彼は何を思い生きるのか…
彼は何を糧にして生きるのか…
彼は何を目的に生きるのか…
それは…誰もわからない
そんな彼の生きる1ページ
その先のページは…まだ白紙
とある秘境にあるエルフの村。
「わーい」
「きゃあー」
「まて〜!」
そこにはエルフの子供三人が村の中で追いかけっこをしていた。 他に男のエルフは力仕事をこなし、女のエルフは家事をしていた。 誰から見ても平和そうな村だった。 そして村の真ん中には、少し不思議な木の像が立っていた。
その像には、身体中に傷が負っているのが分かるほどの身体を再現されており顔は素顔を隠す為か被り物が被させられていた。 側から見た感じでは、その像はエルフでは無く違う種族の者であった。 だが、その像の足元にはお供え物が幾つかあり祀られているのが見てわかる。
「あっ、ミーネお姉ちゃんだ!」
「えっ? 本当だ!」
「ミーネお姉ちゃーん!」
ある家から一人のエルフが外に出ると、遊んでいた子供達が女のエルフに群がるように近寄っていく。 近寄ってきた子供達を見て女のエルフは微笑みながら、子供達の視線の高さを合わせる為にしゃがみ込む。
「あら、如何したの? 遊んでいたんじゃないの?」
柔らかい笑顔で子供達を見るエルフは、髪の色はこの村のエルフ全員と同じである金髪であり長さは前と横はある程度長さだが後髪だけは腰の所まであった。 気さくな性格で優しい笑顔が特徴で村のエルフ達からは好評であり、腕や脚は細く身体つきは胸は程よく大きくプロポーションが取れており、顔は整っていて村一番の美貌であった。 その為か村にいる男のエルフからのアプローチが多かった。
「あのね、ミーネお姉ちゃんにお話をして欲しいの〜」
「ミーネお姉ちゃんのお話面白いんだもん」
「そうそう」
しかし、ミーネと言うエルフは男のエルフ達のアプローチを全部無視した。 どんな美男子なエルフでも強いエルフでも頭の良いエルフでも、彼女に思いは届かなかった。
ミーネは子供達にせがまれて、笑顔で溜息を一つ漏らす。
「ふ〜…しょうが無い。 私の取って置きを話してあげる」
「やったー!」
「ねぇねぇ! どんな話? どんな話?」
「早く聞かせて〜」
子供達は、余程ミーネのお話が聞きたいのか体をピョンピョンと飛び跳ねていた。 そんな子供達を見て、ミーネは子供達をある場所に誘導する。
「慌てない慌てない、じゃあ村の真ん中にある像の所で話しましょう」
「わかった〜」
「先に行ってるね〜」
「早く来てね〜」
ミーネの言葉に子供達は一目散に走っていく。 それを見て再び溜息を吐き、ミーネも子供達が待つ村の真ん中に向かう為に脚を動かし始めた。
像の前にミーネと子供達が居り、三人の子供達はウズウズと今か今かとミーネのお話を待っていた。 そんな子供達を見て、ミーネは話し始めた。
「では、今から《傷だらけのオーク》のお話をしたいと思います」
「「「わーい」」」
ミーネのお話が始まると分かった子供は歓声をあげた。 ミーネは立ち子供はその場に座って聴く体制だった。
「では、先に…あなた達が産まれる前の話。 この像が誰なのか…知ってる子はいる?」
ミーネは後ろにある像に指を指し、子供達に質問をする。 三人共は、うーんと悩み像の元である人物を頭の中で考えた。 しかし、三人共解らずミーネに聞く。
「わかんなーい」
「そう言えば、最初からあったよね〜」
「誰なのこの人? エルフじゃなさそうだけど…」
ミーネは子供達の言葉を聞いて、顔を微笑ませ自慢するように言う。
「そう…この方は、エルフでは無いの! あのオークなの!」
「「「えー!?」」」
子供達はミーネの言葉に驚いていた。 それもその筈、オークと言えば無差別に村を襲い人間やエルフの男は殺しては女はオークの子供を産ませる為に攫うと言う、鬼畜外道な生き物だと子供達の親から聞かされている。
すると、子供達は疑問に思ったのかミーネに質問をした。
「じゃあ、なんでそんなオークの像が村の真ん中に置いてあるの?」
