女体化☆チーレム~変態スキルで学園無双!~ 作:どるふべるぐ
「いや~。飛行機が襲撃を受けてキミが機外に放り出された後、私達そのまま墜落しちゃってね~。まあこっちはノインのお陰で九死に一生五体満足傷一つ無く生還できたんだけど、何はともあれキミも無事でよかったよ~」
「フルボッコ血塗れ状態を『無事』と言うかは微妙な所っすね……」
お気楽に微笑む学園長に、俺――
思い出すもおぞましい糞イケメンホモ(独断で決定)こと雨宮雪兎とのファーストコンタクトから約数分後。俺は合流したゆるふわウェーブが愛らしい金髪眼鏡巨乳様――学園長(とついでに白髪の糞貧乳)に連れられて編入先になるというクラスへと向かっていた。
ちなみに現在地は麗らかな春の日差しが降り注ぐ歩道。歩きながら会話に花を咲かすには絶好のロケーションだ。……が、なんだか花は花でも毒とか棘がある花な気がするのは気のせいかしらん。
「ふふっ……。そ・れ・に・し・て・も、な~んか目を離した隙に随分と面白そうな事してたみたいだね~」
「いや笑いごとじゃないですって。こちとら散々だったんすよ」
「そうかな~。あんなに激しく唇を奪ってたのに」
「って見てたんすか!?」
やっぱり毒があった模様。
「男の子同士のキスなんて初めて見たけど、中々どうして味わい深いものだったよ❤」
「やめて俺の黒歴史を掘り返さないで!」
「おもわず止めに入るのをやめてギリギリまで物陰で見物しちゃった♪」
「鬼か!?」
ついでに棘も完備してました。
ほんわか笑顔の棘でグッサリ刺された俺のハートが痛んで辛い。
シクシク痛む胸を押さえつつ歩いていると、前方にファンタジーに出てきそうな古めかしい宮殿――つうかお城(?)が見えてきた。
いやホントなんじゃありゃ?
「あれは魔術科棟。魔術系学科のクラスがある建物だよ」
「へえ。なんつうかいかにもな外観で……んじゃ隣の近未来チックな建物は?」
「あれは科学科棟。いつもいろんな実験をしてるから覗きに行くと結構楽しめるんだけど……」
ドーン!!
「よく爆発してるから行く時は巻き込まれないように注意してね♪」
爆発で一部が吹き飛んだ科学科棟をバックに微笑む巨乳美女……絵になるなあ。俺?
もちろん笑顔で「イエスマム!」と言ったともさ。親兄弟には逆らっても巨乳様の言う事には逆らえません。だっておっぱい星人だもの。
そんなこんなでもうもうと黒煙を上げてる科学科棟を通り過ぎると、これまた妙な建物が出るわ出るわ。SFチックなのからオカルト全開系、はたまた謎の現代アート風とか何が何だかよくわらんデザインの物まで、色んな建物がだだっ広い敷地に所探しと並んでいてまさに壮観。
「いや多すぎじゃね?」
「あはは~……生徒達からリクエストされる度に学科をホイホイ増やしてたら気付けばね……」
ちょっと気まずそうに目を逸らす学園長。
そしてまたも轟く爆発音とついでに悲鳴。見ればそこかしこの建物から煙やら怪光線がひっきりなしに出まくっている。
それを前にして、巨乳と貧乳の胸部格差コンビが眉一つ動かさないあたり何これが日常風景なの?
