女体化☆チーレム~変態スキルで学園無双!~   作:どるふべるぐ

6 / 12
一か月振りくらいの投稿ですお久しぶり。
サブタイトルはいい加減ですが中身もいい加減ですぜ。
でわでわそれでも良いという方はどうぞご覧ください。



『イケメンと主人公が初めてぶつかりあう話……性的じゃない意味で』

 ――さて突然だが、円滑な学校生活を送る上で第一印象ってのは言うまでもなく大事だ。

 例えばクラスの自己紹介。新学期が始まり振り分けられた新たなクラス。初めて顔を合わせる奴が大勢いるその場で、簡易プロフィール&自己PRを言わされるっていうあの嫌がらせだ。

 

 コミュ力抜群リア充野郎とかは余裕のスマイルでそつ無くこなし、好印象をゲットできるんだろうが、あれで滑った奴は最悪だ。緊張でガチガチになった挙句、ハエの囁きみてえに小さな声でオドオド喋ってたらまず舐められる。でもって調子こいて寒いギャグとか厨二な台詞を言えば、痛い奴だと白い目で見続けられる闇黒の学校生活を送るハメになるんだ。

 

 まあようするに学校生活における第一印象ってのはそんだけ大事で、一度決まったもんは容易には変えられねえ。どんだけ良い学校生活を送れるか、その全ては第一印象にかかってんだよ。

 そしてたった今、俺――下司葛人の《学園》における第一印象が決まった。

 

「「「なんてハイレベルなホモ野郎だ!?」」」

 

 はい終わった! 俺の学園生活が初日で終わった!

 

「だ・か・ら・ホモじゃねえええええええ!!」

 

 と叫ぶも、俺達の周りで遠巻きに見つめる獣人やらロボやら何だか分からんゲル状の何かといった人外異形の生徒達の白い目は変わらない。つうか大声あげたらビクッと後退りやがった。うんヤヴァい奴から反射的に逃げる感じで。……あれだな。これはもう心の底からドン引いてないとできない反応だよなファッキン。

 

「何でこうなったちくしょおおおお!!」

 

 血も涙も無い現実に慟哭する俺。

 その隣で、美少女に擬態してた青みがかった銀髪に赤い瞳の糞美少年野郎――雪兎(ゆきと)がよろよろと身を起こした。

 

「…………」

 

 言葉も無く唇に手をやり、今だべろちゅーの衝撃から立ち直っていないのか呆然としている。

 いやーなんつうか、自分でやっといて何だが声をかけづらい雰囲気だ。無残に初めてを散らされた銀髪美少年とかどうしろっていうんだよ。案の定、安易な慰めの言葉もかけられず、どう接すればいいのか分からないギャラリー共が気まずげに見つめる中で、突如甲高い悲鳴――というか絶叫が上がった。

 

「ぅお兄様あああああああああ!?」

 

 意志の強そうな蒼い瞳を見開いた黒髪の美少女(……だよな?今度は本物だよな?)が、艶やかなツインテールを揺らし雪兎の胸に飛び込んできたのだ。

 

「大丈夫ですかお兄様! 変な事は――ってされましたねされちゃいましたね! ああ申し訳ありません。私が付いていながら、みすみす清い身体を馬の骨に穢されるなんて……ッ!かくなる上はお兄様、どうぞ私の唇でお口直しをッ!!」

 

 一気にまくしたて、んちゅ~~と小さな唇を雪兎につき出すなにこの痴女?

