女体化☆チーレム~変態スキルで学園無双!~ 作:どるふべるぐ
『普通科』
学問を望む者なら誰であろうと、何であろうと教育を与えることを理念とする『学園』には、故に世界の裏と表を問わず様々な人種と種族が集っている。歴史の闇に隠れてきた魔術。禁断の域にまで到達した超科学。それら超常の叡智を学ぶ生徒たちのほぼ全ては、卒業後はその知識を生かすべく魔術結社や秘密組織などに就職し裏の世界で生きるのだ。
が、それはあくまで『ほぼ全て』であって、ごくごく少数ではあるが中には全く逆の道を目指す者達もいる。卒業後は魔術も超科学も関係ない一般企業に就き、ごく普通の家庭を築き、異常も超常も無いごくごく普通の暮らしを送ろうとする、即ち『表』の世界で生きようという者達だ。
がが、ここで一つ問題がある。いくら普通に生きようと思っても、そもそも彼らは『普通』ではないのだ。
粘液状の身体で何でも呑み込みジュウジュウ分解するくらいならまだいい方で、生まれは純粋な人間でも、火曜サスペンスの神に呪われているかのごとく行く先々で殺人事件に遭遇したり、うっかり伝説の勇者の剣を拾ったばかりに勇者として異世界召喚されまくったりと、運命的あるいは体質的に『ごく普通の日常』が送れない者達ばかり。
そんな彼らを『普通』にするべく、一般常識やマナー等ありとあらゆる『普通人』のフリをするための知識や技術を叩き込むのが『普通科』なのである。
……あさて、そんな普通科に転入する事となった稀代のおっぱい星人こと下司葛人であるが……現在、ある意味では当然の窮地に陥っていた。
◇◇◇
『イジメ』は、今も昔も教育現場において最大の問題だ。
多数による少数への弾圧。マイノリティへの迫害。一方的な暴力。冷たい無視。それは、人としての尊厳を貶め心を踏みにじる現代社会の病理だ。その原因は様々であるが、ただ一つだけ確かな事がある。
――イジメ、ダメ絶対。ただし巨乳美少女は許す。むしろイジメてくださいエロ方面で。
さて、なぜに俺がこんな話をしているのかと言うと……俺は今現在絶賛イジメられているからだファッキン。
「やばいよやばいってマジあいつガチの変態じゃん……」
「しっ。目を合わせちゃダメよ少しでも離れましょう……」
ビリビリギスギス空気が軋む。視線がジロジロ四方八方突き刺さる。
「君子危うきに近寄らず。うかつに関わって掘られるのはごめんブヒ」
「皆そのまま壁際に退避してるアル。もし変態が襲い掛かってきたら私が何とかするアルよ」
「私も力を貸すよ。これでも勇者だからね。クラスの平和を守らなくっちゃ」
コソコソ交わされる囁きも、ヒソヒソ重なれば不快な多重奏となって容赦なく精神を苛立たせるんだなぁこ・れ・がッ!!。
「~~~ッッ!!。あーーッてっめえら遠巻きに陰口叩いてんじゃねえええええ!!」
堪らず席から立ち上がり怒声を上げると、我がクラスメイト共はまた一斉に後ずさったのだった畜生め。
前回(?)意気揚々と転入したものの、フレンドリィな自己紹介が終わってみれば普通科の連中は俺から距離を置きやがった。具体的には三メートルくらい。あ、別に例えじゃねえぞ文字通りに三メートルだ。つまり……。
「ひぃっ!? 変態が叫んだわ!?」
「興奮した変態は繁殖期の獣並にヤヴァいのよ!! 皆もっと後ろに下がりましょう!」
「痛だだだだ無理無理これ以上はつめられないブヒいいいい!?」
まあ揃って俺の席から三メートルの範囲まで机ごと距離をとっているのである。もちろん平均的な広さしかない明治大正チックな木造教室でンなことやったら、壁際に人と机がギッチギチに密集することになる訳だ。
人間らしい女生徒と全身に瞳のある妖怪が衝突し、豚頭の小太りが妖怪の下敷きになって悲鳴を上げ、謎の触手生物とスライムの粘液が絡まりあい、わずかにできた隙間にも手のひらサイズの妖精が慌てて飛び込んだりと、人外異形が押し合いへし合いする光景は超カオス。それでも止めないところを見るにマヂで俺に近づきたくねえんだろうなHAHAHA!
