女体化☆チーレム~変態スキルで学園無双!~ 作:どるふべるぐ
「……本当に、『彼』と会われるのですか?」
どうか考え直してくれという思いのこもった問いが、とある留置所の廊下に響いた。
照明の白く無機質な光に照らされた、どこか寒々しい空気の漂う廊下。そこを問いの主である留置所の所長と、彼に案内される二人の若い女性が歩いていた。
どちらも美しく、そして異様な女だ。
「ええもちろん。そのためにこうして日本まで来たんですもの」
そう朗らかに答えるのは、ウェーブのかかった金髪を揺らし眼鏡をかけた小柄な女性。二十代の前半にも見えるが、どこか猫を思わせる雰囲気と美しくものんびりした声はあどけない少女の様な印象を与える。だが、そのレンズの向こうに光る虎目石(タイガーアイ)の如き黄色の瞳は、楽しげながらも何処か底知れぬ凄味を宿していた。
一方、その隣に並ぶのは白髪を胸元まで伸ばした長身の女性。こちらは黒のスーツに身を包み、その整った顔は美しくとも瞳は怜悧な刃物を思わせる鋭さで、一切の隙も無く傍らの女性に付き従っている。
どちらも殺風景なこの場には不釣り合いな程の存在感を放つ美女だが、同時に妙に馴染んでもいた。まるでこの留置所のような場所が――この表社会から隔絶された領域(セカイ)こそが己の居場所だと言わんばかりに。
異様なその二人に気圧され、初老の所長は自然と額に浮かんだ冷たい汗をぬぐった。
だがしかし何か言いたげなその表情に、白髪の女性が怪訝気に眉を顰める。
「……何か問題が?」
「問題と言いますか……これから会う少年は未成年ながら非常に危険な人物でして……」
「危険……」
「はっきり言って異常者です。私も長い事この職についていますが……あんな奴を見るのは初めてだ……」
「その少年は何故ここに……?」
「痴漢です」
「痴漢……」
その言葉に、不快気に呟く彼女の瞳に侮蔑の色が宿る。
が、所長は首を横に振った。
「……と言っても、正確にはそれを捕まえた側ですが」
「……?」
「彼は乗り合わせた電車で、若い女性に痴漢をしていた男をその場で取り押さえたのです」
「取り押さえた?ならば何故、彼はここに捕まっているのです?」
困惑の声に所長は暫し言葉を切った後、重々しく口を開いた。
「なんでも痴漢を取り押さえた彼は痴漢に向かってこう叫んだそうです『テメエその触り方は何だ!おっぱいの正しい触り方も分かんねえのか糞野郎が!』と……」
「…………」
「それから痴漢を正座させ車内で『正しいおっぱいの触り方』について延々と説教し、ホームに着いた後はホームで更に説教を続け、通報を受け駆けつけた警官が止めに入ると『説教の途中だ馬鹿野郎!』と警官を殴り倒したので、公務執行妨害で身柄を拘束しました」
思い出すのもおぞましいとばかりに顔を顰め語る彼は、それを興味深そうな頬笑みで聞く金髪の女性に向き直った。
「取り調べでも女性の乳房に対する意味不明の発言を繰り返しており会話にもなりません。どころか取り調べをした婦警の胸がシリコン入りだと言って罵倒し泣かせる始末。……正直手に負えませんよ。あの乳房に対する異常な執着は狂っている。だから会うのはお止め下さい」
そもそも警察関係者でも無い彼女達がここに居る事自体がおかしいのだ。
通常なら例えどんなに頼まれようとも、正規の手続き無しに囚人に会わせる事など出来ない。所長である彼もまた、彼女達の身の安全を考えればここに迎え入れる事など断りたかったのだ。それが警視総監直々に「二人の言う通りにせよ」と命じられなければ。
「特にあなたは、その……彼を大いに刺激しかねない」
言いにくそうにそう語った彼の瞳と、白髪の女性の瞳が同時に同じ場所を向く。
二人の様子に首を傾げる金髪の女性――小柄なその身体に反して胸元を大いに盛り上げるその膨らみを。