 その明らかにブラコン拗らせたとしか思えない奇行の衝撃でか、雪兎はハッと我に返りブラコン少女を突き飛ばした。

 案の定拒絶された少女は「ああんっ❤」とか満更でもなさそうな悲鳴を上げて倒れこむ。ホント何なんだコイツ。

 

「クスン……相変わらず冷たいんですのね。でもそこが……悦いッ!」

 

 変態だ! 近親相姦系の変態だ! と思ったら周りのギャラリーの何人かも頷いておる!? イケメンならどんだけ冷たくしても許されるってか畜生。

 だがそんな変態妹の想いは届かんようで、肝心の雪兎は地べたで恥をさらしまくる身内から目を逸らし、怒れる兎の様な赤い瞳で俺を睨みつけた。

 

「――貴様、何者だ」

 

 ヒクヒクと震える唇から出る、美しくも煮えたつような声。

 

「学園の制服を着ていない所を見るに、生徒では無いな」

 

 その赤い眼差しは鋭く、対する俺を刺し貫く。

 

「答えろ。何が目的で侵入し……何のためにこんな事をしたァ!!」

 

 うーわーすんげえブチ切れてやがる。

 セリフの最後で怒気と殺気がブワッと爆発して余波くらった何人かが気を失ったぞオイ。

 まーそーだよなー。いきなり空から押し倒された挙句べろちゅーでお口の純潔散らされたんだもんなーキレるよなーうん。

 

 だがよ、でもぶっちゃけな――

 

「――うるっせえ糞イケメン野郎が!!」

 

 俺はァ、その何倍もキレてんだよッッッ!!

 

「なっ!?」

 

 まさか逆に怒鳴り返されるとは思わなかっただろう。赤い目を丸くして呆気にとられる雪兎に、湧き上がる怒りと殺意を叩きつける。

 

「テメェこそよくもその中性的美少女フェイスで純情な俺を騙くらかしてくれたなオイ!」

 

 あーあー今改めて目の前に立つ全身を見りゃあ、スラッと引き締ったイケメンスタイルだなオイ。もちろん乳なんてありゃしねえ。

 が、それは全身を見たからこそ分かる事だ。ぶっちゃけこれが顔だけなら

 

「兎みてえな瞳に白い肌しやがって。綺麗過ぎて男だなんて思わねえだろクソが!」

「んなッ…ん…だと……ッ」

 

 血を吐くような叫びに、雪兎の白い頬が怒りと羞恥で赤く染まる。だが俺は何も間違った事は言ってねえっ。ほらギャラリーの何人かもウンウンて頷いてるし!

 

「ホモが口説いてる……ッ!?」

「しかも結構熱烈に!」

「ウホッ! アタシまでドキドキしちゃうわぁ❤」

 

 違った!? ホモ疑惑が深まっただけだった!

 

「だからホモじゃねえって言ってんだろ! ホモは――コイツだ!!」

 

 ジャッジャッジャーン!

 なんて火曜サスペンス的BGMが聞こえてきそうな勢いで、俺は真のホモ野郎――雨宮雪兎を指差した。

 

「はあ!? 貴様言うに事欠いて何を……ッ」

 「うっせいやいビジュアル系ホモめ! その外見で俺を騙して後ろの純潔散らそうったってそうはいかねえぞ!」

 

 あっぶねえ。マジあっぶねえ。

 あのまま気付かなかったら、この誘い攻めホモからアーーッされてたぜ。

 

「お前のヤろうとした事は全部まるっとお見通しだ!」

「きっさっまあああああああ!!」 

 

 仲間○恵ばりに真実を言い当てられ(あくまで主人公主観です)、雪兎はついに憤怒の形相で咆哮した。

 

「ぐけけっwww 指摘されたらキレるとか語るに堕ちたなホモ野郎。いいぜ来いよフルボッコにした後ホモチ○コもぎ取って去勢したる!」

 

 もちろん俺も殺る気マンマン怒りはMAX!