「「うんうん」」
本来、オークはエルフの天敵であった為に敵視している筈のオークの像があれば誰でも疑問に思うであろう。 だが、ミーネは子供達の言葉を聞いてるうちに少しずつ顔の笑みが浮かんで行った。 俗にいうドヤ顔になっていた。
「それは、このお方は今から100年前に私達の村を救ったオークなのよ!」
「「「えー!!」」」
再び子供達は驚く。
「それもお方は、100年前にこの村に襲ってきたオークの軍団相手に1人で倒したの! 不思議な魔法で色んな武器を取り出し特殊な戦い方で同種であるオークを倒し、私達エルフを救ってくれた。 戦いで傷を負い声も出せなくなったと言うのに、あのお方は村に何も要求せず姿を消した。 あなた達の親も知っている筈。 あの勇敢で優しく強いオークの事を…」
ミーネの熱く語っているのを子供達は静かに聞いていた。 エルフは人間より長命であり産まれてから50年間は姿は幼く、50年過ぎると少しずつ大人の身体に成長し始める。 子供達は生まれて2〜30年しか生きていない為にその時の事は知らないでいた。 ミーネは生きて120年程だった。 その時は幼くミーネもオークの軍団に攫われそうになっていた。
その後も、ミーネは語り続けた。 自分が見てきた事や、《傷だらけのオーク》だけは他のオークと違う事や色々と…。
★☆★☆★☆
「ふー、今何処ら辺にいるんだろう俺?」
山に登っていたのか、緑の体を持ったオークが一休みしているのか地面に座っていた。 そのオークは、上半身は裸で下半身はズボンらしき物を履いて腰に袋だけを付け身軽な格好であった。
ある程度休憩すると袋の中を漁りながら、木の実を取り出しボリボリと食べながら立ち上がる。
「とりあえず、食料も無くなってきたし…近くに人里でもあればなぁ。 でも、この姿だと人間達から怖がれるんだよな…凹むわぁ」
独り言を呟きながら、オークは山道を再び歩き始めた。 しかし、オークは歩き続けるが一向に人里も見つからず何日か少ない食料の中で夜は寝て昼は歩き続けた。
4日ほど歩いていたのか、オークは見晴らしが良い崖に辿り着いた。
「いや〜、ずっと森の中は気が滅入るな。 行けども行けども森って、ある意味ゲシュタルト崩壊する所だったな…良し! ここから村でも見つけて、その村で少し食料をもらおう! 金は無いけど…何か交換できるかも知れないし…お!?」
そんな独り言を言いながら、崖の端に行き周りを見回すとオークは村を発見する。 オークがいる場所からおよそ4〜50km先にある村を見つけられたのは、オークとしての視力のお陰であった。 そして、空は少しずつ青からオレンジに変わり始める。
「やべ〜な、そろそろ夜になっちまうな。 急いで行かないと…」
オークは崖から飛びおり、落下途中に壁を掴み削りながら落下速度を落としていく。 彼は旅中でオークとしてのポテンシャルを把握する為に、色々と試していた。
脚力・腕力・握力・視力・聴力・耐久力・体力などをある程度は、彼の中で把握する事ができた為に崖から飛び下りる事に躊躇は無かった。
ガリガリガリガリ
ドスンッ
無事地面に着地したオークは、村のある方向に向けて森の中を走り抜けていく。 彼の走る速度であれば、4〜50kmは二 時間弱で着くであろう。 彼の走る速度は人間の走る速度の3倍近くであった。
タタタタタタッ
走り始めて一 時間半程、もう少しで彼が夜前に村に到着しそうになると村の方向から爆発音が鳴り響く。
ドオオオオオオオオッ
森に住んでいた動物達は驚き、鳥はその場を去る為に飛び立ち4足歩行の動物達は爆発音とは逆の方向に逃げていく。 そして、彼が向かう先から黒煙が上がる。
「…なんだ? 村になんかあったのか、行ってみないにはわからんな」
オークは、自分が最大に出せる速度で森の中を掻き分け村に向かっていく。
☆★☆★☆★
「「「きゃー!!」」」
「逃げろー!」
「捕まえろ!」
「1人も逃すな!」
