チュートリアルかなり省いたなーw
「……やっぱり隼人のこと待ってればよかったよ……」
隼人より一足早くログインしたわたしマヤは、縮こまって震えながらはじまりの街の大通りを歩いていた。
どこに行けば武器が買えるのか、どこに行けばフィールドに出られるかなどはすべてわかる。βテスターなのだから。
わたしが震えている理由、それは…
「人が多いとこ苦手なんだよぉ〜…….」
そう、いわゆるコミュ症である。
自分の家族や隼人とはかなり明るく振る舞うことができるのだが、こういう人が多いところでは縮こまってしまう。
ログインしたばかりなのにログアウトするのも勿体無いし、かといって隼人以外にこの世界でちゃんと話せる人なんか……
「……あ、いるじゃん。」
βテストのときに知り合い、仲良くなった人が1人だけいる。
わたしはすぐにID検索して、その知り合いを見つけ出し、今から会おうとメッセージを送った。
…ちゃんとコミュ症治さないとなー……
という考えを胸に、メッセージを送った相手との待ち合わせ場所にわたしは歩き出した。
………もちろん縮こまって震えながら………。
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……いやー、やはり叔父さんの話は長い!結局なにをしに来たんだあの人は。最後は意味不明なこと言ってたし。
まあいいや。早速SAOにログインいよう。もう三時間もたってるじゃないか。
おれがナーブギアに手をかけたとき、また俺の邪魔をするかのように部屋のドアが開いた。
「隼人!!……よかった。まだ無事ね。」
「……え?なにが?……」
おれは母さんの言ってることの意味が全く分からなかった。
「その機械を置いてテレビを見てみなさい。わたしが話すよりそのほうがはやいわ。」
なんだかよくわからないが、母さんの表情を見るだけで何かが起こっていることはすぐに理解できた。
おれはすぐさまテレビをつけて、放送されていたニュースの内容を聞いて、驚愕した。
「………SAOが…………⁉︎」
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「………ログアウトできない……デスゲーム…?」
わたしは空中に浮かぶ巨体なアバターの言ってることの意味が分からなかった。理解できなかった。いや、したくなかった。
数時間前、わたしは無事βテストのときの知り合いに合流できた。
「ごめんねキリトー。待った?」
「いや全然。いまこいつに戦い方をレクチャーしてたところだ。」
キリト。それが彼のプレイヤーネームだ。
キリトとはβテストでの第1層フロアボス戦で知り合い、それからは共に行動するようになった。彼もコミュ症らしく、そういう点でわたしとはかなり仲がいいのだが……。
「……コミュ症が初対面の人にレクチャーね〜……。」
わたしはキリトの隣に立つ赤いバンダナを巻いた男に視線を向けながらつぶやいた。
「……俺は嫌だって言ったんだが、こいつがしつこくて…」
「んだよキリの字よー!その割には自信満々にキリッ!って自己紹介してたじゃねーか!!」
「普通にしただろ!変な言いがかりはよせよクライン!!」
クライン。それが赤いバンダナ男の名前らしい。
「はぁ〜。ま、そういうわけなんだ。こいつも一緒でいいか?マヤ。」
「……仕方ないなー。」
これもコミュ症を治す第一歩だと思い、わたしは了承した。
「よし。じゃ、続きいくぞクライン!」
「おう!!」
「……キリトってほんとにコミュ症なのかな……」
それから約一時間後。
私たちはクラインのレクチャーをしながら狩りを続けた結果、キリトとわたしはレベルが3、クラインが2まで上がっていた。
「そろそろわたしはおちよーかな。」
現実世界ではそろそろ夕飯時だろう。そう思いわたしはログアウトすることにした。
「おれもそろそろピザの宅配が届く頃だし、おちるとすっかな!」
「あはは……準備がいいな…。おれもおちるよ。」
どうやら二人もおちるようだ。わたしがメニュー画面を操作し始めるとキリトから声をかけられた。
「なあ、マヤ。ソナタはどうしたんだ?」
ソナタとは隼人のこの世界での名前である。そういえば、隼人のこと忘れていた。
「あぁー、ソナタね。一緒にログインしようと思ったんだけど、ちょっとした用事でログイン遅れるみたいで…」
「そっか。じゃ、夕飯のあとに会えるか。」
そのとき、クラインが不思議そうな顔でわたしたちに質問してきた。
「なあ、キリの字にマヤよ。ログアウトボタンってどこにあるんだ?」
「ちゃんと見ろよ。メニューの一番下にあるだろ〜。」
「いや、ねぇんだよ。メニューの一番下が空欄になってるんだよ。」
不思議に思いわたしも確認してみるが、クラインの言う通り、ログアウトボタンはない。
「どういうことだ。サービス開始からもう三時間たってるんだ。こういう不具合があることは運営もわかってるはず。メッセージくらいよこしてもいいはずなのに……」
キリトの言う通りだ。しかも、ログアウトできない不具合となると今後の運営の信頼にも関わってくる。
なにか、嫌な予感がしてきた。
そのときだった。わたしたちの体を青い光が包みこみ、はじまりの街に転送したのは。
そして、今に至る。
空に浮かぶ巨大なアバターは、いまだチュートリアルを続けているが、その言葉はもう耳に入ってこない。
「………最後に、プレイヤー諸君にわたしからのプレゼントだ。アイテムストレージに入っているから確認してくれたまえ。」
その言葉にわたしはすぐに反応した。もしかしたらログアウトするためのアイテムかもしれない!