 騙された怒りと殺意を籠めて拳を握り、雪兎もまた腰を落として戦闘態勢をとる。

 

「……いいだろう。ならば俺は貴様の首をもぎ取ろう」

「上等だホモ野郎。――来いや。心ゆくまで殺ってやんよ」

 

 さあいざ殺り合おうかっていうその時――

 

「――やめなさい二人とも」

 

 落ち着いた。だが静かな声に籠められた冷たい殺気が、俺達の熱を一瞬で冷ました。

 

「雪兎君。怒るのは分かるけど落ち着きなさい」

 

 夜霧の様に冷たくも澄んだその声の主に、殺る気を一気にそがれた俺は目を向け――言葉を失った。

 

『美しい。ああ、それは本当に美しい少女だった。流れるような黒の髪に、深い青の瞳。整った顔立ちは地べたに伸びている変態女に似ているが、変態の方は年相応の少女らしい《可憐》な印象を受けるのに対して、彼女はまさに《美麗》。可愛らしさより、臭い立つような艶やかさが見る者を魅了する絶世の美女である』……なんて、またまたオサレに表現したくなるくらいの超・絶・美・女が、対峙する俺達の間に立ち塞がるように歩み出たのだ。

 

 謎の美女は周囲の人だかりにほんの一瞬目をやった後、雪兎の今だ怒りの色が残る赤の瞳を静かに見つめ、口を開く。

 

「こんな人の密集地で、あなたが本気で戦えば周りに被害が出るでしょう。……冷静になりなさい雪兎君。生徒会の一員たる者、冷静な判断力を失ってはならないのよ」

「――ッ。……ああ、そうだね。すまない。僕とした事が下衆の戯言に惑わされていた。諫言感謝するよ――霧花姉さん」

 

 まるで子供に言い聞かせるような、静かに諌めるその言葉にハッとして、雪兎は怒気を幾分か鎮めて頭を下げた。もっともあくまで『幾分か』であって、殺気は今もビシビシ叩きつけられてんだけどな。

 が、今の俺にはんな事ぶっちゃけどうでもいい。

 ああそうだホモの事なんざ眼中どころか頭の中から綺麗さっぱり抜け落ちた。雪兎? 誰それ美味しいの? 今の俺の関心はただ一人、このミステリアス美少女の――

 

「――それで、あなたはいったい何者なの?」

 

 爆発寸前の雪兎をただの一言で止めた彼女――霧花(きりか)さんだったか――は、雪兎の謝罪を聞くと続いて俺に向き直った。

 その奥を窺い知ることが出来ない青い霧の様な瞳が、俺の目を覗きこむ。

 

「何が目的でここにきたのかしら? ……素直に答えなさい。私は雪兎君の様に怒りはしないけど、冷静にあなたを殺せるわよ」

 

 その凍りつくような眼差しに、俺は――

 

「――貴女とセックスするためですッ!」

 

 跪き、その手を取って答えたのだった。

 

「「「…………へ?」」」

 

 そして、空気が凍った。でもってセットで沈黙が降りるオマケ付き。

 

 目のある奴は目を丸くし、無い奴はあんぐりと口を開け、どっちも無ければジェスチャーで驚きを表現する人外生徒達。この場の全員もれなく俺の告白にポカーンとしてやがる。

 それは目の前の霧花さんも同じで、青い瞳は呆気にとられたように見開かれ優美な唇がヒクついておる。

 

「なんの……冗談……?」

「冗談ではありません!」

 

 硬い声で問う美貌に、俺は下からズズイッと顔を近づける。そしたらビクッと後ずさられたけど構わず距離を詰めたった。

 そして叫ぶこの想いを。見上げた彼女の困惑する美貌――の下でドドンとそびえる巨乳(目測92㎝)に向かって!

 

「――貴女の『乳』に惚れましたッ。ヤらせてください!」

「「「変態だああああああああ!?」」」

 

 はい来たドン引きの大絶叫!

 ギャラリー共の白い目が恐怖すら帯びてきたがそれがどうした下らねえ。漢なら欲望のままに突っ走るだけだッ。

 

「付き合ってくれとは言いませんし心までは求めませんッ。ただ俺は貴女の身体だけが欲しいのです!」

「謙虚なようでいてひたすらゲスい!?」

「でもなにあの真っ直ぐな目は!?」

「あんなに曇り無き瞳で人はここまでゲスいことを言えるのか!?」

「本物や! ここに本物のゲスがおる!」

 

 ギャラリー共うっせええええええ!!