オークが向かっている村では、村に住むエルフは逃げ惑い鎧を着たオーク達が女のエルフを捕らえるために追いかけていた。 何箇所か木造の家が建ち、その家から火がつき黒煙を舞い上げ燃えていた。 そして至る所に男のエルフは刃物で斬り裂かれ絶命した者や、全身焼け焦げた者もいた。 そんな中、100体近くいる武装されたオークの中に一際大きな身体を持つオークが軍団の後ろに立って指示を飛ばしていた。 そのオークには、右腕にクリスタルで出来た防具と思われる物が肩から手まで包まれていた。
「ぐはははははっ。 男は殺せ! 女は捕え! 我らオーク軍団は、この村を頂きに来た! さぁ、野郎共! 一仕事だ!」
「「「「「「「「オオオオオオオオオッ!!!」」」」」」」」
大群のオークは、大剣を持つオークと杖を持つオークといた。 大剣を持つオークは、男のエルフを追いかけ斬りかかり命を絶っていく。 杖を持つオークは魔法を唱えエルフが住む小屋を破壊し、次いでとばかりに男のエルフを狙い魔法の威力により肉体は弾け飛ぶ。 エルフの返り血を浴びながらもオーク達は楽しそうに殺戮を行っていく。
残りのオークは、村の女のエルフを捕え身動き出来ないよう縄で縛りあげて村の一箇所に集めていく。 その中、何体かのオークは目の前のエルフに我慢が出来なかったのか陵辱して犯していた。
そんな地獄絵図になっている村から外れた所に、1人の女の子であるエルフが村から離れ森の中を走っていた。
「はぁっはぁっはぁっ!」
必死に森の中を逃げるエルフだが、後ろから一体の鎧を着たオークが追いかけられていた。
「ゲヘヘへ、待てぇ〜! 逃げても無駄だ! 大人しく捕まれ〜!」
涎を撒き散らしながら、杖を持ったオークがエルフの後を追っていた。 そんなオークを見て、捕まれば命は無いと感じたエルフはより一層に意識を脚に集中して逃げ続けた。 逃げるエルフに焦れったくなったのかオークは、エルフに向けて走りながら魔法を唱える。 呪文を唱え終えると杖をエルフに向けると、杖の先から50cmほどの火球が生成されてエルフに向かって飛んでいく。 火球はエルフの近くで地面にぶつかり、爆発が起きた。 その爆風に逃げていたエルフは身体が浮き、地面に投げ出された。
倒れたエルフは、痛みに耐え再び逃走する為に身体を起こそうとするがオークに追いつかれてしまった。
「ゲヘヘへ、手間をかけやがって〜。 お前はオラの肉人形にしてやる〜」
近寄ってくるオークに少しでも逃げる為に、ジリジリと下がり逃げようと試みるエルフ。 しかし、最後はオークに捕まってしまい縄で縛りあげられ俵担ぎされ村に運ばれそうになる。
「誰か…助けて!」
エルフは神をいる事を信じて、大きな声で助けの声を上げる。
「ゲヘヘへ、助けを求めたって誰も来ないし…来たとしてもオラに勝てる奴はそうそう居ないだ」
エルフを運ぶオークが言う通りに、この世界ではオークは上位に近い種族だった。 上位の種族と言えど数の暴力と言った戦略で相手を倒す物だ。 普通の人間では相手にはならず、《討伐者》で倒せる相手なのだ。
ガサガサガサガサ
エルフの捕まえたオークは、村に向かって歩き始めようとすると近くの茂みから音が鳴り響く。 オークは杖を片手に構え、茂みの方に向けて警戒を行う。 すると、茂みから一体のオークが現れる。 鎧は着ておらず、普通のオークは足が短く腕が太く長いのだが現れたオークは人間に近い身体だった。
「なんだ?お前は。 うちのオークじゃないな…何処のだ」
「…? いや、俺は何処にも属していない」
「そんな訳無いだろ! 俺らオークは集団で結束している者。 何処にも属していないオークなんか居るわけない!」
オークは集団で動き、穴ぐらや洞窟を住処として生きる種族。 一体一体の力は強いが、知性があまり高くない為に集団を纏めるオークがいるのが基本である。 その為、オークにはチームとして所属があった。 それが何処にも属していないオークがいるのはイレギュラーなのだ。
「そんな事よりも…お前、その子を如何するつもりだ?」