「……学園長。やはり止めましょう」
重量感たっぷりのソレから何やら苦々しげに目を逸らし、硬い声で言う白髪の女性。対して金髪の女性の方はお気楽な笑顔を浮かべた。
「えー。私は大丈夫よ~。わざわざここまで来たのに無駄足にしたくないわ」
「……では、まず私が彼と一対一で話をします。そこで危険性を確かめ、私が安全だと判断したら来て下さい。貴女が会うのはそれからです」
「何それめんどくさいよ~」
子供の様に頬を膨らませ「ぶーぶー」言う彼女に、白髪の女性は有無を言わせぬ声で言った。
「い・い・で・す・ね?」
その迫力に金髪の女性が不承不承頷いたのを確認し、彼女は一人歩を進めた。
向かうは薄暗い廊下の果ての奥まった牢獄。
肌がざわつき、締め付けるような圧迫感を感じる。一歩進むごとに息苦しさすら感じるそれは強くなり、知らぬ間に冷たい汗が額を流れた。
「……ッ」
何かが、いる。
妄執か、あるいは欲望か。この廊下の果ての牢獄にいる何かから溢れだす狂おしい情念が、空気すらも淀ませ近づく全てを飲み込んでいくのだ。
ともすればこれ以上進む事を躊躇ってしまう心を奮い立たせ、彼女は脚を動かし――遂に牢獄へとたどり着いた。
そして連なり隔てる鉄格子の向こう側を覗き込み、息を飲む。
そこにいた一人の少年……いや、ぎらつく瞳でこちらを睨む、一匹のケダモノに。
黒々とした髪に細身だが程良く引き締まった肉体。精悍と言っていい十代の後半に見える少年だが、その瞳に宿るのは獣の如き剝き出しの欲望。その凄まじさに彼女は、彼の全身から熱く燃えるそれが炎の如く噴き上がる様を幻視した。
一目見て分かった。こいつは己が求める物のためならば何でもする。倫理や常識など打ち壊し、その命すらも笑って賭けられる欲望の権化だ。
対峙するだけで叩きつけられる情念に気圧されかけるも、彼女はその瞳に力を込めて少年を睨みつけ、その名を言った。
「――
「…………」
刃の如く硬く突き刺すようなその声に、だが返答は無い。
「日本国籍。十七歳。住所不定。無職。■■県に生まれ父子家庭で育つ」
「…………」
「外務省の公式記録では十歳の時に父親と共に英国ロンドンに渡り、テロに巻き込まれ行方不明となっていた……。間違いは無いか?」
「…………」
問いかけるも、やはり返事は無い。
ただそのぎらつく瞳でこちらを睨むその姿に、彼女は苛立ちを覚えた。
「何か言ったらどうだ?」
「…………」
「おいっ!」
いい加減怒りを込めて呼びかけると、少年――下司葛人は舌打ちしてようやく口を開いた。
とてつもなく不愉快そうに、獣の唸りにも似た声で
「――Aカップ」
吐き捨てるように、言ったのだった。
◇◇◇
たとえどれほど崇高な正義を抱いても、それを理解されなければ悪となる。
ジャンヌ・ダルク然り大塩平八郎然り、古今、真の正義と言う物は他者から理解されずに悪と断じられ裁かれてきた。
そして今、俺の乳を愛する正義もまた無理解な馬鹿共によって罪とされこうして囚われている。
そして嗚呼、まったく神よあんたって奴はとんだドSだ。救いの手どころかあんたが遣わしたのはメンチ切ってくる貧乳女だった。ファッ●ン!ファッキ●ゴッド!正直今すぐぶん殴りたいがそれが出来ない以上、せめてこの怒りを今ポカンと言葉を無くしているこの糞女にぶつけてやる。
「…………なに?」
「テメエの胸だよ貧乳」
「――なっ!?」
ぶつけた言葉に顔を赤らめた貧乳を不快げに眺め、俺はその胸を指差した。
「パッドを入れちゃいるが肩の角度と鎖骨から先端部までのラインを見りゃ一目瞭然だ。Cカップに偽装してるが、それで俺の目を誤魔化せるとでも思ったかよ」
お前達貧乳共のやる事なんざ全部まるっとお見通しだ!