やっぱつくづく普通じゃねえなこの学園。
「……そういや俺が通うのは何科すか?」
できれば爆発音や異音怪音が出てない所が良いです。
「ああ、それはねぇ――『普通』科だよ」
「普通科……すか」
普通科……。いったいどんな変態学科にブチ込まれるかビクビクしてたのに拍子抜けだなおい。
そんな俺の内心をよそに、学園長はあっけらかんと言う。
「うん『普通』科。キミって魔術も超能力も使えないよね?」
「ええまあ」
「他の特殊能力は?」
「見ただけでおっぱいのサイズ及び偽乳の判別ができますが、特殊能力って程でも無いすね」
おっぱい星人なら誰でも出来るし。……どっかから聞こえた「なんだその変態能力……ッ!?」とドン引きした貧乳ボイスは無視だ無視。
「うんならやっぱり『普通』科だね」
普通科ねえ……。この見るからに普通じゃない学園に『普通科』があるってのもおかしな話だな。
「――と言ってる間にはい到着。あそこがキミの通う事になる普通科棟だよ」
そう言って学園長が指差した建物を見て、俺は思わず目を丸くした。
そこに在ったのは、他の個性的な建物群とは明らかに一線を画す――ただし斜め上方向に――昭和どころか明治大正チックな木造校舎だった。
その外観の古めかしさたるや、ド田舎にでも行かなきゃまず現存してないだろコレと思うほど。きっとトイレには花子さんが常時スタンバイ。夜には人体模型が動き音楽室のベー●ーベンの目がギラギラ光ってるに違いない一昔前っつうかむしろ歴史遺産クラスの学び舎である。
「そしてこれが普通科の制服だよ。教室に行く前に着替えてね」
と手渡されたのは古き良き学ランでした。なにここだけ昭和バンカラ時代なの?
「じゃあさっそく中に入ろっか」
えーマジでーなんか今になってとてつもなく嫌な予感がするんすけどー。
などと言う暇も無く、例によって再び貧乳に首根っこをむんずと掴まれ、人攫いめいた笑顔の学園長に連れられて俺は校舎の中へと足を踏み入れたのだった。
――もしこの時、『普通でない学園の普通科』の意味を知っていたら即引き返していただろうトップクラスに普通でない奴が集まる普通科へ。
◇◇◇
――その日の朝は、いつものように賑やかで、そして騒がしくて、でもいつもとは違う何かが起こりそうな、そんな予感のする朝でした。
「ねえねえ聞いて!! 雪兎様の唇が奪われたんだって!」
いきなり教室中に響き渡った声に、私は思わずビクッとしてしまいました。
その声の発生源、セーラー服を着たピクシーのピー子ちゃんは教室に入るなり「大変大変」と呟きながら、手の平に乗るくらいの小さな体からよく出るなと思う大声で朝の大事件を伝えます。
「えっ!? 何どういう事!!」
「雪兎ってあの雪兎様!?」
事態が飲み込めずに混乱するクラスメイト達に、噂好きのピー子ちゃんは顔全体を口にして叫びました。
「他に誰がいるのよ! そうよあの私達のアイドルで学園一のモテキャラの雪兎様の唇が奪われたのよっ!!」
その瞬間、ホームルーム前の教室に漂う和やかな空気がビシッと凍りました。
自分の席で椅子に腰かけポカンとする私はもちろんのこと、右隣の席のオークの大倉君は「ブヒッ」と驚きの声を上げ、そのまた隣の妖怪二口女の佐藤さんは前どころか後ろの口もあんぐりと開けています。またまた隣のスライムのスラ雄君は……プルプルしてるだけですがきっと衝撃を受けているのでしょう。
とにかく突然の大ニュースにクラスのみんなが驚いていました。
「いっ、いったいどこの女が抜け駆けして雪兎様を穢したの!?」
全身の瞳から血の涙を流して問い詰める百目の瞳さん……怖いです。けどそれは私も気になります。
雨宮雪兎さんは容姿端麗学業優秀。くわえて戦闘魔術の腕も魔術科トップクラスで現生徒会役員の完璧超人。平凡……以下の私からすれば雲の上の人です。当然女の子達からの人気はそれはもう凄まじく、ファンクラブの数は公認非公認含めるともう数え切れません。もし抜け駆けしようものなら血の制裁が与えられるという彼に誰がそんな命知らずな真似をしたんでしょうか?