上半身裸のオークは、鎧を着たオークに肩に抱えられたエルフに指を指す。
「そんなの決まっているだろ? 住処に持ち運んで、子を孕ませるに決まってるだろ。 こいつは、オラの肉人形だからな…ゲヘヘへ」
「なら、今のやっている事を俺が止めたとしても止める気が無いと?」
「当たり前だ、それがオークの生き方なんだからよ」
鎧を着たオークの言葉を聞いた、半裸のオークはボソリと呟く。
「なら、しょうがねぇな…」
「はっ? なんて言った?」
半裸のオークの声が小さかった為に、聞こえなかった鎧を着たオークは聴き直そうとする。 その瞬間、半裸のオークは鎧を着たオークに素早く近寄り右手の拳で顎の先端を殴る。
コッ
「あ…れ?」
「きゃっ!?」
殴りられたオークは、膝に力が入らなくなりその場に倒れる。 抱えられたエルフは、オークが力無くなってしまい一瞬宙に浮くが束の間重力に従って落ちる。
ボスッ
だが、途中で受け止める者がいた。 エルフをお姫様抱っこで抱え、鎧を着たオークの手から遠ざける半裸のオーク。 力無く倒れたオークは、半裸のオークに向けて叫ぶ。
「おい、お前! それはオラの獲物だ。 横取りなんて許さないぞ!」
半裸のオークは、鎧を着たオークの言葉を聞いて腕の中にいるエルフを周りの視界を隠すように自分の胸元に寄せる。
「むぎゅう…」
「そうか…なら、お前には消えてもらうだけだ」
すると、膝がガクガクと震わせ立てないでいるオークに近寄りサッカーボールを蹴るようにオークの顔を蹴り上げる。
メシャッ
「ぶべらっ!」
蹴られたオークは顔から土に突っ込む。 顔を蹴られた為に激痛が走り、顔を上げようとするが首に足が置かれ顔は上げられないでいた。
「ぶもっ!?」
「では、お別れだ」
半裸のオークは、鎧を着たオークの首に置いた脚に体重をかけ始めるとオークの首は悲鳴をあげる。
メキメキメキメキッ
「だ、だずげでぐっ…ぎゃあ!」
ボキッ
難なくオークの首を折り、鎧を着たオークを絶命させた。 口から血を吐き身体を痙攣させ、絶命したオークから離れてから腕の中にいるエルフを下ろす。 下されたエルフは、半裸のオークを怯え涙を流しながら少しずつ座りながらも距離を取ろうとする。
(…あんな状況だったし、同類のオークが殺し合って自分の身に何があるか分からない状態ならこの子の反応は間違ってないな)
「ハアァ…」
オークは、一つ溜息を漏らし逃げようとするエルフに近寄り声をかける。 近寄るオークに、限界がきたのかエルフは泣き出してしまう。 それを見たオークは、手が届く距離に近寄りエルフの頭を撫で始める。 ゆっくり優しく髪が痛まないように。
「なぁ…泣くのは構わないが。 君が泣いている間にも、村では事が進んでいる。 君を追いかけていた同じ種族であるオークを信じろとは言わない。 けど、事態は最悪な訳だ…だから。 村に起きた状況を教えてくれ、俺は助けに来たんだ」
「…はい」
大きく逞しい手から暖かい感覚を齎す彼が他のオークとは違うと感じたエルフは、少しずつ泣くのが収まっていく。 そして森の中、村の状況を話すエルフと聞くオークがそこに居た。
★☆★☆★☆
オーク軍団がエルフの村を占拠している所、半裸のオークは女の子のエルフを紐で拘束して俵担ぎしながら村に入る。
「おい、お前」
「なんでしょう?」
すると、鎧を着た軍団の1人であろうオークが半裸のオークに話しかける。 周りには何人かのオークがいた。
「お前、俺たちの所のオークじゃないな。 何処の所属だ?」
「あぁ…俺はちょっと訳あって前の所から抜けたんで、新しくこちらの方に入れさせてもらおうと思って。 村に来る途中に、こちらのオークと思われる方がコイツともう一匹のエルフを追いかけている所をコイツを捕まえたんです。 あのオークは、もう一匹の方を追いかけているでしょうね…どうですか? 俺、こちらの軍団に入れませんかね?」
半裸のオークが事情を話すと、鎧を着たオークは納得したのか女のエルフを纏めた場所に指を指す。