 

 が、今はあえてツッこまん。そんな暇があるならば一言でも多くこの想いを伝えたいからだ。

 

「でも結婚してくれると言うのならばして下さいっ。俺は貴女を孕ませて――」

 

 曇りなき瞳で、迷い無き言葉に、この真っ直ぐな欲望(おもい)を乗せて叫ぼう。このどこまでも雄大で美しい――おっぱいに向かって。

 

「貴女の母乳が飲みたいんでぶべらああああ!?」

「ぅアホかああああああああああああ!!」

 

 そして俺の告白が横から飛んで頬にめり込んだ拳でブッ壊されたああ!?

 

「ふんぶべぽあっぱああああああああ!?」

 

 頬で炸裂した衝撃はそれはもう凄まじい勢いで俺を吹き飛ばし、俺は5mばかり地べたを転がった挙句、道路脇に生えてた桜並木の一つに激突してようやく止まった。

 

「ってなにすんじゃゴラアアアア!!」

 

 全身がバラバラになったような痛みと衝撃に軋む身体を無理矢理に立ち上がらせ、一世一代の告白をブチ壊した糞イケメン野郎――怒りに震える拳を握り俺を睨みつける雪兎に叫ぶ。

 

「人の恋路を邪魔するとか馬に蹴られて死にてえのかオイ!」

「黙れゲスが! 貴様さっきから聞くに堪えん戯言を叫んで……ッ、恥を知れ!」

「知るかんなもん! 俺が知る恥は、据え膳食わぬ男の恥だけだ!」

 

 全世界のヘタレ系主人公に言いたい。男ならヤれる時にヤれ!

 あの時にヤれば良かったと後で後悔するくらいなら躊躇わずにヤるべしと。

 

「……話にならならんな。やはり貴様は――殺す」

「こっちのセリフだお邪魔虫が。二度もコケにしやがった恨み――その身体に刻みつけちゃる」

 

 互いに殺意をぶつけ合い、再び俺達は身構えた。

 今度ばかりは霧花さんも何も言わず、高まる戦意と緊張に空気が張り詰める中、ギャラリー共も固唾を飲んで対峙する俺達を見つめている。

 

「殺す前に聞いておくが、言い残す事はあるか?」

 

 凍えるような声で問いかける、雪兎が翳した右手に冷気が集まり……うおなんだありゃ。怜悧な輝きを放つ氷の剣が現れた。

 

「特にねえな。ただヤり残してる事があるんで、テメエをボコッた後ですぐにヤってやるよ」

 

 対して俺は内心の驚きを顔に出さず、獰猛に笑って拳を握る。

 

「んじゃまあ……」

 

 いっちょ男の大喧嘩(タイマン)といこうか。

 殺意が高まり戦意が猛り、空気すらも軋みを上げて、怒れる俺達の喧嘩が始まる、その瞬間――。

 

 

 

「はいはいそこまで~~」

 

 

 

 とまあ聞き覚えのありすぎるお気楽ボイスが流れたのだった。

 

「「――!?」」

 

 殺伐とした空気を破壊するその声と共に周囲の人垣が割れ、一人の美しい女性が姿を現す。

 

「二人とも~、楽しいドツキ漫才はここでお開きだよ~」

 

 

 それは柔らかなウェーブを描く金髪を揺らし、その美貌を飾る眼鏡の奥で楽しげに眼を細めこちらを見つめる素晴らしき巨乳の持ち主。

 その乳もとい姿はまさしく、俺をこの学園へと導いた――

 

「学園ちょ(ドンッ)ぐはっ!?」

 

 いきなりの登場&再会に思わず動きを止めた瞬間、俺は横から飛び出してきたどっかで見覚えのある白髪姿にタックルされ、そのまま地面に押し倒された。

 