全てのおっぱい星人への冒涜とも言うべき罪深きカップ偽装犯。正直今すぐ切腹して欲しい見下げ果てたゴミムシに教えてやる。
「生憎だが俺は巨乳以外にゃ興味ねえ。特に乳を偽る奴なんざ論外だ。股を開きたきゃ他をあたれ」
「こ、の餓鬼ィ……ッ」
シッシと手を振り追い払おうとすると、貧乳は怒りのあまり震える拳を握りしめる。
ああなんだやんのか貧乳?言っとくが俺には巨乳以外に払うフェミニズムなんぞ無いぞ。互いにメンチ切り合い鉄格子越しの殴り合いが始まろうとしたまさにその時、突然の笑い声が緊迫した空気に木霊した。
「ぷっ……あははははははっ!」
そして、それはもう愉快げに響くその声と共に現れたのは……ってうおおおおおお!?
「学園長!?」
すんごく楽しそうに笑う金髪巨乳眼鏡様!
目じりに涙すら浮かべて現れた金髪巨乳に白髪貧乳が目を丸くし、俺の目は彼女が身体を震わせ笑う度に揺れるその胸に釘づけになった。というかホントすげえなこの乳!
そんな俺達の様子に再び軽く噴き出し、ひとしきり笑った後で巨乳様は玩具を見つけた猫の様な笑顔を俺に向けた。
「面白いね君。見ただけで胸のサイズが分かるんだ~。じゃあ私のは分かるかな?」
「――Hカップです!」
ゼロコンマ以下。迷い無き即答である。
「おお正解!」
「その躍動感溢れる弾み具合と淫蘼なるも美しき曲線美を見れば間違えようもありません!」
この至高の美への感動を、その素晴らしき乳を褒め称えて俺はその場に跪く。
「名も知れぬ巨乳様。よろしければお名前を……!」
「おい私と態度が違いすぎないか!?」
「巨乳と貧乳ましてや偽乳を同列に置けるか馬鹿野郎!」
「よし今すぐ殺しましょう。というか殺させて下さい学園長!」
「あははっ!ホントに面白いね君気に入ったよ~」
二人のやりとりにまた噴き出し、巨乳様は春風を思わせる朗らかな御声で名乗った。
「私は……そうだな~……『学園長』って呼んで」
続いて傍らの貧乳を指差す。
「この子はノイン。私の頼れる秘書兼ボディーガード兼親友。Aカップだけどさわり心地は良いんだよ~。だからあんまり邪見にしないで欲しいな」
「貴女がそうおっしゃるなら。で、この俺に何の用っすか?ただ単に世間話がしたいのでしたら大いに結構。どうぞいつまでも居て下さい。自分これでも乳ネタならほぼ無限に持ってるので話には事欠きませんよ?」
「それは是非とも聞いてみたい所だけど、今日は葛人君――君をスカウトしに来たんだ~」
「スカウト?」
思わぬ言葉に眉を顰めると巨乳様――学園長はエッヘンと大きな胸を張り、俺の目をまたも釘づけにした。っていうか揺れ過ぎい!
「そう。私これでも、とあるちょっと変わった学園の運営をしているの。……ねえ葛人君。うちに来る気ないかな?」
え?何この突然のお誘い?
