

……………

 

 

再びスサノオに向き直すと、アマテラスの手には剣が握られていた。

 

 

「これは、『ムラクモ』という名の(つるぎ)じゃ。

そなたに授けよう」

 

 

スサノオは、鞘を持った。

 

 

「確かに(めい)を受けた。

必ずやタマヨリを救いだしてみせよう」

 

宮殿の門に向かった。

 

 

「ただし」

 

門をくぐる直前、立ち止まった。

 

「約束を果たさなかったのならば、この剣でお前を…屠る…」

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