そんなあるはずもない希望にすがって、ストレージにあった一つのアイテムを手元に呼び出した。
「……手鏡……?」
なんだこんなもの。そう思って投げ捨てようと思った時、わたしの体を青白い光が包み込んだ。転移ではない光。わたしだけではない。隣にいるキリトやクラインも、他のプレイヤーたちもどんどん光に呑まれていく。
すぐに光はおさまったが、何が起こったのか全く理解できなかった。
しかし、もう一度手鏡を見て、わたしは凍りついた。
「…わたしの…顔…?」
そこに写っていたのは間違いなく、現実世界のわたしの顔だ。黒のショートヘア、少し日に焼けた肌、長いまつ毛、少し小さい目。
だがそれだけじゃない。体型も現実世界のものになっていた。女にしては少し高めの身長170センチ。この世界でくらい小さくなりたいと思い、小さめに設定したアバターはもうなくなってしまった。
そこから先は何も覚えていない。
気がついたら路地裏にキリトとクラインとわたしの3人で立っていた。
「…俺は次の街に行く。二人も一緒にこい。この辺のモンスターはすぐに狩り尽くされる。この世界で生き抜くにはレベルをあげないといけない。俺はβテスターだ。次の街まで安全に行く方法を知ってるし、レベルも上がってるからクラインを守りながら進むこともできる。ついてくるかは二人に任せるけど……」
キリトはそういうとわたしたちの判断を待った。
わたしは、どうするべきなのだろう。ここで待っていれば隼人が来てくれるだろうか。いや、それはない。なぜなら彼はログインしていないからだ。このデスゲームに巻き込まれていないのだ。
なら、わたしは、どうすれば……。
そんなことを考えていると、クラインが口を開いた。
「…悪い。俺の仲間たちもこの世界にいるんだ。あいつらを置いてはいけない。」
「……そうか……」
「なーに、心配すんなって!おまえらから教えてもらったテクで、すぐに追いつくからよ!」
「…あぁ。待ってるよ。………マヤはどうする?」
わたしは、どうする。
いや、考えるまでもない。この世界に隼人はいない。隼人に、大好きな隼人に会うにはこの世界からでなくちゃいけない。なら、わたしがこの世界をさっさと壊して現実に帰ればいい。隼人に会うには、それしか方法はない。
「…わたしはついていく。」
「…わかった。」
キリトは、わたしのこの一言にいろいろな想いがこもっていることをわかってくれたようだった。
「…じゃ、クライン。ここでお別れだな。」
「なーに。またすぐに会えるさ。俺がすぐおまえらに追いつくからな!!」
「…期待しないで待ってるよ。」
そういうとキリトは、クラインに背中を向けて街の外に向けて走り出した。わたしもそのあとを追う。
「…おい!キリの字よ!おまえ案外かわいい顔してやがんな!結構好みだぜ!!マヤちゃんも!あとで俺とお食事とかいこーな!!」
クラインが言った言葉に対し、わたしたちは笑顔でそれぞれ返した。
「お前もその野武士面のほうが10倍似合ってるよ!!」
「丁重にお断りします!!!」
そして再び前を向いて走り出した。キリトがもう一度後ろを振り返ろうとしたが、わたしが振り返ってはいけないと目線で訴えかけると、キリトは歯を食いしばり前を向きなおした。
もう後ろは向かない。後ろを向いたらいろいろな想いが溢れて泣いてしまうだろう。次に泣くのは隼人と再会したとき。
そう心に決めて、わたしは初期装備の片手剣を抜き放ち、狼型のモンスターをポリゴン片に変えた。
どうでしたか?
次回は隼人視点です。主人公は隼人ですからね!
え?隼人はSAOにはいらないのか?
それは次回のお楽しみ〜(=゚ω゚)ノ