言っとくが俺にはこんな美巨乳様に目を付けられる事なんざ一つも……いや、あったわ。
「……オヤジの関係っすか?」
思いあたった『面倒事に巻き込まれる原因ナンバー1』について問いかける俺に、だが学園長は答えず「どうだろうねぇ」と真意の読めない笑みを深める。
その顔をしばし眺め、やがて溜息をついて俺は首を横に振った。
「……生憎ですが、これでもヤりたい事があって世界中を旅してる途中なんすよ」
「やりたい事?」
「ええちょいと童貞捨てようかと思いまして」
「?」
「実は自分そろそろ童貞捨てようかと思ってましてね。どうせなら最高の巨乳美女で捨てたいんで、今そんな巨乳美女を探して世界中を周ってるんすよ」
「馬鹿だ!こいつ凄い馬鹿だ……ッ!」
崇高かつ神聖な我が探求の旅に随分と失礼な事を言う貧乳だ。いやむしろ貧乳ごときに分かって堪るかと言う所なんで、俺は気にせず学園長に頭を下げ――
「つうわけでお誘いはありがたいんですが……」
「巨乳ならうちに沢山いるよ?」
「マヂっすか!?」
その御言葉に声を裏返らせて顔を上げた。
そして勢い良く鉄格子に飛び付き鼻息を荒げる俺に、学園長はニッコリ笑顔で言った。
「聞いた事無いかな?この世界のどこかに、あらゆる種族あらゆる異能、異形も異端も何もかも、教育を望む者なら皆全てを迎え入れる学園が在るって……」
「あらゆる種族……ってことは人外の乳も!」
「もちろん。ていうか生徒の約半分は異種族だね~」
「ダークエルフとかサキュバスはッ?」
「もち在籍済み。淫魔系とかほぼフルコンプだよ~。今なら入学するだけであらゆる乳がより取り見取りさ~」
「いや学園長不純異性交遊はちょっと!?」
「俺のおっぱい愛は純粋だ!」
「黙れ変態!!」
うるせい俺は今猛烈に感動しているんだよ!
嗚呼!ああまさかこの科学万能の時代にそんな夢と浪漫のファンタジーおっぱい楽園があるなんて!どうりで世界中を探しても理想の巨乳が見つからないはずだ。だってそれはその学園に在るんだもの!
「で、どうするの?行く?行かない?」
行くよ行くとも行かいでか!
まだ見ぬ巨乳を揉めるなら、神秘の爆乳を拝めるのなら――
「そこに巨乳が在るのなら、俺は地獄の底だろうと征きますよ」
ここで征かなきゃ漢じゃねえ!
「――征かせて下さい。その学園に!」
学園長の瞳を真っ直ぐ見つめ、俺は強く告げた。
すると学園長は満足げに頷き、その掌を鉄格子に向けて――
「――『砕けゴマ』」
そう低く呟くと、鉄格子に突如亀裂が走りその全てが砕け散った。
そうして不可思議な力で縛めを打ち壊した彼女は、俺を心の底から祝福するような笑顔を浮かべ、その手を差し出し高らかに言祝いだ。
「入学おめでとう!これから誰も見た事がないような学園生活が君を待っているよ!熱い友情も甘い恋も辛い試練も輝く勝利も何もかもがそこに在る!さあ、欲するままに味わおう。望むままに楽しもう。止められない欲望を胸に、全身全霊総てを以って楽しみ抜こう!《学園》は君を歓迎するよ葛人君!」
その言葉に俺は歯を剥き出して笑い、彼女の手を強く握った。
握るこの手が熱く震える。鼓動が高鳴り止まらない。荒ぶる血潮が燃える魂が、俺の総てが今、早く乳を揉みたいと叫んでいる。
かくて俺は解き放たれた。理性も倫理も良識すらも凌駕する欲望を胸に、理解も道理も常識すらも超越した摩訶不思議な学園にて大願を成すべく。
「言われるまでもねえ。好きな事を好きなだけ、ヤりたいようにヤって、何もかもを楽しみ尽くしてやりますよ」
――全ては、理想の巨乳をこの手で掴むために!
俺は、まだ見ぬ学園へと行くために一歩を踏み出した。
そんなこんなで第二話です。
話がなかなか思い浮かばなくて苦労しました。スランプ中は伊達じゃない。
この物語の主人公は基本おっぱいの事しか考えていません。なのでセリフのほとんどは下ネタとなります。下品ですいません。でもこれからますます下品になります下ネタ万歳。
次回は嵐を呼ぶ転入編。学園がようやく舞台になります。ヒロインも出ますよ名前付きで。処女作ではメインヒロインの名前を十話以上になるまで出さず地の文での描写にさんざ苦労したけど、今作ではそんな事が無いから作者的に一安心。なのでなるべく次回は楽に書けたらいいなあ……。
ではまた次回で。<(_ _)>
※留置所の描写は超テキトーです。どうか生温かい目で許して下さい。