「痛って(ドガッ)ぶほぁ!?」

 

 でもっていきなり顔面ぶん殴られる。

 しかもマウントポジションからの超至近距離で。

 

「ちょってめっ(バキッ)ぶへっ(ゴンッ)なにす(ゴキャッ)っぼはあっ!?」

 

 ちなみに一音につき容赦なく拳一発もらってます。

 このセリフだけで計十発以上もらいました。現在進行形で死ぬほど痛いです。

 

「ノイン~。別に動きを止めるだけでいいんだよ~」

「ええ。その為に(ゴッ)言葉で止まらない馬鹿を(ガッ)拳で止めている最中(ドゴッ)です」

「ふっざけんなよ貧乳野郎!?」

 

 馬乗りになった挙句、殺し屋めいた無表情で殴り続けるダークスーツの白髪貧乳女――ノインに思わず怒鳴ったら更に拳をブチ込まれました。

 さっきよりも明らかに力が籠められていた一撃に、意識があやうくもって逝かれそうになり何とか耐えるも、度重なる頭部へのダメージのショックかなんかで全身が痺れて動けない。

 

「よし。後は脳と心臓の動きを止めればパーフェクトです(キラーン☆)」

「パーフェクトにデスらせる気か!?」

「あはは。さすがにハーフデスで止めといてね~心肺蘇生させるの面倒だから」

「……チッ。仰せのままに」

 

 まさしく間一髪、学園長の一声で俺は一命を取り留めたのだった。やっぱり巨乳様はお優しいな~。

 と安心したのも束の間、舌打ちして暴行をやめたノインが全殺しならぬ半殺し状態の俺の髪をむんずと掴むと、そのままゴミを扱うが如く力任せにズルズルと引きずりだしやがった。

 

「痛でででで剥けるううううコンクリで皮が擦れちゃうのおおおお!!」

「黙れ男なら身体を擦るのは慣れているだろう。下半身は特に」

 

 マジの悲鳴を下ネタで返しやがる貧乳は死ね。

 なんて呪詛すらもあまりの痛みで言葉にできず、ボロ雑巾のようになった俺はそのまま学園長の足下まで引きずられたのだった。

 

「さっきぶりだね。無事で何よりだよ」

「……そっちこそ御無事でなによりっす。おかげさまで死ぬ一歩手前の状態で生きてます」

 

 息も絶え絶え血塗れスマイルを向けると、ほんわか笑顔で返してくれた。

 

「それは良かったね。うん人間死ぬか死なないか位の時が一番力を発揮できるんだから無問題だよ(ニコッ)」

「まったくっすね。現に今俺の生殖本能が死を前に種を残せと叫んでます。今なら蝋燭が消える前の最後の輝き的な絶倫状態なんでちょっと一発ヤらせて下さい(キリッ)」

 

 直後顔面に蹴りが入りました。お巡りさん犯人は貧乳です。

 

「――がっ学園長!!」

 

 そんな俺達のカオスなやりとりに、驚き困惑したイケメンボイスが割って入った。

 突然の学園長登場からの貧乳による残虐暴行ショーに、言葉を無くし唖然としていたギャラリーおよび雪兎だったが、ここでようやく我に返ったらしく、赤い瞳を困惑に揺らし問いかけてくる。

 

「なぜ貴女がこんな所に……!? いやっ、それよりもそのゲスは貴女とどんな関係が?」

「いつかヤりたい巨乳様だ(ドンッ)」

「嵐を呼ぶかもしれない転校生だよ♪」

 

 ちなみに俺は親切に答えてやったのにまた蹴りを入れられた。貧乳の考えは分からん。

 一方、学園長の答えを聞いた雪兎はあまりの驚愕に目を丸くする。そして一瞬全身が凍りついたかのように硬直した後、ビクッと震えて再起動。信じられない上に信じたくない事を聞いた時、人間はこんな反応するのかと感心したくなるようなリアクションだなオイ。

