賭けの決着日まで後2日
「シロおはようにゃ。」
「おう、おはよう。」
「………」
「あれ、花陽は?」
「かよちんは先に行くって行っちゃたにゃ。」
「珍しいこともあるもんだな。」
「どうしてだにゃ。」
「毎日一緒に来てるだろ。」
「気持ち悪。」
「心がこもってますね。」
「本当に気持ち悪るかったんだもん。」
おい、あまりの気持ち悪さにキャラが取れてるぞ。
「さっきかよちんのこと花陽って。」
「ああ、俺的にはちょっと距離が縮まったかなと思って。」
「ふーん。」
「興味ないね。」
「暇だったから聞いただけにゃ。」
「さいですか。」
「あっ、か〜よちん。」
「凛ちゃんシロ君。」
「どうも。花陽手に持ってるそれって。」
「な、なんでもないよ。じゃあまた後で。」
「なんで逃げたんだ。」
「シロの変態さ加減がにじみ出てたんだにゃ。」
「結構傷つくぞ。」
「それよりホームルーム始まるにゃ。」
「うん。」
朝から凹むね。
昼休み。
「白夜、ちょっと飲み物買って来てちょうだい。」
「凛とかよちんのも頼むにゃ。」
「嫌だよ。」
「昨日ライブに行ってあげたでしょ。」
「わかったよ。」
「私もいくよ。」
「ありがとう花陽。優しいな。」
ミルクティーが二本と花陽がお茶が二本合わせて4本で、お終いと。
「悪いね花陽。俺のパシリにつき合わせちゃって。」
「ううん、私も聞きたいことあったし。」
「俺に?」
「うん。μ'sに・・やっぱりいいや。」
「?」
「はやく運ぼ、凛ちゃん達が待ってるよ。」
「おう?」
「遅いにゃ。」
「人をパシらせといて何言ってんだ。」
「こっちは喉が渇いてるんだにゃ。」
「はいはい。それより俺のハンバーグがなくなってんだけど。食べただろ。」
「凛は知らないにゃ。」
「凛、口にソースついてるぞ。」
「ちゃんと拭いたはずなのに。」
ちょろすぎだろ。
「やっぱりお前か。」
「そんなの汚いにゃ。」
「人の弁当勝手に食べたお前が悪い。」
「痛いにゃー。」
「目の前でイチャイチャするのやめてくれる。」
「「イチャイチャなんてしてない。」」
「息ぴったりだね。」
「シロ。マネしないでほしいにゃ。」
「凛がマネしてきたんだろ。」
「ねえ小泉さん、部活決めた?」
「まだだよ。」
「凛はまだかにゃ。」
「俺は生徒会入ってるから。」
「あなた達には聞いてなんだけど。」
この人酷くない?冷たすぎると雪女って呼ばれるぞ。でも待て、雪女の心ってたいていあったかいんだから。
口には出せないね確実にシラケる。
「西木野さんは?」
「どうもこれってのがないのよね。」
「なんで?自分の好きなやつに入ればいいだけだろ。」
「そんな簡単じゃないのよ。」
「そんなもんなのか?」
「そんなもんよ。」
部活決めるのは大変なのね。その点俺はあの暴君に無理やり仕事を与えられてるから部活をやる必要がない。ある意味感謝です。
「掃除はちゃんとするように。連絡は以上。帰っていいぞ。」
掃除か。「先生。男子が掃除してくれません。」とかいいつつ女子も掃除しない嫌な思い出しかないな。その点この学校ではそれがない、なんて素晴らしい学校。それだけで志望理由書書けちゃう。
「えっと、そこの男子。ちりとり取って。」
ごめん、やっぱり志望理由書書けないわ。
「シロ君、ごめんね。」
「いいや、全然。もう慣れっこです。」
「なんか、悲しいね。」
花陽の優しさが身に染みる。おじさん嬉しいよ。
「シロ。ちょっといいかしら。」
この声は絵里先輩だな。
「無理です。さようなら。」
「そう、わかったわ。じゃあ、誰もいない生徒会に来てね。」
「嘘です。怒らないで。でも、今掃除中なんで。」
「わかったわ。待っててあげるから。」
「恐れ入ります。」
「シロ君。もういいよ。」
「えっ、俺クビですか。」
「違うよ。待たせるのよくないよ。」
「大丈夫。絵里先輩せっかちに見えてけっこう気が長いから。」
「そうよ。掃除をおろそかにしちゃダメよ。」
前言撤回、気長じゃなかった。待てずに教室に入って来ちゃった。
「ほら、こう言ってるし。掃除をやらないと。」
「うん。」
しっかし絵里先輩が来てから黄色い歓声と俺に対してのドス黒い視線が増したような。
ふう、生きるのがつらいぜ。
「で、用件は?」
「今日と明日は生徒会に来なくていいわよ。」
「どうして?」
「仕事が休みなの。」
「有休扱いじゃなくてですか?」
「そんなに生徒会はブラックじゃないわよ。」
けっこうブラックだった気が。Gとか出るあたり。
「なら、存分に休ませていただきます。」
「そうすることね。この後大きな仕事があるから。」
嫌すぎる。やっぱりブラックだった。
「これを伝えに来ただけよ。」
「お疲れ様です。それでは失礼します。」