「いや女じゃないんだって!!」
「「「え」」」
またまたビシッ。
「男がいきなり現れて雪兎様を押し倒してヤっちゃったのよ!!」
「「「えええええええええええ!?」」」
驚愕の事実にドン引きの悲鳴が上がります。
「しかも空から!」
「「「どゆこと!?」」」
うん意味が分かりません。
いきなり空から降臨して男の唇を奪う男――どんなハイレベルなホモですか。
クラス一同あまりのショックに固まってます。ですがトドメとばかりに更なる事実が告げられました。
「しかもしかもそいつは転校生なんだって!」
「そんな変態が学園に来るの!? い、いやあああああああ!!」
「小生ホモに偏見は無いでブヒがだからといって掘られる気は無いブヒ!」
「いっ一体どこの学科……どの教室に来るスラ……ッ」
「リーさんは何処ッ!? 探偵体質のあの子ならきっと推理してくれるはず!」
「駄目ブヒ! リーさんは殺人事件に出くわして遅れるって連絡が……ッ」
「またか! なら
「十露さんならさっき時空の裂け目に吸い込まれたのを見ましたスラ! ……きっと今頃はまた異世界スラね」
「こっちもか! ていうか何回異世界に召喚されんのよあの子は!?」
「も、もうだめスラああああああああ!!」
「あの雪兎さんをヤッた相手に俺達が敵うわけねえブヒいいい!」
「男子達が抵抗しても無理矢理ぃ……ゴクリ❤」
響く女子の悲鳴。絶望に崩れ落ちる男子達。そしてじゅるりと涎を垂らしてハァハァするごく一部の女子達。
ホモの恐怖に教室はすっかり阿鼻叫喚の地獄絵図です。
そんな中、『番長』の異名を持つ青鬼の啼田(ないた)君が一喝しました。
「落ち着けい! まだワシらのクラスに来ると決まったわけじゃなかろうが!」
雷鳴の様な声は教室中に轟いて、パニック寸前だった皆をハッと我に帰らせました。
「そ、そうね。確かにその通りよ……ッ」
「そんなヤヴァい奴が来るわけ……」
ぎこちなく笑って、少し落ち着きを取り戻したクラスメイト達が自分に言い聞かせるように呟く事で、張り詰めていた教室の空気が僅かに緩みます。――霊媒体質の伊藤さんがあの世から響くような声でポツリと呟くまでは
「……でも、ここ『普通』科ですよぅ」
またまたビシッ。今日はよく空気が凍る日です。
「……確かに。そんな『普通じゃない奴』なら普通科に入れられてもおかしくは……」
「ていうか受け入れられるとこは普通科くらいしか無いブヒね……」
「いやいやでもここじゃない可能性はまだ――」
やいのやいのと騒ぐ皆を横目に見る私は、今非常に気まずい気分です。
だって、ねぇ……。
「あれ、ルゥちゃん溜息なんてついてどうしたの?」
それに気付いたピー子さんが問いかけてきたので、私は無言で左隣を指差します。
――そこにデデンと鎮座する、今朝突然現れた謎の空席を。
「え、何これ? 昨日まではこんなの無かったのに。……そう言えばみんなの机の配置が微妙に変わってるし」
無理やり動かして作ったスペースに置いたんでしょうねーきっと……。
ねえ誰の席だと思います? 誰の席なんでしょうねー……。
「う、うわぁ……。漫画とかでは主人公が転校したクラスに都合よく空いた席が必ずあるもんだけど……これって事前に用意してあるんだぁ」
汚い。汚いです学園長。生徒に一言も言わずこんな事をするなんて流石『ゆるふわ腹黒タヌキ』と呼ばれるだけあります。
「ル、ルゥちゃん。そんな恨めしそうにピクピク震えないで!」
「ん? どうしたでブ――うわぁ……」
「こ、これは……ッ」
「……決まりスラね」
ですよねー(死んだ目)。
「ルゥちゃんの黒くて丸いつぶらな瞳から光が失われていくわ!?」
「すっかりレイプ目に……。これが……絶望ッ!」
「ルゥちゃんしっかり! 絶望に染まらないで!」
無理ですよ無理無理ですよう。さようなら私の平穏……ではないけど賑やかだったスクールライフ。今日からは変態が隣にいる恐怖のスクールデイズの幕開けです。あははは……は……。
「だ、大丈夫よルぅちゃん! いざとなったら私達が守るから!」
「そうブヒ! 不肖この小生もオークの誇りに懸けて学友を守るブヒ!」
「クラスの大事なマスコットキャラに手出しなんてさせないスラ!」
み、みなさん……ッ。
その温かな言葉に、視界が潤んでぺたんこな胸の奥から熱い物がこみ上げてきます。
私のために、こんな……わ、わたし……ッ。
伝えなくちゃ。この気持ちを。こんな私のために最高のクラスメイトに、湧き上がるこの想いを。
わ、わたし……みなさんとクラスメイトになれて……よかったで―――
――ドガアアアアアアアアン!