「わかった…とりあえず、お前はそいつを献上する形で入団が決まるだろう。 だから、彼処に女のエルフを纏めた場所に持っていけ」
「わかりました…後、もし自分が今このエルフの村を襲うのをやめて下さいって言ったら止めてくれます?」
「「「「ぶっはははははははっ」」」」
彼の発言に周りのオーク達は笑い出す。
「何言ってんだ、お前?」
「オークの当たり前の事をして、何が悪い」
「なんだ、お前。 文句でもあるのか?」
「いえ、何となく言っただけです。 では…」
そして、半裸のオークは鎧を着たオーク達と別れ女のエルフを纏めた場所に足を運ぶ。
エルフを担ぎ半裸のオークは、村の女のエルフを纏めた場所に着くと顔を顰めてしまう。 そこには2・3人のオークがエルフを犯し、その場に異臭を漂わせていた。 それを見た俵担ぎされたエルフは震えだし、それを感じた半裸のオークは気を引き締めてその場所に近づいていく。
「おぅ、誰だお前?」
「初めまして、新しく此方に入団する者です。 あっ、これ献上品です」
「おう、そうか。 また良いエルフを捕まえてきたな。 ははっ、犯しがいあるもんだ」
「…そりゃ、どうも」
半裸のオークは集められたエルフの近くまで歩き、俵担ぎをしたエルフを優しく下ろして周りのオークに気づかれないように小声で話す。
『じゃあ、手筈通りに』
『うん』
半裸のオークはその場から離れ、残されたエルフは他のエルフに小声で話しかけていく。 半裸のオークは、エルフを犯している先程話しかけられたオークに近寄っていく。 犯しているオークは、半裸のオークが近寄ってきたので不信に思ったのか振っていた腰を止め顔を半裸のオークに向ける。
「ん? なんだ、まだ何かあるか。 それとも…お前もコイツとヤリたいのか?」
「いえ…ただ単に用を足しに行こうと思って」
「そうか」
半裸のオークとの話が終わると再び腰を振り始めるオーク。 その後ろを歩いていく半裸のオークは、周りを見回し誰も見ていないと確認すると素早く犯しているオークの背に立ち左手は顎に右手は頭を掴む。 次の瞬間、その両手を右回転させる。
グキャッ
犯していたオークの首は、鈍い音を立てて横に一回転したオークの死骸が出来上がった。 後ろから犯されていたエルフが、突如オークの動きが止まった事に不思議に思い後ろを向くと血の泡を吐くオークを倒れないようにその後ろから支える半裸のオークがいることに驚く。 半裸のオークは、悲鳴を上げようとするエルフの口を優しく手で押さえ空いた手で人差し指を口に当て黙るようにジェスチャーを送る。
それを見たエルフは頷くと半裸のオークは殺したオークをエルフと離して軽い説明をした後、他の場所で犯しているオーク2匹の所に向かい始める。
難なく残りの犯していたオークも始末し、最初に助けたエルフと打ち合わせした通りに事を進めようと半裸のオークが動こうとするが、他のオークが殺された死骸を見つけたのか大声で叫び始める。
「おぉーい!? 3人殺されてるぞ!」
それを聞いた半裸のオークは、腰に下げている袋に右手を突っ込むと物量保存の法則を無視したように袋に入らないであろう剣が出てくる。
剣を持った半裸のオークは、素早く近くにいるオークに近寄り首元を狙い右腕を振る。 首が切られ胴体から血が噴水のように出る絶命したオークが倒れる前に、他のオークに襲いかかる。 最早、半裸のオークが反逆者だと理解した軍団のオーク達は半裸のオークに剣と杖を向けて襲いかかっていく。
軍団が半裸のオークに向かっていくと、それを見た半裸のオークは大きく息を吸い込むと…次に地が揺れたような声で叫ぶ。
「ああああああああああああああああああああああっ!!!!」
余りの声量に思わず足を止めてしまった軍団。 それを見た半裸のオークは、自分から軍団に向かって走り出した。