「なんて笑って済ませられるか! イジメよくないかっこ悪いぞテメェら!!」
今は午前の授業も終わって楽しい楽しい昼休み……のはずが、なぜにこんな扱いを受けねばならんのか。午前の授業(ごくごく普通の一般教科だった)からこんな状態で、巨乳メガネ様こと学園長に頼ろうにも「じゃ私は仕事があるからここで失礼するわよ。クラスのみんなと仲良くしてね~。目指せ友達百人。ぐっどらっく♪」とキュートなサムズアップを残して去ってしまわれたので、今や文字通りの四面楚歌。東西南北360度から距離を置かれる完全ムラハチ状態と相成りましたので御座います。
「畜生てめえら感じ悪いぞ! イジメなんかしてて恥ずかしくねえのか! 少しでも恥じ入る気持ちがあんのなら黙って俺と仲良くしやがれ!」
いつもなら巨乳以外の人類なんざ興味もねえしボッチだろうが一向に構わんのだが、巨乳様直々に「仲良くしてね」と言われれば仲良くせざるをえない。おっぱい星人たるもの法と倫理には背けても巨乳様には背けんのだ。
「つーわけでさあ仲良くしようや嫌って言ってもなってもらうぜ友達によおおお!!」
「いやああああこっち来たああああ!?」
そうと決まれば友達作りにレッツトライ。心と体でぶつかり友情を築くべく、警戒しとるクラスメイト共の群れへといざ突・撃☆
「逃げるスラ掘られるスラ!!」
「ぐけけけけ逃げても無理だぜ観念しろや!!(←主人公です)」
「やめて助けて犯さないでえええ!」
「誰が犯すか犯るなら巨乳に限る! だが希望者は揉んでデカくしてやるから前に出ろ!!」
「いやああああああああ!?」
開いた両手をワキワキさせつつダッシュで接近。でもって勢いをつけて飛びかかった!
「させないよ!」
「ごはぁッ!?」
……したらブゥンという風切り音とともに、金髪ポニーテールの勇者少女――十露(とろ)が横合いから叩きつけてきた大剣の腹でぶっ叩かれました。ものごっつ痛いです。
「暴行および強姦未遂で確保するネ」
「あ――ちょオイそんな腕を豪快に捻じっちゃ痛でででで!?」
でもって床にうつ伏せでダウンした所で、すかさずリーとかいうショートカットの探偵娘に背中から腕を捻り上げられ即制圧。最近こんなばっかだな俺。
「ぎゃああああストップいじめ反対! 俺が何か悪い事でもしたか畜生!」
「いじめには二つの種類あるヨ。一つはいじめる側が全面的に悪いいじめ。そして二つ目はいじめられる側に原因のあるいじめ。そしてお前は後者ネ」
抗議するも切れ長の瞳に殺意を宿して即却下。ああ分かってたさ話が通じないのは。だってこいつ貧乳だもんなBカップに心の広さなんて求めるのが間違いなんだよ!
だが幸いにも十露の方は並乳だ。そして巨乳ではないが形のよろしい美乳。ならば少なくとも話くらいは聞いてくれるはずッ。
俺は大剣を構えて警戒しとる十露にギリギリと顔を向け叫んだ。
「おっぱい揉んで大きくしてやるから話を聞いてくれ!」
「いやあああああ!?」
何故だ!?
「いや待て落ち着け引かないで俺の揉みテクにかかればマヂにデカくできるから何なら試しに今すぐ一揉み――」
「へんたああああい!!」
「ぶふえっ!?」
おっきい乳は要らないと!?
衝撃の展開に驚きの声を上げる間もなく、俺は涙目でフルスイングされた大剣の腹で顔面をぶっ叩かれたのだった。
が、これが窮地を脱するまさかのチャンスとなった。
そのあまりの威力に俺の体はゴルフボールよろしく宙を舞い、のしかかっていたリーをも振り落して拘束から脱出。そして教室の隅で震えていた真っ白アザラシのルゥちゃんとやらの足下(?)に落下したのだ。
「しまっ――ついキモすぎて手加減忘れちゃった!?」
「無理はないアルよ!今はとにかく暴行未遂犯を確保するネ!」
「さぁせぇるかよおおおお!!」
でもって俺はチャンスを逃さぬ出来る男。素早く起き上がりルゥの白い毛に覆われたフワフワお腹に腕をまわしてとっ捕まえたった。
「捕ったどおおおお!!」
「きゃあああああ!?」
そしたらアザラシが悲鳴を上げた! アニメ声で!?