でも、皆さんにお礼を言う事はできませんでした。
それを伝えるより先に、
「痛ああああああ!! いきなり何すんだ貧乳がッ! 腕の骨折れておっぱい揉めなくなったらどうすんだよゴラァ!!」
――教室の扉をブチ破って、変態がやってきたからです。
◇◇◇
現在の状況。
教室の扉を前に「嫌っすよ入りたくないっす。これ絶対中は人外魔境とか言うオチでしょ」「うんうん分かってるわよ。そう言いつつ実は入りたい素直になれないツンデレだよね」「いやいやツンデレとかそういうんじゃなくマジで」「と見せかけての日本の伝統芸『嫌よ嫌よも好きのうち』でしょ~」「それ微妙に意味違~う」と愚図り漫才してたら業を煮やした貧乳に首筋掴まれ中に投げ込まれました。
結論→貧乳殺すべし。
「上ぉぉぉぉぉ等だ貧乳が! いいぜ殺ってやんよ来いコルァ!!」
「うるさい黙れそして死ね」
「ごファ!?」
結果→即行で返り討ちされました。
殺人機械めいた正確さで放たれた拳を喰らった俺は、ボロボロになりつつも何とか男の意地で立ち上がり……ふと注がれる無数の視線を感じた。
限りなく冷たくドン引きしたその視線の方に顔を向けると、教室内にひしめく学ラン&セーラー服姿の人外異形どもと目が合いました。
「ほらやっぱ思った通りじゃねえか!」
抗議の声を上げビシッと指差すとビクッと震える人外ズ。
見たとこ(少なくとも見た目は)人間もいるが九割方人外だ。粘液っぽいのやら豚頭の奴やらバラエティに富んでいてどっからどう見ても普通じゃねえ!
「このどこが普通科なんだよ! 明らかに何か間違ってるだろ!!」
「間違ってはいないよ~。ここは間違いなく普通科。キミが今日から通う事になるクラスだよ」
そんな俺の抗議に答えたのは、ゆったりと破れた扉を踏み越え現れた学園長。
学園長はいきなりの登場に唖然とする生徒達を教卓から悠然と見下ろして、ほわほわしているがよく通る声で言った。
「はい皆さんおはようございます。今日はいつも元気に楽しく学園生活を謳歌する君達に新しいお友達を連れてきたわよ」
きゃあああああああああ!
うおおおおおおおおおお!
……文字だけでは分かりずらいだろうが、これ黄色くないマジの悲鳴な。
学園長の言葉を聞いた奴らの主なリアクションは、頭を抱え天を仰いだり悲鳴を上げて崩れ落ちたりと実に多彩かつ失礼極まるものだった。
が、かくいう俺も全く同じリアクションをとっているんだなあこれが!
「冗談じゃねえっすよ! 人外なら人外でせめてダークエルフとかサキュバスとかそこらへんの平均Dカップ以上の巨乳種族がいるとこが良かったっす!」
このセリフを言った瞬間、女子(と辛うじて性別が分かる)連中が一斉に後ずさった。つくづく失礼な奴らだぜ全く。
「まあまあちょっと落ち着いて。そんな君に良いお知らせだよ。――特別にキミの席はこのクラスのマスコット的さいかわ女子の隣にしたの❤」
な ん で す と !