軍団の先頭に立つオークは、走ってきた半裸のオークに手に持つ剣で首を切られて1匹目。 2匹目・軍団のオーク達は鎧を着ていたが下半身は何も装備されておらず、半裸のオークは1匹の右足の膝内側を思い切り蹴るとオークは堪えられずその場に座り込んでしまうと頭を蹴り上げられ首が折れ絶命。 3匹目・半裸のオークは鎧を掴み、そのオークを武器にするように振り回し他のオークを巻き添えにして最後に頭から地面に叩きつけられ絶命。
この後も、着実に数を減らしていく半裸のオークを相手に軍団のオーク達も知恵を絞ったのか杖を持ったオーク達が遠距離攻撃を仕掛ける。 何十個の火球が半裸のオークに襲いかかる。 しかし、半裸のオークは腰に下げていた袋を左手に持ち袋の口を地面に向けて、下から上に振ると摩訶不思議な事が起きる。 袋から収まり切らない剣だけでは飽き足らないのか、中から土のブロックを吐き出す。 その土のブロックは一つ、縦横1mの物で三段に縦に積み立てられオーク達の魔法は土ブロックに阻まれ半裸のオークには攻撃は通らなかった。
「なんなんだ! あのオークは!?」
1匹のオークが叫ぶと、それを聞いていた彼は答える。
「俺か? 名を忘れ、名も無きオークだよ…」
半裸のオークはそう答えると再び軍団に向かって走っていく。
☆★☆★☆★
「はぁはぁはぁはぁっ…」
どれぐらいの時が経ったのか、村の広場に血が広がり剣・斧・槍などが散乱しており死骸が転がる場所の真ん中に半裸のオークが息を切らし肩を上下させながら呼吸していた。 彼は何十体のオークを相手に、休み無しで戦い続けて身体中には至る所に切り傷や火傷を負っていた。
そして、残り数体のオークを睨みつけた。
「…次」
「ひぃぃっ!」
「なんなんだ! あいつは!?」
睨みつけられたオーク達は、半裸のオークに恐怖し怯えながら少しずつ後ずさりし始める。 そんな中、半裸のオークは思考を巡らせていた。
(後残りはあれだけか…だが、腑に落ちないのがコイツらの親玉の姿が見えないが何処にいるんだ…)
そんな事を彼が考えていると後ろから少し離れた場所で大声で叫びエルフが現れる。 そのエルフは、彼が助けた女の子のエルフであった。
「危ない! そこから離れて!!」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴッ
彼は叫ぶエルフの方に向くと、凄まじい音が村一面に鳴り響く。 その音の方向に彼は首を向けると、紅く光るエネルギー弾が彼に向かって地面を抉りながら迫ってくる。 最悪にも半裸のオークが、それに気づいて避ける動作を与えない程に近かった。
「なっ⁉︎」
ドゴォォン
紅く光るエネルギー弾が彼に直撃し、爆発と共に彼は吹き飛ばされエルフの家に突っ込む。ガラガラと音をたて、家に突っ込んだオークは動く様子が見られない。 すると、オーク達とは一際大きな体を持ち右腕にクリスタルの装備を付けた親玉が現れる。
「ぐははははははははっ! 他愛も無い、しかしこんな奴に我の軍団は殺られたのか!? そして纏めていたエルフ達にも、逃げられるとは何事か!!」
「だけど、親分! あいつ、なんか知らない動きで戦うのと腰から下げた袋から何個も武器や土の四角い奴を取り出して俺には手が付けられなかったんだ。 親玉だからこそ、あいつを殺せたんだ…」
オーク達に捕まっていたエルフは、彼が助けた女の子のエルフが彼が軍団と戦っている間に全員逃していた。そして子分からの言葉により、先程怒りの感情に染まった顔から少し誇らしげに右腕を上げる。
「確かに、我の武器である《魔砲・ムンデス》に掛かれば国一つ落とすにも片手間だわ! 我と《魔砲・ムンデス》があれば無敵とも言えよう! ぐははははははははっ!」
親玉であるオークが右腕に付けられたクリスタルから、透明の為に中が見えるが肩から手に掛けて螺旋状の紅い線が渦巻いていた。 《魔砲・ムンデス》、元々魔界で作られし武器であり持ち主の体力・魔力をクリスタル内で変換し外に放出される時にはエネルギー弾として打ち出される物である。 しかし、何故オークが持っているかは不明である。