「いやアニメ声の美少女ボイスアザラシとか誰得だよ!?」
「こらー! ルゥちゃんを離しなさい!」
「手を出したら爺ちゃん仕込みの中華風バリツをお見舞いするアルよ!」
一歩遅れて青い瞳を吊り上げた十露が大剣を構え、リーが胡散臭い型を披露する。
ぐけけけけ! だがこっちには人質ならぬアザラシ質がいるのだ。
「うるせい黙れ非巨乳共! こいつの命が惜しいのなら今すぐ俺と友達になりやがれ!」
「くっ、アザラシ質とは卑怯な……ッ」
苦々しく顔をゆがめる非巨乳2人に見せ付けるようにルゥを抱き寄せる。アラなにこの抱き心地。ぷよぷよした身体がプルプル震えて超気持ちいい❤
「あわわわわわ……(ガクガクプルプル)」
「ぐっくっく……そう怯えんなよ。なに安心しな俺と友達になんのなら悪い扱いはしねえよ。なんたって友達だからなぁ」
「も、もしならなかったら……?」
円らな黒目に涙すらためて怯えるルゥに、俺はニッコリ笑って
「昔イヌイットの村で食ったアザラシの刺身は美味かったなぁ❤」
「ひにゃああああああああ!? なります友達になりますだから食べないでえええ!!」
よし第一友達獲得!
「だがやっぱ一人だけだと寂しいよなぁ。知ってるかぁ。野生動物はストレスを抱えると仲間でも共食いするらしいぜぇ……」
ゲスな笑みを浮かべてルウの柔らかな頬をカプっと甘噛み。「うにゃあああ!? 話が違いますよおお!」とかいっちょまえに泣き喚くのを押さえつけ、凶行に愕然とするクラスメイト共の目の前でマスコットキャラの柔肌をハムハム蹂躙したった。
「ッああああいつルゥちゃんになんて酷い事を!?」
「こんなの人間のすることじゃない……ッ。鬼! 悪魔! おっぱい星人!」
「ぐけけけけけ聞っこえねえなぁ友達じゃない奴の声なんざ!」
カプカプ噛みつつ、ついでに胸(にあたる部分)も揉んでみる…「きゃうん!?」…と、あらまあ意外。
「むむむっ! 山も谷間も無いつるぺた平原のわりに張りと柔らかさは一級品だと!?」
種族は違えど、おっぱいの柔らかさは世界共通なのか! 嗚呼偉大なるかなおっぱい!
「悪くねえッ。この揉み心地は悪くねえぞ!」
「うにゃぁっ!?……や、やめっ……そんなっ、わたしのおっぱ……揉まないでくださぃぃ……っ!!」
「と言われたら揉みたくなるのが世の摂理ッ。黙って揉まれろ水棲動物めぃ!」
「ひいぃっ!? らめっ……そんな…そこは、だめですよぉ……きゃうっ…だ、だれか…助けてくだしゃいぃ……ひぅっ!?」
「泣けや喚けや好きなだけぇ! だがアザラシ相手ならどんな事をしても規制に引っかからねえよ!!(と作者は信じております。アザラシとのエロでR18指定とかシャレにならん)」
ぐははははと笑いながら新感覚の乳を揉みまくる俺。
目の前で繰り広げられる陵辱に、成す術も無い吐露は目尻に涙すら浮かべて叫んだ。
「やめて! もうやめてよ何でもするからっ……これ以上ルゥちゃんを苛めないでえええ!」
「イジメたぁ失礼な話だなぁ。俺はただ友達と親睦を深めてるだけだぜえ。つうか友達でもねえくせに他人の友情に口出すんじゃねぇよ。ト・モ・ダ・チ・でもねえのによぉ(ニヤァ)」
「……ッ。なる……よ」
「え何? 聞こえないんだけどでっけえ声で言ってくんないかなー?」
「――ッッ!? なるわよ! なってやるわよ友達に!! だから今すぐルゥちゃんを離しなさい!」
「私だってなるアル! さあ男だったら言ったことはちゃんと守るネ!」
血を吐くような叫びを上げて、キっと睨みつけてくる吐露とリー。へー悪者に敗北した正義の味方ってこんな表情すんだなー。ぐははは悪くねえ。
とくれば普通なら、ここから人質を盾にめくるめく陵辱展開が始まるわけだが・・・・・・どっこい残念でしたな読者諸君。俺は真性おっぱい星人。巨乳以外は襲わないのだ。