「えーマジそれ早く言ってよ学園長~。ちなみに俺が女子と認めるのはDカップからなんすがその方ははたして何カップでしょうかッ?」
「90❤」
「ン合ぉぉぉ格ぅぅぅぅぅ!!」
よし決めた! 俺今日からここに通うよ学園長!
「喜んでくれて何よりだよ。じゃあそうと決まった所でクラスの皆に挨拶してね」
「よろしくなお前ら!」
すっごくイイ笑顔で言ったら一斉に目を逸らされたけど巨乳と一緒に過ごせるならどうでもいいや!
「ででっ、その巨乳様はどこっすか!」
「あの子だよ~」
と笑顔で学園長が指差した先に俺はキラキラ輝く瞳を向けて――ビキッと固まった。
「……えーと学園長」
「んーなにー?」
「アレが巨乳女子すか?」
「うんそうだよ。見るからにタプタプでポヨポヨで触りたくなるでしょう?」
うんそうだねー。つぶらな瞳に柔らかそうな身体がマジキュート。うんでもさでもよー。
「――あれ、アザラシすよね」
分類・たぶんゴマフアザラシ。つぶらな瞳に麻呂眉っぽい模様が特徴的な顔のアイドル的アザラシである。
あ、目が合った。したら雪の様に白い体毛に覆われたポヨポヨの身体をビクッと震わせてガクブルしてやがる。わープリティ❤
「がくえんちょおおおおおおお!?」
「うわー仁王像みたいな凄い顔(笑)」
詰め寄る俺を詐欺師もびっくりのテクでハメつつ笑う学園長。
「アレ何すかあの野生動物わ!?」
「野生じゃないよ~れっきとしたうちの生徒だよ~。アザラシの妖精のルゥちゃんです。仲よくしてね♪」
「いや多少ファンタジー要素があろうとアザラシっすよね!」
「バスト90だよ?」
「ウエストもヒップも90でしょ! 胸囲ってのは他の部位と差があって初めて意味があるんすよ!」
故に自分を巨乳と言い張るデブは死ね!『ぽっちゃり系』と言い張って現実から目を背けてるお前らはもう『ぼっちゃり系』なんだよ!
おっと話がそれたがとにかくッ
「こんなん話がちが――」
――パリィン!!
「おっくれましたああああ!」
更に抗議しようとした瞬間、俺の頭上の空間に突如時空の裂け目みたいなのが出現したと思いきや、そこから大剣背負った金髪美少女が落ちてきた。
「ぶげあっ!?」
でもって俺はその下じきに。いきなり人体プラス大剣の超重量が圧し掛かってきたもんだから、堪らず潰れたカエルみてえな声を出したのは御愛嬌。
「おはよう十露ちゃん。また遅刻ギリギリだね」
「がっ学園長!? えっ、なんでここに――い、いえ別に遅れたくて遅れた訳じゃなくて、ちょっと今回の魔王を倒すのに手間取ってたんです!」
目にも鮮やかな金の髪を持つその少女――十露は学園長に気付くと、俺を文字通り尻に敷いていた体勢から慌てて立ち上がり弁解を始める。なお俺を踏んだままで。
「あんにゃろう強さはそれほどでもなかったんですけど、姑息にも回復スキルを連発してきて……」
「それはまた大変だったね~」
「もうホントに……異世界召喚はうんざりですよ」
肩をすくめ盛大に溜息を吐いた。
「勇者体質も楽じゃないね~。ああそうそうところで十露さん」
「なんです?」
「ちょっとそこから退いてくれないかな。でないと新しいクラスメイトが転校初日で召されるからさ」
「へ?――にょわああああああ!?」
笑顔の台詞に首を傾げつつ下を見て、そこで踏まれている俺に気付いた十露は慌てて飛びのいた。が、ぶっちゃけ今さら遅いんだよ!
