俺が爆発の場所に有ったらしき場所に行くと、そこそこ大きな建物があった。しかも、そんなに古い感じがしないから、現在も使ってるんだろう。その近くの地面が焦げていたり、穴が空いているところを見ると爆発があったのはこの辺らしい。
「しかし、穴開けるって、結構大きな爆発だな」
「いえ、恐らくこれは大砲の砲撃です」
「大砲? 一体どこから?」
見た感じ、ここ以外は自然だから、人の少ない集落があるか無人島だと思う。そんな島のどこに大砲があるってんだよ。
「考えられるのは海ですね」
「軍艦からの艦砲射撃って訳か」
俺は建物に面している海の水面を見る。所々、黒い物が浮いている。
「ブレード、あの黒いの何だ?」
「分かりません。しかし、状況を鑑みるに、アレがこの砲撃をしていた物だと思います」
「砲撃を出来る何かか……こっちの地球は日本はどうなってんだ?」
俺の知る限り、俺達の住んでいた地球はこんな事無かったんだけどな。
「海上に動体、熱源反応。これは……」
「どうしたんだ?」
妙な切り方をされたのでブレードに問いかける。
「二つあるのですが、一つは恐らく、あの黒い物体です。もう一つが、人なのに、海の上で立ってんです」
「……えっ?」
当たり前だけど人は海の上に立てない。俺達魔導師なら魔力で足場を作れば立てるけど、それだと厳密には海の上に立ってる事にはならない。
「驚いたけど、空飛べる人間がいるなら海の上に立てる人間が居ても良いんじゃねえの?」
「……確かにそうですが、ここは地球ですので、それが理由で驚いたんです」
「まあ、確かにな。って事は、単純な平行世界の地球って訳じゃないのか。建物の被害は無いみたいだし、海の方見に行くか」
そう言って、沖の方に飛んで行った。
「しっかし、黒いのの死体? 結構あるな。人が一人しかいないんだったら、かなりの強さじゃねえの」
急行しながら、俺はそう呟いた。
数もかなりの物だし、サイズもさっきより大きなものが見える。もしも、一人でやったのなら、かなりの物だ。
そんな事を考えていると、海上に一人の女の子が立っていた。更にそこから数キロ先には遠目にもかなりの大きさと分かる黒い何かが居た。どっちが有利かは一目瞭然だった。
ボロボロのナリに肩で呼吸をしているところから、あれは彼女がやったのだろう。彼女、何かスゲーごつい大砲背負ってるし。事情を教えてもらうか。
そう思ったら時、ドカンと、大きな音と共にその女の子が大砲を発射した。しかし、その反動で体勢を崩している。ダメージと疲労から来るものだと思う。そして、間髪入れずに黒い物体も大砲を撃ちこんだ。
「直撃コースです!」
「っ! やらせるかよっ!」
俺は急加速し砲弾と女の子の間に割って入り、
「蒼破刃!」
剣に魔力を纏わせ、それを発射した。これは俺の親友に剣技。そして、俺が憧れる剣技。アイツの戦闘映像を見てひたすら、練習し続けた。
『学ぶことは真似をする事から始まる』これはその親友が娘さん達に言った言葉だ。下の子が生まれて成長する過程で、言葉を覚えたり、立って歩いたりするのを見てそう思ったらしい。
その言葉通り、俺は一から剣の技を学び直すために、アイツの真似をし続けている。自分らしい技を作るのはその後で良い。……まあ、模倣だからアイツには動きを読まれて負けっぱなしなんだけどな。
発射した魔力は寸分たがわず砲弾に当たり爆発。砲撃は結構な威力だ。……迎撃できて良かったぜ。
「大丈夫か?」
俺は、彼女の前に立って、そのまま問いかけた。
「ハ、ハイ……」
どうやら、驚いているらしい。いや、まあそりゃそうだよな。突然、目の前に空飛んでる人間が現れたんだからさ。とりあえずは……。
「自己紹介は後でゆっくりするから、そこで待ってて」
そう言って、俺は黒い奴に向かって飛んだ。
連射性能がどんなものか知らないけど、あんだけデカい砲だ。そこまで早くないはず。一発、多くて二発避ければ攻撃範囲に入れると思う。懐に入れればこっちの物だ。さて、ちゃっちゃと終わらせますか!