「シロはたまに行儀がいいわね。」
「いつもです。」
「皮肉の意味も込めたんだけど。まあ、いいわ。また明日。」
「また明日。」
さあ、部活の方に顔を出しますか。入部してないけど。
「シロ見っ〜〜け。」
この声はあの人しかいないよな。
「なんですか穂乃果先輩。」
「残念でした。違いますよ。」
あれ、おかしいな。声は穂乃果先輩だったんだけどな。なのになぜ、目の前にことり先輩がいるんだ。
「ことり先輩が俺に話しかけるなんて珍しいですね。」
「本当は絶対に話したくないんだけど。海未ちゃんは、弓道部の方で練習が出れなくて。穂乃果ちゃんはお店の手伝いで、いないから。だから、私が伝えに来たんです。」
「今日は休みなんですね。」
「超能力者ですか?」
あんたには言われたくない。ハッ、危ないまた読まれるところだった。無心、無心になれ。
「違いますよ。あれだけ説明されたらわかります。」
「なら、さようならです。」
「はい、さようなら。」
あの人の前じゃ無心じゃなくちゃいけないから辛い。
やることなくなっちゃった。真姫のピアノでも聞くかな。
あれ、花陽じゃん。μ'sのポスターの前でなにやってんだ。
「おーい花陽。なにしてんの。」
「あっ、シロ君。これ、西木野さんの生徒手帳が。」
「無用心なことで。」
「今から届けに行こうと思って。」
「おう、行ってらっしゃい。」
「えっ、ついてこないの。」
「ついて行っていいの?」
「うん。」
「じゃあ行きますか。」
人の家に行くと大体の人が『大きい』とか『綺麗』とか言うけどよく言うだろ外見より内面だって。それは人か。
「大きいね。」
「うん。」
「じゃあ押すよ。」
「どうぞ。」
数秒の間が空く。数秒にも感じられたし数分にも感じられた。
「どちら様?」
「音乃木坂学院の一年の小泉です。」
「今開けるわね。」
「あら、男の子も一緒なんてあの子も隅に置けないわね。」
若いな理事長といいこの人といい二十代でも通るんじゃないか。真姫と俺が同い年だとして15歳。もしかして14歳の母のモデルさんだったのか。
「君入らないの?」
「入ります。」
「今、真姫は病院の方に顔を出してるから。
ちょっと待っててね。」
「あの西木野病院って。」
「うちのよ。」
ぽえーん金持ちじゃないですか。金持ちすぎて。地方の言葉が出ちゃった。
「ねえ、そこの君名前は?」
「城田白夜です。」
「あの子の子供ね。どこかで見たことあると思ったわ。」
「同級生ですか?」
「ええそうよ。」
もしかしてうちのお母さん老けすぎ。
「なんかの縁なのかもね。白夜くんと真姫とが会うなんて。まあ、ゆっくりしていってね。」
「お母さん知り合いなの?」
悪いな花陽。蚊帳の外で。
「うーむ。分からないけどそうらしいよ。」
そんなことを話しているうちに主賓が到着したらしい。
「お母さん。誰が来てるの?」
「真姫のお友達よ。」
「?」
「お邪魔してます。」
「小泉さん。それと白夜?どうして?」
「まあ、いいじゃない。遊びに来てくれたんだし。はい、紅茶とお菓子ね。」
「ちょっとママ。」
「何かしら。」
「小泉さんはともかくなんで白夜まで。」
「家の前まで来てたんだもの。仲良くしなさい。」
「わかったわ。で、何しに来たの?」
「これを届けに来たの。」
「私の生徒証。どこに落ちてたの?」
「μ'sのポスターの前だよ。」
「そんなことはないわ。」
「なんでそのことに対して嘘つくんだよ。いいじゃんポスター見てたって。」
「だから見てないって。」
「嘘つきは泥棒の始まりって言うだろ嘘はなるだけつかないほうがいい。信用してもらえなくなるぞ。」
「μ'sの曲を作曲したのは私なんだからいいじゃない見たって。」
出ましたツンデレ。いやツンデレじゃないか。
「西木野さんが作ったの?」
花陽が机を強く叩いた。と同時に
「ゔぇぇぇ。」
といい。体のバランスを崩し膝を机にぶつけ。膝を抱えてソファをひっくり返すという妙技をやってのける。
わかるよ。突然花陽がトランザムしたらそうなるよな。
そして水色か。いいセンスだ。
「西木野さん大丈夫?」
「ええ、大丈夫。」
「白夜見えてないわよね。」
「何が?」
「えっ、何って。その、あれよ。」
「あれじゃわからないよ。」
「もういい。」
あら、可愛い。こんなに可愛いといじめたくなるよね。
仕方ない。
「西木野さんは部活決めてないんだよね。」
「ええ、今日話した通り。」
「なら、一緒に部活に入らない?」
「私でいいなら。一緒に入ってもいいわよ。で何部に入るの?」
「スクールアイドル。」
うちのところの花陽は決断ができるタイプですね。まあもう少しまきりんぱなの話なんですけどね。次回『自分のやりたいことと理性は基本的に相いれないものです。』