「おう歓迎するぜニューフレンド。でも友達はアザラシ一匹とお前らだけかぁ……。あー寂しいなー空しいなーこのストレスは食欲で晴らすっきゃねえかなー(かぷりんちょ☆)」
「ひうぅっ!? また噛んだぁぁ!?」
「こ、このゲス野郎ッ!!」
泣き叫ぶアザラシ一匹と激昂する勇者と探偵を無視し、俺はオロオロと立ち尽くす他のクラスメイト共に笑顔で――それはもう有無を言わせん笑顔で言った。
「(かぷかぷ)で、お前らどうするよ? 俺と友達になるかならねえか……こいつがアヘ顔ダブルピースするまでに決めろや❤」
もちフレンドリィにね。
――かくしてこの日、俺は転校初日にしてクラス全員と『お友達』になったのだった。
◇◇◇
暖かな春の日差しが降り注ぐ昼下がり。
学園に幾つかある食堂の中でも、ロンドンの洒落たカフェをイメージしたという落ち着いた内装と本格的なイギリス料理で特に人気のあるその食堂は、昼食をとる多くの生徒達で賑わっていた。
その屋内の喧騒からは離れ、日当たりの良い場所にぽつんとあるテラス席。実力者や有力者がよく利用する事から生徒達からはVIP席などと呼ばれているそこに、一人の少年と二人の少女の生徒が座っていた。
「…………」
物憂げに押し黙る、青みがかった銀髪の少年――雨宮雪兎。見る者誰もの目を奪う怜悧な美貌は、だが今は憂鬱の色に染まっていた。目の前の丸テーブルにはティーカップに注がれた紅茶が暖かな湯気をたてているが、彼は口もつけずに氷像のごとく沈黙している。
現生徒会メンバーである彼らは、普段なら生徒会室で昼食をとる。それは昼休みの間も多忙な生徒会の仕事を少しでもこなすためなのだが、今日ばかりはいつもの通りにとは行かなかった。
「……雪兎君。あなたがいつまでもそんな顔で気が滅入るから、今日は気分を変えて外で食事しているのよ。今だけは悩みは忘れてリラックスしていなさい」
憂いと苛立ちを全身から発する雪兎の姿に溜息を吐きつつ、彼の右隣で優雅に紅茶を飲む黒髪の美しい少女――雨宮霧花は美しい声で言った。
「朝の事。そんなに気がかりなるの?」
「……あの超能力者達もそうだが、このところ生徒間のトラブルが立て続けに起きている。元より対抗意識の強かった魔術師と超能力者はもちろん、他の種族や学科間での軋轢と衝突も増すばかりだ。僕は生徒会として、それを未然に抑えるべきだというのに、不甲斐無い……」
「雪兎君。君はよく頑張っているわ。でも勘違いしないで。もし力が足りなかったとしても、それは君一人のせいじゃない。――私たち皆のせいよ。私達全員で『生徒会』なの。……だから責も咎も一人で背負おうとしないで。それは思い上がりというものよ」
「――――ッ」
「思い悩んで心を擦り減らす暇があるのなら、少しでも体を休めることに使いなさい。万全の体調で挑まなければ、生徒会の仕事は務まらないわよ」
静かながらも厳しい言葉が、雪兎の胸を打つ。言葉を無くし俯く彼を、霧花は泉のような深い青の瞳で静かに見つめて……ふっと唇を緩めた。
「まずは紅茶を飲みなさい。心が落ち着く味よ……」
手のかかる弟を窘める様なその響きに促され、雪兎は紅茶を啜る。芳醇な香りと苦さ。そして仄かな甘味が、喉を流れて温かく広がっていく。優しいその味わいは雪兎の沈んだ心を僅かに鎮めた。まあ、もちろん全部とはいえないが。
「……いい味だ。うん。確かに少しは落ち着いたよ。……ありがとう、義姉さん」
「『少しは』……なのね」
やれやれと苦笑する義姉の美貌に、同じく苦笑を返す。
歳は同じ。誕生日も僅かにしか違わないというのに、自然と頭が上がらないというのは義理とはいえ姉という地位の持つ力か。いや、きっとこの人自身の持つ生まれもった人徳だろう。千年の昔より続く魔術の名門・雨宮家の長女としての気品が、自然と人を惹き付け従わせるのだ。
「…………」