私の目の前に降り立った男の人は銀髪にオッドアイと言うかなり印象的で整った容姿をしていた。甲冑に剣という装備も相まって、中世の物語とか、絵画から抜け出た騎士ような人だと思った。
「大丈夫か?」
その人はル級に集中しながら、そう私に聞いた。
「ハ、ハイ……」
突然空から人が現れたので、驚きで返事が少し変になる。
「自己紹介は後でゆっくりするから、そこで待ってて」
男性はそういうと、一気にル級に向かって飛んで行った。そのスピードは高速戦艦としてかなりの足の速さを持つ私はおろか、ウチの鎮守府一の快足を誇る、暁型の四人よりも速いだろう。そのスピードを持って一気に距離を詰める。
もちろん、相手のル級だって見ているだけじゃない。倒すために16インチ砲を放ってくる。しかし彼は、それを予想していたかのように、最低限の動きで避ける。突撃するスピードも緩めない。だから、二発目が撃たれる前に懐に入り、一撃で斬り捨てた。
その光景を見て、私はその場で艤装を仕舞って座り込んだ。怖かったとかじゃなくて、あの人の助力もあったけど、鎮守府を、皆と過ごすあの家を護りきれた事からの、張っていた緊張が切れたからだ。自然と涙も流れてきた。
「お、おい、どっか怪我でもしてるのか?」
いつの間にか私の傍に戻って来ていたその男性は私にそう聞いた。私は涙を拭ってから、
「違いマス。貴方のお蔭で私が護りたかったものが護れマシタ。護らないとと張り詰めていた物が、切れて気が抜けただけデス」
「そっか。力になれたのなら、それは何よりだ。とりあえず……」
そう言って、彼はどこからか、上着を取り出し、私の肩にかける。
「そんな恰好じゃ風邪引くからな。俺ので悪いが、今はこれで勘弁してくれ」
……艦娘は人間に近い存在なので疲れれば戦闘時の能力も落ちるし、体調も崩す。しかし、前の提督だった人は私達を道具として扱っていました。
それは私達が軍艦として戦っていた頃より酷い扱いだった。私達は大日本帝国海軍の力の根幹であり、それを扱う人や整備する人達はそれぞれのプライドを持っていた。だからこそ、私達が万全の力を発揮できるように出来る事をしてくれた。
仲間以外の人の優しさに久しぶりに触れて、嬉しかった。
「あ、アリガトウゴザイマス」
「良いって。これ位は当たり前の事さ」
「ソウデスカ。……そういえば、自己紹介がまだデシタ。私は金剛、英国生まれの金剛型戦艦のネームシップ、金剛デース」
「……はい? 戦艦?」
どうやら、この人は艦娘を知らないようだ。……変だ。大本営にも所属の大淀によると、艦娘は深海棲艦に対抗する存在として、大々的に発表されていると聞いたんだけど。
私が困惑していると、
「あー……悪いな。俺の自己紹介もしておくよ。俺は中島大和。……平行世界の日本人でこっちの事は知らない、ただの魔導師だ」
「……ハイ? 魔導師? wizardデスカ?」
奇しくも、さっきの中島さんと同じ反応になってしまった。
しかし、平行世界ですか……。私達のような艦娘が現実に存在するのだから、平行世界もあってもおかしくは無い……のかな? その中で魔法がある世界もある……のだろう、多分。空を飛んだのを見た時点で、信じるしかない。
「詳しくは……そこそこ時間が掛かるけど、良いかい?」
「なら、私達の鎮守府にご招待シマース。そこで、ゆっくり休んでクダサイ」
私を助けてくれて、鎮守府に居る皆を護ってくれた方です。これ位はしないと、私の気が済みません!
「それじゃ、お言葉に甘えようかな」
「……スミマセンが、一つお願いがアリマス」
「ん? 何?」
「腰が抜けて立てマセン。立たせてクダサイ」
話している間にも立とうとしていたんだけど、思ったより自分が脱力していて、立ち上がれなかった。
「それなら……」
そう言うと、中島さんは私を抱え上げてくれました。俗に言うお姫様抱っこの形で。
「な、何するデスカ⁉」
「まあ、怪我してる女の子を歩かせるわけには行かんでしょ。鎮守府って言うのは、近くの島にある建物だよな」
「そうです……」
恥ずかしさで顔が赤くなっているのを自覚しているから、私は顔をそむけながらそう答えた。
大淀が本土から持ち込んだ、女性誌にあった『女性が憧れるシチュエーション』に有った事だったけど、やられて恥ずかしいけど、その気持ちも分かる。
短い時間だったけど、その時間を楽しみながら、私は私の帰るべき場所に戻った。
第二話如何だったでしょうか? 楽しんで読んでいただけたら幸いです。
皆さん、菱餅は集めていますか? 僕はちょこちょこやっています。知り合いの提督の意見も聞いて、3-3を回っています。
今回の鎮守府のメンバー選考の基準は僕の鎮守府と書きやすいと思った娘達を選びました。
戦艦 金剛
最近の僕のマイブーム。(今さら感がありますけど)
現在は戦艦で第三位タイの練度を誇ります。今作ではメイン秘書艦として最も多い出番になるでしょう。
重巡 羽黒
重巡は重巡内で我が鎮守府最高練度を誇る羽黒を選びました、毎月の2-5、3-5北ルート攻略メンバーとして大活躍です。それ以外にも重巡が必要な場面では第一候補としていつも使っています。本作では、様々な所へのフォロー、サポート役になると思います。
軽巡 神通
軽巡も軽巡内でトップの練度を誇る神通を選びました。それだけでなく、最序盤で来たので愛着もあり、改二の絵でさらに大好きになった子です。マンスリーの1-4の旗艦は神通のお仕事です。本作では駆逐艦たちの教官役が主になると思います。
軽巡 天龍
フフ怖さんとして人気の天龍ですが、実は対艦の雷撃戦に置いては世界最強クラスの通称『華の二水戦』こと第二水雷戦隊の旗艦に実装艦としては一番最初になった艦なのです。なので本作では神通のサポートがメインになると思います。
駆逐艦たちは長くなりそうなので次回に。