「そんな事よりも、早く女達を探してこい! そこにいる小娘から聞き出し、再び捕まえてこい!」
「「「了解!」」」
オーク達は、女の子のエルフに向かっていく。 それを見たエルフは、彼の安否を確認したいのと逃走しなくては行けないと言う思考が混ざってしまい動けないでいた。 エルフの中では命の恩人であり、村の救世主とも言える彼を置いて逃げるのは彼女の中では脚は逃げようとしていなかった。
「1つ、一世に産み落とされし…」
オーク達は彼女の目の前まで近づき捕まえようとした瞬間、吹き飛ばされ突っ込んで崩れた小屋から唄が聞こえてくる。 死んだと思っていた奴が生きていたと驚き、オーク達は身体が固まってしまった。
「2つ、双子の間引きの華は…
3つ、見事に咲かせてみせましょう…
4つ、夜空の紅線の日に…
5つ、いつしか京の町にも…
6つ、睦月の寒さが沁みて…
7つ、夏の匂いを漂わせ…
命の結ぶ血を満開に…」
ガラガラッ
崩れ倒れた小屋の中から、至る所から血が吹き出し半裸のオークは緑色の体は紅に染まり右頬は抉れ左目の周りは火傷ような痕を残し起き上がってきた。 これを見た親玉とオーク達は驚愕。 エルフは生きていた事に分かり、涙を流す。
「き…貴様! 何故、我の一撃を耐える事が出来た!?」
親玉のオークは、自分の力の象徴である《魔砲・ムンデス》の攻撃で何故彼が死ななかったのか不思議でしょうがなかった。 そんな所に、彼に立ち向かう2匹のオークがいた。
「「ウオォォッ!」」
彼らは既に瀕死であると思って、半裸のオークに大剣で斬りかかるが…。
ドゴォッ
一つの音を鳴らし、彼に近寄っていた2匹のオークは拳を喰らい顔を陥没させられ絶命。
「…何故、俺が生きてるかって? 簡単な理由だ…それが玩具なだけだ…」
フラフラとよろめきながら、鋭い眼光と人差し指を親玉のオークに向ける。 親玉のオークは、自慢の物を玩具呼ばわりされて激怒して《魔砲・ムンデス》を彼に向けて突き立てる。
「塵も残さず消え去れ!!」
《魔砲・ムンデス》が光り始め、肩から手に螺旋状に渦巻いていた線が高速で動き始め先端にエネルギーが溜まり始まる。
ダッ
それを見た彼は、自分の体に鞭を打ち親玉のオークに向かって走り出す。
「ははっ、馬鹿め! 小細工で、この《魔砲・ムンデス》の攻撃を止めれると思うな!!」
彼が親玉のオークに接近している間にも、《魔砲・ムンデス》は発射可能になる。
「死ねぇ!」
そして、《魔砲・ムンデス》からエネルギー弾が打ち出される瞬間に彼はオークと1m半の距離になると走っていた右足を左に出して軸にして身体を左回転。 身体が回りきった瞬間に左足をオークの前に震脚し、助走を付け身体を回転させ慣性を使い彼がオークである身体の筋肉を最大限に利用した右拳が《魔砲・ムンデス》の先端に放つ。
カッ
するとエネルギー弾は本来外に放出される筈が《魔砲・ムンデス》の中で滞留してしまい、中でエネルギー弾が爆発する。
バアアアアアァァァァァァン
「な…! なにぃ!?」
《魔砲・ムンデス》が爆発し、爆風で破片と共に吹き飛ばされあり得んとばかりな顔でいる親玉のオーク。 彼の方は、《魔砲・ムンデス》 が吐き出すエネルギー弾を自分の右拳で押し返した為に手は所々から骨が飛び出し酷い状態であった。 しかし、本人の彼は右手の事を気にせずに吹き飛んでいった親玉のオークに対して血で塗られた顔で鋭い眼光を向けながら一言。
「言っただろう…玩具だと」
どうも〜、ヨッピーですぅ。(⌒▽⌒)シ
初めての方、それかこれを更新する前にお気に入りを入れてくれた方々。
やっと書き終わりました。( ̄^ ̄)ゞ
いや〜、長かった…。
見切り発進な作品なだけに、敢えて主人公に名前を無しにしましたw
今回は、彼の昔話の一つ。
UA数によって、短くするか長くするか検証w
では、次回?で〜。
ジーク・ヨッピー!(`_´)ゞ
「ヴァッ!」(`_´)ゞ
(ジーク・ヨッピー!)
4月18日、修正