まあ、これ以降は出てこないと思います。では、始まります。
「それは……。」
真姫は頑なにスクールアイドルになるのをいや、音楽をやることを拒んでる。
「真姫。」
「何かしら。」
「お手洗いどこ?」
「このシチュエーションで普通聞くかしら。
ここを出て突き当たりにあるわよ。」
「どうも。」
さて、二階まであるからな。どこの部屋にピアノはあるのか。
「あら、どうしたの?」
真姫のお母さんに聞けばいっか。
「ちょっと聞きたいことが。」
「何かしら。」
「真姫のことなんですけど。」
「でしょうね。」
「真姫は音楽が好きですか?」
「それは私に聞かないで真姫に聞けばいいじゃない。もしかして恥ずかしの?」
「聞いても答えてくれないんですよね。」
「そう。真姫は音楽が大好きよ。」
「ですよね。じゃあどうして真姫は音楽を拒んでるですか。」
「それはあなたが考えるべきね。」
「わかりました。」
「じゃあ私からも幾つか質問するけどいいかしら。もちろん答えたくないのは答えなくていいわ。」
「いいですけど。」
「白夜くんがどうやって真姫と知り合ったの?」
「音乃木坂が生徒不足で共学の試験生として入学してるんです。」
「面白いことするわね雛子は。」
「?」
「次に白夜くんはなぜそんなことを聞くの?」
「なんとなくですね。」
「そういうところもそっくりね。あなたのお母さんに。人の心にズカズカ入り込んできて心の中から引っ張り出そうとするところとか。」
「母さんがそんなことを。」
「ええ、私や、雛子にね。」
「前から出てくる、雛子って誰です?」
「今、音乃木坂の理事長をやってる人よ。」
あの暴君か。そういえば言われたな似てるって。その時はきっと顔を見て判断したんだろうけど。
「迷惑をかけたのであれば謝りますが。」
「最初は迷惑だったわ。けど、今は感謝してる。それは雛子もだと思う。」
「それは良かったです。」
「真姫は自分から話しかけるこじゃないでしょ、話せばいい子なんだけど。どうも理解されないようで。だから友達ができないんじゃないかって心配してたんだけど。その必要はなさそうね。」
「どうしてです?」
「白夜くんがいるから。」
「俺は親と違って友達はいませんよ。」
「大丈夫。白夜くんのお母さんも友達はいなかったから。」
このボッチは母親譲りか。
「まあ、善処します。」
「最後に一つ。白夜くんは自分が好き?」
「質問の意図はわかりかねますが、大嫌いです。」
「そう。これでおしまいよ。」
「ありがとうございました。」
さて、トイレに。
「で、決まったの?入るか入らないか。」
「私は入らないわ。花陽もどうしようかなって。」
「で、花陽は何もがいてるの?」
「入るか入らないかでもがいてるの。」
「そうか。真姫。」
「何?」
「お前μ'sに入れ。」
「どうして白夜に決められなくちゃいけないの。」
「音楽好きなんだろ。ならいいじゃん。」
「前にも言ったでしょ私の音楽は終わってるの。」
「まあな。でも、お前は入りたいんだろ。」
「どうしてそうなるの。」
「花陽に言われた時、考えてから断っただろ。もし入る気がないんならお前のことだ。即答するだろ。それなのにしなかった。だから。」
「たとえそうでも、それだけじゃ理由にならないと思うんだけど。」
「今日のお昼の話の時『どうもこれってのがない』って言ってたろ。それって、あのライブ見たからじゃない。」
「そんなことはないわ。」
「だったらなんでポスター見てたんだよ。」
「だからそれは。」
「曲を作ったからじゃなくて、入りたかったからじゃないの。」
「それはないわ。」
「じゃあその理由は。」
「私が言ってるこれじゃダメかしら。」
「ああ、ダメだ。」
「どうして。」
「自分の本当の気持ちじゃないから。」
「そうだとして。どうして私の気持ちが白夜にわかるの?」
「前のピアノを聞いたから。」
「それだけ。」
「うん。」
「話にならないわね。」
「楽器は心を映すってどっかで聞いたことがある。それにあんな顔を見て音楽が終わってるとは思わない。」
「まえも言ってたわね。」
「確かね。」
「そこまで私に音楽をさせるメリットは?」
「俺の自己満足」
「なら、やめ」
「それと真姫の心の開放?」
「意味わかんない。」
「真姫前に言ったよな。『医者になるから音楽をやめる』って。」
「ええ。」
「なら、やるべきだ。」
「白夜と話してると頭が痛くなるわ。」
「よく言われる。」
「なら、やめてくれる。」
「あともう少しだから我慢してくれ。」
「じゃあ、続けて。」
「医者をするために音楽をやめる。それは自分の枷になりそうなものを排除するつもりで言ってるかもしれないけど。それは逆だ。」
「どういうこと。」
「よくあることだ。自分の好きなものを我慢し続けるといつか爆発する。それは大人でさえもだ。」
「それで。」
「その爆発はそれが好きなだけ大きな爆発になる。大きな爆発はその後にもその爪痕を残し続ける。真姫の音楽が好きなのは見ただけでわかるほどだ。そんな音楽を真姫はやめられるか。」
「……」
タチが悪いがここで押し切らせてもらうよ。
「なら、やるしかないだろ。真姫μ'sに入れよ。」
「私も西木野さんに一緒に入って欲しいな。」
「小泉さん。」
「もういいだろ。少しぐらい自分に優しくなったって。」
「でも。」
あと一押し。ここで必要なのは真姫が望んでいる一言。考えろ、なんだ?真姫は何を望んでるんだ。なぜ真姫は音楽室でピアノを弾いていたんだ。人に聞いて欲しいから。ということは
「俺は真姫の音楽が聞きたい。」
これが答えだ。
「……もう、わかったわよ。やるわ。でも、私の音楽をちゃんと聞いててよね。」
「わかった。」
「それと小泉さんも一緒だからね。」
「うん。」
「おいおい。凛をハブるなよ。」
「でも、凛ちゃんは陸上部に。」
「そんなわけないだろ。凛は結構前から陸上部って決めてたのに入らなかったってことは。揺らいでるんだろなら友達である花陽が手を貸してやれよ。」
「うん。」
「明日の朝6時に明神で。ジャージで来いよ。」
「わかったわ。」
「うん。」
翌日
「おはよう。」
「おはよう。」
「おはようにゃ。」
やっぱ凛は来たか。
「あれ、花陽は?」
「先に行くって言ってたにゃ。」
「それより朝練ってこんなに早くなの。これが毎日なんて無理にゃ。」
「何言ってんのこれくらい普通でしょ。」
「仲良いね。」
「うっさい。」
「あっ、かーよちん。」
「凛ちゃんおはよう。」
「かよちんメガネは?」
「コンタクトにしてみたんだけど。どうかな?」
「凛はこっちのかよちんも好きにゃ。」
「似合ってると思うよ。」
「ねえ、メガネ取ったついでに名前で呼んでくれる。」
「真姫ちゃんおはよう。」
「おはよう花陽。」
「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃ〜ん。」
仲良いことでけっこう。
俺らの間を吹いた風はみんなを包むように優しく吹いていた。
ようやく一年生が仲間入りしました。これで6人人です。
あと、もう少しで完成ですね。では、次回『私はアイドルの代名詞』