星々の物語~STARS' TALE~   作:アストライア

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宿命の敵~火星~

 

88もある、星座の国でも最凶最悪な国といわれる(さそり)国。

 

蠍国がそこまで忌み嫌われるのか、それはこの国を治める王に理由がある。

 

 

(さそり)国を治めるアンタレス王。

 

彼は、かつて軍神・アレスに挑み、敗北した。

 

その罰として、アレスは彼の本来の名・マルスを奪い、「アレスに反逆したもの(アンタレス)」という烙印を押し、100年もの間、蠍国を奴隷として扱った。

 

 

蠍国が解放されてから1000年。

その間、アンタレス王は富国強兵を掲げて、軍を整備した。

 

 

「宰相よ、宿命の日まであと何日か?」

 

紅き瞳の男が低い声で尋ねる。

 

「あと20日でございます」

 

「よし、軍の整備を怠るな!

訓練も実戦的なものに切り替えろ!」

 

「はっ」

 

宰相は、数人の部下を引き連れ退いた。

 

 

「アンタレス様…本当によろしいのですか…?

 

1100年前のあの屈辱を繰り返すおつもりなのですか…?」

 

財務長官がアンタレス王に近づく。

 

「この私に歯向かうというのか?」

 

「そうではありません。

ですが、あの苦痛をお忘れなのですか…、陛下…」

 

 

――――――――――――

 

王は、この蠍国で最も赤々と輝く星を守護に持つ。

 

しかし、一方で激しい気性の持ち主であり、自分の守護星より赤々と輝く星を守護に持つ者を粛清してきた。

 

蠍国の建国より5000年の間、紅き星は王の星以外、国内に存在しなかった。

 

そして、その5000年の歳月は蠍国に繁栄をもたらした。

 

 

 

 

 

しかし1100年前、決して来ることのない星、紅き惑星、アレスの治める火星がこの蠍国に入ってきたのだ。

 

王は、己の星よりも紅い星を見て、怒り狂った。

そして、すぐさま軍隊を率いて、火星の破壊を試みた。

 

 

 

 

「我が国を脅かす者は誰だ!?」

 

我が守護星(マルス)よりも紅い星の支配者はお前か!?

 

この蠍国に入ったことを後悔するのだな!」

 

「マルス…か。

この私が誰であるかを知らぬとはな。

我は火星の支配者・アレス!

 

この星を侵す者は、容赦せぬ!」

 

 

 

 

 

軍神と呼ばれるアレスに我が国の軍隊が敵うはずもなく…。

 

後に“対軍神反逆(アンタレス)戦争”と呼ばれるこの戦いは、アレス軍の圧勝だった。

 

 

 

 

王をはじめ我々は、アレス軍に捕らえられた。

 

 

「この私に牙を向けるとは、愚かのぅ。

天罰として、次の3つの条件を飲むのだ。

 

ひとつ、お前の名・マルスを我が名として譲ること。

ふたつ、お前の代わりの名はアンタレスとすること。

みっつ、この蠍国は私の国に100年間隷属すること。

 

 

これらの条件を飲めば、命だけは保障しよう」

 

 

 

 

 

それから100年間、蠍国は奴隷としての扱いを受けてきた。

 

なぜならアレスは、国民を戦争にかり出したからだ。

 

ここで、あの100年間にアレスが参加した主な戦争を挙げる。

 

巨人族(ギガントマキア)戦争

・テュフォン戦争

・トロイヤ戦争

 

 

そのために、蠍国の人口は最盛期の半分以下まで減ってしまった。

 

 

 

アレスの支配から解放されて、王は国の再建に取りかかった。

 

平和な時代が再び訪れるかと思われた。

 

しかし、天体観測所が次の事実を導き出した。

 

 

『1000年後、再び火星(アレス)がこの国を訪れる』

 

 

その事実が王の元に届いたのち、再び軍隊を再編し始めた。

 

 

――――――――――――

 

「財務長官を捕らえよ」

 

「なぜですか!?

アンタレス国王陛下!」

 

「この私に口答えするからだ」

 

 

 

アンタレス王が右手を払うと同時に財務長官は、牢獄へと連れていかれた。

 

 

「財務長官は、まだ生かしておけ!

いざのときの、替え玉とする!」

 

「「「はっ」」」

 

 

 

………もはや、(さそり)国の王は、狂っている………。

 

いずれアンタレス王は、消えるだろう。




アンタレス(日本名・赤星(あかぼし))
蠍座α星の赤い星の名前。
アンタレスの名前は、ギリシャ語由来で「火星に対抗するもの」を意味する。
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