 

「転校生って、そんな連絡は生徒会には何もッ――」

「ああうん。彼をスカウトするのは極秘だったから誰にも内緒にしてたんだよ」

 

 てへぺろ☆ と舌を出す学園長は超痛可愛いっす。それを無表情で見つめつつ鼻血を出している貧乳よ。今だけは同志だ。

 

「じゃあそう言うわけだから。彼とは今後は仲良くしてね~。私達はこれから彼を案内しなきゃならないから騒ぎの後始末はよろしく頼むわよ」

 

 そう清々しいほど爽やかに面倒事を押し付けると、学園長は唖然として言葉を失った雪兎にくるりと背を向け、人垣が割れて出来た道をモーゼのごとく歩き出す。

 軽やかなるも悠然とした足取りで校舎に向かう彼女を追って、白髪女もまた歩き出す。当然のごとく俺の髪を掴んで引きずりながらって痛でででででで!!

 

「だから何でいちいち引きずんだよテメエは!?」

「……すり身になればいいのに(ボソッ)」

 

 決めた! 絶対コイツだけは回復し次第殺られる前に殺ってやる!

 

「――待てッ!」

 

 貧乳撲滅を固く誓う俺に、遠ざかる雪兎から声が掛けられた。

 湧き上がり昂る怒りを無理矢理飲み込み、いつか爆発させるその時まで身体の内で抑えつけるような声が。

 

「……貴様、名はなんだ?」

 

 ん?あーあーそーいや名乗ってなかったか。

 ホモに知られるのはぞっとしねえが、まあ喧嘩する時は名乗んのが礼儀だよな。

 よーしいいだろう聞けやホモ野郎。テメエと喧嘩し合う奴の名を。

 

「――葛人。下司葛人だ。いつかぜってー決着つけて泣かしてやるから覚えとけ!」

 

 ビシッと中指立てて名乗ってやると、雪兎は冷たく煌く氷剣の切っ先を俺に向け、熱く凍える叫びを上げた。

 

「――雪兎。雨宮雪兎だ。その名確かに覚えた。僕がいる限り、貴様の悪しき欲望の好きにはさせん!」

 

 

 あいつの赤い瞳と俺の黒い瞳。二つの眼差しが、互いの総てを籠めて見つめ合い、掬び合う。

 それは互いの姿が見えなくなるまで、恋人達が繋ぎ合う手の様に途切れる事は無かった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 二つの叫びは、高らかに木霊し《学園》に響き渡る。

 桜の花が舞い散る中で、彼らの最初の喧嘩は消化不良で終わった。

 だが、それを眺める者は楽しげに笑った。

 

「……今だ成らずとも、たしかに香りよるわ」

 

 ひときわ大きな桜の木の枝に胡坐をかき、罵り合い遠ざかりながらそれでもけして瞳を離さず眼差しを掬ぶ二人を眺めつつ缶ビールを味わう一人の青年。

 見目麗しくも、どこか老いた仙人の様な浮世離れした雰囲気を纏う彼は、その唇をほころばせる。

 

「面白くなき世を面白くする、傑物の香りが………」

 

 くっくと笑い、遥かな天の高みより見下ろすかのような瞳が、煌いた。

 まるで、祭り舞台の新たな演目に目を輝かせる幼子の様に。

 

「――おもしろい」

 

 楽しげな呟きが、舞い踊る桜の花片を揺らした。

 

 

 




前書きでも言いましたがお久しぶりです。
メインの作品を書いてたら、いつまにやら一カ月たってましたねビックリ。
そろそろこっちも書くかと気が向いたので投稿しました。
とまあこのように、この作品は気が向いた時に執筆してますので読者様方も気長にお待ちください。忘れたころに投稿してます。

次話にいく前に、軽いキャラの設定等を投稿しますので、次の話は設定書いた後ですね。どうぞゆるりとお待ちください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。