「てっめゴラ何すんだ俺を踏んでいいのは巨乳様だけだぞ!!」
ぶつかった時の衝撃で切れた額から血をダラダラ流しつついざ抗議。
顔面血まみれでブチ切れる俺に十露は「ひっ」と顔を青くしつつ後ずさる。
と、
「――申し訳ない遅れてしまたネ」
ブチ破った扉の残骸を踏み越えて今度は黒髪の少女が現れた。
中国系っぽい切れ長の瞳が印象的なその少女は、目の前の光景――顔面血まみれの少年が、金髪の美少女に興奮した状態で詰め寄っている――を見て僅かに目を見開き
「……また事件アルか」
やれやれと呟いた次の瞬間、雌豹の如く素早い身のこなしで俺に飛びかかってきた。流れるようなその動きはまさに華麗。俺は文字通り「あっ」と言う間に組み伏せられ再び床に激突したのだった。
「ぶげえ!?」
ご愛嬌!
「ワタシが事件を未然に防げたのは珍しいヨ。記念に良い弁護士を紹介してやるネ……だから大人しく観念するよろし婦女暴行未遂犯」
「はぁ!? ちょ待てよ誤解だ――って腕を捻じるなあだだだだ!!」
ちょっともがいたら容赦なく関節極めるあたり素人じゃねえなこいつ。
「言い訳は見苦しいアルよ」
「だ・か・ら・誤解なんだよッ! 何が悲しくて凡乳なんぞ襲わにゃならんのだっての! 俺が襲うのは――最低Gカップの巨乳だけだ!」
ビシッと言ったら空気がビキッと凍った不思議。
はて? 何かおかしなこと言ったかしらって痛だだだだだだ!?
「語るに落ちるとはこのことネ。裁判にかけるまでも無くここで息の根止めるのが世のためアルか……」
あヤベこれ本気だマジに殺す目だ。
「はいはいストップ。リーちゃん、女の敵を許せない気持は分かるけど、この子一応クラスメイトになるから息の根止めるのは勘弁してね~」
「学園長がそう仰るなら仕方ないネ……」
間一髪。あわやという所でかけられた学園長の一言によって、俺は死のカウントダウンから辛くも逃れる事が出来た。正直に言おう。ちびる寸前だったぜ。
妖しげな中国訛りの黒髪少女――リーは渋々という表情で俺の身体を解放し、俺は安堵の息を吐く。
「た、助かった……」
ありがとう学園長。やはり持つべき者は頼れる巨乳様である。
うんでもね。それとこれとは別に、やっぱりツッコまずにはいられないんすよ……。
「いやーよかったよかった。何はともあれクラス全員揃ったし、改めて普通科にようこそ葛人君」
「これのどこが普通科じゃあああああああ!!」
これは俺の魂の叫びだ。
「無えじゃん! 勇者とかアザラシがいる時点でもう『普通』の要素とか一ミリも無えじゃん!」
「おかしくなんて何もないよ~葛人君。普通じゃない人が集まるからこその『普通』科なんだから」
「いや全くぜんぜんこれっぽっちも納得できねえんすけど!?」
説明を! せめて納得のいく説明プリーズ!
「だってねえ《
クスッ……と、学園長はとっておきの悪戯をしかける子供の様な、あるいは獲物を嵌めきった詐欺師の様な満面の笑顔で。白いアザラシ。大剣背負った勇者。エセ中国訛りの黒髪少女。居並ぶ断じて『普通』ではないクラスメイト達を前に言ったのだった。
「普通じゃない者を『普通』にする学科。『普通』に生きられない子供達が『普通』の世界で生きていくための術を学ぶ所なんだよ」
納得できたでしょ♪
と悪戯っぽくウィンクする学園長に、俺はこう返すしかなかった。
あー納得っす。
……かくして、俺は普通でない普通科の一員となった……なっちまったのである。
……今からでも転科出来ないものかしらん。
お久しぶりです。
気がつけば二か月くらい間が開きましたね。エタったかと思いましたよねでもエタりませんよギリギリでッ。
本当は五千文字くらいに留めて置きたかったのですが、文章量の調整もろもろが上手くいかず出来あがったら長くなってしまったのは自分の力不足です。スマートな文章をサラリと書けるようになるまで後どれくらいのLvと経験値が必要なのかしらん……(T_T)
ともあれこれからもマイペースにゆるりと書いていますので次回は気長にお待ちください。では