とても自分などとでは釣り合わない。彼女の隣に並び立てるとすれば、それは記憶の中でただ一人。優しさと強さ、そして人を導くリーダーとしての資質を誰よりも持っていた、今は亡き――
「……また眉間に皺が寄っているわよ」
「――ッ!? ……すまない」
「君の真面目な所は好ましいけど、すぐに思い詰める所は良くないわよ。少しは気楽になりなさい」
「でもお兄様の憂い顔は素敵ですので、これはこれで悦いと思います❤」
割り込んだ空気を読まぬ声は、霧花と同じ青い瞳を輝かせる、左右で結った黒髪が可憐な少女――雨宮雫花。左隣に座り、うっとりと雪兎に見惚れる妹の姿に、兄姉は揃って溜息を吐いた。
「あら? 何で二人揃って溜息なんて……はっ! ち違うんですのよお兄様っ。別に憂い顔だけが良いっていう訳じゃなくてっ、お兄様の顔なら変顔だろうとアヘ顔だろうと全部魅力的です!! ……あでもどっちがより素敵かって言ったらアヘ顔の方なので出来ればちょっとして下さいませんかッ!! それを見られたなら……私(わたくし)はもうっ……もうっ――!!」
むひょーーッ❤ と発情期の雌猫じみた嬌声を上げて悶えるその姿は、放送禁止モノの絵面である。誰が想像できるだろう。この末期のブラコンが類まれな頭脳と計算能力を持つ天才会計であろうとは……。
「まったく……」
これさえ無ければ自慢の義妹なのに……。
可憐な義妹の無様な醜態に再度溜息をつき、雪兎はうんざりと口を開く。
「少しは落ち着け……。生徒会の一員たる者、品位を落とすようなマネをするな」
「はぅ!? 妹のお願いに対して何てつれないお言葉。あとどうせ断るならもっと蔑むような目で言ってくださいまし!」
「黙れ。それに近くで騒がれると……ゆっくり休むことも出来ん」
くすっ……と、その言葉に霧花が柔らかに微笑む。
微笑ましい物を見るような青い眼差しが何となく気恥ずかしくて、雪兎は顔を僅かに逸らして紅茶を再び口に含んだ。
強張っていたものを和らがせるような、温かな味わいだ。
「……ふぅ」
……やることは多く在る。
頻発する生徒間のトラブルの解決と抑制。
あの事件によってリーダーを喪い、弱体化した生徒会の可及的速やかな戦力的建て直し。
そして何よりも
あいつだ。
あの転校生。思い出すのもおぞましい最凶の危険人物。
底知れぬ欲望にぎらついた瞳は、それを叶えるためならばあらゆる犠牲を省みず、禁忌を恐れぬ破綻者の瞳だ。あんなモノが来れば、考えるまでも無く学園に災厄の嵐を巻き起こすだろう。
それを、学園長が直々に招いたのだ。何の目的で? 何を企む?
分からない。何も。
だがそれが何であろうと、学園に仇なす者ならば己がすることは決まっている。
生徒会の一人として、己が総てを以って学園の秩序を守る。
それが、生徒会の使命であり……残された者の定めなのだから。
だから、今は静かに英気を養っていよう。いずれ来るだろう嵐に全力で挑むために。
「ありがとう。義姉さん……」
その事に気付かせてくれた感謝を、吐息の中で小さく呟いて……。
「ふっざけんなよ手前! これがイギリス料理のつもりか馬鹿野郎!」
その嵐が即行でやって来た事を知ったのだった。
二か月(+α)ぶりにこんにちは。
アザラシの乳を揉む描写に手こずったおかげでこんなに遅れました。リアルな描写ができなかったのは、きっと実際に揉んだことないからです。どこに行ったら揉ませてくれるんでしょうねアザラシ乳。
あさて、次回は葛人と雪兎のセカンドコンタクトです。
きっと葛人がまたぞろ頭の湧いたことを言うんでしょうね。彼が何を言っているのか作者もよく分かりません。次回もブレーキの壊れた会話劇になるでしょうが、ゆるりとお待ちください。
※ 簡単なキャラのプロフィール欄を作りました。とはいえ書いてある人物はまだ少ないので、その内ゆっくりのんびりと増やしていきます。